日本線虫学会誌
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32 巻, 2 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • 星野 滋, 富樫 一巳
    2002 年 32 巻 2 号 p. 25-30
    発行日: 2002/12/28
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    イネシンガレセンチュウの低密度個体群の密度推定を行うために、イネ種子20、50、100、または150粒から本種を分離するための大量抽出法を作成した。本方法では、各種子を縦に二分してステンレス製金網の上に置き、25℃ の水に浸した。4時間後の分離効率 (分離された個体の割合) は、用いた種子数に関係なく、ほとんど100%であった。イネシンガレセンチュウの個体群密度が低い場合、Hoshino and Togashi法 (1999) では多くの種子を個別に調査する必要があったが、この大量抽出法は多くの種子を一度に調査できるため、短時間での密度推定が可能になった。
  • Wasim Ahmad, 荒城 雅昭
    2002 年 32 巻 2 号 p. 31-44
    発行日: 2002/12/28
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    これまでに収集した本邦産Oriverutus属線虫標本について精査したところ、2新種および1本邦未記録種が含まれていることが判明したので、これらの記載、図示を行った。新種Oriverutus arcuicaudatusは、体長0.61~0.65mmで、唇乳頭が突出して口唇部が顕著に区別されること、歯針は細く長さが15~16μmあること、雌性生殖腺は両卵巣型で、陰門環 (pars refringens vaginae) は骨化しないこと、直腸嚢 (post-rectal sac) は小さいこと、尾部が腹側に曲ること、雄では、前腹部補助器 (ventromedian supplement) が1個であることなどで特徴付けられる。新種O. parvusは、体長0.65~0.71mmで、唇乳頭が発達して口唇部が見分けられること、歯針は細く長さが13~14μmあること、雌性生殖腺は両卵巣型で、陰門環 (pars refringens vaginae) が骨化すること、直腸嚢 (post-rectal sac) は小さいこと、尾部が円錐形でわずかながら背側に反ることなどで特徴付けられる。雌性生殖腺が後卵巣型のO. occidentalis Peña Santiago & Peralta, 1995もわが国で初めて見出されたので記載を行った。
  • 長谷川 浩一, 二井 一禎, 三輪 錠司
    2002 年 32 巻 2 号 p. 45-52
    発行日: 2002/12/28
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    マツ材線虫病の病原体であるマッノザイセンチュウBursaphelenchus xylophilusおよび自活性土壌線虫Caenorhabditis elegansの外部に開口した感覚子であるアンフィドとファスミドの神経をFITCで染色し、細胞の数、神経突起の配置を比較した。C.elegansでは、アンフィドを構成する12の神経細胞のうち6つの神経細胞と、ファスミドを構成する2つの神経細胞が染まり、神経突起が虫体側方を走っていた。一方、マッノザイセンチュウでは神経細胞が中部食道球の後方に背側左右2つずつ確認され、そこから神経環および頭部の感覚子に向かって虫体側方を走る神経突起が観察された。また、マッノザイセンチュウを20℃で一晩染色すると、中部食道球前方に3放射相称の涙滴形のものと、そこから口針のノブまで伸びる細長いものが観察された。マツノザイセンチュウのファスミドは確認できなかった。
  • 小倉 信夫, 中島 忠一
    2002 年 32 巻 2 号 p. 53-59
    発行日: 2002/12/28
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    平底角型培養瓶を用いて、酵母抽出物を添加したPDA培地上でContortylenchus genitalicola (マツノマダラカミキリの生殖器に寄生する菌食性昆虫寄生線虫) 関連の未同定菌とマツノザイセンチュウを培養した。80日間の培養では、分散型III期幼虫の培養瓶当たりの平均頭数は24,869頭で、分散型III期幼虫の全線虫頭数に占める割合の平均は93.1%であった。この未同定菌とマツノザイセンチュウを培養した平底角型培養瓶にマツノマダラカミキリの蛹あるいは成虫を入れて共存培養すると、分散型IV期幼虫が生じ、その頭数は対照区と有意な差があった。全蛹期間と成虫期の9日間をマツノザイセンチュウと共存培養したマツノマダラカミキリ成虫からは、平均9,105頭の分散型IV期幼虫が分離された。分散型IV期幼虫の生起にはMonochamus属カミキリの蛹および成虫が関わっているという従来の説は、培養瓶を用いた実験でも支持された。
  • 神崎 菜摘, 二井 一禎
    2002 年 32 巻 2 号 p. 60-68
    発行日: 2002/12/28
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    Rhabdontolaimus psacotheaeの生活史を調査した。Rhabdontolaimus psacotheaeはクワ科植物の材部に生息し、その耐久型 (分散型第三期) 幼虫は媒介者であるキボシカミキリの生殖器に侵入し、寄主樹木間を伝搬される。耐久型幼虫は、キボシカミキリの産卵痕を経由して寄主樹木に侵入し、材内で脱皮後、キボシカミキリ幼虫の坑道周辺で細菌類を食餌源として増殖していた。この種のこのような生活史を生息域、媒介昆虫を同じくする菌食性線虫、Bursaphelenchus conicaudatusのそれと比較した。これら2種は、樹木材内では同所的に生息していたが、その食餌源に関して棲み分けが見られた。また、媒介者虫体内ではその侵入部位に関して棲み分けが見られた。
  • 串田 篤彦, 植原 健人, 百田 洋二
    2002 年 32 巻 2 号 p. 69-76
    発行日: 2002/12/28
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    ダイズシストセンチュウのトラップクロップとしてのアカクローバの有効性を評価するために、根浸出液のふ化促進効果、根内への幼虫の侵入および根内での成育、土壌中の線虫密度低減効果について調査した。アカクローバ根浸出液中でのふ化率は、寄主植物 (ダイズ) 根の浸出液中でのふ化率よりも低かったが、休耕土壌からの浸出液中や非寄主植物栽培土壌からの浸出液中、蒸留水中でのふ化率に比べると有意に高かった。ふ化した2期幼虫は、アカクローバの根に寄主 (ダイズ) と同程度侵入したが、ごく少数が3期または4期幼虫に成育しただけで、成虫には至らなかった。アカクローバをダイズシストセンチュウ生息土壌に栽培すると、線虫密度はポット試験、枠圃場試験いずれにおいても無栽培 (休閑) に比べて有意に低下した。これらのことから、アカクローバはダイズシストセンチュウのトラップクロップとして密度低減に利用できると考えられる。
  • 佐野 善一, 岩堀 英晶, 立石 靖, 甲斐 由美
    2002 年 32 巻 2 号 p. 77-86
    発行日: 2002/12/28
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    線虫抵抗性品種の効率的な育成や適切な栽培、線虫密度抑制に有効な作付け体系の開発に役立てるため、サツマイモネコブセンチュウに対するサツマイモの抵抗性を調査した。
    1) 産地が異なる線虫4個体群のサツマイモ主要24品種における増殖率 (産出卵数/接種虫数) を調査し、各品種の抵抗性を比較解析した。これらの品種は、(1) 4個体群とも増殖率が11以上となる抵抗性弱の9品種、(2) 西合志個体群のみに抵抗性の3品種、(3) つくば個体群のみが大きく増殖し、他の3個体群には抵抗性強の5品種、(4) 4個体群とも増殖しないか、増殖がわずかな7品種の4群に大別できた。
    2) サツマイモ13品種・系統の本線虫4個体群に対する抵抗性を産出卵嚢数によって比較した。これらの品種・系統も、(1) 4個体群いずれもが多数の卵嚢を産出する抵抗性弱、(2) 4個体群とも産卵が少ない抵抗性強~ やや強、(3) 一部の個体群のみが多数産卵する特異的抵抗性に分かれた。
    3) 沖縄および種子島特産紅イモ4品種の、本線虫4個体群に対する抵抗性を産出卵嚢数によって比較した。形態形質が類似した宮農36号と種子島紫1では、つくばと益城個体群は共に多数産卵したが、西合志と都城個体群の産卵は見られなかった。形態形質が類似した備瀬と種子島紫7でも、西合志と都城個体群は産卵しなかった。しかし、つくばと益城個体群は備瀬での産卵は少なかったが、種子島紫7ではともに多数産卵した。
    以上の通り、サツマイモ品種のサツマイモネコブセンチュウに対する抵抗性は、線虫の個体群間で明らかな差異が認められた。
  • 2002 年 32 巻 2 号 p. 87-100
    発行日: 2002/12/28
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
  • 2002 年 32 巻 2 号 p. 101-104
    発行日: 2002/12/28
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
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