近年日本で栽培が増えている食用種を中心にホオズキ(Physalis spp.)種間におけるサツマイモネコブセンチュウ(Meloidogyne incognita, MI)の増殖性の違いを検討した。温室内でポット栽培したホオズキ苗にMI の2 期幼虫を接種する試験を2 回行い、各々の試験でMI 接種後約1 か月半経過させたポットを解体して根こぶ指数(0 ~ 4)、卵のう形成数、ポット内の2 期幼虫密度を調査した。その結果、P. pruinosa の2 品種では他のホオズキ種よりも有意にこれらの数値が大きく、MI に対して感受性であると推察した。一方P. peruviana の3品種、P. ixocarpa と P. alkekengi の各1 品種はP. pruinosa よりもこれらの数値が有意に小さく、これらのホオズキ種はMI に対して抵抗性もしくは弱抵抗性であると推察した。
サツマイモネコブセンチュウには5 種類のサツマイモ判別品種、「農林1 号」、「農林2 号」、「種子島紫7」、「エレガントサマー」、「ジェイレッド」により同定されるSP1 からSP9 までの9 種類のレースが報告されている。本研究では、1 個体のサツマイモに対し500 頭の線虫を接種してレース判別を行う場合、従来は着生卵のう数2 を閾値として用いていたが、新たに10 とする提案を行った。この方法に従うと、SP6 の2 種類の分離株、石垣2 と沖石12 はこれら5 種類の判別品種には同じ反応性を示す。しかし、3 品種のサツマイモ「ムラサキマサリ」、「スズコガネ」、「知恵の葉」は、沖石12 には抵抗性だが石垣2 には感受性を示した。これらの結果から、沖石12 と石垣2 は異なっておりSP6 には少なくとも2 種類のレースが含まれることが明らかとなった。沖石12 と石垣2 をそれぞれSP6-1 とSP6-2 と命名した。千葉県の1 筆のサツマイモ畑から集めたSP6 の5 種類の分離株について調べたところ、全てSP6-1 と判別された。