廃棄物資源循環学会研究発表会講演集
第29回廃棄物資源循環学会研究発表会
選択された号の論文の310件中101~150を表示しています
B2 建設廃棄物・副産物の資源化
  • 加古 賢一郎, 佐久間 龍正, 小泉 亮, 中島 知樹, 坂田 竜, 小野 雄策, 川嵜 幹生, 渡辺 洋一, 浦野 真弥
    セッションID: B2-8
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
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    建設廃棄物中間処理施設の処理工程から排出されるふるい下残さは、「建設廃棄物処理指針」において安定型産業廃棄物として取り扱うことができないとされている。このため、ふるい下残さは、現状において管理型最終処分場に埋立処分されるか、セメント原料としてサイクルされている。本研究ではふるい下残さの新たな再資源化手法を確立するため、ふるい下残さや建材の性状把握を目的に熱しゃく減量や炭素含有量、有機炭素含有量、更には溶出試験液の溶存態有機炭素量を用いて有機汚濁性の検討を行った。
    その結果、熱しゃく減量は有機汚濁指標として、有機汚濁性を表していないこと、さらには安定型廃棄物とみなされていた一部の建材において、有機汚濁性が高い可能性が示唆された。
  • 繁泉 恒河, 久保田 洋, 山田 裕己, 野口 俊太郎, 神 司, 高橋 潤, 月澤 麻衣, 金子 守, 細沼 順人
    セッションID: B2-9
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
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    建設混合廃棄物由来のふるい下残さをセメント原料とする場合Cl、Sの含有が問題となっており、対策のひとつである洗浄処理を行う上で塩類、有機物の溶出特性を把握することは重要である。本研究ではカラム試験によりふるい下残さからの各物質の溶出の挙動を検討し、実際の処理を想定した2tレベルの実規模での洗浄処理を行い、カラム試験の結果との整合性を検討した。 実験結果より、Na、Cl、TOCは洗浄による溶出濃度の低減が可能であったが、Ca、SO4は洗い出しの効果が低く、液固比10以上での洗浄処理を行っても溶出が継続する可能性が示唆された。3kgレベルのカラム試験と2tレベルの実規模試験の処理後のふるい下残さ中の各物質の溶出濃度およびCl含有量にほとんど差がなく、実規模での洗浄処理の可能性が示された。また、洗浄処理によってふるい下残さ中のCl含有量を一定に制御できる可能性が示唆された。
  • 山田 百合子, 小野 瑞世, 伊藤 洋
    セッションID: B2-10
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
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    上水汚泥や河川底質汚泥などのリサイクルや処分の前処理で乾燥処理が必要である。現在、こうした乾燥処理ではプラント処理や天日乾燥といった方法が用いられているが、前者は高コストであり、後者は広大な敷地面積と長期間が必要であるなどといった課題が挙げられる。一方で近年、地球温暖化抑制のためのCO2削減や化石燃料の消費を抑制するため、自然エネルギーの活用が急務となっている。本研究では、汚泥乾燥のプロセスにおいて省エネルギー化を図るため、太陽熱を最大限に活用して汚泥の乾燥を促進するシステムを提案し、基礎的な実験装置を用いて本システムの乾燥過程について検討を行い、引き続き屋外にて小規模の太陽熱利用汚泥乾燥システムを構築してその基本的機能を検証した。その結果、質量含水率θmを80%最終目標値であるθm=20%には76日間で到達した。
B3 無機性廃棄物の資源化
  • 岡部 麻菜香, 西村 海知, TOUCH NARONG, 日比野 忠史
    セッションID: B3-1
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
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    環境修復材として石炭灰を造粒した石炭灰造粒物が開発され,中国地方中心とした多くの地域で利用が進んでいる.異なる底質・水質汚濁問題に対して様々なニーズに合ったGCAの改善効果を発揮できれば,GCAの万能化に繋がる.本研究ではGCAによる栄養塩類の除去効果を向上させる目的として,石炭灰に竹炭を混合させた高性能なGCA(BC-GCA)を開発し,BC-GCAの溶出特性およびBC-GCAによる栄養塩類除去効果を室内実験により明らかにした.この結果,竹炭から溶出する陽イオンが栄養塩類の除去を向上させることが明らかになった.また,GCAに比較してBC-GCAの栄養塩除去率が高いことが確認された.BC-GCAは栄養塩類の除去効果が高いことの他にミネラルの供給源としても利用できるため,水域での底質・水質の改善や生態系の回復に利用できることが期待される.
  • 前川 明弘, 市川 幸治, 松浦 真也, 奥山 幸俊, 坂口 貴啓
    セッションID: B3-2
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
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    本研究では、未利用及び一般木材を燃料とする発電所から排出された木質バイオマス燃焼灰の有効活用方法として建設用資材への適用を想定し、燃焼灰を使用したセメントモルタル硬化体を作製した。評価項目は、硬化体の強度特性、重金属溶出量などとし、燃焼灰の使用量が各種特性におよぼす影響などについて調べた。その結果、燃焼灰の使用量を増加させると、硬化体の圧縮強度や曲げ強度は低下傾向となり、セメントに対する燃焼灰の活性度は高くはないことが明らかとなった。一方で、使用量と各強度との間には高い相関関係があり、使用量を制御することで、要求強度を設計できる可能性の高いことも確認できた。また、重金属の溶出量に関しては、一部の硬化体を除けば、全て環境基準値に適合しており、長期における耐久性や環境影響評価など、今後、詳細な検討を要する課題はあるものの、燃焼灰を有効活用できる可能性を見出すことができた。
  • 田島 孝敏, 大島 義徳, 甚野 智子
    セッションID: B3-3
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
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    2012 年7月に再生可能エネルギーの固定価格買取制度が施行され、全国各地で木質バイオマス発電所の建設、運転が進められている。燃焼灰は産業廃棄物として処理・処分される場合が多いが、有効利用すれば廃棄物量が減少し、処分費も軽減される。木質燃焼灰はカリウムを多く含むため肥料原料を想定した栽培試験を行い、植物の生育を阻害しないことを明らかにした。さらに、セメント固化や溶融スラグ化により、土木資材としての利用可能性を示した。
  • 立田 真文, 関藤 良子
    セッションID: B3-4
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
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    もみ殻燃焼灰を肥料としてリサイクルするためには、もみ殻燃焼灰に含有されているシリカの性状知ることが重要である。結晶化しているか否かは、X線回析、またはシリカの溶解性(%)により判断できる。溶解性分析は、X線回析のように、大掛かりな装置は必要ではなく、どこの実験室でも簡単に測定できる利点がある。しかし、世界的には、この溶解性の指標はあまり用いられておらず、Deshmukh et al(2012)の文献で、Activity Indexとして見られるのみである。本研究では、もみ殻のシリカ溶解性(%)を、もみ殻シリカ利用判断基準となる指標として利用していくために、もみ殻シリカの溶解性(%)と、もみ殻シリカの物性変化の考察を行なった。
  • 水谷 聡, 森本 明香里, 黄 輝頌, 貫上 佳則
    セッションID: B3-5
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
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    鋼を製造する際の副産物である製鋼スラグは,年間1300万トンが発生しており,その98%以上が,環境安全性を確認した上で有効利用されている。有効利用に際しては,有姿の試料を撹拌はねで撹拌混合する試験法(JIS K 0058-1の5)が採用されている。一方JIS K 0058-1には,2mm未満に粉砕した試料を振とうする試験法(JIS K 0058-1の6)があり,土工用として使用されるスラグ等には適用されることもある。両者は試験に供する試料粒径と混合方法が異なるため結果に違いが生じる可能性があるが,製鋼スラグに対する影響は明確にされていない。また試料粒径の影響は,含有量試験(1N塩酸による抽出量)でも生じうる。そこで本研究では,CS-40として利用されている製鋼スラグを粒度分画し,粒径の異なる試料中のフッ素の王水抽出量と含有量,溶出量を調査して,試験条件がフッ素の溶出挙動に与える影響について検討した。
  • 本條 貴之, 落合 浩司, 後藤 智也, 上島 雅人, 肴倉 宏史
    セッションID: B3-6
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
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    産業廃棄物由来の焼却灰をセメント等で固化処理し土木資材として有効利用しようとする際に、しばしばフッ素の溶出が問題になることがある。その際に石膏を添加する事によって溶出が抑えられる場合があり、その原因を明確化する事を目的に実験を行った。フッ素の溶出抑制効果があるとされるセメント二次鉱物のエトリンガイトが、石膏を新たに添加する事によって増加する傾向が見られたので、まず合成エトリンガイトによる不溶化実験を行い、次に実際の焼却灰をセメント固化する際に石膏を添加した場合の不溶化実験を行う事によって確かめた。
  • 佐藤 邦彦, 立野 雄也, 奥山 幸俊, 坂口 貴啓, 近藤 笑加, 肴倉 宏史
    セッションID: B3-7
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
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    木質バイオマス発電は、FIT導入後、全国で計画、建設が進んでいる。なかでも、近年、間伐材等の未利用材や製材端材等の一般木材を利用した発電所の増加に伴い、発生する焼却灰についても増加しており、適正処理及び有効利用が求められている。また、建設廃材由来の焼却灰について、鉛、六価クロム等の重金属が検出される事例報告があるが、自然木由来の焼却灰については、利用時の安全性に関する知見があまり見当たらない。
     そこで、本研究では、自然木由来の焼却灰を自然環境中で再生利用する場合の安全性や有効なリサイクル方法の方向性を検討するために、有害物質の溶出、汚濁水および硫化水素の発生の観点から安全性試験を実施するとともに、物性調査を行ったので報告する。
  • 折橋 健, 安久津 久, 丹羽 忍, 大塚 英幸
    セッションID: B3-8
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
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    木質燃焼灰は、既存の融雪資材である木炭やもみ殻炭と同等の融雪効果があることから、積雪地帯における融雪資材として利用が期待される。本研究では、木質燃焼灰の雪上散布によって生成する融雪水の安全性について、融雪水のpHおよび融雪水に溶出する有害元素の観点から検討した。対象とした木質燃焼灰は、無垢材(塗料や防腐剤等の化学物質による処理を受けていない材)を専焼ボイラーで燃焼した時に得られる灰で、有害元素の溶出量が土壌溶出量基準の30倍以内(Cdは9倍以内、T-Hgは10倍以内)のものとし、雪上散布の条件は、別途行った融雪試験の結果を踏まえて積雪40cm時、20g/m2とした。検討の結果、アルカリ性の土壌上や融雪水が直接河川等の水域に流出する場所での使用を避ければ、融雪水の安全性が問題になることはないと考察された。
  • 高橋 正昭, 武本 行正, 大八木 麻希, スレスタ ラシム バハドウアー, アディカリ ザヤラム, カティ ナビン
    セッションID: B3-9
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
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    内湾には多量の汚泥(ヘドロ)が堆積し、環境悪化の一因となっている。この汚泥が水中の低濃度のリンを吸収する効果があることを見いだした。排水処理剤の開発と汚泥の有効利用を目的として、伊勢湾において採取した湿汚泥を用いてリン除去性能を調べた。リン濃度、1~10mg/L程度の試験水に少量の汚泥を添加し、撹拌・ろ過後のろ液のリン濃度を測定した。汚泥の状況により、30~80%のリン除去性能を示した。汚泥の物性と除去性能の関連を明らかにした。
  • 山下 貴弘, 佐藤 研一, 藤川 拓朗, 古賀 千佳嗣, 市岡 孝夫, 前田 啓太, 井 真宏
    セッションID: B3-10
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
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    2011年に発生した東日本大震災の影響により、火力発電の利用が増加している。その中でも、石炭の燃焼により発電を行う石炭火力発電の利用が増加している 。石炭火力発電により副次的に発生する石炭灰は、年間約1,200万トン発生しており年々増加傾向にある。今後、新規建設減少に伴うセメント需要低下が懸念される中で、FAの新たな有効利用法の開発は急務とされている。そこで、恒久的な新規建設が期待でき年間約7,000万トン生産されるアスファルト舗装材としての利用に着目し研究を行っている 。しかし、FAは重金属類等を含有しており、道路供用後の重金属等溶出に伴う周辺環境への影響が懸念される。本報告では、3種類のFAをAs混合物材料として使用した際の、基本的な力学特性評価とAs混合物からの重金属等溶出について検討を行った結果について報告する。
  • 田村 賢, 甲斐 命
    セッションID: B3-11
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
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    牡蠣殻や漂着海藻の有効利用法を開拓し,水産廃棄物の利用価値を向上させるために,本研究では牡蠣殻粉末や海藻焼却灰が陶器釉薬として容易に利用できるよう,施釉・焼成方法を確立した。ハンマーミルを用いて作製された牡蠣殻粉末が精製されたCaCO3粉末の代替品として釉薬の原料に使用できることを確認し,牡蠣殻粉末と粘土の混合系において,牡蠣殻粉末がすべて粘土と反応し質の良いガラス層が得られる配合割合と焼成条件を明らかにした。粘土(信楽粘土)と牡蠣殻粉末の混合系では牡蠣殻粉末の配合割合が30wt%ものが焼成温度1200 ℃で溶融する。粘土-牡蠣殻粉末-海藻灰混合系を1250 ℃,1 hで焼成する場合,牡蠣殻粉末30wt%,海藻灰5wt%の配合割合のものが釉薬として適している。これを実用品(皿)として造形した素焼き基材の表面に塗布して焼成した結果,高い表面品質を持つ製品が得られた。
B4 下水汚泥・家畜排せつ物の資源化
  • 瀧澤 洸, 石田 泰之, 高野 博幸, 右馬 信一, 道野 三樹夫, 江波 昭一
    セッションID: B4-1
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
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    開発した下水汚泥脱水ケーキ(以下、下水汚泥)の保管技術は、当社埼玉工場で稼動しているAKシステムと同様の好気性発酵の技術を活用しており、下水汚泥と副資材を混合し通気性を改善させた後に堆積させ、下部から通気することで好気性にして腐敗させない点が特徴である。また、通気量を調整し堆積層の冷却効果を持たせることに加え、廃活性炭を添加することで臭気を抑えることが可能となり、高額な脱臭設備を不要とする低コストの設備を実現できる。本保管方法を、敦賀セメント株式会社と共同で2014年より実証を行い、2015年より実機での運用を開始した。本研究の成果について、実証結果を中心に報告する。
  • 石川 志保, 市川 翼, 原 亮一, 北 裕幸, 岩渕 和則, 高橋 圭二
    セッションID: B4-2
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
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    筆者らが検討しているHP/BG併用熱供給システム(以下,提案システム)を乳牛ふん尿BGPシステムに併設し,RE電源の出力変動抑制技術としてみた場合のエネルギー性能評価を行った.提案システムのエネルギー性能評価は年間に亘る発電電力量,熱発生量等の実データを用いてその有効性を定量的に評価した.その結果,提案システムの発電・熱のエネルギーポテンシャルは提案システム無しのBGPと比較して大きく増加する結果となった.また,より詳細なシステム評価とするため,BG実機を用いた機器特性試験も行った.今後,提案システムの有効性について実運用の観点から検証・評価を進めるとともに,提案システムで発生した熱エネルギーを地域の農林業等において多面的かつ有効に利用する実用性の高い“Power to Heat”技術の構築を目指していくことが重要であると考えられ,今後の検討課題としたい.
  • 宮竹 史仁, 時久 夏実, 小野 武仁
    セッションID: B4-3
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
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    戻し堆肥の混合量が豚ふんの発酵特性,堆肥品質および施設運営に及ぼす影響を明らかにするために,堆肥温度や肥料成分ならびに経営試算を検討した。豚ふん:おが粉:戻し堆肥を1:1:1(体積割合)に混合させた試験区は,55℃以上の温度を連続9.9日にわたり持続させた。この高温の持続は大腸菌群を死滅させ,安全な堆肥生産をもたらした。さらに,この高温の持続により堆肥化過程での水分蒸発を促進させ,高い乾燥効率が得られた。一方,おが粉のみで水分調整された試験区は,55℃以上が1.5日であり,製品堆肥中には3.2×105 cfu• g-ds-1の大腸菌群数が検出された。肥料成分は,戻し堆肥の混合量が増加するほどリン酸やカリウム,亜鉛,銅の濃度が1.4~2.4倍上昇した。経営分析は,戻し堆肥を多く使用した1:0.5:2の試験区で多大な経済効果を示しが,1:1:1の試験区では,省力的管理が可能であることを示した。
  • 柏谷 有人, 小林 信介, 板谷 義紀, 増井 龍也, 名和 博之, 坂東 芳行
    セッションID: B4-4
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
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    経済の発展により毎年大量の産業廃棄物が発生しており、その中でも畜産系廃棄物などの高含水率バイオマスは全体の約6割以上にも及ぶ.そのため,高含水率バイオマスを再生可能エネルギーとして利用することの期待は高まっている.一般的に堆肥化では発酵に伴い,高温状態になるが,その熱エネルギーは使用されていない.堆肥発酵熱を有効活用することで,有限資源の使用量を低減できることから,堆肥化発酵熱の熱回収に注目している.また、熱回収後の堆肥を肥料として使用することができる点がメリットである.しかし、効率的な熱回収装置が未開発であることから、発酵熱の熱回収は困難であるため,熱回収を効率よく行うことのできる条件は定かではない.そこで,堆肥化における熱エネルギーをより効率よく回収する条件を調べるために空気や水の流量を変えることで,堆肥物の温度変化および熱回収量を計測し,熱回収に最も良い条件を検討した.
  • TOUCH NARONG, 永間 健太郎, 岡部 麻菜香, 日比野 忠史
    セッションID: B4-5
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
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    水域に堆積する汚泥(堆積泥)には豊富な栄養と有機物(約10~30%)が含まれる.しかし,一旦海上に上げられると廃棄物として取り扱われ,その処理には膨大なコストと処理場の確保が必要とされる.堆積泥処理の将来性は乏しい状態にあり,再利用が望まれるが,多くの課題が残されている. 本研究では太陽電池を併用した微生物燃料電池技術を用いて堆積泥で通電を行い,農業土壌有機成分への通電した堆積泥の転用可能性を検討した.小松菜栽培実験結果から,処理泥は農業土壌有機成分として利用できることが明らかになった.本技術による通電は植物成長を阻害する硫化水素を除去,植物成長に必須な鉄イオンを増加させるため,処理泥は植物の成長を補助する働きがあると推定される.
  • 小山 光彦, 長尾 宣夫, Syukri Fadhil, Rahim Abdullah Abdul, Kamarudin Mohd Sall ...
    セッションID: B4-6
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
    会議録・要旨集 フリー
    コンポスト化の過程において、有機態窒素の分解によって生じるアンモニアガスを微細藻類培養の窒素源として利用することにより、病原菌や重金属を含まないクリーンな窒素源として医薬品・化粧品・健康食品の原料となる高付加価値物質を生産する微細藻類の大量培養に応用することが期待される。本研究では、有機性汚泥のコンポスト化におけるアンモニア回収効率の向上を目的として、消石灰の添加時期ならびにpH条件がコンポスト化過程に及ぼす影響について評価した。消石灰添加により汚泥コンポストからのアンモニアガス発生量は顕著に増加したが、コンポスト中のpHは消石灰添加直後に速やかに元の値に戻り、微生物活性への阻害は見られなかった。またこの効果は添加時期によらないこと、さらにpH11と12ではpH10に比べて効果が大きいがpH11と12では大きな差がないことが分かった。
  • 井上 大介, 成井 貴祥, 黒田 真史, 惣田 訓, 池 道彦
    セッションID: B4-7
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
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    本研究では、国内の下水処理場で採用されている6種類の二次処理方式(CAS、AO、A2O、OD、SBR、MBR)を対象として、統計データ及び嫌気性消化試験結果に基づき、メタン生成ポテンシャルの評価をするとともに、メタン生成ポテンシャルを構成する汚泥転換率及びメタン転換率に影響する要因について検討した。その結果、CAS、AO、A2Oは、汚泥転換率とメタン転換率がSBR、OD、MBRよりも高く、それらよりも非常に高いメタン生成ポテンシャルを示した。SBRとODは、メタン転換率はそれほど低くはないものの、自己消化の進行によって汚泥転換率が低いことが明らかとなった。また、MBRは、汚泥転換率とメタン転換率がいずれも低く、さらにVS/TS比も低いため、対象とする処理方式の中でメタン生成ポテンシャルが最も低いことが明らかとなった。
  • 小島 啓輔, 加藤 雄大, 隅倉 光博, 川口 正人
    セッションID: B4-8
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
    会議録・要旨集 フリー
    下水汚泥や畜産糞尿などの有機性廃棄物は、再生可能エネルギー源の1つとして注目されており、その中に含まれるエネルギーを回収し利用することが進められている。本報では、汚泥中に存在している未利用の窒素成分をエネルギー利用することを最終目的として、汚泥中の窒素成分回収方法(アンモニアストリッピング法、および亜臨界水酸化処理法)の比較を行った。両方法とも汚泥中の窒素成分を回収することが出来たが、低い回収率であった。窒素回収にかかる時間を同程度として窒素回収率を比較すると、亜臨界水酸化処理の方が高い回収率を示した。また、亜臨界水酸化処理では汚泥の種類によって回収量に大きな差異がみられたが、処理時間を短くすることで回収率の向上が期待された。今後は、窒素回収量を最大にするため、汚泥の性状に対する最適な亜臨界水酸化反応条件を見出す必要がある。
  • 押方 杏介, 土手 裕, 関戸 知雄
    セッションID: B4-9
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
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    養豚廃水からのN,P,K同時回収におけるKの回収率を向上させることを目的とし,高いpH条件で回収実験を行った.また,残存濃度の予測と得られた回収物の含有量分析を行った.その結果,P残存濃度が排水基準を満足し,N,Kの平均回収率が高くなる条件はpH=10.5, P/(N+K)=1.3, Mg/P=1.2であった.このときのK回収率は81%であり,これまでの最適条件でのK回収率45%を36ポイント向上させることができた.Kspを修正し濃度予測を行った結果,P, K, N, Mgともに残存濃度の予測精度を向上させることができた.回収物中の化合物はMAPの1水和物のみ同定された.肥料に必要なP, N, K含有量の最小量を満たし,K2OとNの平均含有量が最も高い条件はpH=10, P/(N+K)=1.5, Mg/P=1.2であった.
  • 赤松 亮介, 伊藤 みさご, 倉橋 健介, 徳山 仁守, 山崎 正憲, 奥野 忍, 山口 幸和, 大江 真道, 赤松 亮介
    セッションID: B4-10
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
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    大阪府立大学は、馬術部から多く馬糞が排出されるが、そのほとんどが未利用となっている。これらを場外処分すると、収集、運搬により大量のエネルギー消費と二酸化炭素の発生を伴う。そこで、馬糞を堆肥化し、水稲育苗培土として利用することを考えた。本実験では、まず、馬糞の最適な堆肥化温度を求めた。その結果、馬糞堆肥は50℃以下で堆肥化することが望ましい。それ以上の温度で発酵させると、嫌気的条件になりやすく、また、硝酸イオンが蓄積しやすくなる可能性が示唆された。次に、馬糞堆肥を水稲育苗培土として用いて実証試験を行ったところ、市販の育苗培土で育てた苗と変わらない成長及び収穫量であった。さらに市販育苗培土で育てた苗よりも発芽率がよく、病気に強い苗になることが分かった。また、植物表面の菌叢が土壌と類似していたことから、土壌の菌が植物表面に伝播し、病気を防いだのではないか考えられる。
  • 高橋 正昭, 武本 行正, 結城 英二, 寺沢 爵典, 大八木 麻希, スレスタ ラシム バハドドウアー, アディカリ ザヤラム, カティ ...
    セッションID: B4-11
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
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    水中のフッ素除去処理材としてカルシウム系の化合物が使用されている。しかし、フッ化カルシウムの水溶解性から、低濃度のフッ素除去性能に課題がある。この為、リンを含む各種除去剤が開発されている。下水汚泥焼却はから回収したリン酸アルミニウムとごみ焼却灰を組み合わせたものが高いフッ素除去性能があることを見出したので、適切な調合方法を検討した。
  • 西村 和之, 井藤 知里, 﨑田 省吾, 國田 丙午, 徳岡 誠人, 伊藤 純樹, 大森 誠紀, 原田 美穂子
    セッションID: B4-12
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
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    本研究では、肥料化の過程の各種の腐熟度の変化、微生物叢の変化と得られた有機性肥料の肥効性について、発酵プロセスの条件を変えて調べた。 腐熟度指標であるCECや我々が提案しているMVOCsの挙動によって、発酵槽内の腐熟度の変化を把握することができた。それらの腐熟度に影響を及ぼすプロセス条件は、有機物の質や量と通気量であった。次世代シーケンスにより、発酵槽内の微生物叢の変遷を調べると、腐熟度指標と同様に、有機物量や通気量によって変化することが確認された。発酵槽内の微生物叢に最も大きな影響を与える要因は、通気量であることが示された。コマツナの栽培試験によって、有機性肥料の肥効性を調べた。本研究で検討した有機性肥料化プロセスを用いて得られた有機性肥料は、副資材の質、有機物負荷量や通気量などのプロセス条件に関わらず、コマツナの栽培には影響を及ぼさず、化学肥料と同等の肥効性を持つことが示された。
  • 佐藤 邦明, 熊﨑 大地, 池田 有希, 増永 二之
    セッションID: B4-13
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
    会議録・要旨集 フリー
    地下水の硝酸汚染が問題となっており,その原因の一つに農地からの肥料成分の溶脱がある。本件では,農地からの窒素溶脱抑制を目的に炭化物による土壌改良試験を実施した。硝酸吸着能を高めた竹炭を土壌へ混合し,窒素施肥量を変えたコマツナ栽培を通して硝酸態窒素の溶脱や収穫量に与える影響を評価した。また,粒径の異なる木炭を砂質土壌へ混合し,栽培試験を通して溶脱水や植物体を分析することで保水性や保肥性への影響を調査した。硝酸吸着能を持つ竹炭を土壌に施用することで従来の量よりも少ない肥料で植物体が大きく成長し,肥効率も上昇することがわかり,硝酸の溶脱抑制効果だけでなく施肥量の低減にも寄与できると考えられた。砂質土壌での炭化物による保水改良試験から,粉に比べ粒状炭の方が保水性改良効果は高く,砂質土壌のような保水・保肥能の低い土壌に対しては,硝酸吸着能を持たせた粒状炭の施用が有効であると示唆された。
B5 メタン発酵(1)
  • 甲斐 穂高, 中道 隆広, 石橋 康弘
    セッションID: B5-1
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
    会議録・要旨集 フリー
    筆者らは、微生物が産生する酵素と有機物の熱分解作用を利用した生物学的可溶化処理技術を用いてバイオマス資源のメタン発酵技術に取り組んでいる。バイオマスの可溶化が促進されるとメタン発酵の効率が上がることから、より可溶化能力が高い微生物を用いることで、メタン発酵の効率はさらに良くなる。本研究では環境中から可溶化技術に適した新規微生物の探索を行っており、これらの微生物の可溶化能力を評価している。実験の結果、新規微生物MU10とMU11は、既往研究微生物MU3と同様のタンパク質分解能力があることが示唆された。また、MU10は可溶化処理6時間において有機物を分解する能力が高いことが示唆された(P<0.05)。さらに、可溶化処理30時間経過の結果から、MU10とMU11はMU3より有機物可溶化能力が高いことが示唆された。
  • 長谷川 剛史, 徳本 勇人, 吉良 典子, 國木 政徳, 西村 浩人, 宇野 愛, 田中 朝都, 中野 憲一, 清瀬 章規, 林 俊介
    セッションID: B5-2
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
    会議録・要旨集 フリー
    メタン発酵は、廃棄物に含まれるバイオマスのエネルギーへの転換方法として有望な技術のひとつであり社会に実装されている。しかしメタン発酵は、複合微生物系の反応であるため、ひとたび系内の微生物叢バランスが崩れると回復が困難である。そこで本研究では、メタン発酵の微生物叢データを利用して酸敗状態への移行を予見することを目的とした。微生物叢データの多変量解析により明らかとなったのは、以下の2点である。
    i) 異なる運転状態の高温乾式メタン発酵液の微生物叢は、主成分分析で異なるクラスターとして検出できる。
    ii) 微生物叢データの主成分分析により、酸敗状態への移行を予見できることが示された。
  • 前川 拓也, 藤田 穣, 小山 光彦, 中崎 清彦
    セッションID: B5-3
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
    会議録・要旨集 フリー
    メタン発酵は有機廃水を浄化し、その処理過程でエネルギーを回収することができる優れた技術として、注目を集めている。メタン発酵の方法は様々な種類の有機廃水に適用可能で、中でも有機廃水中の油脂は、その組成の大部分が炭素と水素で構成されていることから、メタン発酵の原料として適している一方で、油脂を含んだ廃水は微生物処理が困難であることも、また、よく知られている。本研究では、油脂を含む合成廃水を用いてメタン発酵の油脂分解馴養過程における油脂の分解と微生物叢変化の係わりを明らかにした。油脂の負荷を段階的に増加させたところ、油脂分解が促進されて、油脂由来のメタン発生速度は0.76 L/d付近の値で一定になった。また、馴養過程に出現する特徴的な微生物として4種類のバクテリアと2種類のアーキアの存在を確かめた。
  • 中西 裕士, 大隅 省二郎, 藤井 岳, 佐竹 純一郎, 高橋 亘, 酒井 伸一, 矢野 順也
    セッションID: B5-4
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
    会議録・要旨集 フリー
    食品リサイクル法施行により、食品工場等から排出される食品廃棄物のリサイクルが進んでいる。リサイクルに当たり食品廃棄物の性状、地理的要因、環境性、経済性等を総合的に判断した場合、飼料化や堆肥化,あるいはオフサイト集中バイオガス化処理よりも,オンサイトでバイオガス化してエネルギー利用したほうが経済性,環境性で有利である場合もある。しかしながら既存のバイオガス化装置は10t以上の食品廃棄物を処理することで経済性が成り立つよう設計されており、500kg-1t程度の小規模では経済的理由からバイオガス化の導入は困難であると言われている。そこで小規模でも経済性の成り立つ装置として汎用の浄化槽を転用した小型バイオガス化装置を開発した。本発表は、小型バイオガス化装置を食品工場内に設置し実証実験を行った結果について報告する。
  • 久保 智子, 松浦 真也, 西川 奈緒美, 橋本 典嗣, 前川 明弘, 甲斐 穂高
    セッションID: B5-5
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
    会議録・要旨集 フリー
    地球温暖化対策の一つとして、未利用資源を利用したメタンガス発酵によるバイオガス発電がある。本研究では、未利用資源である食品系廃棄物の利用を想定し、食品系廃棄物と畜産系消化液の混合液による中温メタン発酵を行った。食品系廃棄物として、魚とまんじゅう、および廃棄物を想定した市販の玉子と里芋を用いた。これらの食品系廃棄物から約11~16Lのバイオガスが発生した。バイオガスに含まれるメタン割合は、時間とともに上昇傾向を示し、さらに食品に含まれるCODCrは発酵前後で76-96%減少していることから、投入した有機物は消化されバイオガスとなっていることが示唆された。また、発酵施設や発電施設を腐食する恐れのある硫化水素について評価を行った。pHの影響について考慮する必要があるが、食品系廃棄物の総硫黄量と硫化水素の発生量に有意な正の相関関係が認められた。
  • 佐藤 昌宏, 三宅 琢, 藤山 淳史, 石井 一英, 島田 克也, 古澤 昭人, 吉里 尚子, 堀江 啓史
    セッションID: B5-6
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
    会議録・要旨集 フリー
    メタン発酵残渣を液肥として散布できない地域では、水処理に変わる有効利用が求められている。そのため、微細藻類の培養液としての利用に着目し、TN(全窒素濃度)と透過率(1㎝、684 nm)に関する培養条件を検討した。固液分離された消化液の液分を5~100倍に希釈しバッチ培養試験を行った結果、培養液の蛍光強度から算出される対数増殖の傾きは、50倍希釈液(TN:54 mg/L、透過率:25.9%)で最も大きかった。20倍希釈液(透過率:4.8%)でも同程度の増殖が見られたが、馴化期間が10日と長く、50倍希釈が培養に適していると言えた。50倍希釈液を用いて連続培養を行った結果、入替後1日目で藻類は増殖したが、その比増殖速度(1/d)は0.2~0.6と小さく、2日目はさらに低下した。窒素濃度は低下しておらず、りん等の栄養塩律速や藻類密度上昇が原因と考えられ、今後、最適な入替条件を検討する必要がある。
  • 落合 知, 石垣 智基, 鈴木 隆央, 石井 一英, 山田 正人, 大迫 政浩
    セッションID: B5-7
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
    会議録・要旨集 フリー
    捕獲鳥獣の適正処理方法の一つとして、既存焼却炉への投入が検討された。その前段において、大型鳥獣については高温発酵処理により減容化することで炉へ円滑に投入することが可能である。本報は捕獲鳥獣の高温発酵処理において処理を担う高温微生物の挙動を解析し、処理反応を理解することを目的とした。イノシシの高温発酵処理実験を行い、その過程での高温菌数の計測および高温菌の取得、同定解析を行った。高温発酵処理実験では木くず、牛ふん、牛ふん堆肥を混合した発酵床中にイノシシを埋没させた。処理2週間で45%(w/w)の減容化が確認できた。4週間の実験期間を通して高温菌数は発酵床単位乾燥重量当たり108~1010CFU程度を維持していた。高温菌として15菌株を取得し、各菌株の同定を行った。本報は動物体の高温発酵処理の主体となる微生物群集の系統分類に関して初めて報告するものである。
  • 釜田 陽介, 阿部 剛士, 谷 直人, 富永 一樹, 佐藤 淳
    セッションID: B5-8
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
    会議録・要旨集 フリー
    近年、温室効果ガスの削減及び自国エネルギーの確保を目的としてバイオ燃料の導入が望まれている。BTL(Biomass to Liquids)技術は、食料と競合しない非可食のセルロース系原料を用いて、[1]ガス化→[2] FT合成という二段階の熱化学処理により軽油等の炭化水素バイオ燃料を製造できる第二世代技術の一つである。本報では、第二工程のFT合成技術の開発を目的として、鉄系触媒を用いたFT合成の基礎試験、フィールド試験を行った。基礎試験では反応温度、H2/CO比を変えた条件での反応特性を把握した。フィールド試験では、72時間の定常運転を行い、油の製造を実証した。
  • 釜田 陽介, 阿部 剛士, 倉田 雅人, 森田 崇聖, 佐藤 淳
    セッションID: B5-9
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
    会議録・要旨集 フリー
    近年、セルロース系の非可食バイオマスを原料としたバイオ燃料の開発が求められている。BTL(Biomass to Liquids)技術は、非可食バイオマスを[1]ガス化→[2] FT合成という二段階の熱化学処理により炭化水素燃料に転換できる技術である。そこで、本報では、第一工程のガス化技術の開発を目的として、農業系、木質系バイオマスを対象とした水性ガス化に関する基礎試験、1 t/日プラントを用いたフィールド試験を行った。基礎試験では水蒸気添加、温度、バイオマス種の影響を把握し、フィールド試験では、もみ殻を原料として約78時間の安定した定常運転を行い、ガス化率90%、冷ガス効率61%の結果を得た。
B6 メタン発酵(2)
  • 長田 そら, 李 玉友, 北條 俊昌
    セッションID: B6-1
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
    会議録・要旨集 フリー
    近年、循環型社会の形成や再生エネルギーを生産する観点から廃棄物系バイオマスのメタン発酵処理が注目されている。一般廃棄物には様々な種類の廃紙が含まれるが、廃紙の種類によるメタン発酵特性への影響はほとんど報告されていない。
    本研究では紙種類によるメタン発酵特性への影響を明らかにするために、14 種類の廃紙を選んでBMP試験を行い、それぞれメタン発酵特性を検討し、VSおよびCOD分解率を測定した。その上で生ゴミと廃紙の混合発酵によるエネルギー生産効果をケーススタディで試算した。
    多くの廃紙は高い分解率とメタン生成ポテンシャルを示したが、リグニンなどの難分解性物質を含む廃紙はメタン生成ポテンシャルおよび分解率が悪くなり、不織布は分解しなかった。また実験結果を用いて生ゴミと廃紙の混合発酵によるエネルギー生産効果を試算した結果、バイオガス生成量は約2倍になり、エネルギー生産効果は高いと思われる。
  • 藤本 祐希, 熊谷 淳一
    セッションID: B6-2
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
    会議録・要旨集 フリー
    本稿では、廃棄物系バイオマスの有効活用法の一つである都市ごみ乾式メタン発酵技術をより安定化・高度化するための取り組みについて報告する。当社では、3件のメタン発酵施設を建設し、2施設を設計・建設中であるが、実際の施設運転結果に基づいた、破砕選別装置や脱水装置の改善を行った。破砕選別装置については、選別スクリーンの穴径・ピッチ・板厚を最適化することで、選別能力・耐久性を高めた。また、脱水装置は、直列に脱水装置を2段設置するシステムとすることで、バイオガス生成を終えた発酵残さの性状に対応した。さらに、メタン発酵に関する新たな取り組みとして、CO2分離膜を用いた高効率バイオガス発電システムの開発も実施しており、2017年度には模擬ガスを用いた基礎試験を実施した。今後もメタン発酵施設の改善を重ね、都市ごみ乾式メタン発酵のさらなる普及・発展に寄与していく所存である。
  • 坪井 成浩, 松藤 敏彦, 松尾 孝之, カナバル エリザ, 東條 安匡, 黄 仁姫
    セッションID: B6-3
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
    会議録・要旨集 フリー
    現在日本では低炭素社会の実現に向けてバイオマスの利用を行う自治体が増えている。生ごみのメタン発酵もその一つだが、生ごみの分別には収集コストや住民負担の増加などのデメリットもある。一方で混合収集したごみを機械選別によってメタン発酵ごみ(生ごみ、紙)と焼却ごみ(布、プラスチック等)に分けて処理するコンバインドシステムが注目されてきている。本研究では実際の施設を対象としてサンプリング、分析を行い物質収支を調べた。分析項目は含水率、ごみ組成、可燃分、TOC、酸素消費量、BMP(メタン発生ポテンシャル)である。組成ごとに可燃分,炭素量,生物分解性炭素量を求め,水分,組成の選別率のほかに,生物分解性炭素の移行率を推定した。
  • 西薗 賢志, 大下 和徹, 高岡 昌輝, 藤森 崇
    セッションID: B6-4
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
    会議録・要旨集 フリー
    本研究は、生ごみと紙類の混合率を変化させた模擬ごみを用いメタン発酵実験を行うとともに、得られた発酵残渣の脱水特性を実験的に検討した。また、得られた結果を用いて、システムのランニングコストを試算し、厨芥類と紙類の混合比率がシステム全体に与える影響を考察した。この結果、紙類混合比率(乾燥ベース)の増加に伴って、有機分分解率と投入基質体積あたりのメタン発生量が減少した。また脱水実験では、紙類混合比率増加により、発酵残渣の脱水性、固液分離性が高まることが示された。最後にランニングコストを試算した結果、紙類混合比率が増加するほどランニングコストが減少する結果が得られた。コスト試算モデルの感度分析を行った結果、TS分解率、SS回収率がランニングコストに大きく影響を与えたことから、システム導入時には第一に発酵特性、第二に発酵残渣の固液分離性に着目する必要があると考えられた。
  • 藤山 淳史, 石井 一英, 佐藤 昌宏, 髙木 玄, 丑丸 進太郎
    セッションID: B6-5
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
    会議録・要旨集 フリー
    ディスポーザー排水処理システムは、生ごみをシンクの下に設置したディスポーザーで破砕し、地下に設置している排水処理槽で処理するものである。排水処理槽中に堆積した汚泥はバイオガス化によって有効利用できる可能性を有しているものの、槽内では微生物分解により、汚泥の持つバイオガス発生ポテンシャルは低下しており、それは定期回収からの時間が影響していることが把握されている。そのため、汚泥の定期引き抜き前後に計6回の採取を行い、汚泥の性状等について把握した結果、エネルギーポテンシャルの観点から、最初沈殿槽の沈殿物を回収することが効率的であること、今回対象としたディスポーザー排水処理槽では、TSあたりのCODcrは引き抜き後1~2か月でピークを迎え、その後徐々に低下すること、さらに、年に1度の定期回収と比較して半年で回収した場合、約80%のCODcrを含む沈殿物を回収できる可能性があることが示唆された。
  • 孫 晋, 古崎 康哲, 石川 宗孝
    セッションID: B6-6
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
    会議録・要旨集 フリー
    本研究ではメタン発酵の前処理として糖化・エタノール化を導入する効果を検討した。これは、エタノールを回収せずそのままメタン発酵させることが特徴である。反応を通して発生するバイオガス組成は両系とも同じだが、前処理系はエタノール化で二酸化炭素を放出していることから、メタン発酵で得られるバイオガスは従来プロセスよりメタン濃度が高くなることが期待できる。また、エタノール化による炭水化物の低分子化で基質分解性の向上も期待できる。既に回分実験、半連続実験でメタン濃度向上および長期的な運転可能性を確認できたが、前処理を用いることで従来よりも汚泥生成量が減少したため、菌体保持ができる装置での運転を考える必要が出てきた。そこで、研究では本システム実用化の形態の1つとして膜分離型リアクターを提案し、安定した連続運転、および前処理による効果が得られるかを検討した。
  • 北條 俊昌, 類家 渉, 李 玉友
    セッションID: B6-7
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
    会議録・要旨集 フリー
    食品リサイクル法やFIT法の施行により、食品廃棄物を処理する実規模バイオガスプラント数は年々増加している。適正なプラント運営は低炭素・循環型社会の構築,地域の資源循環の促進に大きく貢献すると考えられるがプラント内の物質収支やエネルギー収支等に関する調査・解析の報告例は少ない。そこで本研究では食品系廃棄物のバイオガスプラントにおける運転の高効率化の検討を目的とし、食品系廃棄物を処理しているバイオガスプラントを調査し、現状のプラントにおける物質収支およびエネルギー収支を明らかにした。
    調査の結果、メタン発酵により96.2%の炭素がバイオガスに有効利用されたが、窒素は90.3%が脱水ろ液に含まれ、メタン発酵後段の水処理プロセスで窒素負荷が高いという課題が明らかとなった。また現状ではバイオガスの熱量の28.0%程度の余剰熱が存在し、その熱量は約2.04億kcal/月にのぼると推測された。
B7 分離・回収技術
  • 砂田 達輝, 乗越 晃, 狩野 公俊
    セッションID: B7-1
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
    会議録・要旨集 フリー
    現在政府は再生可能エネルギーの導入・普及を促進し、全国で太陽光パネルの設置が進んでいる。特に固定価格買取制度が制定された2012年以降は、家庭用に加え遊休地等を利用したメガソーラーの設置も進んでいる。これらの太陽光パネルは、今後、耐用年数の経過に伴い大量に廃棄されることとなり、2027年には全国で約117万枚の排出が予測されいる。
     このような中、廃太陽光パネルの適正処理・リサイクルシステムの構築が急務となっている。太陽光パネルのリサイクルシステムのポイントは、一体となっているパネルの構成部材(セル、ガラス、バックシート、アルミ枠)を部材別に分離し各用途のリサイクルを行うことで、特にパネル全体の約8割の重量を占めるガラスのリサイクルを確実に行うことである。
     本研究は、効率的な部材分離方法及び各部材のリサイクル用途・販路に重点を置き、廃太陽光パネルリサイクルシステムの検討を行ったものである。
  • 戸田 明秀, 荒井 辰哉, 福嶋 容子
    セッションID: B7-2
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
    会議録・要旨集 フリー
    2011年の地上デジタル放送移行時に購入したテレビの買い替え需要や2020年開催の東京オリンピックによるテレビの需要促進に伴い、今後、使用済み薄型テレビの回収量は急激に増加すると予測される。薄型テレビのキャビネットやシャーシなど多くの部品には難燃性プラスチックが使用されており、その中でも使用量の多い難燃ポリスチレンのリサイクルは家電業界における重要課題の1つとされている。しかし、長期間使用した難燃ポリスチレンは、物性低下だけでなく、特に難燃性の低下が顕著であるため、耐久消費財に再生利用されていないのが現状である。本研究では、使用済み薄型テレビから回収した難燃ポリスチレンについて、難燃性改善を主としたリサイクル処方の検討を行い、耐久消費財に再生利用が可能な特性が得られたので、その概要について報告する。
  • 牛木 龍二, 恩田 紘樹, 塚本 さゆり, 鈴木 崇, 西村 昇
    セッションID: B7-3
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
    会議録・要旨集 フリー
    これまでに我々は、炭酸カルシウム(CaCO3)が油分含有排水中の油分除去能を有することを報告してきた。そこで本研究では、CaCO3系バイオマスであるカキ殻および卵殻の油分除去能について検討するため、蒸留水に対し、n-Hex値が4000mg/Lとなるように劣化米油を添加した模擬排水1Lにカキ殻および卵殻を10g添加したところ、16時間経過時点でいずれも活性汚泥処理槽の安定な運用が可能な800mg/Lよりも低くなり、フロックの形成も確認された。また塩化カルシウムを模擬排水へ添加した場合でも同様にn-Hex値の低下とフロックの形成が見られたことから、カキ殻および卵殻の添加による油分除去効果は、カルシウムイオン(Ca2+)の溶出による油分の凝集に起因するものと考えられた。さらに、カキ殻の油分除去速度は卵殻と比較して1.4倍早かったことから、Ca2+溶出速度がカキ殻で高かったことが窺えた。
  • 早津 祥秀, 小林 信介, 板谷 義紀, 加藤 勇治
    セッションID: B7-4
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
    会議録・要旨集 フリー
    旋回式クロスフローを用いた使用後の切削油に含まれるエマルジョンの濾過を行い、濾過速度及び濾過条件を評価した。 実験では、目開きの異なる種々のセラミックフィルターを使用し、エマルジョン粘度も変更した。 旋回式クロスフロー分離の濾過性能を評価するために、濾液に含まれる官能基もFT-IRによって分析した。 セラミックフィルターを用いた旋回式クロスフロー技術によりエマルジョン中の油水分離が可能であり、濾過条件やエマルジョン種に関わらず99%以上の高い分離率を達成することが可能であった。また、処理時間に対する分離率は、処理時間に関わらず高い値で一定値を維持可能であることが明らかとなった。
  • 行本 正雄, 平手 久徳
    セッションID: B7-5
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
    会議録・要旨集 フリー
    廃プラスチックの機械選別装置では、消費エネルギーの削減や小スペースの確保が必要であり、特に水を使った湿式沈降選別装置ではタンクの形状、流体の流速、供給ノズルの角度など設計因子が多くある。本研究では3次元CADによる流体計算を行い、それに基づきタンク形状などを決定後、選別装置を試作した。実験結果は数値計算結果と良く対応し、特にレイノルズ数で整理できた。タンクは3種類提案し、横型と縦型2つで、改良された縦型装置では90%以上の高い選別率が得られ、従来方式に比べ占有面積が半分になった。
C1 焼却
  • 篠 靖夫
    セッションID: C1-1
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
    会議録・要旨集 フリー
    東京都区部の可燃ごみ処理過程において標準燃焼ガスモデルを用いれば、理想ボイラ効率(IBE)は、空気比λとボイラ出口燃焼ガス温度θb,oの関数として記述することができる。しかし、より精確に言えば処理ごみの低発熱量もIBEに関与する因子である。そこで、低発熱量の異なる幾つかの供給ごみによるIBEの変化を計算し、グラフ化した。その結果、都区部における既存の処理施設で現状の可燃ごみを処理する限りにおいて実際のボイラ効率が0.92を超えることがないことが分かった。
  • 梅澤 俊之, 横山 亜希子, 河内 隆宏
    セッションID: C1-2
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
    会議録・要旨集 フリー
    焼却炉の運転において、省力化、燃焼安定化を目的として自動燃焼技術およびクレーンの自動運転技術が発展して
    きたが、ごみの性状が多岐にわたることもあり、未だに人間が状況を監視し、適宜介入することが必要であり、完全
    な自動化にはいたっていない。一方で、熟練運転員は経験からごみピット内のごみの性状を認識し、クレーン操作に
    よる攪拌等により投入するごみの性状を調整することで燃焼を安定化している。
    そこで、近年特に画像認識の領域で発達の著しいディープラーニング(深層学習)を用いることで、ごみピット内に
    あるごみの性状を熟練運転員並みに把握するAI の開発を実施し、特に燃焼に大きな影響を与える部分に関して、熟練
    運転員並みにごみの性状を把握するAI を得ることができた。
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