研究の目的 RIRD (response interruption and redirection)手続きの導入について、RIRD単独条件、RIRD手続きへスクリプト提示を付加した条件、スクリプト提示単独条件、の3条件について独語の減少と適切な音声言語の増加へ及ぼす効果を比較検討した(介入Ⅰ)。介入Ⅰで効果が認められたRIRD手続きへスクリプト提示を付加した手続きの介入者を対象生徒の母親とし、実験室環境での介入条件を導入後、家庭環境における介入条件の導入効果を検討した(介入Ⅱ)。研究計画 ABCDCデザイン(介入Ⅰ)、場面間多層ベースライン法(介入Ⅱ)を用いた。場面 大学内プレイルーム(介入Ⅰ、Ⅱ)及び研究参加児の自宅(介入Ⅱ)での遊び場面を対象にした。参加者 自閉スペクトラム症のある13歳の男子生徒1名だった。介入 (A) BL、(B) RIRD単独条件、(C) RIRD+スクリプト提示条件、(D)スクリプト提示単独条件を導入した(介入Ⅰ)。(A) BL、(B)スクリプト提示単独条件、(C) RIRD+スクリプト提示条件を導入した(介入Ⅱ)。行動の指標 独語、及び適切な音声言語の生起率を部分インターバル法により記録した。結果 介入Ⅰでは、RIRD+スクリプト提示条件で最も独語が少なく、適切な音声言語反応が多かった。介入Ⅱでも大学・家庭両方の場面で、同様の結果が示された。結論 RIRD手続きにスクリプト提示を付加した条件は、RIRD単独条件に比較して、ASD児における独語の減少及び適切な言語行動の増加に効果があった。
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