日本線虫学会誌
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30 巻, 1-2 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 津田 格, 二井 一禎
    2000 年 30 巻 1-2 号 p. 1-7
    発行日: 2000/12/28
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    ヒラタケ白こぶ病の病原線虫Iotonckium ungulatumの昆虫寄生態雌線虫の形態、及び生活環を記載した。昆虫寄生態雌線虫は、キノコバエ科の一種ナミトモナガキノコバエRhymosia domesticaの血体腔内に寄生し、そこで産卵する。病害子実体から羽化してきたキノコバエを解剖したところ、血体腔内で孵化した幼線虫のキノコバエ卵巣への侵入が観察された。キノコバエ卵巣から取り出した幼線虫をヒラタケ子実体に接種すると、ひだ上にこぶが生じた。このことから、キノコバエの産卵行動時に新しいヒラタケ子実体に産み付けられた幼線虫が菌食態雌線虫へ発育するものと考えられた。病害子実体から羽化してきたキノコバエが保持する寄生態雌線虫数は、雄キノコバエよりも雌キノコバエにおいて有意に多かった。
  • 石橋 信義, Rustom ALI, 皿本 将隆
    2000 年 30 巻 1-2 号 p. 8-17
    発行日: 2000/12/28
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    九州産の菌食性線虫Aphelenchus avenaeは、種々の植物質産業廃棄物をいくつか組み合わせた培地上で、Rhizoctonia solani AG-4を餌菌として容易に大量生産できた。本線虫の生産は、従来の植物質に動物性産業廃棄物を加えることにより、飛躍的に増加した。緑茶出し殻 (製茶屑でもよい) を培地へ30%(乾物重比) の割合で添加すると、培養期間中の培地のpH変動は小さくなった。種々の組み合わせを検討した結果、乾物重比として、ブロイラー加工工場汚泥35%、焼酎製造工程搾り津35%、使用済み緑茶出し殻30%の培地109 (乾物重) を水分60%に調整し餌糸状菌R.solani AG-4の菌叢1片と線虫200頭を同時接種し、250Cで、20日後約112万頭に増殖した。この値は、植物質を組み合わせした培地のほぼ10倍に相当する。植物質培地だけでは、一般に、接種後30日で増殖数は最高に達するが、動物質を加えることにより繁殖は促進された。本線虫は、PDA (ジャガイモ800g、dextrose80g/1、pH 5.6の燐酸緩衝液で調整) を浸み込ませたスポンジを底質としても大量生産が可能であった。PDA 16mlをスポンジ1gにしみ込ませ、この20gを100mlフラスコに入れ、R.solaniを餌糸状菌として、線虫200頭を接種し、25℃ にて30日後約109万頭が得られた。
  • 山田 英一, 橋爪 健, 高橋 穣, 北島 美津子, 松井 誠二, 谷津 英樹
    2000 年 30 巻 1-2 号 p. 18-29
    発行日: 2000/12/28
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    ソルガムの5系統、その他のイネ科作物4種 (ギニアグラス、エンバク、スーダングラス、イタリアンライグラス) およびクロタラリアに対するネコブセンチュウ2種 (Meloidogyne in cognita, M.arenaria) およびネグサレセンチュウ2種 (Pratylenchus penetrans, P. coffeae) の寄生性を調べた。その結果、実験に用いた全緑肥用植物のなかでソルガムの1系統 (SS701、つちたろう) がネコブセンチュウ2種に対して最も高い密度低減効果を示したが、ネグサレセンチュウ2種に対しての効果は認められなかった。
  • 田場 聡, 諸見里 善一
    2000 年 30 巻 1-2 号 p. 30-34
    発行日: 2000/12/28
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    Monacrosporium phymatopagum (DRECHS-LER) SUBRAMANIANは無柄の粘着性ノブを形成する線虫捕捉菌として知られている。本菌は、感染菌糸によってもコーンミール寒天培地 (CMA) に添加したサツマイモネコブセンチュウMeloidogyne incognita (2期幼虫) を捕捉した。粘着性ノブに比べて、感染菌糸は多数形成され、線虫捕捉率も高かった。感染菌糸は、肛門部だけではなく、コイル状に巻き付いた線虫体の不特定部位からも侵入した。線虫体内容物は、感染菌糸による捕捉から24時間で分解・吸収された。
  • Anwar L. BILGRAMI, 近藤 栄造, 吉賀 豊司
    2000 年 30 巻 1-2 号 p. 35-46
    発行日: 2000/12/28
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    ペトリ皿を用いた行動解析試験結果に基づき、Steinernema glaeri感染態幼虫の誘引行動と選択性のモデルを提唱した。前者では、宿主昆虫から発散する誘引物質の有無に基づく線虫の分布確率をスコアー化し、宿主に到達した線虫数に重みづけを行い、その結果に基づいて、線虫の誘引行動を数量的に解析した。後者では、4種昆虫 (ハチミツガ、ハスモンヨトウ、チャバネゴキブリ、トノサマバッタ) への線虫の選択性を試験した。誘引源への線虫の誘引率は時間とともに高くなり、線虫接種6時間後には最高 (67.6%) に達した。ハチミツガ幼虫の摩砕液への誘引率は、摩砕液の濃度に依存した。誘引試験ならびに4種昆虫を用いた選択試験の結果、S. glaseri感染態幼虫の選好性は、ハチミツガ幼虫に対して最も強かった。
  • 山中 聡, 田辺 博司, 武内 克義
    2000 年 30 巻 1-2 号 p. 47-50
    発行日: 2000/12/28
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    コガネムシ類幼虫に対して殺虫力をもつ昆虫病原性線虫Steinernema glaseriの生育とその共生細菌であるXenorhabdus poinariiの増殖に及ぼす温度の影響を調べた。
    ドッグフードペプトン培地とハチミツガ (Galleria mellonella) の幼虫体内でS. glaseriは、10℃ 以下及び35℃以上で生育しなかった。最高増殖は25-28℃で認められた。共生細菌は21-35℃の問で増殖し、最適増殖温度は30-33℃であった。Sglaseriと共生細菌に共通する増殖適温は25-28℃であった。S. glaseriも共生細菌も36℃以上では増殖できなかったことから、体温36℃以上の恒温動物に対する病原性は低いと判断された。
  • 2000 年 30 巻 1-2 号 p. 51-66
    発行日: 2000/12/28
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
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