日本線虫学会誌
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27 巻, 1 号
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  • 王 小冬, 近藤 栄造, 石橋 信義
    1997 年 27 巻 1 号 p. 1-6
    発行日: 1997/08/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    Steimrnma carpocapsae感染態幼虫 (IJ) の体長、体幅と感染行動ないしは殺虫性を、宿主昆虫死体からの出現時期と関連させて調査した。宿主昆虫死体から出現し始めて1日目、4日目 (途中2-3日の出現IJは棄却)、8日目 (5-6日の出現は棄却) に採集したIJの体長は631.8±9.1、594.0±12.5、567.2±11.5μmと出現が遅れるにつれて減少した。またニクテイション率も1日目IJの22.1%から4日目、8日目IJはそれぞれ18.3、9.2%と低下した。IJの分散行動力、宿主血清への誘引行動等も出現の遅れとともに低下し、ハチミツガ幼虫に対する殺虫性 (IJと1: 1に接触) も出現時期の遅れとともに有意に低下した。体長の減少と感染力低下との因果関係は見出せなかった。むしろ本線虫は種族維持の観点から、直ぐ続いて次世代となるものと不活動であるが将来の繁殖源になるものとの2段階方式をとっているものと考察する。
  • Rustom ALT, 近藤 栄造, 石橋 信義
    1997 年 27 巻 1 号 p. 7-13
    発行日: 1997/08/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    イネクキセンチュウDitylenchus angustusの胚発生と後胚発生ならびに繁殖におよぼす温度の影響を調査した。胚発生と後胚発生において、温度と発育速度との問には15℃ から30℃ まで直線的関係が認められた。25℃ では、胚発生途中の死亡率が最も低く、孵化率は最高であった。35℃ では孵化しなかった。胚発生と後胚発生における発育零点はそれぞれ10.6℃ および10.0℃ と推定された。糸状菌Botrytis cinereaを餌として与えた場合、本線虫の1世代 (卵から卵まで) は、30、25、20、15℃ において、それぞれ8.9、9.8、17.2、34.0日を要した。20、25、30℃ において、B.cinerea菌そうに200頭の線虫を接種し、25日後の線虫数はそれぞれ900、32,800、900であった。
  • 相川 拓也, 富樫 一巳
    1997 年 27 巻 1 号 p. 14-21
    発行日: 1997/08/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    MAEHARA & FUTAI (1996) によってマツノマダラカミキリ成虫にマツノザイセンチュウを保持させる方法が考案されている。それを修正した方法を用いて、成虫の初期保持線虫数に及ぼすマツノザイセンチュウの接種量の影響を調べるために、アカマツ小丸太に1,000頭、5,000頭、10,000頭、50,000頭のマツノザイセンチュウをそれぞれ接種した。マツノザイセンチュウの接種量は、成虫の初期保持線虫数に影響を与えなかった。統計学的方法により、初期保持線虫数の変異はマツノザイセンチュウとマツノマダラカミキリ終齢幼虫をアカマツ小丸太に同時に接種してからマツノマダラカミキリ成虫が小丸太から脱出するまでの期間と、成虫の脱出直後に蛹室の壁面で立ち上がり体を振っている分散型第4期幼虫の数によって有意に説明された。
  • 多田 功, 古賀 正崇, 濱野 真二郎, 肥後 広夫, 田中 和秋
    1997 年 27 巻 1 号 p. 22-29
    発行日: 1997/08/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    ネズミ糞線虫第3期幼虫の宿主体内移行の機序を検討するために、各種イオンに対する化学走行性を検討した。アガロースプレート上に各種イオンの濃度を変えたものを濾紙を用いて一定時間しみこませ、これに対する第3期幼虫の態度を調べた結果、Na+ (NaCl, NaOH, NaHCO3) をしみこませた場合のみ、その部分に虫体の著明な集積が見られた。この様な現象はK+, Ca++, Mg++イオンについては認められなかった。またアガロース平板内に予めNa+をしみこませてテストした場合には集積性は抑制された。この事実から、糞線虫第3期幼虫にはNa+ イオンに対するレセプターがあり、これが宿主への集積や体内移行を行う上で重要な役割を持つものと考えられた。
  • その宿主、生活史および地理的分布
    浅川 満彦
    1997 年 27 巻 1 号 p. 30-37
    発行日: 1997/08/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    As part of a zoogeographical research project, an analysis was made of the parasitic nematode fauna associated with the Japanese murid species of the genera Clethrionomys, Eothenomys, Microtus and Apodemus. The analysis was carried out utilizing published papers, mainly ASAKAWA (1995), and tabulating the nematode species recorded in Japan. A total of 36 nematode species (16 families and 24 genera) were recorded from the host genera. The general feature of the life cycle of the nematode families or genera, and the geographical occurrence of each species, especially the species belonging to the families Heligmosomidae, Heligmonellidae and Oxyuridae, were presented.
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