日本産ネコブセンチュウの第2期幼虫または雄成虫の1個体に基づく種の同定にRandom AmplifiedPolymorphic DNA-Polymerase Chain Reaction (RAPD-PCR) 法を利用するため、プライマーのスクリーニングおよび鋳型DNAの抽出方法を検討した。10種の日本産ネコブセンチュウ (
Meloidogyne incognita, M. arenaria, M. javanica, M. hapla, M. suginamiensis, M. marylandi, M.mali, M. camelliae, M. arenaria 近縁種および
M.mali近縁種) の種の同定に最適なプライマーを10塩基のランダムプライマー120種類 (OPA, OPB, OPC, OPD, OPFおよびOPG: OperonTechnologies) の中から検索した結果、プライマーOPA-01のみで日本産ネコブセンチュウ10種の識別が可能であった。第2期幼虫または雄成虫の1個体からlysis buffer (DNA抽出緩衝液) で抽出した鋳型DNAおよびプライマーOPA-01を用いて得られたPCR産物は、明瞭で安定した種固有のRAPDパターンを示した。1個体の第2期幼虫あるいは雄成虫からlysis bufferで抽出した鋳型DNAおよび多数の雌からの精製DNA抽出方法で抽出した鋳型DNAを用いて増幅したRAPDパターン問に差違があった。この差は、
M.arenariaと
M.javanicaで特に認められ、鋳型DNAの抽出方法の違いによる有効なマグネシウム濃度の差違に起因していると推測された。
抄録全体を表示