頭頸部の臓器としては頻度の比較的高い臓器として, リンパ節, 扁桃, 咽頭喉頭, 口腔内, 副鼻腔, 眼付属器, 甲状腺, 唾液腺, 鼻腔のリンパ腫を抽出して検討したところ, 出現するリンパ腫にかなりの差異がみられた。リンパ節以外の臓器については, 大きく3つに分けられた。すなわち, 咽頭喉頭, 口腔内, 副鼻腔はびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫 (DLBCL) が優位である。眼付属器, 甲状腺, 唾液腺はMALTリンパ腫の占める割合が高い。鼻腔は, DLBCLもかなりの頻度を占めるが, 特徴的なのは, EBウイルスの関与するNK/T細胞性リンパ腫, 鼻型の頻度が高いという特徴を示した。また, 扁桃, 咽頭喉頭は診断率が低い傾向があり, とくに後者はわずかに5割程度にとどまっている。これは, 採取材料が僅少なことが多く, 採取時の人工的変化を受けやすいことにその原因があると考えられる。従って, リンパ腫に関しては, 頭頸部というひとまとめにした考え方をすることはできない。このことは治療選択にも関係する知見である。
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