研究の目的 本研究では、視覚的な点字学習におけるcontingency adductionの成立とcontingency adductionの手続きを用いた点字学習法の有効性の検証を行った。研究計画 見本合わせ訓練、対称律テスト、adductionテストの3つの課題を行い、それぞれ見本合わせ課題を用いた。見本合わせ訓練と対称律テストではアルファベット文字とそれに対応する点字文字を使用し、関係学習を行った。adductionテストでは、仮名文字とそれに対応する点字文字を使用した。参加者 大学生および大学院生33名であった。独立変数の操作 母音と子音を同一セッションで学習するmixed群と、母音と子音をそれぞれ別セッションで学習するsplit群を設定した。行動の指標 adductionテストにおける正答率と累積正反応数を指標とした。結果 群間で成績に差は見られなかったが、約75%の参加者はチャンスレベルに基づいた基準を越える正答率であり、contingency adduction手続きによる点字学習の成立が認められた。加えて、約69%の参加者はcontingency adductionの成立の基準として設定した最大連続正答数を越えていた。結論 点字学習のために習得が必要な文字数ならびに学習時間を考慮すると、contingency adductionを用いた視覚的な点字学習は効率的な学習方法であることが示された。
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