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本間 隆満, 運上 裕年, 小澤 和彦, 冨士越 玲子, 公文 富士夫, 朴 虎東
セッションID: 3A06
発行日: 2003年
公開日: 2004/11/26
会議録・要旨集
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諏訪湖における底泥柱状試料中珪藻組成にみられる富栄養化の影響について調査を行なった。諏訪湖湖心から柱状試料を採取し、1cm毎に底泥重量あたりの珪藻の同定・計数を行なった。その結果、珪藻細胞密度は最小0.20×10
7 cells cm
-3(深度48-49cm)から最大6.97×10
7 cells cm
-3 (深度37-38cm)の範囲で変動した。急激な富栄養化が生じたとされる1960-70年代に堆積した層では細胞密度が前後の層に比べ高く、下水道の供用開始によって水質の改善が報告された1980年代の層では減少傾向がみられた。これらの結果から、表層を除く堆積物中の藻類の現存量は富栄養化の影響を明確に記録していることが明らかになった。
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野末 泰宏, 公文 富士夫, 福島 和夫
セッションID: 3A07
発行日: 2003年
公開日: 2004/11/26
会議録・要旨集
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白駒池は長野県北八ヶ岳の標高2115mに位置する最大水深が8.5mの腐植栄養湖である。本研究では、白駒池の堆積物を解析することで、堆積物に記録されていると期待される湖沼環境の変遷を検討した。 白駒池の堆積物柱状コアを2002年5月12日に水深8mの地点で採取した。堆積物のコアを1cm間隔で切断し、含水率、炭素と窒素の含有量、安定同位体の測定及び溶媒抽出により脂質成分を抽出・分析した。 放射性炭素同位体による年代測定により2000年前に白駒池が形成されたとわかった。C/N比と炭化水素の変化から、堆積物には、古環境の変化が記録されていると期待された。
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日本のwetland選定の背景について
小林 光, 松井 香里
セッションID: 3A08
発行日: 2003年
公開日: 2004/11/26
会議録・要旨集
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平成13年環境省より「日本の重要湿地500」が発表された。選定にあたってはわが国の湿地の特性に即した幅広い観点からの生息地保全ができるよう、湿原・干潟・藻場・サンゴ礁といった生態系に係る専門家、水草・淡水藻類・鳥類・魚類・両生爬虫類・昆虫類・甲殻類・淡水貝類・底生動物といった生物群に係る専門家による検討委員会を組織した。さらに各分野の検討委員が中心となり各地の有識者にヒアリングを行い、その結果から分野毎に全国的視点で重要性を評価する過程を踏んだ。結果は環境省HP上で以下のURLで公開されている。レッドデータブックが危急の種を扱っていたのに対し、ハビタットの保全を提案した「日本の重要湿地500」が各地で保全の根拠ととして活用されることを期待している。
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小林 正雄
セッションID: 3A09
発行日: 2003年
公開日: 2004/11/26
会議録・要旨集
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谷部・低地部や湖・池の水辺地域に形成される湿地は、流域の水循環系からみれば地下水の流出域、あるいは地下水と地表水が相互に交流している区域に相当する。生物に欠くことができない湿地の水の変動を支配する要因や性状について、既存の文献・資料および琵琶湖での調査事例に基づいて発表する。
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農耕依存と雑草性のはざまで
嶺田 拓也
セッションID: 3A10
発行日: 2003年
公開日: 2004/11/26
会議録・要旨集
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水田は我が国最大のウエットランドであり、陸水湿地における生物生息環境に大きく貢献していると考えられる。一方、水田は水稲を中心とした耕作環境下にあり、人為的な攪乱や選択圧がかかる特殊な場であるともいえよう。本報告では、いわゆる雑草と呼ばれている一群の植物に注目して、水田利用の変遷や攪乱に対してどのような適応を行ってきたのかなどを解説し、水田における植物多様性と耕作との両立に向けての提案を行っていきたい。
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井鷺 裕司
セッションID: 3A11
発行日: 2003年
公開日: 2004/11/26
会議録・要旨集
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生物保全を考える上で保全対象となる生物種のEvolutionary Significant Unitの識別はきわめて重要である。琵琶湖周辺の内湖や湿地にはいくつかの絶滅危惧種が知られているが、それらの分類群におけるEvolutionary Significant Unitは必ずしも明らかになっているわけではない。 本研究では、特にタヌキモ類とミズワラビを取り上げ、タヌキモ類に関しては分類学的に混乱している各分類群の由来を、ミズワラビに関しては、近年、琵琶湖周辺の水田や用水路で増殖が認められる個体群の由来と分類学的な位置づけを、葉緑体および核DNAの分析によって明らかにした。
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浜端 悦治, 西野 麻知子
セッションID: 3A12
発行日: 2003年
公開日: 2004/11/26
会議録・要旨集
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琵琶湖岸周辺には,内湖と呼ばれる付属小湖沼が存在する。こうした内湖は,湖岸付近の水田とともに河川や水路によって本湖とつながれ,琵琶湖の生物多様性の維持に重要な役割を果たしてきたと考えられる。しかし農地の造成などにより,今日では,新たに人工的に作り出されたものを除くと,23内湖が残るに過ぎない。総面積も429haと1940年頃の1/7近くにまで減少してしまった。われわれは2001年から,植物・動物の分布調査を内湖で進めているが,特に水生植物では,絶滅危惧_I_A類を含む多くの稀少種の分布が確認され,内湖が現在も琵琶湖の生物多様性に重要な役割を果たしていることが明らかになった。これらの分布データを用いての内湖の類型化の試みと,多様性が維持されている要因を検討した結果について報告する。
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細谷 和海, 足羽 寛, 西野 麻知子
セッションID: 3A13
発行日: 2003年
公開日: 2004/11/26
会議録・要旨集
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一般に、淡水魚は発育・成長に伴って生息場所を変えるのが普通である。特に、河川の附属湿地である水田やワンドは、梅雨時に生産性の高い一時的水域として現れ、種々の淡水魚にとってきわめて重要な産卵場と生育場として機能する。そのため、淡水魚を保護するためには、成魚の生活場所である河川を部分的に保全するだけでは不十分で、農業用水路を介した河川と附属湿地のネットワークをつなぐ施策が望まれる。個体の移動が保証されるならば、生活環を全うできるばかりか系統の異なる集団間で交配が可能となり、遺伝的多様性を高めることにも役立つ。
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高村 典子, 中川 恵, 加藤 秀勇, 三橋 弘宗, 田中 哲夫, 角野 康郎, 青木 典司
セッションID: 3A14
発行日: 2003年
公開日: 2004/11/26
会議録・要旨集
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ため池の生物多様性の維持機構とその保全
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竹門 康弘, 安部倉 完, 田末 利治
セッションID: 3A15
発行日: 2003年
公開日: 2004/11/26
会議録・要旨集
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京都市深泥池の生物群集は現在も極めて多くの希少種を擁しており,その貴重さは特筆に値する.しかし,生物相や池の物理化学的環境条件はここ25年間に大きく変容している.その根本原因として,長期に渡る水道水の流入,水生植物の過剰繁茂による富栄養化,遺骸堆積による底泥の貧酸素化と水生植物群落の乾陸化が挙げられるが,同時に外来動植物の放逐と蔓延がこの変化に拍車をかけたと考えられる.このような現状に対して,効果的な保全策を実施するためには,水循環の構造を改善する行政レベルの対策と,日頃池の変化を監視し外来種を地道に駆除する市民参加型の対策の双方が必要である.
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湖北地域振興局田園整備課 , 西野 麻知子
セッションID: 3A16
発行日: 2003年
公開日: 2004/11/26
会議録・要旨集
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琵琶湖周辺に点在する湿地帯である内湖の生態学的復元の可能性を探るため、かつての内湖で現在は干拓され、農地となっている早崎干拓地で2001年秋から通年湛水を行い、生物相の変遷過程を調査した。その結果、様々な絶滅危惧植物や貴重植物が出現し、干拓地が貴重植物のシードバンクとしての機能を維持していることが明らかとなった。さらに湿地を利用する鳥類の種数も著しく増加した。しかし魚類等の水生動物相は、メダカなど生活史の中で水田や河川を利用する動物が増加したにとどまり、琵琶湖と内湖を利用するいくつかの動物は出現しなかった。
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一瀬 諭, 若林 徹哉, 加賀爪 敏明, 辻元 宏
セッションID: 3B01
発行日: 2003年
公開日: 2004/11/26
会議録・要旨集
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琵琶湖における植物プランクトン現存量の長期変化と生態系異常について講演する。
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滋賀県水産試験場のモニタリングデータより
芳賀 裕樹, 大塚 泰介
セッションID: 3B02
発行日: 2003年
公開日: 2004/11/26
会議録・要旨集
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琵琶湖北湖沖帯の透明度の長期変遷~滋賀県水産試験場のモニタリングデータより~について講演する。
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槻木 玲美, 小田 寛貴, 占部 城太郎
セッションID: 3B03
発行日: 2003年
公開日: 2004/11/26
会議録・要旨集
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琵琶湖での20世紀中の動物プランクトンの歴史的変動を明らかにするために、堆積物コアを用いて、遺骸分析を行った。特定の動物プランクトン遺骸は、年代ごとに変動し、特に大型植食者のDaphniaは、1900年から1920年の間は出現せず、その後の30年間も動物プランクトン群集の主要な構成要素ではなかったが、一方で小型植食者のBosminaはその間、豊富に生息していたことが明らかとなった。さらに、1960年代中頃には琵琶湖は富栄養化が顕著に進行し、Daphniaが大幅に増加、それ以降動物プランクトンの主要な構成要素になった。本研究の結果は、1960年代の時期の富栄養化が動物プランクトン群集へのトップダウン効果とボトムアップ効果の影響の相対的強さを改変させたことを示唆している。
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西野 麻知子, 大高 明史
セッションID: 3B04
発行日: 2003年
公開日: 2004/11/26
会議録・要旨集
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琵琶湖北湖の深底部の3地点、50m、70m、90mの水深で1992年から2000年まで底生動物の季節および年変動を調べた。底生動物の大部分を占めたのはミミズ類だった。全部で15種が確認され、11種が水深90mに、12種が水深70m、13種が水深50mで採集された。最も密度が高かったのはTubifex tubifex で、全個体数の71-84%を占めた。しかし全密度の2-7%しか生息しないエラミミズが全現存量の54-76%を占めた。水深が深いほど、この2種の繁殖期には季節性が乏しくなる傾向が見られた。北湖深底部では長期的に年最低溶存酸素濃度が低下する傾向が見られるが、1992年から2000年の間は、溶存酸素の低い年でも底生動物相や密度に大きな変化は見られなかった。
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石川 俊之, 成田 哲也, 占部 城太郎
セッションID: 3B05
発行日: 2003年
公開日: 2004/11/26
会議録・要旨集
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琵琶湖深底部に生息するアナンデールヨコエビの生息密度を1969年から1999年にかけて調査した。本種の生息密度は1980年半ばに突如増加し、それ以前の7倍の密度になった。環境要因のうち、本種の餌供給の増加を示唆する変化は見られなかった。1990年代と1960年代の個体を比較したところ、体長・抱卵数ともに1960年代に大きく、1990年代には一個体あたりの餌条件が悪化したことが示唆された。このように、本種の密度増加は繁殖率の増加ではなく、生残率の増加によるものであった。本種の増加とほぼ同じ時期に、本種の捕食者であるイサザが減少していることから、本種の個体群密度の長期変化が、餌環境ではなく魚類による捕食圧によって変化したことが示唆された。
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オオクチバスの影響についての検討
仲沢 剛史, 石田 紀郎, 加藤 真
セッションID: 3B06
発行日: 2003年
公開日: 2004/11/26
会議録・要旨集
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琵琶湖のイサザの諸形質の長期的変動について報告する。
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神松 幸弘, 中西 正己
セッションID: 3B07
発行日: 2003年
公開日: 2004/11/26
会議録・要旨集
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魚類の生活史は自然の季節的な環境変動に強く影響を受けており、人間もまた季節に合わせた漁労を営むことで自然の恩恵に授かってきた。ところが、近年における治水・利水を目的とした水位変動の制御や経済的な理由による漁期の変化は、人間活動の季節的なサイクルを変化させ、結果として人間と自然の季節的なサイクルのミスマッチングを生じさせているのではないだろうか。逆に言えばむしろそのような人間と自然の季節的なサイクルに着目することで、問題を解消する糸口を見いだすことができるかもしれない。本研究では、人間と魚の関わりの変遷について「季節性」という視点からとらえ直し、年変動ではとらえられない問題を浮かび上がらせることを目的とする。
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浜端 悦治, 山田 拓也
セッションID: 3B08
発行日: 2003年
公開日: 2004/11/26
会議録・要旨集
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琵琶湖の沿岸帯では1950年代までは広く沈水植物が分布していた。しかしその後の富栄養化かに伴う透明度の低下などにより群落面積は減少し,特に水質の悪化が著しかった南湖では1980年代から1990年代前半にはほとんど沈水植物群落が見られなくなっていた。そうした中,1994年夏にー123cmという水位低下が起こり,その後,南湖を中心に水草帯が急速に回復を始め,2000年夏には,南湖面積の52%で沈水植物群落がみられる状態となった。その増加傾向は現在も継続している。水草帯の回復に伴ない,透明度の回復,クロロフィルa,T-P,T-Nの減少が起こった。水草帯の回復や水質改善の機構はまだ明らかではないが,水草帯の回復によって南湖の生態系に大きな変化が生じてきていると考えられる。
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20世紀初頭からの水草標本の炭素、窒素安定同位体比の変動パターンから
高津 文人, 西川 絢子, 大河内 奈々子, 藤井 伸二, 佐久間 大輔, 和田 英太郎
セッションID: 3B09
発行日: 2003年
公開日: 2004/11/26
会議録・要旨集
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これまで、小川奈々子氏や西川絢子氏らによってなされた安定同位体分析による富栄養化の評価では、窒素安定同位体比による近過去分析が主流であった。今回の水草の炭素、窒素安定同位体比の結果から、炭素安定同位体比も興味深い変動パターンを示し、種ごとに富栄養化に対して異なる反応をしている可能性が示唆された。窒素安定同位体比は近年徐々に上昇するのに対し、炭素同位体比は低下する傾向であった。北湖でも北の竹生島や塩津浜および西岸の今津や高島郡の水草は東岸(主として彦根周辺)のそれより炭素同位体比が高く、東岸で1970年以降により富栄養化が進行したと考えれれた。
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石川 雅量, 後藤 直成, 西野 麻知子, 三田村 緒佐武
セッションID: 3B10
発行日: 2003年
公開日: 2004/11/26
会議録・要旨集
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琵琶湖には内湖が33湖存在しており、これら内湖は様々な生物・化学的様相をもっている。近年、公園化事業や湖岸の整備などにより、内湖の面積が急速に変化してきている。その内の大小さまざまな大きさの内湖24湖25地点において、2002年6月から毎月1回の調査を行った。それぞれの内湖が植物プランクトンの種組成や栄養塩濃度の変動からどのような状態で存在しているのか、さらに、集水域環境の相違点から内湖の特性を明らかにしようとした。本研究で得られた結果から湖北西側で琵琶湖水の影響を受ける内湖と影響が小さい内湖では、植物プランクトンの種組成と現存量に大きな違いがあった。
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田中 リジア, 伴 修平
セッションID: 3B11
発行日: 2003年
公開日: 2004/11/26
会議録・要旨集
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Seasonal dynamics of phytoplankton assemblages were investigated at the deepest site in the north basin of Lake Biwa, from January to December 2002. Phytoplankton abundance, nutrients concentrations, grazing impact and sedimentation were examined with frequent samplings and field experiments.
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三田村 緒佐武, 中本 信忠, Ibanez H.S.R., Caralcante P.R.S., Costaneto J.P., Barb ...
セッションID: 3B12
発行日: 2003年
公開日: 2004/11/26
会議録・要旨集
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塚田 創, 辻村 茂男, 中原 紘之
セッションID: 3B13
発行日: 2003年
公開日: 2004/11/26
会議録・要旨集
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滋賀県北部の余呉湖において、2002年9月(ブルーム期)、10月(減少期)、12月(低密度期)の計3回1週間の期間、8時間おきにMicrocystis spp.(ほぼM. aeruginosa)の細胞当りのC・N・P含量を求めた。同時に1ないし2時間おきに細胞分裂頻度を測定した。いずれの時期にも細胞内N・P量は以前に報告されている最少細胞含量より多かった。水中の溶存態リンは10月、窒素は12月に増加したが、細胞内のN・P含量に大きな変化は見られなかった。また、細胞分裂頻度は9月には日中の大きな分裂ピークが見られたが、10月は小さくなり、12月はほとんど見られなかった。これらのことから、外部栄養塩がほとんどない時にもN・Pは細胞内にゆとりを持って存在し、これらの栄養塩が制限状態にないと推測された。
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山本 芳正, 中原 紘之
セッションID: 3B14
発行日: 2003年
公開日: 2004/11/26
会議録・要旨集
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2002年5月から2003年4月にかけて,京都市内の流入・流出口のない小型人工池において植物プランクトンの季節遷移を観察した。6月から10月末にかけて,ラン藻
Aphanizomenon flos-aquae var.
klebahnii Elenk.が水柱全体に優占した。11月に入ると,本種による水の華は急速に衰退し,緑藻類の優占に代わった。定期的な調査の結果,
Aphanizomenonの衰退には温度あるいはpHが大きく関与していることが示唆された。無菌株を用いた培養実験の結果,本種は11℃以下並びにpH7.1以下では増殖に不適であることが示された。これらの結果から,本種による水の華の形成並びに消滅は,温度とpHから予測できるものと考えられた。
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井田 三良, 村上 宣雄, 浅井 浩, 本多 登美子, 一瀬 諭
セッションID: 3B16
発行日: 2003年
公開日: 2004/11/26
会議録・要旨集
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滋賀県の自然観察方法を掲載した図鑑の発刊とその有効利用の方法について検討したので報告する。
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海苔の色落ちの原因を探る
青木 直子, 重宗 智子, 熊谷 哲, 杉山 裕子, 上田 隆敏, 中谷 明泰
セッションID: 3C01
発行日: 2003年
公開日: 2004/11/26
会議録・要旨集
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播磨灘では近年海苔の色落ちが問題になっている。昨年6月から姫路港において海苔の栄養源でもある窒素・リンの動態を調査した。姫路港の色落ちが深刻な漁場と、隣の比較的健康な海苔がとれる漁場の海水を比べた結果、色落ちの起こった漁場の海水では溶存機態窒素濃度(DIN)が1.5マイクロMと低く、その分懸濁態中窒素濃度が高かった。また高濃度なリン酸態リンが検出された。このことより、高濃度のリンで植物プランクトンの発生が促進され、大量の植物プランクトンが海水中の溶存無機態窒素を消費してしまい、海苔に栄養が回らなかったことが原因で色落ちが起こったのではないかと考えられた。
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足立 久美子
セッションID: 3C02
発行日: 2003年
公開日: 2004/11/26
会議録・要旨集
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沿岸域の栄養塩濃度は様々な気象・海象要因によって,また生物現象によって時空間的に変動する。本報告では鹿島灘南部における栄養塩濃度の時空間変動と利根川河川水流出との関係について考察する。 10_から_4月頃までは海水が鉛直混合し,下層の栄養塩に富んだ水が表層まで供給され,沖合から浅海部に栄養塩が供給されている。それに対し5_から_9月には成層状態となるため,表層や浅海部では栄養塩が枯渇しやすい。利根川の流量は梅雨期と秋季の台風到来期に大きく,これらの季節には栄養塩の供給源として河川水の寄与度が非常に大きく,栄養塩の構成比にも影響を与えていた。また夏季の栄養塩濃度は,降水量の多少による経年変動が非常に大きかった。
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植田 真司, 近藤 邦男, 築地 由貴
セッションID: 3C03
発行日: 2003年
公開日: 2004/11/26
会議録・要旨集
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汽水湖は,淡水と海水が複雑に混合する場であると同時に,陸域から供給された物質が凝集_-_沈降_-_堆積するなど物理・化学的反応が極めて高い場でもある。密度の高い海水は底層に沿って侵入するため,上層の低塩分層と下層の高塩分層とに分かれ,塩分躍層が形成される。また,滞留性が大きいため,いったん形成された塩分躍層は崩壊しにくく,躍層を境界にして上層と下層とでは全く異なった水質環境が形成される。このことから,塩分躍層を境界とした上層と下層とでは生態系の構成も異なっているものと予測される。そこで,浅い汽水湖尾駮沼を研究対象とし,塩分躍層を境界とした上層と下層における一次生産量の相違を明らかにすることを目的に研究を行った。
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生元素の週レベル変動から
三戸 勇吾, 清水 香都子, 山田 佳裕
セッションID: 3C04
発行日: 2003年
公開日: 2004/11/26
会議録・要旨集
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讃岐平野では降水量が少ないため河川流量が少なく、さらに地形的な要因から流程が短く、昔から深刻な水不足に悩まされている。そのため、堰が河川内に数多く設けられており、河川水は灌漑用水として繰り返し利用されている。本研究では、このような河川構造が河川生態系に与える影響を生物地球化学的視点から明らかにすることを目的とし、讃岐平野中央部を流れる主要な二つの河川の河口堰において日_から_週レベルでの変動を調査した。その結果、両河口堰において多量の生元素の蓄積と藻類の大規模な発生が認められた。また、両河口堰は水温の上昇する夏期においては底層付近で還元的雰囲気が発達し、大規模なメタンの蓄積が確認された。
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杉森 賢司, 松尾 基之, 久野 章仁, 小野島 直子, 片岡 正樹
セッションID: 3C05
発行日: 2003年
公開日: 2004/11/26
会議録・要旨集
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河口域、干潟における硫酸還元菌の動向とその特殊性状について報告する。
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コホート解析法とテトラサイクリン標識法
王 芳, 大越 健嗣, 松政 正俊, 牧 陽之助
セッションID: 3C06
発行日: 2003年
公開日: 2004/11/26
会議録・要旨集
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北上川追波湾河口域でヤマトシジミ(ICorbicula japonica/I)の成長量の測定を試みた.2001年と2002年には現場ヤマトシジミの7・8・9月の殻長分布変動をもとに,コホート解析法で成長量を見積もった.また,2002年8月から10月にはテトラサイクリン(TC)標識法による現場成長実験を行い,殻長の成長量を測定した.コホート解析法によれば,1+世代(殻長5mm前後)と2+世代(殻長10mm前後)の日間殻長成長量は40から70μmの範囲にあり,ほぼ同じであった.一方,TC標識法で測定した個体は殻長15mmから25mmの範囲にあり,その日間成長量は23から42μmであった.
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山口 啓子, 内田 晶子, 横山 夏奈子
セッションID: 3C07
発行日: 2003年
公開日: 2004/11/26
会議録・要旨集
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中海は淡水化・干拓計画に伴う水域の改変により、閉鎖性が高まり、水域の悪化が問題となっている。アサリはかつて中海の主要水産資源のひとつであったが、近年はほとんど漁獲されていない。そこで、中海の浄化と水域利用にむけて、アサリの生残試験を行い、アサリの棲息を制限する要因について考察した。湖盆部に発達する貧酸素水塊および湖内で生産された海藻類の一斉枯死が寄り藻となって浅場のアサリの斃死をもたらすことが明らかとなった。
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狩野 好宏, 神谷 宏, 石飛 裕, 横山 康二, 奥田 節夫
セッションID: 3C08
発行日: 2003年
公開日: 2004/11/26
会議録・要旨集
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宍道湖・中海流域で最大の流量を持つ斐伊川で2001年9月1日から2002年8月31日までの1年間、日曜、年末年始休暇を除く毎日採水を行い、水質分析を行った。その結果を1983年から84年にかけて当所で行った同様の水質連続調査結果と比較した。その結果、年平均値で硝酸態窒素濃度が上昇、全リン濃度が低下、全窒素とリン酸態リン濃度は横這いと言う結果になった。硝酸態窒素は水温の低下する冬期に特に濃度が上昇していることがわかった。
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清家 泰, 石飛 裕, 小西 努, 樋口 智一, 鮎川 和泰, 藤永 薫, 奥村 稔
セッションID: 3C09
発行日: 2003年
公開日: 2004/11/26
会議録・要旨集
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宍道湖・中海を結ぶ大橋川に流入する市街地河川である馬橋川を対象に、その栄養塩負荷量をできる限り正確に捉えることに力点をおいて現場観測を実施した。この現場観測に基づく負荷量と原単位法に基づく負荷量とを比較検討した。
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相崎 守弘, 高野 ちよ子, 小林 和由
セッションID: 3C10
発行日: 2003年
公開日: 2004/11/26
会議録・要旨集
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島根県にある小さな汽水湖、神西湖における水質の季節変化特性について解析した。
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荒巻 雅之, 千原 歩, 谷本 典久, 相崎 守弘
セッションID: 3C11
発行日: 2003年
公開日: 2004/11/26
会議録・要旨集
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中海自然再生湖岸の寄せ藻の分解に関する研究について報告する。
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樋口 智一, 福森 亮子, 千賀 有希子, 奥村 稔, 藤永 薫, 清家 泰
セッションID: 3C12
発行日: 2003年
公開日: 2004/11/26
会議録・要旨集
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単体硫黄の定量法を開発し、それを用いて汽水湖中海の湖底堆積物中の単体硫黄を調べた。
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栄養塩フラックス測定方法
神谷 宏, 狩野 好宏, 石飛 裕, 横山 康二, 奥田 節夫
セッションID: 3C13
発行日: 2003年
公開日: 2004/11/26
会議録・要旨集
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我々は,平成9年から島根県と鳥取県にまたがる汽水湖中海の中浦水門において流量観測を行っている。平成13年から14年にかけて,同水門で栄養塩フラックス調査を行った。この水門は水深約7mと浅く,かつ栄養塩濃度の鉛直分布の差が大きいため,精度良くフラックスを把握することは非常に困難と考えられた。今回はこの調査を行うために事前に行った予備調査から,精度良くフラックスを測定するための方法について紹介する。
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水及び塩分収支
石飛 裕, 神谷 宏, 狩野 好宏, 横山 康二, 奥田 節夫
セッションID: 3C14
発行日: 2003年
公開日: 2004/11/26
会議録・要旨集
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宍道湖・中海水系の末端に位置する中浦水門において、2001年9月1日から2002年8月31日までの1年間、ADCPによる鉛直流速分布の測定と、4層の採水による栄養塩分析を行い、水収支と塩分収支を算定した。
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藤井 智康, 奥田 節夫
セッションID: 3C15
発行日: 2003年
公開日: 2004/11/26
会議録・要旨集
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宍道湖と中海をつなぐ大橋川において、両湖の風の吹送に伴う水位差発生条件によって、大橋川を通じての宍道湖への流入量の変化及び影響について考えるとともに、大橋川自体の固有振動の発生などについて考察する。
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大久保 卓也
セッションID: 3D01
発行日: 2003年
公開日: 2004/11/26
会議録・要旨集
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琵琶湖内湖の一つである彦根市の神上沼(面積約6ha)で、窒素、リンの流入・流出量調査を行い、内湖でのそれらの物質の挙動を把握した。その結果、温暖期には窒素、リンは内湖で除去されるが、寒冷期には繁茂していた水草の流出や底泥の巻き上げ等の影響で窒素、リンは流出量が流入量より大きい傾向がみられた。筆者らは、以前にエカイ沼(面積約1.3ha)で調査を行い、晴天時には窒素、リンともに内湖で除去されなかったことを報告したが、神上沼では温暖期には明らかに窒素、リンが除去されていた。この二つの内湖での窒素、リン除去率のちがいは、流入水の窒素、リン濃度のちがいの影響が大きい考えられた。
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赤塚 徹志, 後藤 直成, 三田村 緒佐武
セッションID: 3D02
発行日: 2003年
公開日: 2004/11/26
会議録・要旨集
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琵琶湖沿岸域の湿地帯において冠水・干出は,脱窒過程に影響する堆積物中の酸化‐還元領域を大きく変動させる要因であると考えられる。本研究では,湿地帯の冠水・干出環境により,堆積物の脱窒活性がどのような影響を受けるかを明らかにすることを目的とした。冠水状況にある定点では,硝酸イオンの添加により脱窒活性は大きく増大した。一方,干出状況にある定点では,硝酸イオンの添加に関わりなく脱窒活性は高く維持された。これは,干出による酸化領域の増大が,硝酸イオンの蓄積を招くことによると考えられる。したがって琵琶湖沿岸域の湿地帯の脱窒は,冠水環境では硝酸イオンによる制限を受けるが,干出環境では硝酸イオンは制限とならないと考えられた。
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大田 啓一, 樹山 なみえ, 清水 厚, 苗田 千尋
セッションID: 3D03
発行日: 2003年
公開日: 2004/11/26
会議録・要旨集
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湖沼や河川水に溶存する有機物のうち、難分解有機物と総称される有機物群は、組成、分子量、化学構造などの分子情報、起源、行方のいずれにおいても情報が少なく、その動態と地球化学的役割がほとんど解明されていない。本研究では、溶存難分解有機物の主成分と目されている腐植物質について、これを分離し、化学的性質を明らかにすることを試みた。試料として琵琶湖と集水域河川水を用いて、腐植画分を構成する数種類の成分の分離を行い、吸光スペクトル、誘導体化反応、推定分子量などを基に化学像を検討した。また水中での濃度分布と錯形成性についての知見も得た。
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渡辺 栄次, 深谷 光春, 田中 一彦, 垰田 博史
セッションID: 3D04
発行日: 2003年
公開日: 2004/11/26
会議録・要旨集
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有害な水中有機物の処理が急務となっており、自然環境中や上下水道の処理場において二酸化チタン光触媒による水中有機物の処理法の開発が急速に進んでいる。しかしながら、適応した光触媒材料の性能評価については必ずしも十分ではないのが現状である。 そこで、標準物質として構造中に塩素イオンを含有する有機化合物を用い、対象とする光触媒材料による分解処理を行い、この有機化合物が光触媒によって分解するのに伴い遊離する塩素イオンの量によって、対象とした光触媒材料の性能を評価する方法を検討した。その結果、この方法が性能評価法として有効であることが分かった。
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藤原 直樹, 岡本 高弘, 内藤 幹滋, 一瀬 諭, 若林 徹哉, 井上 健, 加賀爪 敏明
セッションID: 3D05
発行日: 2003年
公開日: 2004/11/26
会議録・要旨集
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琵琶湖北湖深層部における溶存酸素の現状について講演する。
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Metallogenium sp. との関連
岡本 高弘, 藤原 直樹, 内藤 幹滋, 一瀬 諭, 土肥 誠, 加賀爪 敏明, 井上 健, 宮島 利宏
セッションID: 3D06
発行日: 2003年
公開日: 2004/11/26
会議録・要旨集
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琵琶湖北湖深層水中における鉄・マンガンの分析結果とMetallogenium sp. との関連について報告する。
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metallogenium sp. の形態と検鏡結果について
一瀬 諭, 若林 徹哉, 岡本 高弘, 藤原 直樹, 加賀爪 敏明, 井上 健, 宮島 利宏
セッションID: 3D07
発行日: 2003年
公開日: 2004/11/26
会議録・要旨集
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琵琶湖北湖深層部における微生物由来のマンガン酸化物構造体特にmetallogenium sp. の形態と検鏡結果について講演する。
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Kim Chulgoo, 西村 洋子, 永田 俊
セッションID: 3D08
発行日: 2003年
公開日: 2004/11/26
会議録・要旨集
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湖では成層期に深水層でリン酸塩が貯まって行くのがよく現れる現象であり、富栄養化に伴う深層の無酸素化による底からの拡散供給で説明されている。 琵琶湖の深水層は有酸素環境にもかかわらずリン酸塩濃度の増加が見られている。この増加に及ぼす底からの拡散供給は9±8%に限られている。そこで本研究では琵琶湖の深水層で起こるリン酸塩の生産、蓄積に及ぼす細胞外ポスファターぜーの影響を推定した。その結果、表水層で生産された細胞外ポスファターぜーが沈降粒子とともに沈降し深水層でのリン酸塩の生産に関与していることがわかった。
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濱田 洋平, 今井 章雄, 松重 一夫
セッションID: 3D09
発行日: 2003年
公開日: 2004/11/26
会議録・要旨集
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1997年に採取された,霞ヶ浦湖水中の溶存有機物(DOM)の炭素安定同位体比を測定した。測定には,元素分析計EA-1110および同位体比質量分析計MAT-252を使用した。濾過によって得られた全DOMには無機炭酸が含まれており,これを除去するために塩酸による前処理が必要であった。全DOMのほか,分画操作によって得られた親水画分およびフミン画分についても測定を行い,同位体比の違いとその要因について考察した。
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