環境化学
Online ISSN : 1882-5818
Print ISSN : 0917-2408
ISSN-L : 0917-2408
5 巻, 3 号
選択された号の論文の12件中1~12を表示しています
  • Takashi MIYAKE, Akio YASUHARA, Takayuki SHIBAMOTO
    1995 年 5 巻 3 号 p. 569-573
    発行日: 1995/09/08
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    Acrolein formed in cigarette smoke from 26 commercial brands was trapped in an aqueous solution containing N-methylhydrazine. Acrolein derived to 1-methyl-2-pyrazoline was quantitatively analyzed by gas chromatography with a fused silica capillary column and a nitrogen-phosphorus detector. The lowest detection level of 1-methyl-2-pyrazoline was 8.9 pg, equivalent to 5.9 pg acrolein. Recovery of acrolein from aqueous solutions as 1-methyl-2-pyrazoline was in the range of 99.3±2.1% and 100.6±3.4%. Acrolein found ranged from 124.4μg/cigarette to 337.4μg/cigarette.
  • ―標準液のPEG共注入法―
    奥村 為男
    1995 年 5 巻 3 号 p. 575-583
    発行日: 1995/09/08
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    農薬の環境中や浄水過程での挙動を把握するため, チオホスホリル基を有する有機リン系農薬のオキソン体及びスルフィド基を有する農薬のスルフォキシド体とスルホン体を合成し, 水試料について原体の農薬とともに, キャピラリー・GC/MSによる分析法を検討した。
    実試料では試料中のマトリックス効果により著しく過大に定量されることが解った。このマトリックス効果を補償するために, 標準液注入時に低分子量のポリエチレングリコールを共注入することにより定量値を真の値に近づける方法を考案した。
    検討した30種の農薬及びその酸化生成物の検出限界は2~200pg (S/N=3) で著しい差が認められた。ミネラルウオーターからの回収率は, ピペロホクソンの58.3, フェンオクソンスルホンの184.6及びシメトリンスルポンの221.4%を除くと70.3~134.1%, 変動係数は3.3~12.6%であった。
    オキソン体の一部やスルホン体は強極性のため, 注入部の汚染やカラムの劣化によりピークが得られないことがあった。このような場合には, 注入部の洗浄及びカラム先端部の切除が必要であった。
    本法により実施した原水及び浄水についての調査結果については別途報告したい。
  • 岩下 正人, 堀 泰子, 島村 匡
    1995 年 5 巻 3 号 p. 585-596
    発行日: 1995/09/08
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    相模川下流域の中小河川における21の微量元素濃度をICP-MSを用いて測定した。これらの河川は相模原市内を流れており, 雑排水の流入が激しく汚濁がかなり進行している。測定した元素の殆どが相模川本流での平均値を大幅に上回っており, 微量元素の面からも汚濁の進行がうかがえた。Niを除いて基準値, 指針値を超える元素はなかったものの, Li, Cu, Mo, Cd, Tlなどが高濃度で検出された試料が多数あった。これらの元素濃度は採水地点, 採水時期などで大きく変動し, 特定の地点での流入, 不定期的な排出を示唆している。Niは要監視項目であるが, 指針値を上回る値を示した試料が幾つかある。相模川への影響は農業用水などの取水状況により, 季節的に変動する。
  • 奥村 為男
    1995 年 5 巻 3 号 p. 597-604
    発行日: 1995/09/08
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    水試料中に存在する微量の化学物質の簡単で迅速な多成分一斉モニタリング法について検討した。試料11からジクロロメタンで抽出し, 0.1mlまで濃縮し, クリンアップ処理をせず, GC/MS (SIM) のグルーピング法で3つのカテゴリーに分けて測定した。カテゴリー-1では72物質, カテゴリー-2では51物質, カテゴリー-3では60物質の計183物質について検討した。
    装置の検出限界 (S/N=3) は, 得られた179物質のデータの内129物質 (72%) は10pg以下であった。従って, これらの物質は, ブランク値がなければ, 試料の104倍濃縮からng/1 (ppt) レベルのスクリーニングが可能であることを示している。45物質 (26%) は101pgであった。
    水試料からの回収率は, 得られた182物質の結果の内, 回収率が40%以下が5物質 (2.8%) , 40~60%が6物質 (3.3%) , 60~120%が169物質 (92.9%) であり, 検討した183物質の約90%以上が本法でスクリーニングが可能であった。変動係数は98%の物質で20%以下であった。
    本法により多くの物質についてpptレベルのスクリーニングが可能であった。
    本法により実施した河川水, 浄水や雨水についての調査結果については別途報告したい。
  • ―N-メチルアニリン, N-エチルアニリン, οアニシジン, p-アニシジン―
    中戸 靖子, 西村 貴司, 服部 幸和, 高林 幸和
    1995 年 5 巻 3 号 p. 605-616
    発行日: 1995/09/08
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    排ガス中のN-メチルアニリン, N-エチルアニリン, ο-アニシジン及びρ-アニシジンの測定方法について検討した。リン酸を塗布したSEP-PAKC18カートリッジに排ガス30lを通気した後, エタノールで溶出, ジクロロメタンで抽出し, η-ヘキサンに転溶してGC/MS及びGC/FTIDで分析した。ジクロロメタン抽出時のpHは12付近が最適であった。排ガス中に水分が3%程度以上含まれている場合は, カートリッジの後に1%塩酸水溶液10mlを入れた吸収瓶を連結することにより採取可能となった。本測定方法は定量下限値, 相対標準偏差及び回収率について良好な結果が得られており, 排ガスの測定に適用できることが明らかとなった。
  • 小野寺 祐夫, 前田 真, 斉藤 晃英
    1995 年 5 巻 3 号 p. 617-624
    発行日: 1995/09/08
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    P=S型有機リン農薬が混入している水を塩素又はオゾン処理すると, 農薬は容易に酸化されてP=O型に変換され, 水中に残留することが知られている。このことから, 本研究では10種のP=O型を合成し, それらのマススペクトル及び変異原性を検討した。
    P=O型化合物 [ホスフェート: (RO) 2P (=O) -OR, ホスホアミドエート: (RO) 2P (=O) -NHR) ] のマススペクトルは複雑で, α-開裂 (P-OR, P-NHR) , β-開裂 (PO-R, PNH-R) 及び再配列に基づく多数のピークが存在した。分子中のRが脂肪族であるホスフェート (例えば, マラオキソン) 及びホスホアミドエート (例えば, ブタミホスーオキソン, イソフェンホスーオキソン) は比較的小さな分子イオンピークを示した。これに対し, Rが芳香族であると, 安定な分子イオンピークが観察された。
    サルモネラTA98及びTA100を用いたAmes試験を行った10種のP=O型有機リン化合物のうち, EPN-オキソン, イソフェンホスーオキソン, マラオキソン及びパラオキソンが変異原物質であることがわかった。クロロピリホスーオキソン, ダイアゾオキソン及びフェニトローオキソンは弱い変異原性を示した。ブタミホスーオキソン, イソキサーオキソン及びトルクロホスーメチルーオキソンはこの研究で行ったいずれの試験系においても変異原性が観察されなかった。
  • 林 淑賢, 閔 丙允, 松田 宗明, 脇本 忠明
    1995 年 5 巻 3 号 p. 625-636
    発行日: 1995/09/08
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    韓国, 馬山湾の表層底質や湾周辺域の土壌試料を用いて, PCDDs/PCDFsによる水圏環境と陸地環境の汚染状況を調査した。表層底質中のTotal PCDDs/PCDFs濃度 (乾燥重量当り) は102~6493pg/gで, 1-TEQ濃度は1~76pg/gであった。一方, 土壌中のTotal PCDDs/PCDFs濃度 (乾燥重量当り) は71ppt~121071pg/gで, 1-TEQ濃度は0.2~3719pg/gである。PCDDs/PCDFsの異性体パターンで推定した馬山湾や周辺陸地の汚染は燃焼焼却処理によるものと推測される。
  • o-クロロニトロベンゼン, m-クロロニトロベンゼン, p-クロロニトロベンゼン―
    西村 貴司, 河野 伴弥, 多田 桂子, 山下 幸康, 服部 幸和, 牧 定雄
    1995 年 5 巻 3 号 p. 637-646
    発行日: 1995/09/08
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    排ガス中のο-クロロニトロベンゼン, m-クロロニトロベンゼン, p-クロロニトロベンゼンの測定方法について検討した。η-ヘキサンで洗浄したSEPPAKPS2カートリッジにガス30lを通気した後, η-ヘキサンで溶出してGC/MS及びGC/FTIDで分析した。ガス中に水分が30%程度含まれていても捕集管の捕集効率に影響はない上に, 捕集管内に捕集されたクロロニトロベンゼンの保存性もよく, 排ガス試料の分析をルーチン化できる可能性が示された。
  • 高菅 卓三, 井上 毅, 大井 悦雄
    1995 年 5 巻 3 号 p. 647-675
    発行日: 1995/09/08
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    各種のクリーンアップ方法とHRGC/HRMS法を用いたPCBsの全異性体を対象とした詳細な分析方法について述べた。クリーンアップ方法は特に油試料のDMSO処理, アルミナカラムクロマトグラフィーさらにHPLC (Porous Graphitized Carbon) クリーンアップについて詳細な検討結果を示した。HRGC/HRMS法は全異性体の同定の後, GC (ECD) あるいはLRMS法との相互比較や各々の種々の問題点についても述べた。本報告によりcoplanar PCBsのみならず他の全PCBs異性体についての分析化学的情報の提供ができ, 今後のPCBs分析手法の普及および改良が期待できるものと考える。
  • 森 康明, 節田 節子, 後藤 純雄, 小野寺 祐夫, 松下 秀鶴
    1995 年 5 巻 3 号 p. 677-681
    発行日: 1995/09/08
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    神奈川県衛生研究所の水道水濃縮物の変異原特性をフレームシフト型の変異原に感受性を示すS.typhimuyiumTA98菌及び塩基対置換型の変異原に感受性を示すTA100菌を用いて, マイクロサスペンジョン法により検討した。水道水の濃縮には, 無極性有機物の捕捉に効果的なSep-Pak-tC18と弱極性有機物の捕捉に有効なSep-Pak-PS2カートリッジを用い, その操作はこの順に通水することで行った。いずれの水道水濃縮物もS9mix添加時よりも無添加時に高い変異原性を示すことや, TA98菌株よりもTA100菌株により強い変異原性を示すことを認めた。フレームシフト型の直接変異原は, Sep-Pak-tC18カートリッジによる濃縮物に多く, 一方, 塩基対置換型の直接変異原はSep-Pak-PS2カートリッジによる濃縮物に多く存在することが判った。これらの結果は, 本法によって得られた水道水濃縮物中に存在する主な変異原が塩基対置換型の直接変異原であり, 弱極性化合物を含んでいることが考えられた。また, 水道水の変異原性の月変動は強弱の差が約5倍程度になることが認められた。
  • 口田 圭吾, 佐藤 慎二, 情野 正道, 玉川 勝美, 加藤 丈夫, 小場 正彦
    1995 年 5 巻 3 号 p. 683-688
    発行日: 1995/09/08
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    仙台市内のドライクリーニング工場 (A, B事業所) および金属部品洗浄工場 (C事業所) における低沸点有機塩素化合物 (VCHs) の作業環境濃度を調査した。測定方法は捕集管を用いたアクティブサンプリングならびにガスチューブを用いたパッシブサンプリングである。また, 調査項目は1, 1, 1-トリクロロエタン (MCF) , 四塩化炭素 (CTC) , トリクロロエチレン (TCE) およびテトラクロロエチレン (PCE) の4物質である。濃度が低かったCTCを除き, アクティブサンプリング値を基準としてそれぞれの物質のサンプリングレートを算出したところ, MCFが0.387, TCEが0.241, PCEが0.252となった。
    さらに、3事業所周辺におけるVCHsの空気中濃度をパッシブサンプリング法で調査した。調査した物質のそれぞれの地域における平均濃度は, A事業所周辺でPCEが13.4μg/m3, B事業所周辺でPCEが74.9μg/m3, C事業所周辺でTCEが65.2μg/m3と, 仙台市の一般環境大気濃度に比較し高かった。また, 発生源周辺における濃度は, 建造物の構造や測定時の風速・風向の影響を大きく受けているものと推察された。
  • 白根 義治
    1995 年 5 巻 3 号 p. 689-692
    発行日: 1995/09/08
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    Several applications in environmental analysis by LC/MS were described briefly.
feedback
Top