生態心理学研究
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6 巻, 1 号
生態心理学研究
選択された号の論文の21件中1~21を表示しています
特集1:ギブソン66を読む
特集2:生態心理学とリハビリテーションの融合
  • 和泉 謙二
    2013 年 6 巻 1 号 p. 45-46
    発行日: 2013/04/01
    公開日: 2021/03/31
    ジャーナル フリー
  • 野中 哲士
    2013 年 6 巻 1 号 p. 47-50
    発行日: 2013/04/01
    公開日: 2021/03/31
    ジャーナル フリー
  • 中根 征也, 大西 智也, 木村 保
    2013 年 6 巻 1 号 p. 51-52
    発行日: 2013/04/01
    公開日: 2021/03/31
    ジャーナル フリー
    本研究では,生態心理学的概念に基づいた運動療法が跨ぎ動作にどのような影響を及ぼすのかを検討した.対 象は,日頃から特別な運動をしていない健常人とし,背臥位で胸郭と骨盤に重錘をのせて運動を行う群、Puppy Position で左右に揺れる運動を行う群と腹臥位で安静を保つ群の 3 群に分類して,それぞれを 2 分間施行した. 運動介入の前後に,40cm の高さのバーを跨ぐ動作を行い,その動作の前後を含めて、第四胸椎と骨盤との加速 度を3 軸加速度センサを用いて測定した.その結果,第四胸椎と骨盤の加速度は,運動の介入によって増加する 傾向を示した.このことから,生態心理学的概念に基づいた運動療法によって,身体に何らかの変化が生じるこ とが推測されるが,更なる検討が必要である.
  • 中尾 和夫, 上西 啓裕, 池田 吉邦, 有馬 聡, 浦 正行, 安井 常正, 冨田 昌夫, 青木 恵美
    2013 年 6 巻 1 号 p. 53-56
    発行日: 2013/04/01
    公開日: 2021/03/31
    ジャーナル フリー
    今回の研究では,行為の手順を意識した場合と環境を視覚的に識別容易にした場合,行為が容易に遂行できる ように整理した環境の場合における行為の円滑度を比較し,行為への環境の影響度合いを検討した.行為はイン スタントコーヒーをつくり好きな菓子を選びとるという行為を選択し,指標には生態心理学的な概念にあるマイ クロスリップをカウントした.マイクロスリップとは行為中に観察される円滑でない無自覚な4 種類の手の動き を指し,行為に柔軟性を与えると考えられている.対象は健常成人男性 15 名女性 13 名(平均年齢 25.2±5.9)を 無作為に 4 グループ,各グループ 7 名に振り分けた.これらのグループに課題1:操作を加えない基本的な環境 条件,課題2:遂行前に行為の流れを強制的にイメージ,手順を筆記,課題3:環境の全物品に文字でラベリン グ,課題4:遂行前に被験者任せの物品配置換えを各々施行してもらった.デジタルビデオに録画した行為を繰 り返し観察し,検者 3 人が一致したマイクロスリップのみカウントし,平均値と標準偏差を算出した.結果は, 課題1:平均 14.6±7.2/回,課題2:平均 13.4±6.2/回,課題3:平均 9.9±5.3/回,課題4:平均 8.7±5.2/回と課題3 と4 でマイクロスリップが少ない傾向となった.結果から,行為手順を意図したり言語化し意識するより,環境 に配慮した方がマイクロスリップの出現に大きな影響を及ぼし,行為が円滑に行える傾向が示唆された.
  • 安井 常正, 上西 啓裕, 池田 吉邦, 浦 正行, 有馬 聡, 中尾 和夫, 冨田 昌夫
    2013 年 6 巻 1 号 p. 57-58
    発行日: 2013/04/01
    公開日: 2021/03/31
    ジャーナル フリー
  • 柴田 崇
    2013 年 6 巻 1 号 p. 59-64
    発行日: 2013/04/01
    公開日: 2021/03/31
    ジャーナル フリー

    本研究では,階段についての先行研究をレヴューし,そこで示された“影”という視覚情報の重要性を踏まえ,JJ・ギブソンの生態心理学の立場から,階段の視覚的研究に必要な理論的基礎(“陰”と“陰”)と今後の展望を提示する.

  • 池田 吉邦, 中尾 和夫, 上西 啓裕, 有馬 聡, 浦 正行, 安井 常正, 冨田 昌夫
    2013 年 6 巻 1 号 p. 65-68
    発行日: 2013/04/01
    公開日: 2021/03/31
    ジャーナル フリー

    今回の研究では,身体内部の環境を「揺すり」を通じて変化させる事で外部環境としての支持面(床面)を知覚・探索しやすい身体づくりと,もう一つは外部から知覚しやすい環境として,支持面(床面)に情報(タオルなど)を提供することで,起き上がり動作がし易くなるという事から,その「動き易さ」がより支持面の変化を知覚でき環境との相互作用によりダイナミカルに起き上がり動作の中で「楽に動ける」という身体の連動性を促通し,知覚行為循環が促されたと考えている.まず「揺すり」の対象は,健常成人男性(22 歳)1 名で床上背臥位から対称的な起き上がりを,(1)臥床直後(210 分間安静臥床直後(3)頚部からの揺すり後について,ビデオ撮影にて視覚的分析し,圧センサーにて支持面の変化を、またボルグスケール(自覚的運動強度)にて「動き易さ」の自覚度を比較した.「揺すり」後は,視覚的分析で「滑らかさ」が見られ,支持面では,臥床時の接触域が増加し,ボルグスケールでは最初は「ややきつい」揺すり後は「かなり楽である」になった.以上のことから,「揺する」ことは身体動作を楽に行う治療手段となる可能性が示唆された.また,もう一つの研究からも対称的な起き上がり動作を通して,腰部と床面の空間にタオルを挿入することで,身体と支持面(床面)との相互関係の中で,より知覚行為循環を促すことは,起き上がり動作が楽に行える可能性が示唆された.

  • 八木 崇行, 冨田 昌夫, 三嶋 博之, 杉山 智久
    2013 年 6 巻 1 号 p. 69-72
    発行日: 2013/04/01
    公開日: 2021/03/31
    ジャーナル フリー

    今回,頚部から脊柱を小さく揺する治療の効果に関して,重心動揺計を用いて定量的に評価した.その結果,揺すり治療によって構造物を見る,文字を黙読するなどの視覚課題に合わせた構えをとることが容易になることが示唆された.このことから,揺すり治療は,視覚と体性感覚が協調して働き,身体や環境の変化を知覚し,運動を自己組織化できるような身体作り,つまり運動学習できる身体作りに有効な方法と考えられた.

  • 鎌田 優子, 真下 英明
    2013 年 6 巻 1 号 p. 73-75
    発行日: 2013/04/01
    公開日: 2021/03/31
    ジャーナル フリー

    嚥下障害に至る原因は様々あるが,加齢などの生理的な影響に,何らかの疾患が加わり活動性が低下するとその症状はより一層進展してしまう.今回報告する症例は,脊髄損傷によって活動性が低下し嚥下障害となり,一般的な嚥下アプローチを受けたがその後も誤嚥性肺炎を繰り返していた経過から,嚥下障害の問題の本質は頭頚部だけでなく,全身的な身体の活動性の低下にあると考え,介入を行った.まず脊髄損傷により内・外環境との関係性が途絶え内に固定的な身体となり,嚥下に必要な筋活動や呼吸などが機能し難くなっていたため,セラピストによるゆすりや自身の動きによるダイナミックタッチによって内・外環境との知覚循環を改善し,起居動作を利用して嚥下関連筋群を促通したことにより,嚥下運動に改善をみた.さらに活動性に介入したことで,嚥下以外の場面においても能動的かつ選択的な運動場面がみられるようになった.今回の症例を通して,「自ら動ける体つくり」は「自ら食べられる体つくり」につながり,作業療法士や理学療法士の嚥下への介入に意義があることを再確認した.

  • 廣瀬 直哉
    2013 年 6 巻 1 号 p. 77-78
    発行日: 2013/04/01
    公開日: 2021/03/31
    ジャーナル フリー

    日常的なタスクにおいて頻繁に生じる行為の淀みであるマイクロスリップは,これまで有効な記述の方法が確立されていなかった.本研究では,マイクロスリップを修復とみなし,修復対象reparandum,非流暢disfluency,修復repair 3 つの区間に分けて記述することを提案する.そして,この枠組みを食事場面の観察に適応した結果を報告する.

  • 大西 智也, 中根 征也, 木村 保, 杉本 圭, 佐竹 勇人
    2013 年 6 巻 1 号 p. 79-80
    発行日: 2013/04/01
    公開日: 2021/03/31
    ジャーナル フリー

    立位で左右に重心移動したときには中殿筋が反応する.また,背臥位では身体の軸と想定される側がどちらかに存在する.本研究では,左右に重心移動したときの中殿筋の反応のパターンと身体軸の相関性について検討した.対象は健常成人6 名とした.背臥位で身体軸を推定し,立位で骨盤を左右に誘導したときの両側の中殿筋の筋活動を導出した.その結果,推定された身体軸側に骨盤を誘導すると,その側の中殿筋が活動し始め,続いて対側の中殿筋が活動する.そのことは,対象者すべてにおいて同様の結果が得られた.立位姿勢保持のためのバランス戦略は身体軸がある側と対側では違った戦略をとっている可能性がある.

  • 湯川 智史, 中根 征也, 大西 智也
    2013 年 6 巻 1 号 p. 81-82
    発行日: 2013/04/01
    公開日: 2021/03/31
    ジャーナル フリー

    要旨: 一般的な筋力増強練習を行う際の中枢部の支持面の違いが,筋活動にどのような影響を与えるのかを明らかにするため,支持面の異なった状態での大腿四頭筋セッティング時の筋活動について検討した.対象は健常男性 5 名とし,膝窩部に比較的硬いものを挿入した安定群と,膝窩部に軟らかいものを挿入した不安定群の 2 パターンで大腿四頭筋セッティングを実施した.そして,大腿四頭筋セッティング時の大腿直筋,内側広筋,外側広筋から筋電図を記録した.結果,安定群と不安定群の筋活動(%iEMG)の間に有意な変化は認められなかった.しかし,安定群と不安定群における各筋の%iEMG の中央値の比較として,箱ひげ図を用いると,不安定群に比べ安定群の各筋の筋活動が高値を示す傾向にあることが示唆された.今後,対象者の数を増やし再度検討していく必要はあるが,筋力増強練習を行う際は中枢部の支持面を知覚しやすい状態にすることで,より筋活動が得られやすくなる可能性が考えられた.

  • 杉本 圭, 中根 征也
    2013 年 6 巻 1 号 p. 83-84
    発行日: 2013/04/01
    公開日: 2021/03/31
    ジャーナル フリー

    【はじめに】本研究では継ぎ足歩行について,単純に床上で継ぎ足歩行練習を行う方法と床面の上に縄を設置してその上で継ぎ足歩行練習を行う方法について立位バランス能力でその効果を比較検討した.【対象と方法】被検者は健常者 20 名とした.被検者を床に設置した縄の上で継ぎ足歩行を実施する群(以下,縄群)とビニルテープの上で継ぎ足歩行を実施する群(以下,テープ群)の 2 群に 10 名ずつ分け,静止立位での重心動揺検査,立位での重心可動域検査を各群で継ぎ足歩行を実施する前後で測定した.【結果】重心動揺検査の面積・総軌跡長は両群ともに継ぎ足歩行後の変化は小さかった.一方,重心可動域検査の面積は,縄群の継ぎ足歩行後の値が前値に比べて増大し,テープ群では,継ぎ足歩行によって減少する傾向を認めた.左右移動距離の変化は,両群ともに小さかったが,前後移動距離は縄群で継ぎ足歩行後の値が前値に比べて増大し,テープ群では減少した.【考察】縄の上を継ぎ足歩行する課題により,静的立位バランスの向上は認めなかったが,動的立位バランスの向上を認め,単純な歩行練習を繰り返すより,縄の上を歩くという,より支持面を探索的に行う歩行練習の方が,効果的に患者のバランス能力を向上させる可能性があることが示唆された.

  • 玉垣 努
    2013 年 6 巻 1 号 p. 85-88
    発行日: 2013/04/01
    公開日: 2021/03/31
    ジャーナル フリー

    臨床において,従来の残存機能強化型リハビリテーションの重要性は認識しつつも,麻痺域の管理の問題や結果としての痛みや痙性の増強によるADL改悪の可能性を否定できない.今回,麻痺域へのアプローチをする意義として,単に回復を促すのではなく,過分なく適切な知覚を促す事で,ADLが改善する可能性があること.この事を説明できる可能性のある,ダイナミックタッチの理論の適応を片麻痺者へのアプローチを事例として検討する.

  • 安井 常正, 上西 啓裕, 池田 吉邦, 浦 正行, 有馬 聡, 中尾 和夫, 冨田 昌夫
    2013 年 6 巻 1 号 p. 89-92
    発行日: 2013/04/01
    公開日: 2021/03/31
    ジャーナル フリー
  • 野村 寿子, 村口 健一
    2013 年 6 巻 1 号 p. 93-94
    発行日: 2013/04/01
    公開日: 2021/03/31
    ジャーナル フリー

    快適さの中で自ら発達することを可能にする定位の場Optimized Seating System (以下OSS)の基本的な考え方と製作方法にについて紹介する.次に具体的な姿勢と運動の改善例をもとに.定位のシステムが常に連続した姿勢と運動の変化の中で起こるものであること,直前の知覚が次の知覚の手掛かりとなり,行動に影響を与えていることを示す.そして連続した流れの中で「釣り合いを調整することを促す定位の場」を適切に示すという方法が,リハビリテーションの有効な手段となることを示す.

  • 戸塚 誠司, 伊能 寛, 沢田 護, 三嶋 博之
    2013 年 6 巻 1 号 p. 95-98
    発行日: 2013/04/01
    公開日: 2021/03/31
    ジャーナル フリー

    自動車の運転において、運転者と乗員の支持面として用いられる自動車用シートは姿勢の維持で 重要な役割を果たしている。 本研究において、我々はドライバーの姿勢に着目して、オリジナル の姿勢維持システムを開発した。 まず、ドライバーのドライビングポジションと運転技量の関係 を分析して、運転に適したシートについて必要用件を決定した。 シートを製作し、運転のしやすさと快適さについて効果を検証した。

  • 髙田 勇, 竹田 智幸, 冨田 昌夫
    2013 年 6 巻 1 号 p. 99-102
    発行日: 2013/04/01
    公開日: 2021/03/31
    ジャーナル フリー

    今回,視覚と体性感覚の協調を再構成すると考えられる運動療法が,姿勢制御に及ぼす影響を検討した.結果,「頚部からの揺すり」「腹臥位・パピーポジションでの上下肢運動」「縄抜け動作」において,深層筋が活性化し表在筋が緩むことが確認され,また視覚と体性感覚の協調が再構成されることで,環境の変化に対して身体の振る舞いを柔軟に変化させて適応し,安定性と可動性を両立した姿勢制御が可能であったと推察される.

博士論文紹介
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