労働安全衛生研究
Online ISSN : 1883-678X
Print ISSN : 1882-6822
ISSN-L : 1882-6822
6 巻, 1 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
巻頭言
特別寄稿
原著論文
  • ―粒状体の降下床と重力流動の3 次元個別要素法解析―
    吉川 直孝, 伊藤 和也, 豊澤 康男, 堀 智仁
    2013 年 6 巻 1 号 p. 5-13
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/14
    ジャーナル フリー
    トンネルを掘削すると,地盤内に空洞を発生させるため,トンネル周辺の地盤の応力は変化する.このようなトンネル掘削時の地盤内の応力再配分は,降下床実験と呼ばれる実験等により多く検討されてきた.一方,トンネルが崩壊すると,降下床が瞬時に消失し,地盤が重力により流動するような挙動を呈する.本研究では,3次元個別要素法により降下床及び重力流動を解析した.まず,既往の研究から砂の降下床実験時の降下床及びその周辺の鉛直応力の値を抽出し,解析結果と比較したところ,解析結果と実験結果がほぼ一致した.次に,降下床を瞬時に消失させる重力流動を解析した結果,消失させた降下床周辺の鉛直応力は動的な挙動を示し,急激な上昇,下降を繰り返した.これは,消失させた降下床の周辺地盤が,グラウンドアーチにより上部の地盤を支えようとする機構が生成,消失を繰り返しているためであると推察される.つまり,グラウンドアーチが生成された際には,その脚部の応力は上昇し,消失するとその応力は低下する.グラウンドアーチが生成された際の脚部の応力は静的なそれよりも数倍も大きくなる.本研究結果から一旦トンネル切羽において小崩壊が発生すると,その周辺はより大きな応力を受け,より崩壊の規模が拡大する可能性を示唆している.
短報
  • 冨田 一
    2013 年 6 巻 1 号 p. 15-20
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/14
    ジャーナル フリー
    静電気放電による粉じん爆発災害を予防する対策の一環として,貯蔵槽のような金属容器の内部で発生する静電気放電を検出するため,静電気放電が発生する時にループアンテナに誘導される電圧を主たる検出信号とする実験を行った.実規模の粉体空気輸送装置を用いて,ループアンテナに誘導される電圧と貯蔵槽の電圧を測定した結果,伝導性の電磁ノイズが存在する電磁環境下においても,静電気放電に伴う誘導電圧を検出可能なことが確認された.誘導電圧のレベルは突然に大きくなっており,バルク表面放電のように着火性の強い静電気放電の予兆現象を捉えることは現状では不可能であった.ただし,着火性静電気放電と推定される誘導電圧を検出したときに,除電器を稼働させて帯電粉体を電気的に中和するなど適切な帯電防止策を講じれば,静電気放電に起因する爆発災害の発生確率を低減することは可能であることから,誘導電圧の常時モニターは静電気災害の予防に役立つと考えられる.
技術解説
研究紹介
  • 呂 健, 藤本 康弘
    2013 年 6 巻 1 号 p. 25-28
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/14
    ジャーナル フリー
    フォークリフトなどの車両系荷役運搬機械とドラグ・ショベルなどの車両系建設機械を利用して行う作業では,作業者と機械の接触, 機械の転倒等に起因する労働災害が依然として多発している.この種の労働災害を防止するために,画像を利用した監視装置(モニタカメラなど)やレーザ式の人体検知装置などの運転支援装置の開発が進められている.しかし,仮にこれらの装置の有効性評価を実機で行った場合は,危険を伴うだけでなく実験条件も限定される.そこで,装置の有効性評価試験を安全かつ効率的に実施するために,車両系荷役運搬機械及び車両系建設機械を対象に,作業時の災害シナリオをバーチャルリアリティ技術で再現可能なシミュレータを開発した.これにより,実機を用いた場合のような危険を伴うことなく,様々な実験条件の下で開発中の運転支援装置の有効性評価試験を安全かつ効率的に実施できるために,開発期間の短縮が可能となる.
feedback
Top