行動分析学研究
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一般論文
  • 島宗 理, 髙野 愛子
    2023 年 38 巻 1 号 p. 2-15
    発行日: 2023/09/05
    公開日: 2024/09/05
    ジャーナル フリー

    研究の目的 日本人とロシア人の仮想格闘家名を用い、対提示された選手名を比べる比較訓練が国内および国間の選手名を並び替える順位づけ反応を派生させるかどうか検討した。研究計画 比較訓練の前後で並び替えテストを行い、順位づけ反応の得点を参加者内で比較した。場面 参加者は自宅からオンライン実験に参加した。参加者 大学生16名が参加した。そのうち1名のデータは手続きの不備により分析から除外した。独立変数の操作 比較訓練では選手名を対提示し、どちらが“強いか”(あるいは“重いか”)を尋ね、参加者の反応直後に正誤のフィードバックを行った。国内の比較訓練では各国それぞれ6人の選手のうち3人の選手名を対にして用いた。国間の比較訓練では国内1位同士(1位<1位)、あるいは国内1位と国内4位(1位<4位)の選手名を対にして用いた。行動の指標 並び替えテストにおける順位づけを参加者ごとに設定した選手の順位に従って採点して得点化した。結果 参加者全員の国内順位づけ反応の得点が国内比較訓練によって上昇した。14人の参加者の国間順位づけ反応の得点が国内1位と国内4位を比べる国間比較訓練によって上昇した。結論 言語行動のレパートリーが豊富な成人においては、刺激クラス内から選んだ最小限の対を使って比較訓練をすることで刺激クラス内および刺激クラス間の正しい順位づけ反応が派生することが示唆された。

  • 小原 健一郎, 大島 研介, 相澤 裕紀
    2023 年 38 巻 1 号 p. 16-26
    発行日: 2023/09/05
    公開日: 2024/09/05
    ジャーナル フリー

    研究の目的 本研究では、視覚的な点字学習におけるcontingency adductionの成立とcontingency adductionの手続きを用いた点字学習法の有効性の検証を行った。研究計画 見本合わせ訓練、対称律テスト、adductionテストの3つの課題を行い、それぞれ見本合わせ課題を用いた。見本合わせ訓練と対称律テストではアルファベット文字とそれに対応する点字文字を使用し、関係学習を行った。adductionテストでは、仮名文字とそれに対応する点字文字を使用した。参加者 大学生および大学院生33名であった。独立変数の操作 母音と子音を同一セッションで学習するmixed群と、母音と子音をそれぞれ別セッションで学習するsplit群を設定した。行動の指標 adductionテストにおける正答率と累積正反応数を指標とした。結果 群間で成績に差は見られなかったが、約75%の参加者はチャンスレベルに基づいた基準を越える正答率であり、contingency adduction手続きによる点字学習の成立が認められた。加えて、約69%の参加者はcontingency adductionの成立の基準として設定した最大連続正答数を越えていた。結論 点字学習のために習得が必要な文字数ならびに学習時間を考慮すると、contingency adductionを用いた視覚的な点字学習は効率的な学習方法であることが示された。

研究報告
  • 青木 康彦, 野呂 文行
    2023 年 38 巻 1 号 p. 27-36
    発行日: 2023/09/05
    公開日: 2024/09/05
    ジャーナル フリー

    研究の目的 3名のASD児に対して、多刺激非置換呈示法(MSWO)、対刺激呈示法(PS)を実施し、それぞれのアセスメントによる刺激の好みの程度と安定性を比較した。保護者の好みの評定と各アセスメントとの一致を検討した。研究計画 2名では、PS、MSWO、PSの順で実施した。1名では、MSWO、PSの順で実施した。独立変数の操作 好みの程度をMSWOの選択得点、PSの食物の選択数、アンケートで保護者の好みの評定により検討した。場面 大学のプレイルームで実施した。参加児 4歳、6歳、8歳のASD児3名が参加した。行動の指標 MSWOでは選択得点、PSでは選択数、アンケートでは保護者の回答であった。結果 MSWOでは、選択得点が最も高い刺激と最も低い刺激が安定して示されていたが、PSでは、選択数が最も多い刺激と最も少ない刺激がセッションにより変わり、変動性がみられた。保護者の好みの評定との一致は、1名のみでMSWOでみられた。結論 PSよりもMSWOの方が、安定した好みがみられた。参加児の特徴に合わせた好みのアセスメントの選択が望まれることが示唆された。

実践報告
  • 河村 優詞
    2023 年 38 巻 1 号 p. 37-44
    発行日: 2023/09/05
    公開日: 2024/09/05
    ジャーナル フリー

    研究の目的 自閉症スペクトラム障害(ASD)児に対して多範例訓練を用いた指導を行い、見本合わせ、読字からイントラバーバルへの転移、および教示を聞く場面からイントラバーバルの獲得を図ることを目的とした。研究計画 行動間多層ベースラインデザインを使用した。場面 特別支援学級の教室で個別指導を実施した。参加児 特別支援学級に在籍する6年生男児1名であり、重度知的障害を伴うASD児であった。独立変数の操作 見本合わせ・読字・教示を聞く、以上の3つの課題とイントラバーバル訓練を交互に行う多範例訓練を実施した。行動の指標 刺激セット内で各試行の見本合わせ、読字、イントラバーバルの正答率を算出した。結果 多範例訓練によって見本合わせ・読字からの転移、および教示内容からの獲得が生じ、強化履歴の無いイントラバーバルが生起した。教科書や板書の読字からイントラバーバルが獲得されるようになった。結論 イントラバーバルを転移・獲得させることができた。ただし、手続きが複雑であり、指導法の簡略化が必要であると考えられた。

  • 河村 優詞
    2023 年 38 巻 1 号 p. 45-52
    発行日: 2023/09/05
    公開日: 2024/09/05
    ジャーナル フリー

    研究の目的 特別支援学級在籍児童において、一部の単語を入れ替えた2つの文を交互に音読することにより、単語間の等価関係を形成することを目的とした。研究計画 刺激セット間多層ベースラインデザインを用いた。場面 特別支援学級の教室で個別に実施した。参加児 小学校の特別支援学級に在籍する5年生の児童2名であった。独立変数の操作 一部を別の単語を入れ替えた2つの文の音読、および暗唱であった。行動の指標 見本刺激・比較刺激として単語カードを用いた見本合わせ課題、音声刺激に対する単語カード選択反応および口頭表出の正反応率を算出した。結果 単語を入れ替えた文の音読を開始した後、見本合わせ課題の正反応率が向上した。音声刺激に対する単語カード選択反応および口頭表出が生起した。結論 単語カード-音声刺激-口頭反応の間で等価関係が成立した。授業場面で使用しやすい言語指導法であると考えられた。ただし、語順を入れ替えた文を扱った場合について、検証する余地が残った。

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