省化学肥料・農薬栽培のための基礎的データを得る目的で、ダイズシストセンチュウ (
Hgteroderaglycines ICHINOHE) 密度に及ぼす乾燥牛糞施用の影響を、根粒非着生のダイズ系統 [T201] を用いて検討し、以下のような結果を得た。
1) 乾燥牛糞の施用により、ダイズへの雌成虫の着生数は顕著に増加した。乾燥牛糞を施用すると、ダイズの生育や土壌中の無機態窒素量等が変化するが、これらのパラメータと雌成虫数との相関は低かった。
2) 雌成虫着生数は、乾燥牛糞の施用量が多いほど増加する傾向にあった。乾燥牛糞によるシストの持ち込みの可能性はなかった。
3) 乾燥牛糞の施用によって、土壌中の第2期幼虫数は短期間のうちに大幅に増大した。試験の範囲では、ダイズの有無による第2期幼虫数への影響は小さかった。
4) 乾燥牛糞添加土壌を25又は20℃の人工気象室内に一定期間置いた後ダイズを播種し、18日後の雌成虫数を調査したところ、ダイズの播種が遅れるほどダイズへの雌成虫着生数は減少した。播種の遅れに伴う雌成虫の減少は、25℃が20℃に比べ速やかであったが、60日以降の播種では両温度条件とも雌成虫の着生はほとんど認められなかった。
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