頭頸部癌
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30 巻, 3 号
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誤嚥防止手術
  • 佐藤 公則, 中島 格
    2004 年 30 巻 3 号 p. 333-339
    発行日: 2004年
    公開日: 2007/07/06
    ジャーナル フリー
    誤嚥性肺炎を繰り返し, コントロールが困難な重度の誤嚥を伴う咽頭期の嚥下障害に対しては, 誤嚥防止手術が考慮される。誤嚥防止の確実性では気道と食道を分離する方法がより確実であるが, 音声を失う欠点がある。
    Billerら (1983) が行った方法に代表される喉頭蓋を垂直に閉鎖する声門上喉頭閉鎖術は, 音声が保存でき, 手術侵襲が少ない誤嚥防止手術である。しかし声門上後部の縫合不全をきたしやすいともいわれる。本論文では声門上後部の縫合不全を防止するために, 喉頭蓋を垂直に閉鎖する声門上喉頭閉鎖術を行う際に後部声門の閉鎖を併用した術式を示した。
    まず後部声門の閉鎖を確実に行うために左右の披裂軟骨と粘膜を互いに接する部で縫合閉鎖する。次に披裂間部から始め, 声門上を披裂部, 披裂喉頭蓋ヒダ, 喉頭蓋縁の粘膜と上方へ縦に縫合し声門上を閉鎖する。喉頭蓋先端の粘膜は切除・縫合せず, 小孔として残し, 発声時の呼気の出口とする。
頭頸部領域の悪性リンパ腫の治療
  • 吉野 正
    2004 年 30 巻 3 号 p. 340-346
    発行日: 2004年
    公開日: 2007/07/06
    ジャーナル フリー
    頭頸部の臓器としては頻度の比較的高い臓器として, リンパ節, 扁桃, 咽頭喉頭, 口腔内, 副鼻腔, 眼付属器, 甲状腺, 唾液腺, 鼻腔のリンパ腫を抽出して検討したところ, 出現するリンパ腫にかなりの差異がみられた。リンパ節以外の臓器については, 大きく3つに分けられた。すなわち, 咽頭喉頭, 口腔内, 副鼻腔はびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫 (DLBCL) が優位である。眼付属器, 甲状腺, 唾液腺はMALTリンパ腫の占める割合が高い。鼻腔は, DLBCLもかなりの頻度を占めるが, 特徴的なのは, EBウイルスの関与するNK/T細胞性リンパ腫, 鼻型の頻度が高いという特徴を示した。また, 扁桃, 咽頭喉頭は診断率が低い傾向があり, とくに後者はわずかに5割程度にとどまっている。これは, 採取材料が僅少なことが多く, 採取時の人工的変化を受けやすいことにその原因があると考えられる。従って, リンパ腫に関しては, 頭頸部というひとまとめにした考え方をすることはできない。このことは治療選択にも関係する知見である。
  • 小口 正彦
    2004 年 30 巻 3 号 p. 347-351
    発行日: 2004年
    公開日: 2007/07/06
    ジャーナル フリー
    頭頸部領域の悪性リンパ腫の特徴は, 臓器別に特徴的かつ多彩な疾患が発症することである。次のKey wordsすなわちWHO分類, 節外性リンパ腫, 予後因子が重要である。1) WHO分類 (2001年) により規定された各疾患は, それぞれ特徴的な病態と予後を示す。WHO分類別に治療戦略が立てられる。2) 同一病理型に対して同一治療を行っても生命予後は様々であり, 国際予後予測モデル (IPI) を用いて予後予測する。IPIは, 治療強度を決定する規準でもある。3) 頭頸部領域では, 節外性臓器別に発がんに関わる背景や原因が異なるため, 各臓器に特徴ある疾患が発症する。放射線治療に関しては, 節外性臓器別に照射技術が異なり配慮を要することが多い。悪性リンパ腫の診療には, 耳鼻科・頭頸部外科医, 血液病理医, 血液腫瘍内科医, 放射線腫瘍医などによる共同診療multidisciplinary approachが不可欠である。
  • ―化学療法+放射線療法 (Combined Modality) の有効性の確認と治療失敗例の検討―
    酒井 力
    2004 年 30 巻 3 号 p. 352-357
    発行日: 2004年
    公開日: 2007/07/06
    ジャーナル フリー
    千葉県がんセンターで2000年1月から02年12月までに治療を受けた頭頸部限局悪性リンパ腫患者は, び漫性大細胞型B細胞リンパ腫 (DLBCL) 31例, ホジキンリンパ腫 (HL) 8例, ろ胞性リンパ腫5例, NK/T細胞リンパ腫2例, BurkittまたはBurkitt様リンパ腫2例, MALTリンパ腫1例の計49例であった。DLBCLの21例 (67.7%) とHLの5例 (62.5%) が化学療法+放射線療法で治療された。観察期間は5~51ケ月 (中央値28)。4年の時点 (2004年5月) で46例 (93.9%) が生存中であり, DLBCLの28例 (90.3%) とHLの6例 (75%) が初回寛解中である。特にDLBCLの無再発生存曲線は治療開始1年以降プラトーが続いている。以上より頭頸部限局のDLBCLとHLの治療は化学療法+放射線療法のcombined modalityが標準治療と考えられる。Burkitt-like lymphomaとNK/T-cell lymphomaの2例が腫瘍死し, これらに対する治療は不充分であることが示された。
  • ―S1-06鼻NK/T細胞リンパ腫の治療―
    山口 素子
    2004 年 30 巻 3 号 p. 358-362
    発行日: 2004年
    公開日: 2007/07/06
    ジャーナル フリー
    鼻NK/T細胞リンパ腫は稀な疾患であり, 標準的治療は未確立である。限局期aggressiveリンパ腫に対して標準的とされるCHOPなどanthracyclineを含む化学療法後に放射線照射を行う治療法は, 本疾患に対しては有効でない。自験成績および文献のレビューから, 限局期例では診断後早期に放射線照射を行うことが勧められる。良好な局所制御のためには46Gyを超える線量が必要であり, CTを用いた放射線治療計画を行うことが望ましい。有効な化学療法のレジメンは明らかでないが, 近年, 本疾患に対するetoposideの有効性が示唆されている。また, 末梢血中Epstein-Barr virus DNA量と治療反応性がよく相関することが注目されている。現在わが国では放射線治療と化学療法との同時併用療法に関する2つの臨床試験が進行中である。本疾患の予後改善には関連各科の診療連携, 共同研究が不可欠である。
  • 高木 敏之
    2004 年 30 巻 3 号 p. 363-366
    発行日: 2004年
    公開日: 2007/07/06
    ジャーナル フリー
    ワルダイエル輪初発悪性リンパ腫 (ワ輪リンパ腫) の治療法の変遷について概説した。ワ輪リンパ腫は初診時にはワ輪と頸部リンパ節に限局しているが, 非連続性・血行性に進展する。従って, 治療の基本は化学療法であり, CHOP療法により治療成績が飛躍的に向上した。現在のところ, 「CHOP療法3コース後に局所の放射線照射追加」が標準治療法とされている。この治療法の実施にあたっては, CHOP療法の治療強度を保って3コースを完遂すること, CHOP療法前の腫瘍部位に限局して30Gyの放射線照射を行うことが, 優れた治療成績をえるための秘訣である。
頭頸部がん治療におけるチーム医療 (1)
セッション1 : チーム医療に対する提言
総説
  • 井口 広義, 楠木 誠, 中村 有希, 金沢 景保, 西浦 弘志, 八谷 和孝, 山根 英雄
    2004 年 30 巻 3 号 p. 367-370
    発行日: 2004年
    公開日: 2007/07/06
    ジャーナル フリー
    チーム医療の観点から, 当科における頭頸部癌治療の現況を検討し, チーム医療のさらなる発展のための今後の課題について考察を行った。当科における頭頸部癌のチーム医療は, 放射線科との放射線化学療法と, 再建を要する形成外科や消化器外科との協同手術において有効性を発揮している結果であった。現状としては, 気心が知れている医師同士が, 忌憚のない意見を毎日のように出し合うことで密接な連携を保ち, 協同で治療を行うことができている状態である。医師以外のパートナーとして, 特に看護師は, 患者をチームの一員とした, チームの調整役としても重要な役割を担っていた。今後の課題としては, 現状の良好な医師間の関係を, 大学病院の内でいかに継続, 発展させていくか, 多診療科 (耳鼻咽喉科, 形成外科, 消化器外科, 放射線科, 病理部など) での合同カンファレンスをいかに上手く実施し, 意志疎通を図るか, が課題であると考えられた。
  • 寺尾 恭一, 森 一功, 村田 清高
    2004 年 30 巻 3 号 p. 371-375
    発行日: 2004年
    公開日: 2007/07/06
    ジャーナル フリー
    当科では平成13年度より放射線科, 形成外科と合同カンファレンスを行い診断, 治療に当たっている。この治療体系 (チーム医療) により生存率の向上やQuality of life (以下QOLと略す) の向上, 医療経済性が認められたかどうかについて検討した。
    当科で再建手術を施行した, チーム医療導入前後の頭頸部癌症例, 各々19例についての治療因子 (術中出血量, 手術時間, 周術期合併症, 生存率), QOL因子 (経口摂取開始期間, 最終食物形態, 歩行開始期間, 平均在院日数), 医療費について検討を行った。
    手術時間, 頸部感染の有無, 歩行開始までの期間, 平均在院日数, 医療費の項目で有意差を持って, チーム医療後に成績の改善を認めた。さらにその他の項目においても, 有意差はないものの成績の改善傾向を認めた。
    以上の検討より, チーム医療は非常に有効な治療体系であると考えた。
  • 川口 浩司, 瀬戸 〓一, 佐藤 淳一, 山田 浩之, 飯田 尚紀, 関谷 秀樹, 堀江 彰久, 園山 智生, 佐合 賢治, 渡邊 悟朗, ...
    2004 年 30 巻 3 号 p. 376-380
    発行日: 2004年
    公開日: 2007/07/06
    ジャーナル フリー
    我々は頭頸部がん治療において機能回復を最終目標としている。そこで, 確実な原因療法が最重要であるが, 機能温存のために必要最小限の切除を考慮し機能回復に努めている。しかし, 生命医学, 機能回復医学の両面を一人で行うことは一般に困難であるため, 以下のようなチームが必要となる。
    1) 診断チーム
    2) 腫瘍治療チーム
    3) 機能回復チーム
    また, チームを編成する上で以下の点を考慮している。
    (1) 一人の指揮者がいること ; 様々な治療が常にこの指揮者にフィードバックされるようにし, 治療体制を見通す。
    (2) 各々の治療内容の理解。
    (3) 治療のブラックホールをつくらない。
    (4) 担当医同士の意思の疎通をよくする。
    (5) 目の前にいる患者に何ができるかを常に考える。
    (6) 執刀医を増やし積極的な討論を可能にする。
    現時点では口腔機能を回復したとは言い難いため, 関連各科が一緒になって取り組むことが不可欠である。また, 心のケアを考えていきたい。
  • 小林 恒, 木村 博人, 小林 慎
    2004 年 30 巻 3 号 p. 381-384
    発行日: 2004年
    公開日: 2007/07/06
    ジャーナル フリー
    近年, 頭頸部腫瘍の治療に関して, 様々な集学的治療, 複雑な再建手術がおこなわれるようになり, チーム医療の必要性が言われている。当科でも各科と連携をとりつつ口腔癌の治療に当たっている。当科を口腔癌患者が受診した際には, 患者の主治医科となり治療方針を決定し, 必要に応じて関連各科に協力要請を行い, 治療が進めている。関連各科は治療に非常に協力的であり, 治療はスムーズに進んでいると思われる。口腔癌治療の協力科は放射線科, 消化器外科, リハビリテーション科, 麻酔科, 形成外科, 整形外科, 耳鼻咽喉科である。いずれの協力科とも定期的カンファレンスは開催せず, その都度, 必要に応じて話し合うようにしている。しかしその, 問題点として治療方針の決定が独断的になることがあること, カンファレンスが行われず手紙のみですまされることがあること, 協力依頼を科としてではなく個人的に依頼する傾向があることがあげられる。
頭頸部がん治療におけるチーム医療 (2)
「理想的なチーム医療を行うために」
総説
  • ―北里大学病院におけるチーム医療の実際と展望―
    中山 明仁, 栗原 里佳, 宮本 俊輔, 竹田 昌彦, 横堀 学, 鈴木 立俊, 八尾 和雄, 岡本 牧人, 新部 譲, 北野 雅史, 早川 ...
    2004 年 30 巻 3 号 p. 385-390
    発行日: 2004年
    公開日: 2007/07/06
    ジャーナル フリー
    チーム医療は現代の医療においてその重要性を増している。各職種間のpeer reviewは高度な医療の質を保つために重要である。北里大学病院で実践してきたチーム医療の実例から1) 耳鼻咽喉科・放射線科の合同診察, 2) 喉頭亜全摘術における術後管理, 3) 耳鼻咽喉科, 外科, 形成外科による多科合同手術, 4) 大学病院を中心とした在宅緩和医療, について提示する。
    理想的なチーム医療のための3つの問いかけを挙げた。1) 真のpeer reviewができているか, すなわち医療者間に気軽に意見が言い合える雰囲気があるか。2) 各分野にリーダーシップを発揮できるkey personsがいるか, すなわちvisionを示し責任を取れる人材がいるか。3) Cutting edgeに身を置いているか, すなわち各職種が真のプロとして安易な妥協をせず常に先を見据えているか。
  • ―チーム医療における看護師の関与―
    本間 明宏, 古田 康, 折舘 伸彦, 永橋 立望, 鈴木 章之, 樋口 栄作, 福田 諭
    2004 年 30 巻 3 号 p. 391-394
    発行日: 2004年
    公開日: 2007/07/06
    ジャーナル フリー
    頭頸部癌の場合では治療方針の決定, 治療中, 治療後と一連の治療過程の中で看護師は大きな役割を果たしており, チームとして医師と看護師が連携し有機的に機能することが治療を行っていく上で非常に大切である。治療過程を治療方針の決定まで, 治療中, 治療後の3つに分けて北海道大学の実際を紹介した。
    医師・看護師が連携しあって患者・家族の希望や病気に対する理解を把握して, 患者・家族に十分な説明を行い治療方針を最終的に決定していくように心がけている。
    合同カンファレンスを行い, お互いに患者に対する理解を深めたり, 我々が看護師に対して耳鼻咽喉科・頭頸部外科についての勉強会を行うなどの努力をしている。
    また, “チーム医療”を成功させるためには, スタッフ間の信頼関係が必要であり, そのためには意思の疎通が大切である。医師と看護師が連携し同じ方向に向かって努力していくことにより, より良い医療を提供できるようになるものと考える。
  • 倉富 勇一郎, 瓜生 英興, 中島 寅彦, 益田 宗幸, 熊本 芳彦, 塩山 善之, 中村 和正, 添田 博康
    2004 年 30 巻 3 号 p. 395-400
    発行日: 2004年
    公開日: 2007/07/06
    ジャーナル フリー
    頭頸部癌治療の目標は根治とともに形態と機能の温存を図ることである。従って手術とともに放射線化学療法を適切に治療に組み込む必要があり, 放射線化学療法で臓器温存が可能かどうか, また根治が可能かどうかの判断が極めて重要となる。的確な判断のためには放射線治療医, 放射線診断医, 耳鼻咽喉科医による治療効果の臨床的評価に加えて, 病理医による組織学的評価が必要である。切除術を行った場合は, 切除標本の詳細な組織学的評価が的確な術後治療の選択につながる。こうした評価を, レポートや診断書のやり取りにとどめずカンファレンスにおける意見の交換を通じて行い, 症例に応じたより適切な治療方針を構築することがチーム医療として重要と考える。頭頸部癌治療において生存率, 臓器温存率を向上させるためにはチーム医療が必須であり, 耳鼻咽喉科医, 放射線科医に加えて病理医を含めたチーム医療は極めて有用である。
  • 木股 敬裕, 桜庭 実, 石田 勝大, 門田 英輝, 矢野 智之, 林 隆一, 松浦 一登, 山崎 光男, 門田 伸也, 宮崎 眞和, 海老 ...
    2004 年 30 巻 3 号 p. 401-406
    発行日: 2004年
    公開日: 2007/07/06
    ジャーナル フリー
    国立がんセンターにおける頭頸部腫瘍に関するチーム医療の特徴は, がん専門病院で有るが所以の頭頸部を専門とする医療職の存在である。頭頸部外科医のみならず, 頭頸部領域を主とした放射線診断医, 放射線治療医, 腫瘍内科医, 形成再建医, 歯科医, そして看護師の存在は大きい。また, 精神的ケアに関与する緩和ケア医, 精神腫瘍医 (精神科医), 臨床心理士の存在は大きな特徴である。そして病院全体の目標が, がん医療で統一していること, 他科の医師同士の連携が非常に良いことがチーム医療を行うのに大きな利点となっている。今回, 国立がんセンター東病院の頭頸部癌に対するチーム医療の現状を, 治療前, 治療中, 治療後に分けて報告すると伴に, その問題点と改良すべき点について言及する。
頭頸部がんに対する化学療法の新展開
  • 香取 秀明, 佃 守, 谷垣 裕二
    2004 年 30 巻 3 号 p. 407-412
    発行日: 2004年
    公開日: 2007/07/06
    ジャーナル フリー
    当科では, 合併症のない頭頸部扁平上皮癌進行例を対象にDocetaxel (以下DOC), Cisplatin (以下CDDP), 5-FUの3剤 (以下TPF) 併用同時放射線化学療法とCDDP, 5-FU, Methotrexate (以下MTX), Leucovorin (以下LV) の4剤 (以下PFML) 併用化学療法と放射線治療を施行している。今回, それらの化学療法と放射線治療の有効性を検討し, 各々, neo-adjuvant chemotherapy後放射線治療施行した群 (以下NAC後RTx) と同時放射線化学療法施行群 (以下同時CRTx) とを比較した。また, 頭頸部扁平上皮癌における放射線化学療法の適応と限界に関して考察した。副作用は, TPF, PFML両群とも同時CRTxがNAC後RTxよりも, 白血球減少, 好中球減少, 口内炎などで重度であったが, 管理を厳重に行えば十分施行可能であった。CR率では, やはり, TPF, PFML両群とも同時CRTxがNAC後RTxよりも良好な結果が得られた。また, 放射線化学療法にてCRが期待できる限界は, T3以下, N2b以下と考察された。
  • 戸板 孝文, 不破 信和, 村山 貞之
    2004 年 30 巻 3 号 p. 413-418
    発行日: 2004年
    公開日: 2007/07/06
    ジャーナル フリー
    頭頸部がんに対する放射線治療効果を高める方法として, 放射線治療自体の工夫とともに化学療法の併用がある。化学療法の併用にあたり, 投与経路, 抗癌剤の種類/投与量, 投与時期 (タイミング) 等様々な問題がある。投与タイミングについては, 多くの無作為割付臨床試験の結果から, 導入化学療法の意義は否定され同時化学放射線療法が有用であることが明らかにされた。また, 多分割照射を用いた同時化学放射線療法による有望な結果も示されつつある。一方, 治療強度の増強とともに粘膜炎等の急性毒性は増強する。この点において交替療法は有望な可能性がある。今後最適な併用タイミングを明らかにするために, わが国独自の質の高い臨床試験を行なう必要がある。
中咽頭癌の治療戦略
  • 坂田 耕一, 晴山 雅人, 染谷 正則, 永倉 久泰, 大内 敦, 浅野 勝士, 大黒 慎二
    2004 年 30 巻 3 号 p. 419-422
    発行日: 2004年
    公開日: 2007/07/06
    ジャーナル フリー
    中咽頭癌の治療において, 最近, 放射線化学療法の同時併用で良好な結果が報告されており, 施行する施設が増加している。
    中咽頭腫瘍に限らず, 頭頸部腫瘍では, たとえ放射線治療でCRが得られなくてもサルベージ手術で救命が可能であることが, 初回の治療法を選択する上で, 前提となっていることが多い。しかし, 多分割照射や高容量の化学療法が同時併用されるようになり治療成績が向上したが, その治療法によっては, 正常組織障害の増加による縫合不全等の術後合併症により, サルベージ手術が困難となる場合も増えると予想される。
    従って, 初期治療の選択において, 頭頸部外科医や放射線科医が今まで以上に緊密に情報交換し連携する必要性があり, 「チーム医療で臨む頭頸部腫瘍」が重要となってきている。
  • 西條 茂, 浅田 行紀, 西川 仁, 松浦 一登, 横山 純吉, 志賀 清人, 舘田 勝, 吉田 文明
    2004 年 30 巻 3 号 p. 423-427
    発行日: 2004年
    公開日: 2007/07/06
    ジャーナル フリー
    1993年5月から2003年3月までの期間に当科で扱った側壁型と前壁型の中咽頭扁平上皮癌60例と未分化癌2例 (側壁型) を対象に検討した。
    治療方針としては手術先行を原則としてpN2以上で術後照射44~50Gyを施行した。側壁型は41例あり, 進行例でも原発巣の切除と頸部郭清にてpN2以上でも十分制御可能で姑息例6例を含めても累積5年生存率は71.2%であった。一方前壁型は21例あり, T1, T2では手術でも制御できたが進行例では舌・喉摘しても転移などにより制御は難しく根治例17例の累積5年生存率は26.6%と不良であった。従って治療戦略の見直しが必要である。そこで舌根の血流が豊富なことを利用し, T4N2cの症例にCDDPの動注3回と放射線70Gyを施行してCRとなり職場復帰できた。その後同様に3例に施行しいずれもCRとなっている。舌根の進行癌に対する治療法の一つとしてこの動注と放射線による治療は有効であると考えられた。
  • 梅野 博仁, 千々和 秀記, 坂本 菊男, 千年 俊一, 中島 格, 鈴木 弦, 田中 法瑞, 早渕 尚文
    2004 年 30 巻 3 号 p. 428-433
    発行日: 2004年
    公開日: 2007/07/06
    ジャーナル フリー
    1971年から2001年までに当科で治療した中咽頭扁平上皮癌一次根治症例195例を放射線治療主体群, 手術主体群, 手術+放射線群に分類し, 亜部位別に有効な治療方法を検討した。更に, 各亜部位別に原発巣切除方法や術後誤嚥への対策を検討した。全根治例での5年局所制御率は64%, 5年生存率は58%であった。5年局所制御率は手術+放射線治療群が有意に良好であったが, 生存率に差はみられなかった。亜部位別での5年局所制御率, 生存率は後壁型が有意に不良であった。前壁型では舌根切除+喉頭水平部分切除を行い良好な局所制御が得られた。側壁癌舌根浸潤例では舌根1/2を切除すると喉頭保存例が半数となった。後壁型では原発巣拡大切除が必要で, 口内か舌骨経由での切除が術後誤嚥の防止に大切と考えられた。上壁型の局所制御には原発巣の充分な安全域を含めた切除+放射線治療が必要であった。
教育講演
  • 楠川 仁悟
    2004 年 30 巻 3 号 p. 434-438
    発行日: 2004年
    公開日: 2007/07/06
    ジャーナル フリー
    下顎骨の放射線性骨壊死 (ORN) は, 頭頸部放射線治療に関連する重篤な合併症である, しかし, その予防と治療についてはまだ議論されている問題である。
    ORNは組織の血管減少, 低酸素, 低細胞により組織の破綻と骨壊死が引き起こされる。ORN治療には骨のviability評価が重要である。
    高気圧酸素療法を併用した保存的治療がまず行われるべきである。これら保存的治療に対しても効果がない, あるいは進行性の場合は壊死顎骨の根治的切除が適応される。放射線照射顎骨は骨の潜在的viabilityが低いため, ORNの再燃をさけるために骨膜血行を温存し外科侵襲を最小限に図らねばならない。
    ORNの予防には, 放射線治療医による患者の教育的動機付けが必要である。スペーサー, 機械的口腔清掃, フッソ塗布などの専門的口腔治療が放射線による合併症予防に有用である。
  • 織内 昇, 宮久保 満之, 樋口 徹也, 二宮 洋, 近松 一朗, 鎌田 英男, 遠藤 啓吾
    2004 年 30 巻 3 号 p. 439-444
    発行日: 2004年
    公開日: 2007/07/06
    ジャーナル フリー
    FDG-PETは, さまざまな癌の診断に有用なことが明らかにされ, 2002年4月からは保険適用となった。近い将来にはFDGが製薬会社から供給されるようになるため, 病院にサイクロトロンや合成装置を備える必要がなくなり, FDG-PETを施行できる施設は飛躍的に増加することが見込まれている。
    FDGはがん細胞の増殖能に相関した集積を示すため, 取り込みは腫瘍の悪性度に依存し, 癌と良性疾患との鑑別に役立つ。治療効果の評価や再発の診断においてもFDG-PETは従来の形態画像を比較して診断能が優れている。
    しかしFDGの集積は悪性腫瘍だけではなく, 炎症巣や肉芽腫にも見られ, 偽陽性となる。また脳, 骨格筋, 尿路, 肝, 消化管, 骨髄など多くの臓器や組織に生理的集積が見られる。
    これらFDGの欠点を克服する放射性化合物として, アミノ酸や核酸のポジトロン核種標識化合物が, 癌の診断に応用されている。癌に特異的な新しいPETトレーサーの開発が期待される。
  • 中村 和正, 塩山 善之, 佐々木 智成, 大賀 才路, 朔 円香, 浦島 雄介, 吉武 忠正, 寺嶋 廣美, 本田 浩
    2004 年 30 巻 3 号 p. 445-449
    発行日: 2004年
    公開日: 2007/07/06
    ジャーナル フリー
    頭頸部悪性腫瘍の治療において, 放射線治療は重要な位置を占める。近年の放射線治療の進歩はめざましく, 有害事象の発生は以前より低減できるようになった。しかし, 頭頸部領域は, 粘膜, 舌, 唾液腺, 顎骨などの多く組織によって構成され, 放射線治療によりこれらの組織は影響を受ける。本稿では, 放射線が正常組織に与える影響の機序, 臨床症状, およびその対処などについて述べる。また, 放射線治療と手術の合併症との関係などについても言及する。
  • 上田 実
    2004 年 30 巻 3 号 p. 450-460
    発行日: 2004年
    公開日: 2007/07/06
    ジャーナル フリー
    組織工学は再建医学の中では比較的新しい分野である。このコンセプトによれば, 人体は幹細胞, 細胞の足場, サイトカインによって再生が可能だという。数ある臨床分野の中で頭頸部領域は再生医療の応用領域としてもっも有利な領域である。われわれは1985年以来数多くの人体組織の再生研究をおこなってきたが, 本講演では頭頸部再建手術に実用化できる皮膚, 神経そして骨の再生医療について紹介する。
    最初のトピックスは皮膚である。われわれは二つのタイプの培養皮膚を開発した。ひとつは培養表皮, ひとつは培養皮膚である。培養皮膚は表皮層と真皮層をもっており, 真皮はコラーゲンと線維芽細胞よりなる。二番目の話題は神経の再生である。コラーゲンメッシュの管壁と極細のコラーゲン繊維よりなる神経再生チューブを開発した。われわれはこのチューブを頸部郭清手術時に切断された副神経の再生に応用し, 移植後1ヶ月には良好な肩関節の運動を回復した。最後に骨の再生について紹介した。われわれの開発した注入型培養骨は, 間葉系幹細胞と血小板濃厚液からなり理想的な細胞移植システムである。ゲル状なのでシリンジで注入可能で極めて低侵襲的に移植でき, 欠損部にもよく適合する。この注入型培養骨を用いればあらゆる骨欠損を自己の骨組織で再建することができる。
    本講演では三つの再生組織について紹介した。われわれの実験的, 臨床的研究から組織工学材料は頭頸部領域の再建に極めて有用であることが示された。
スポンサードセミナー
  • 不破 信和, 大門 貴志, 福島 雅典
    2004 年 30 巻 3 号 p. 461-467
    発行日: 2004年
    公開日: 2007/07/06
    ジャーナル フリー
    これまで, 臨床試験の基盤は製薬メーカーが主体である治験を中心に行われてきたが, 治験以外の研究者主導の臨床試験については法的な面を含めてその実務基盤が整備されてこなかった。
    このような状況下で, 臨床研究情報 (Translational Research Informatics ; TRI) センターが, 神戸医療産業都市構想のもと, 文部科学省・神戸市により臨床研究を推進・支援するための総合的な情報拠点としてわが国で初めて整備され, 稼動を開始した。
    頭頸部癌に対する化学放射線療法はこれまで手術不能進行癌を中心に施行され, 最近では生存率に対しても放射線治療単独例に比較し, 同時併用例と交替療法例の有効性が確認されるようになった。今後さらなる臨床研究が必要であるが, 医師主導の臨床研究を成功させるために, 実施基盤が整備された臨床研究センターとの共同研究が必要である。
  • ―喉頭温存治療―
    加藤 孝邦, 斉藤 孝夫, 波多野 篤, 飯塚 雄志, 清野 洋一, 飯野 孝, 青木 謙祐, 小林 雅夫, 兼平 千裕
    2004 年 30 巻 3 号 p. 468-474
    発行日: 2004年
    公開日: 2007/07/06
    ジャーナル フリー
    下咽頭癌の喉頭温存治療として下咽頭部分切除術を44例に行った。術式をType I, Type II, Type III, Type IVとに分類した。梨状陥凹癌にはType Iを輪状後部癌, 後壁癌, 頸部食道癌にはType IVを行うのが良い。再建術はType Iでは前腕皮弁または遊離空腸で行った。Type IVでは遊離空腸または胃管と遊離空腸で行った。
    下咽頭癌減量術後放射線照射は7例に行い, 全例非担癌生存していて, 結果は良好であった。S-1併用放射線照射も今後期待できる治療法である。
    下咽頭粘膜切除術はNBI内視鏡にて小病変を診断することにより可能となるので積極的にNBI内視鏡を行う必要性がある。下咽頭癌の喉頭温存治療方法はいくつかの治療方法があり選択肢が増えたので, 適応を守り行う必要がある。
  • 永野 伸一
    2004 年 30 巻 3 号 p. 475-479
    発行日: 2004年
    公開日: 2007/07/06
    ジャーナル フリー
    日本人の長い歴史性・文化性を無視し欧米から輸入された医療上の進言, 特に告知におけるマスメディア挙げての一つの図式的な世論誘導に, 医療の現場では混乱を起こしていると思う。インフォームド・コンセントを尊重するという事は, 患者さんが「死にたい」と発した時, 我々は患者さんを殺さなければならなくなる。しかしその患者さんの言葉は「本音」ではなく医師にもっと心配して欲しいという意思表示であり, 日本人特有の甘えによる屈折した表現なのである。その様な言葉を使う日本人の背景には仏教・神道を始めとする独特の宗教観があり, それは欧米のキリスト教圏の民族とは理解しえない面がある。マスコミの主導する医療上の進言は全て個人主義を目指したキリスト教圏の出来事であるが, 家族主義的ムラ社会を構築してきた日本民族は個人の確立を求めていない。死の淵に立った時, 求めるのはむしろ他者との関係であると私は考える。
モーニングセミナー
  • 小玉 隆男
    2004 年 30 巻 3 号 p. 480-490
    発行日: 2004年
    公開日: 2007/07/06
    ジャーナル フリー
    マルチスライスCT (MSCT) の普及に伴って, CTでも多断面あるいは三次元的評価が比較的容易に行えるようになった。CTとMRIの特徴をよく理解し, 各病態において最適と考えられるモダリティー, 検査法を選択する必要がある。頭頸部領域の腫瘍性病変におけるMRIの有用性と検査時および画像評価時の留意点につき, 1) 信号強度の評価, 2) 撮像範囲の制約, 3) 体動の影響, 4) 空間分解能, 5) 磁化率アーチファクト, 6) 血管内信号およびMRA, 7) 脂肪信号と脂肪抑制法, 8) 骨・軟骨の評価, 9) perineural spread, を中心として概説した。
  • 武田 泰典
    2004 年 30 巻 3 号 p. 491-495
    発行日: 2004年
    公開日: 2007/07/06
    ジャーナル フリー
    顎骨には他の骨格骨と同様に種々の腫瘍がみられるが, さらにその解剖学的特性から, 歯原性腫瘍が生じる。歯原性腫瘍の多くは良性で, 発育は緩慢であるが, なかには著しく増大して顎骨の変形や機能障害をきたすことがある。また, 悪性型も存在し, これらの多くは前駆良性腫瘍の悪性転化によって生じる。そこで本稿ではこのようなものを“aggressive jaw tumors”として, 臨床的特性や組織所見, ならびに鑑別診断等について述べた。
  • 豊田 圭子, 青柳 裕, 兼平 千裕
    2004 年 30 巻 3 号 p. 496-502
    発行日: 2004年
    公開日: 2007/07/06
    ジャーナル フリー
    多列検出器CT (multidetector-row CT以下MD CTあるいはmultislice helical CT) は1998年に登場し, 近年の画像診断の技術分野で極めて大きな話題の1つとなっている。これは体軸方向に複数の検出器をもつことにより, 一回転で複数のスライスを収集することが可能である。現在では2列や4列に加え, 8列, 16列のMD CT装置が臨床で使用されている。MD CTでは0.5mmの薄いスライス撮影が可能となり, 微細な構造も描出できるようになった。MD CTの利点は, 劇的に撮像時間が短縮され, 空間分解能が更に向上したという2点である。したがって再構成画像や3D画像の画質も向上させる。頭頸部腫瘍のCT診断において造影剤投与は必要であるが, 腫瘍と血管との位置関係も立体的に描出可能である。以下, 頭頸部領域におけるMD CTの有用性を画像診断医の立場から概説する。
一般投稿
  • 吉田 昌史, 浅井 昌大
    2004 年 30 巻 3 号 p. 503-508
    発行日: 2004年
    公開日: 2007/07/06
    ジャーナル フリー
    中咽頭癌のうち前壁型の治療に際してはその解剖学的複雑さ, 嚥下機能との関わりの大きさなどから手術療法は敬遠されがちであるが放射線感受性は決して高くなく, 残存再発をしばしば経験する。
    帝京大学医学部附属市原病院耳鼻咽喉科においては積極的に手術療法を行っており, 良好な局所制御と嚥下機能を得ている。1999年1月から2002年12月の間に手術治療を施行した中咽頭前壁癌T1, T2症例につき検討を加えた。
    手術はT2症例の初回治療として4例, および放射線照射後再発例 (rT2) の計5例に対して行われた。術式は舌根部分切除が3例, 喉頭蓋合併切除が2例であり, 切除後は4例が単純縫縮, 1例は頸部皮弁による再建を行った。全例において嚥下機能は良好であり, 他癌死した1例を除き4例は生存中である。手術治療における適応, 方法につきまとめると共に合併症等につき考察を加えた。
  • ―1症例報告と本邦における101例の検討―
    香取 秀明, 佃 守
    2004 年 30 巻 3 号 p. 509-514
    発行日: 2004年
    公開日: 2007/07/06
    ジャーナル フリー
    症例は53歳, 男性, 左頸部腫瘤を主訴に来院した。左側胸鎖乳突筋上部前縁に40×30mm大の腫瘤を触知した。超音波下細胞診にてClass IVであり悪性細胞を疑う所見が認められたが, 他に耳鼻咽喉科領域, 全身検索にて異常は認めなかった。全身麻酔下にて左頸部腫瘤摘出術を施行し, 術中迅速診断にて扁平上皮癌と診断されたため, 左頸部郭清術を施行した。術後, 放射線治療を計64Gy施行し, CBDCA, UFTを併用した化学療法も施行した。治療後5年1ヶ月経過するが, 再発転移は認めていない。鰓性癌は本邦では本例を含め101例が報告されている。男女比が2.5 : 1で, 発症年齢は50~60代が多く, 扁平上皮癌が大部分を占めていた。予後不良例が多く, 腫瘍摘出術のみでなく, 頸部郭清術を施行したほうが予後の改善が期待でき, また手術, 放射線治療, 化学療法を組合した集学的治療が望ましいと判断された。
  • 石井 準之助, 藤田 邦夫, 小松原 秀紀, 梅田 正博, 古森 孝英
    2004 年 30 巻 3 号 p. 515-518
    発行日: 2004年
    公開日: 2007/07/06
    ジャーナル フリー
    レーザー手術は術中の出血が少なく電気メスのように攣縮がないため病変を正確に切除できた。しかも術後の疼痛や機能障害は軽度である。本研究は放射線治療後の再発舌癌に対するレーザー手術の有用性を評価した。
    1980年~1998年の間に神戸大学医学部附属病院口腔外科を受診した舌癌の一次症例で, 原発巣に対して放射線治療が行われたT1, T2N0症例は105例で, このうち局所再発が24例 (22.9%) にみられた。二次治療として16例に外科手術が行われたが, このうち8例はレーザーによる舌部分切除であった。8例中2例は頸部非制御のため原病死し2例は他病死した。他の4例中3例は局所, 頸部とも制御され現在も生存中である。
    放射線治療後の再発舌癌は早期再発例に対しては頸部郭清を含めた拡大手術が必要と思われたが, 晩期再発例に対してはレーザー手術が有用であると思われた。
  • 高山 治, 横山 純吉, 亀掛川 昭宗, 今井 裕
    2004 年 30 巻 3 号 p. 519-523
    発行日: 2004年
    公開日: 2007/07/06
    ジャーナル フリー
    Lymphoepithelial carcinomaは唾液腺腫瘍の中で極めてまれな疾患である。その中でも小唾液腺から発生した症例の報告はわれわれが渉猟しえた範囲では1例のみであった。
    近年, 同疾患とEBVとの関連性が報告され, 本症例においてもin situ hybridization法においてEBER (EBV-encoded small RNAs) 陽性, また免疫組織学的染色法においてEBVのLMP-1 (latent membrane protein) 陽性であった。さらに血清学的検査において, 抗VCA IgG (FA), 抗EVNA (FA) で高値を示し, EBV感染を認めた。
    以上より, 本症例はEBV関連lymphoepithelial carcinomaと診断された。初回治療は手術療法を行い, 後療法として放射線療法を選択したが患者は希望せず, 現在経過観察中である。
  • 兵東 巌, 牧田 浩樹, 森 聡次郎, 加藤 恵三, 柴田 敏之
    2004 年 30 巻 3 号 p. 524-531
    発行日: 2004年
    公開日: 2007/07/06
    ジャーナル フリー
    われわれは, 今まで虚血・再灌流によって活性酸素種 (ROS) が発生することを光電子増倍管による化学発光法癌細胞は正常細胞に比べROSのスカベンジャーであるスーパーオキサイドディスムターゼ (SOD) 活性が相対的に低いことが知られ, この結果ROSは癌細胞に対し傷害性を発揮し抗腫瘍効果を示すことが知られている。この虚血・再灌流によって生じるROSが頭頸部悪性腫瘍におよぼす影響を明らかにするため家兎咬筋部にVX2癌を移植し, 同部位の支配動脈である総頸動脈の虚血・再灌流によって発生するROSによる抗腫瘍の検討を行った。アポトーシスによる抗腫瘍効果も一部に認められ, 臨床で通常行われている浅側頭動脈カニュレーションへの付加的治療法になりうることが示唆された。
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