2013年1月から2022年11月に当院で手術を行った上歯肉癌・硬口蓋癌82例について検討した。対側頸部リンパ節転移の検討では,原発巣の局在を,①側方型,②前方型,③正中を超える内側型,④正中を超えない内側型の4つに分類した。
予防的頸部郭清術で判明した頸部リンパ節転移と後発リンパ節転移を合わせた潜在的頸部リンパ節転移率は14.3%であった。正中を超える内側型は対側頸部リンパ節転移割合が21.1%と有意に大きかった。病理学的Depth of Invasion(DOI)と頸部リンパ節転移に明らかな関連は認めなかったが,病理学的DOI 5mm以下の群は5mm超の群より無再発生存が有意に良好であった。
原発巣の局在は対側の予防的頸部郭清術の適応を検討する際に参考になると思われた。本検討症例は骨の裏打ちを有する病変であり,DOIと頸部リンパ節転移に関連がなかったことに影響した可能性がある。
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