廃棄物資源循環学会研究発表会講演集
第29回廃棄物資源循環学会研究発表会
選択された号の論文の310件中1~50を表示しています
A1 ごみ発生・排出抑制
  • 花嶋 温子
    セッションID: A1-1
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
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    天神祭は大阪で催される大規模な祭で、毎年130万人以上が訪れ多量のごみが排出される。既報のとおり2016年に現状調査を実施した。さらに2017年には、この問題に係わる多様なステークホルダーが集まり「天神祭ごみゼロ大作戦実行委員会」を組織し、協働でごみの減量活動を実施した。具体的には、エコステーションでの資源やごみの回収呼びかけ、リユース食器の導入、ごみ溜まりを未然防止するための拾い歩きである。対象は祭の全域ではなく一部地域であった。これにより、エコステーションに来場者が持ち込んだもののうち65%を焼却せずに減量化や再使用や再資源化することができた。来場者へのアンケート調査では71%がエコステーションに好意的な回答をした。ボランティアも86%が活動に満足と答えた。呼びかけにより来場者一人一人にごみの行方を意識させることにより、散乱ごみを激減させることができると大規模な祭で実証した。
  • 沼田 大輔
    セッションID: A1-2
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
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    高齢化は特に地方部において進行し、税収も減少傾向にある。しかしながら、1人あたりのごみ処理量が増加傾向にあり、現行のごみの収集・処理の持続可能性に不安を抱える自治体もある。福島県会津美里町もそのような自治体の一つであり、そこでは、可燃ごみがごみの大半を占め、その割合は増加傾向にある。一方、会津美里町は、2町1村が合併することで誕生し、合併に伴い、行政によるごみの分別収集・処理の方法は統一されたが、この旧2町1村で、高齢化の状況は異なる。そこで、本研究では、旧2町1村の単位で可燃ごみの組成調査を同時に行い、高齢化状況と照らし合わせることで、高齢化による可燃ごみへの影響を検討した。その結果、高齢化により、可燃ごみの重量が増加する懸念があること、「未開封・手つかず食品」「剪定枝・木材等」「本・雑誌類」「その他の紙」「きれいなプラ製容器包装」「その他」の可燃ごみへの混入が増える懸念を提起した。
  • 北坂 容子, 佐久間 信一, 中田 良平, 細田 佳嗣
    セッションID: A1-3
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
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    スチール缶リサイクル協会では、自治体の分別収集への取組の現状を把握するため、スチール缶資源化に関するアンケート調査行い、分別処理したスチール缶の量及び不燃ごみからのスチール缶回収量をもとにスチール缶の資源化量を算出している。ただし、不燃ごみからのスチール缶回収量についてのデータを把握している自治体が少ないことから、自治体6ヵ所において収集・処理した不燃ごみに含まれるスチール缶の実態調査を行い、変動の要因について整理した。
  • 瀬口 亮子
    セッションID: A1-4
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
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    ファストフードやコーヒーショップ等で飲み物を購入する際に使用される使い捨てのカップや、イベント会場の飲食ブース等で使用される使い捨ての食器等は、いわゆる「使い捨て品」を象徴するアイテムである。これらは、ライフサイクルにおける資源使用量、温室効果ガス排出量等の環境負荷はリユースされるものに比べ極めて高く、特にプラスチック製のものについては、海洋プラスチックごみ問題の観点からも使用削減の必要性が指摘されているが、レジ袋と異なり、削減のための制度事例は数少ない。本研究はその先行事例として、ドイツ、フランス、韓国の制度を取り上げ、現地でのヒアリング、視察、文献調査に基づき、内容を検証しながら、今後の日本における制度づくりの可能性を考察する。
  • 矢野 順也, 柳川 立樹, 島野 侑加, 浅利 美鈴, 平井 康宏, 酒井 伸一
    セッションID: A1-5
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
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    本研究では家庭ごみの発生抑制可能物の温室効果ガス(GHG)削減効果をライフサイクル分析に基づき定量化した。まず、京都市細組成調査から、家庭ごみ発生量のうち発生抑制可能物を52.5%(240 g/人/day)と設定し、発生抑制行動を紐づけた。機能単位は、「京都市における各製品のサービスを満たすこと」とし、発生抑制可能物がそれぞれ50%抑制された際のGHG削減量を推定した。リユース食器の利用など、代替物が必要な5つの行動については代替物のライフサイクルのGHG排出量も考慮した。結果として、紙類が32.3%を占め最も大きな削減ポテンシャルを持ち、紙おむつの寄与が大きい結果となった。厨芥類(25.5%)は紙類の次に大きい結果となった。合計では15.4万t-CO2eq /yの生産回避効果、ライフサイクル全体では14.5万t-CO2eq /yの抑制ポテンシャルが存在すると推定された。
  • 金子 栄廣, 天野 光
    セッションID: A1-6
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
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    生ごみなどに含まれる水分を減らすことで可燃ごみ量を減らすことが可能である。本研究では,焼却の前段階で,1)生ごみ排出時の水切り,2)生ごみの乾燥処理,3)可燃ごみの乾燥処理,4)生ごみの資源化処理のいずれかを行った場合について,可燃ごみ量,ごみの低位発熱量,ごみ処理経費に与える影響を試算した。その結果,ごみ削減や発熱量向上の面では”可燃ごみの乾燥処理”の効果が最も大きいことが示された。しかし,焼却の前処理として新たな処理施設の建設が必要であり,そのための費用は”可燃ごみの乾燥処理”が最も高く,”生ごみの資源化処理”が安価であることがわかった。
A2 ごみ発生・物質フロー
  • 丹羽 忍, 阿賀 裕英, 山口 勝透, 上出 光志, 山越 幸康, 関根 嘉津幸, 高橋 秀文
    セッションID: A2-1
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
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    富良野市において、RDFの低塩素化のために、性状調査、ごみ分別・RDF製造、燃焼試験を行った。性状調査の結果、主な塩素含有ごみは、包装ラップ、ポリ塩化ビニル製の製品プラスチック等であることがわかった。また、燃焼試験で塩素含有ごみ除去による排ガス中の塩化水素濃度の低減効果を確認することができた。現在、富良野市では、低塩素化されたRDFを温泉宿泊施設等で燃料利用する取り組みを進めている。
  • 中西 翔太郎, 高木 重定, 田崎 智宏
    セッションID: A2-2
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
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    将来的な社会課題として、老朽化した土木建築の解体に伴う廃棄物発生量の増加と、新規建築需要の低下に伴う循環資源需要の低下によって循環資源の需給バランスが崩れる可能性が指摘されている。そこで本研究では、住宅、工場・倉庫、事務所、土木構造物を対象として地域別の建材需要と廃棄物発生量を時系列的に推計するモデルを開発し、循環資源の将来の地域需給バランスを推計した。土木建築以外で発生する主要な非金属鉱物系廃棄物として高炉スラグ、石炭灰、下水汚泥にも着目し、それらの発生量を推計するモデルを併せて開発することで、非金属鉱物系循環資源全体の供給量を的確に推計できるようにした。最後に、対策シナリオを設定し、その導入効果を定量化した。なお、本研究の対象となる建設物の整備実態や高炉スラグ、石炭灰の発生源には地域的な偏りがあるため、分析は日本を10地域に区分した地域別に行った。
  • 高木 重定, 不破 敦, 田崎 智宏, 稲葉 陸太, 河井 紘輔
    セッションID: A2-3
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
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    既報において一般廃棄物に係る自治体レベルの施策導入量(人口規模毎に設定)と国レベルの達成指標との関係を表現できるモデルを開発し、一人あたりのごみ発生量、分別状況、各種取組の導入状況、各施設での処理割合を現状維持とし、人口と就業者数の将来変化のみを考慮した2030年までのBaU(Business as Usual)シナリオを設定して、ごみ発生量や処理量等を推計した結果を報告した。本発表では、さらに検討を進め、市町村毎の推計を可能としたモデルに改良し、いくつかの対策を導入した対策シナリオでの推計を実施した結果を報告する。
  • 山田 正人, 立尾 浩一, 近藤 康之
    セッションID: A2-4
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
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    行政報告である産業廃棄物多量排出事業者報告書、産業廃棄物管理交付等状況報告書、産業廃棄物処理業による実績報告に登載されている情報を用いて、各排出事業所から発生した産業廃棄物の中間処理、最終処分または再利用先までの物流を紐付けし、ある行政区域における産業廃棄物フローの全体像を描き出す、データセットの整備を試みた。
  • 小口 正弘, 橋本 征二, 平井 満規
    セッションID: A2-5
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
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    循環型社会形成推進基本計画においては、物質フロー指標や取組指標を継続的に計測することで、物質フローから見た循環型社会への進展の評価がなされてきた。一方、近年は物質ストックを有効に活用するストック型社会に向けた取り組みも重要となっている。物質ストックの有効活用の一つの方策として、物質を社会の中でできるだけ長く利用することが挙げられる。本研究では、耐久消費財の製品寿命の計測手法を援用した物質利用時間の計測手法を提案し、木材を事例としたケーススタディを行ってその適用可能性を検討した。木材の新材投入から再生利用を経て処分されるまでの平均総物質利用時間は、1980年から2000年において3年程度延長しているのに対し、新材・再生材を問わず投入から排出までの1回使用の平均時間はほぼ横ばいであった。これは、再生材の利用による物質利用時間の延長が反映されたものと考えられ、提案手法の適用可能性が示された。
  • 永瀬 萌, 村上 進亮
    セッションID: A2-6
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
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    日本において、安定的な資源確保は必須課題の一つであり、リサイクルもその取り組みの1つとして進められてきた。しかし、鉱物資源の使用済み製品からのリサイクル率は高いものでも60%程度であり、さらにリサイクル率を上げていくためにはリサイクルフロー全体を考慮した効率化が必要である。そこで本研究では、有価物濃縮を行う中間処理プロセスを中心に前後のプロセスである使用済み製品排出プロセスや製錬プロセスも考慮して、リサイクルフローの最適化することによるフローの効率化を進めることを目的とし、中間処理プロセスデータベースおよびその運用モデルを設計した。

    データベースには代表的な中間処理プロセスおよび研究開発段階にある比較的新しい中間処理プロセスの情報を格納した。運用モデルについては設計およびケーススタディとして小型家電リサイクルフローの機械化に関する検索を行い、効率的なフローが検索されることを確認した。
  • 渡辺 梓, 立尾 浩一, 橋本 征二
    セッションID: A2-7
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
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    一般廃棄物のリサイクル率は近年頭打ちとなっており、減少が観察される自治体もある。この理由のひとつに自治体の処理・再資源化ルートを経由しない未把握の一般廃棄物フローの存在があげられる。本研究では、リサイクル率が減少傾向にある滋賀県を対象に、産業廃棄物の多量排出事業者による報告書を用いて、産業廃棄物として処理された事業系一般廃棄物の排出量・再資源化量を推計し、既存研究におけるその他の未把握のフローと合わせてそれに基づくリサイクル率(真のリサイクル率)を推計した。その結果、2016年度における多量排出事業者の報告は304事業場、うち事業系一般廃棄物に該当する報告をしているのが63事業場であった。その量は2016年度で6,319tであり、報告された木くず、紙くず、繊維くず排出量のそれぞれ約20%、約50%、約2%であった。また、真のリサイクル率は現行のリサイクル率を10数%上回る結果となった。
  • 常光 俊行, 矢野 順也, 片岡 蘭人, 阪本 芳大, 水原 詞治, 奥田 哲士, 酒井 伸一, 浅利 美鈴
    セッションID: A2-8
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
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    本研究では平時・災害時のスプレー缶・カセットボンベのフローとストック変化を明らかにすることを目的に、既報のインターネット調査ならびに新たに熊本地震の被災地域で実施したポスティングによるアンケート調査調査を用いて推定した。その結果、カセットボンベの購入本数は被災地の方が多い傾向を示した。熊本市の廃棄本数は全国の約1.8倍となり、災害時には平時以上の廃棄量を見込んだ対応の検討が求められる。また、使用済退蔵ストックも熊本市が最も多く、使用済みカセットボンベの一部は廃棄されずに家庭内に退蔵されやすい傾向が見られた。スプレー缶の購入本数も被災地の方が多い傾向を示した。家庭内ストックについては、未使用買い置きストックが、使用済退蔵ストックや使用中製品よりも多いことが分かった。平時から分別回収システムを整備しておくことで、こうしたストックを低減させておくことが重要である。
  • 河井 紘輔
    セッションID: A2-9
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
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    SDG 11は今後も人口集中が予想される発展途上国の都市における持続可能性を目標としている。Target 11.6では特に都市廃棄物(MSW)が都市環境に与える影響を抑制することとし、Indicator 11.6.1を用いてTarget 11.6の達成度をモニタリングすることになっている。本研究はIndicator 11.6.1をMSW管理割合と定義し、発展途上国を想定してMSW発生量及び管理量の推計手法を例示することを目的とした。MSWの定義及び境界に関して論じた後に、MSW発生量及び管理量に関して、トラックスケールが存在しない場合など発展途上国の実情に即して推計手法を例示した。より信頼性の高い推計を実施するためにも、現場で実施可能なデータ収集方法を提示する必要がある。
A3 産業廃棄物
  • 谷川 昇, 佐伯 孝, 藤原 博良, 三浪 純子, 村田 智宏
    セッションID: A3-1
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
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    多くの都道府県・政令市は、産業廃棄物処理業者に対して、産業廃棄物の処理実績報告書(以下、実績報告書とする)の提出を毎年求めている。処理業者と都道府県・政令市は、それぞれ、実績報告書の作成と記載情報の電子データ化に多大な労力をかけているが、実績報告書の活用は、都道府県・政令市での廃棄物処理計画策定等の限られた範囲に留まっている。本研究では、貴重な産業廃棄物情報である実績報告書の一層の活用策として、処分業者が受け入れた産業廃棄物の移動距離を計測・解析するとともに、都道府県・政令市が、その結果を処分業者の適正処理指導に適用する可能性を検討した。
    そして、実績報告書の電子化データを用いて作成した受入産業廃棄物量と移動距離の関係のパターン判定から、産業廃棄物の不適正処理行為誘発の兆候発見のスクリーニングが可能となり、実績報告書の電子化データの解析結果が処分業者指導に適用できることを示せた。
  • 藤原 博良, 谷川 昇, 佐々木 基了
    セッションID: A3-2
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
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    医療関係機関等から排出される感染性廃棄物は特別管理廃棄物に指定され、その収集運搬に当たっては、密閉性、収納の容易性、耐損傷性を有する容器に収納し、密閉しなければならないこととされている。環境省のマニュアルでは、感染性廃棄物容器の種類として、プラスチック製容器などが示されているが、医療関係機関等で実際に使用されている感染性廃棄物容器の種類別の使用割合は明らかとなっていない。このため、医療関係機関等のうち、感染性廃棄物の排出量が多く、感染性廃棄物容器の使用量が多いと考えらえる病院を対象に、感染性廃棄物容器の種類別の使用実態について資料調査を行い、その結果から感染性廃棄物容器の種類別の使用状況を推計した。
  • 佐々木 基了, 藤原 博良
    セッションID: A3-3
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
    会議録・要旨集 フリー
    食品廃棄物の適正処理とリサイクル促進、電子マニフェストデータの有効活用の重要性が高まっている。本調査では、食品廃棄物処理に係る電子マニフェストの利用状況を把握し、今後の電子マニフェストデータ活用の参考情報を得ることを目的に、食品リサイクル事業者における電子マニフェストデータの集計を行った。

    調査対象は、農林水産省が公表する食品リサイクル登録再生利用事業者の電子マニフェストデータとし、事業者の電子マニフェスト加入の有無の確認、事業者の電子マニフェストデータから、受託した産業廃棄物の種類、廃棄物の受入量(t)、排出事業場住所、処分場所住所、任意入力項目で処分方法等のデータを集計した。また、一部の事業者を対象に、個別の電子マニフェストデータを確認し、動植物性残さの処理における電子マニフェスト登録内容の特徴を整理した。
  • 佐伯 孝, 谷川 昇, 藤原 博良, 三浪 純子, 村田 智宏
    セッションID: A3-4
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
    会議録・要旨集 フリー
    産業廃棄物管理票(マニフェスト)に記載されている情報を基に、産業廃棄物の排出や処理施設への移動などの実態を把握するとともに、産業廃棄物の移動距離にどのような影響要因があるのかについて検討を行った。産業廃棄物の種類別に移動距離を比較した結果、比較的処理が容易な品目は移動距離が短く、処理が難しい品目は長い傾向にあることが分かった。三重県においてがれき類の移動距離を9地域に分けて比較した結果、伊賀地域から排出されたがれき類の移動距離が長いことが明らかとなった。中間処理業者が処理後のがれき類を県外の処理施設に委託していることが原因の1つとして考えられた。さらに各地域に立地する処理施設の処理能力や引受可能量との関係性が考えられる。
  • 大久保 伸, 松本 亨
    セッションID: A3-5
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
    会議録・要旨集 フリー
    静脈物流の輸送効率化は運輸部門における二酸化炭素排出量に貢献するとともに廃棄物の再資源化や適性処理の確保のために重要な課題である。本研究では、産業廃棄物処理業者の実績データを用いて搬出頻度とロットの関係からモーダルシフト可能量を推定した。その結果、搬出頻度緩和に伴うロット拡大により車両の大型化や船舶へのモーダルシフトされることで、輸送効率度合を示す運搬費用及び二酸化炭素排出量でそれぞれ60%、20%の削減を見込めることを明らかにした。
  • 篠崎 史帆, 﨑田 省吾, 西村 和之, 井上 陽仁, 三上 貴士
    セッションID: A3-6
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
    会議録・要旨集 フリー
    【背景・目的】全国平均と同様に広島県でも産業廃棄物の再生利用量は増加し最終処分量は減少しているが、さらに再生利用率の向上を目指すために、再生利用が進んでいない廃プラスチック類、ガラスくず等、がれき類を検討する必要がある。
    【方法】環境省や各都道府県の報告書を用いて現状を整理した。また広島県の排出事業者を対象にヒアリング調査を実施し3品目が最終処分されやすい理由を整理した。それらを踏まえ有効なリサイクル技術を抽出し、コストや効果を試算した。
    【結果・考察】3品目を再生利用する場合の課題として、廃プラでは塩化ビニルの除去、がれき類・ガラスくずでは分別が困難な細かい残渣類の資源化が必要となる。廃プラの有効なリサイクル技術において、高効率プラスチック材質選別機を導入した時の効果を試算すると、リサイクル率が8.7%上昇することが期待できる。
A4 住民意識・環境教育
  • 鈴木 榮一, 浅利 美鈴
    セッションID: A4-1
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
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    本発表は、社会教育施設における環境学習施設の位置付けと分類を研究することにより、ごみ処理系環境学習施設のおかれている現状を把握し、今後の運営研究の課題や方向性を導くことを目的とする研究である。
  • 堀 孝弘
    セッションID: A4-2
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
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    昨年末の中国の海外廃プラ禁輸処置以降、日本国内のペットボトルリサイクル市場が揺れている。海ごみ問題の深刻さも関心を集め、海外では使い捨てプラスチック用品への規制が始まっている。今こそ、リサイクルより優先度が高いとされるリデュースやリユース(2R)の考え及び行動を広める必要がある。
    報告者が所属する京都市ごみ減量推進会議では、一般市民向けに「おいしいお茶の淹れ方講習」と合わせた「2R茶会」を各所で開催し、ペットボトルの大量消費の見直しを考える機会を設けている。これにより「茶を淹れる」ことが、ごみ減量だけでなく、文化の継承や地場産業の維持などに寄与することを紹介している。
    本報告では、対象を緑茶に絞った理由を述べたうえで、「2R茶会」の成果について、ペットボトルのリデュース意識や、講習と組み合わせたことでの参加者の受容性の向上、茶に関わる事業者や産地などとの事業の発展などについて紹介する。
  • 押谷 一
    セッションID: A4-3
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
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    廃棄物を環境中に放置すると公衆衛生の面で問題が発生する。一方、ごみ処理施設は、社会的に必要な施設であるが、施設周辺住民にとっては、交通公害や汚染物資の漏洩の恐れなどの重大なリスクを発生させるおそれのある迷惑な施設となるおそれがある。迷惑施設は、だれでも利用することのでき、社会全体が便益を受けることのできる、いわゆる公共財(サービス)のひとつである。ところが社会の認識と地域住民の間のリスクに対する認識については重大な齟齬があり、リスクの配分を巡って、深刻な紛争に発展することがある。いわゆるNIMBY(Not in my backyard)である。NIMBYは、社会的な必要性は認めるが、自分の裏庭に立地することは認められないということである。廃棄物施設の社会的な必要性と施設周辺の住民の利益において、社会の多数派の利益が優先されることがなかった点について明らかにしていく。
  • 鈴木 薫, 田中 勝, 河原 長美, 川瀬 啓一, 時澤 孝之, 宮川 洋, 石森 有
    セッションID: A4-4
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
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    処分場は一般的に「迷惑施設」と目されやすく、周辺住民の合意を得ることが難しい施設の一つである。実際に建設までこぎつけた処分場では合意形成のためにどのような取組が行われているか、平成27年度以降に埋立開始もしくは建設中の陸上埋立処分場11か所を調査対象とした調査を行った。その結果、処分場のハード面では、埋立物のリスク管理という本来の目的よりは、周辺住民の安心を得ることを目的としてより堅牢なシステムが選択される傾向にあること、ソフト面では、公募による選定が2ケースで行われており、それ以外のケースでは事業主体が複数候補地を抽出・検討し、かつ最終候補地決定まで選定過程を公開しない方策をとっていた。地元還元策は、事業者選定では道路関係もしくは公民館の整備など基本的な施策を中心に1~3種類であるのに対し、公募選定では、地域の意見を取り入れて多くの施策が実施されていた。
  • 藤本 延啓, 木村 眞実
    セッションID: A4-5
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
    会議録・要旨集 フリー
    本稿では,豊島不法投棄事案の当事者である豊島住民において,不法投棄事案がどのように「問題」として捉えられ,どのように「被害」として受け止められているかということを,史料と豊島でのフィールドワークから整理する.そして,個々の人生を丹念に見ていくという個別的なアプローチが個人の被害の表出につながることを明らかにし,「個別性」に焦点をあてることで個人の被害が明確化されることを論証できればと考えている.
  • 内田 季延
    セッションID: A4-6
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
    会議録・要旨集 フリー
    アスベスト含有製品のように製品利用後に安全性の問題などから使用制限が課され,既存不適格となった製品の広範囲継続利用のリスクを多角的に評価し,人的被害リスクを最小とするために必要な社会システム構築の方策を見出すことを検討している。本報では,高等教育機関における「アスベストに係る問題」に関するアンケート調査に関する第3報として,アスベスト(石綿)に係る講義・講座を行っていると回答した高等教育機関での教育内容の概要と、若年層女性への情報伝達の状況について報告する。
  • 中尾 賢志, 桝元 慶子
    セッションID: A4-7
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
    会議録・要旨集 フリー
    マイクロプラスチックに関する市民の関心は年々高まっていると考えられるが,市民がどういった意識をもっているかはわかっていない。そこで,大阪市内においてマイクロプラスチックに関する啓発イベントおよび講演会・観察会をおこなうとともに,マイクロプラスチックである洗顔料等に含まれるマイクロビーズに関する意識をアンケート形式で調査した。アンケートの回答数は116であった。マイクロビーズが含有されている洗顔料を使用したことがあるかどうかの設問についての回答者が他の設問にどう答えたかを集計し直し,クラスター分析で解析したところ,マイクロビーズについての意識は「慎重なグループ」と「特段の対策は必要ない」とに大きく二分することがわかった。ただし,分析結果において「様子をみるべき」という回答が「特段の対策は必要ない」というグループから独立して存在しており,折衷案を持つ意識グループが存在することがわかった。
A5 廃棄物管理・計画
  • 岡本 拓郎, 荒巻 裕二, 前田 茂行, 鈴木 慎也
    セッションID: A5-1
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
    会議録・要旨集 フリー
    福岡市では,平成25年8月から本格的に小型家電の回収事業を実施しており,現在市内66箇所に回収ボックスを設置している.今回,各ボックスにおける回収量の推移を解析した結果,設置場所の分類により回収量に差があることが分かった.回収開始当初から,回収量が最も多かったのは「複合商業施設」であった.一方,「大学」が最も少なく,「大学」での設置については検討の必要がある.回収量の増加率が高い「駅」では,定期券利用率が高いほうが回収量は多いことから,反復利用の頻度が重要な要因と考えられ,今後,新たな設置場所としては,反復して利用される図書館などが有効と考えられる.また,「公共施設」の各区役所で比較した結果,資源物回収ボックスと併設したほうが効果的であった.
    これらのことから,不特定多数の人が反復継続して利用することを念頭に置き現状のボックス数でも設置場所を見直すことで,回収量を増やす余地が十分ある.
  • 内海 秀樹
    セッションID: A5-2
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
    会議録・要旨集 フリー
    手つかず状態での食品の廃棄について、東大阪市の居宅サービス事業所を対象に質問紙調査を行った(配付数、309件、有効回収数、66件、有効回答率、約21%)。本稿では、手つかず食品を廃棄する原因やこれへの対応について、食品をよく扱っている担当者にたずねた結果を報告する。
     『同じ物を購入』『食べ忘れ』等、居宅サービスの利用者による原因だけではなく、家族が買ってきた食品と重複する等の家族との連携や、単価を下げまとめ売りされているものを購入した方が経済合理的である等、食品の販売単位、介護士の管理不足や調理サービスを含まない契約内容等をあげている回答があることを明らかにした。
     担当者からの働きかけは利用者個々の状況に応じて各々行われ、手つかず食品の廃棄については、ほとんどマニュアル化されていない。また、少数だが手つかずの状態で食品を廃棄することは減少している等の回答があることを明らかにした。
  • 鈴木 慎也, 高田 光康, 沼田 大輔, 多島 良, 立藤 綾子
    セッションID: A5-3
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
    会議録・要旨集 フリー
    本調査研究の目的は,“退蔵物”の実態を明らかにし,適正な排出促進方策を検討することであり,本報告では全国規模の「自治体アンケート調査」により,粗大ごみ,不燃ごみ,家電製品を対象とした取り組みを調査した結果を報告する。その結果,自治体の取り組みについては,粗大ごみを対象に「定期収集制」から「予約制」への変更が進んでおり,予約制を採用した自治体では,高齢者への補助を行ったり,収集した粗大ごみのうち状態のよいものを有償で領布するなどの動きが見られる。一方で,高齢者への補助はおろか粗大ごみ収集自体を行っていない自治体も存在する。個々の自治体の財政事情になどにより,十分な行政サービスを展開できないことも多いと考えられる。
  • 川緑 匠, 藤原 周史, 河合 駿
    セッションID: A5-4
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
    会議録・要旨集 フリー
    A組合は、1市1町4村で構成されており、塵芥処理施設の設置、管理及び経営に関する事務を担っている一部事務組合である。A組合では、既存施設の老朽化にともない、新ごみ処理施設の整備(熱回収施設:120t/日 60t/24h×2炉及び不燃物処理施設:3t/5h)の検討に着手し、平成28年度から平成29年度にかけてDBO方式(Design-Buildperate)による新ごみ処理施設の整備・運営事業(以下、「本事業」という。)を制限付総合評価一般競争入札で実施した。
     本報告では、募集要項のうちの要求水準書と落札者決定基準書で導入した工夫点、最終的な民間事業者から得られた提案内容について報告する。
  • 川嵜 幹生, 堀井 勇一, 磯部 友護, 鈴木 和将
    セッションID: A5-5
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
    会議録・要旨集 フリー
    不燃ごみ中には、内容物の残った化粧品ゴミや医薬品ゴミが混ざっている。そこで、それらの量の把握と埋立地管理への影響について検討した。
    その結果、不燃ごみ中には不燃ごみ重量の数%から10%程度の化粧品ゴミや医薬品ゴミが含まれていることがわかった。また、容器内に残ったそれらの量は、最大で不燃ごみ重量の数%程度であることもわかった。不燃ごみ中に含まれるそれら残渣量が少ないため、溶出試験結果から、埋立地への汚濁負荷に対する影響は低いということがわかったが、化粧品や医薬品中には様々な化学物質が含まれているため、破砕選別処理設備の管理や埋立地管理を考慮すると可能な限り不燃ごみに入らないようにすることが必要である。一方、埋立地への不燃ごみ処理残渣の影響という面からは、2週間程度のエージングが温度の低下およびVOCの放出のために必要であることがわかった。
  • 久保田 利恵子, 石垣 智基, 田崎 智宏, 大迫 政浩
    セッションID: A5-6
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
    会議録・要旨集 フリー
    1990年代後半からのEU埋立指令による廃棄物の最終処分回避、石油燃料価格の上昇対策、地域熱供給源の提供などを目的や、リサイクル技術・産業の未成熟を理由に依然としてSRFを利用している欧州加盟国は少なくない。本研究では、循環経済政策パッケージをはじめとする廃棄物政策ならびに資源循環政策がSRFの製造と利用にどのような影響を及ぼしうるかを論考することとした。SRFの製造と利用に係る既存のルールを参照しつつ、とりわけEUで先行しているEnd of waste基準の適用に着目して検討を行い、その上で、都市廃棄物からのSRFの製造と利用が増加しているアジア諸国におけるSRF政策への示唆を考察した。
  • 鈴木 薫, 多島 良
    セッションID: A5-7
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
    会議録・要旨集 フリー
    超高齢社会におけるごみ集積所管理のサポート手法を検討することを目的とし、その第一段階として、現時点でのごみ集積所管理の実態と課題について文献調査および横浜市へのヒアリング調査を行った。ヒアリング調査から得られた課題を類似性から整理した結果、ごみ出しルールの不徹底と集積所の形態・規模が不適切であることが住民の管理負担を増加や集中をまねき、自治会等の集積所管理の担い手不足が、負担集中に拍車をかけている状況であることが示された。今後の研究の方向性として、ごみ集積所管理の負担を減らすことと、管理の担い手を確保することの両面から、超高齢社会における集積所の問題にアプローチしていく必要性が示唆された。
  • 駒田 智也, 中西 裕也, 仲野 申一, 長嶋 友紀
    セッションID: A5-8
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
    会議録・要旨集 フリー
    三重県では、産業廃棄物の適正処理の確保のため、監視・指導担当による継続的な立入検査をはじめとした監視・指導体制を強化している。この度、強化の一環として、産業廃棄物の不適正処理の是正指導において不可欠である廃棄物量を正確に把握するために、ドローン測量システムを構築した。同システムの構築により、これまでの人海戦術での測量と比べ、正確な廃棄物量の特定を短時間でできるようになり、全体像の把握にも大いに役立っている。さらに、ドローンを活用した測量では労力の軽減が図れ、安全性も向上することから、測量の機動性が高くなり、躊躇することなく積極的に測量を行うことができるようになった。
  • 松井 康弘, 笠井 省吾
    セッションID: A5-9
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では、分別収集に係る基礎データを収集・整備することを目的として、デジタルタコグラフ、GISソフトウェアを使用し、A市Y地区及びX地区を対象としてごみの収集・運搬の作業実態に関する基礎データを収集・解析した。松井は、A市X地区のデータを用いた解析結果を既報1で報告しているが、本研究では解析対象をA市Y地区に拡大し、X地区のデータと合わせて作業効率と地域要因との関連を検討するとともに、運搬・積込・地点間移動・積み下ろし等の工程別の収集効率指標の原単位・推定モデルを構築した。またA市Y地区の可燃ごみを対象に最適巡回ルートを求め、本研究で得られた原単位・推定モデルを用いて一日の総作業時間を区間推定した。
  • 色川 拓斗, 村野 昭人
    セッションID: A5-10
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では、政令指定都市、中核市、地方都市の都市規模別に、生活系ごみ排出量の増減要因の定量化を行い比較した。世帯構成、都市特性、経済社会状況、政策の4つのカテゴリーに分類した変数を用いて分析した結果、すべての都市規模において、単身世帯比率の偏回帰係数がマイナスの値となり、排出量を減少させる要因となる事が分かった。また、有料化の有無はすべての都市規模において有意な変数となった。しかし、政令指定都市では偏回帰係数がプラスの値となり、排出量を増加させる要因になるという、一般的な知見とは逆の結果となった。この理由として、政令指定都市では、有料化を実施している都市は実施していない都市より排出量が多いことが挙げられる。すなわち、排出量が多い都市が、排出量を削減するために有料化政策を導入するケースが多いことが、このような結果につながったと考えられる。
A6 施設整備計画
  • 菅原 秀雄, 小川 稜, 加藤 政一, 小山 俊彦
    セッションID: A6-1
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
    会議録・要旨集 フリー
    清掃工場では高効率のごみ発電の実施により、売電収入の増加とCO2の削減が実現する。一方、大都市圏以外の各県ではごみ発電を行っていない小規模の工場が多い。本研究は鳥取県を対象にして、中継輸送を含んだ清掃工場の統合計画を立て、高効率ごみ発電の実施による経済性の評価を行った。12箇所の工場を鳥取市及び米子市の2工場に集約することにより、現状の費用に対して中継輸送の増加分を含めても、約38%の処理費用の低下が実現する。また、発電量の増加によるCO2の削減量は、ごみ焼却に伴うCO2排出量(バイオマス分評価後)の約37%になり、相当の削減効果を生じる。
  • 大橋 輝, 宮田 治男, 秦 三和子, 村上 友章
    セッションID: A6-2
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
    会議録・要旨集 フリー
    産業廃棄物処理施設は、発電・熱利用に適さない中・小型の焼却炉による単純焼却が多く、次世代に向けたエネルギー利用推進が求められているところである。このような産業廃棄物のエネルギー利用の現状を踏まえ、地域特性を活用し熱・電力需要のある場所に廃棄物エネルギーを回収し活用する施設を設置できた場合の熱利用率の向上と低炭素化効果を評価・検討を行った。具体的には施設近くに大量の熱需要がある場合とない場合について比較検討を行った。

    結果として近くに熱需要工場等がある場合、蒸気を電力変換しないで直接熱利用に帰することにより、発電効率は4.3%低下するものの、発電と熱利用を含めた全体の熱利用率が15.8%向上した。またCO2削減効果は4,732tの増加が見込まれた。

    これらの結果からメタン化施設と廃棄物発電施設を熱需要の見込まれる工場等の近隣に設置できれば、地域の低炭素化に大きく貢献できることが確認できた。
  • 山脇 敦, 円子 聖, 榊原 高志, 瀬戸 俊之, 池田 武史, 土居 洋一
    セッションID: A6-3
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
    会議録・要旨集 フリー
    わが国にとってエネルギーの自立的確保は焦眉の課題であるが、産業廃棄物をみるとエネルギー化が可能なものが最終処分されるケースや、小規模な焼却炉で減量化を目的として単純焼却されるケースが多いなど、資源化は十分には進んでいない。一般廃棄物についても地方の小規模焼却炉ではエネルギー供給がなされていない施設が多いうえ、処理コストが高額になり地方財政逼迫の一因になっている。こうした課題に対応するため、地域の廃棄物を一体的に活用してエネルギー化し地域に還元する地域循環共生型のエネルギーセンターモデルを提案し、人口10万人規模のA市を対象にその適用性を検討した。
     検討の結果、従来型で一般廃棄物焼却炉を更新する場合に比べ、処理コストとCO2排出を大幅に削減できることが試算された。提案モデルは、民間による共同所有を考えたもので、廃棄物の資源化を進め、CO2を削減し、財政支出や排出事業者の廃棄物処理費を抑制する。
  • 橋本 治, 根上 彰生, 金島 正治, 横内 憲久, 三橋 博巳, 赤澤 加奈子
    セッションID: A6-4
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
    会議録・要旨集 フリー
    29年度の研究で、これまで迷惑施設とされてきた清掃工場に対する、工場周辺地域住民の好意的意識の存在を明らかにした。一方、好意的意識は、調査した世田谷地域の地域性による特異値の可能性も考えられた。本研究においては、世田谷区と地域環境の異なる北区北清掃工場周辺におけるアンケート調査を行い、千歳清掃工場と同様に60%を超える住民が好意的な意識を持つことを確認した。
  • 渡辺 洋一, 山口」 純二
    セッションID: A6-5
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
    会議録・要旨集 フリー
    公益財団法人廃棄物・3R研究財団では、廃棄物エネルギーの回収と人口減少を見据えた社会コストの観点から、「中小廃棄物処理施設におけるエネルギー回収に関する調査」を学識経験者と複数のメーカと共同研究事業として昨年後半から実施している。これまでの調査から、中小廃棄物処理施設エネルギー回収に関する課題解消には、生ごみと下水汚泥の混合メタン発酵を含むごみ焼却施設と下水処理施設の連携が効果的であると考えられた。しかし、下水汚泥のごみ焼却施設での混焼の連携の報告例はあるが、生ごみと下水汚泥の混合メタン発酵を含めた連携の事例は少ないのが現状である。そこで、共同研究事業では、混合メタン発酵を含む6つの連携ケースに絞って、3つの調査(①環境性と経済性②技術・法・その他の課題③連携の可能性)を実施している。
  • 渡邊 仁史, 森 智志, 庄司 有理
    セッションID: A6-6
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
    会議録・要旨集 フリー
    近年、し尿・浄化槽汚泥(以下、「し尿等」という。)の処理について、し尿処理施設ではなく、下水処理場において共同処理する事例が増えている。一般的にし尿処理施設は、主処理(水処理)工程の規模をもって施設規模としている事例が多いが、下水道投入を行う場合の処理フローでは、主処理工程を持たない施設が多い。し尿処理施設は、し尿等が車両収集により行われることから、搬入時における必要施設能力、施設稼働日あたりの能力、下水道へ希釈放流する場合の下水道投入量等、いくつかの考え方がある。本稿は、下水道と共同処理するし尿処理施設(し尿等投入施設)の施設規模の考え方について考察した。
A7 LCA・低炭素社会
  • 中久保 豊彦
    セッションID: A7-1
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
    会議録・要旨集 フリー
    ごみ焼却場の更新にあたり、技術的制約でエネルギー回収が難しい中小ごみ焼却施設でのエネルギー回収のあり方が模索されている。本研究では、ごみ焼却場と下水処理場を戦略的に隣接させ、施設間で連携することにより、中小ごみ焼却施設でのボイラ・タービン発電の出力を高めるシステムの設計と評価を行った。具体的には、連携Yケースにおいて、①ごみ焼却場での乾燥汚泥の混合焼却、②ごみ焼却場側からの下水処理場への消化槽加温用熱(温水)の供給、③ごみ焼却場での水冷式復水器の導入と下水処理水の冷却水利用、を対象とした。エネルギー収支解析の結果、2施設(ごみ焼却場、下水処理場)全体でエネルギー自立を図れることが明らかとなった。異なる処理人口下での発電出力の評価結果では、連携Yケースでは人口5.0万人の条件下においても発電事業を維持できる(発電出力1,000 kWを維持できる)可能性が示された。
  • 高橋 若菜
    セッションID: A7-2
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
    会議録・要旨集 フリー
    スウェーデンの一般廃棄物の焼却率は48%である。全ての焼却施設にて熱利用が進められ、地域暖房に使われている。地域暖房の利用拡大も進んでいる。焼却から、どれほど熱エネルギーが回収され、地域暖房に用いられているのか。何故どのように利用拡大は進んでいるのか。本稿では、まず国全体の統計を確認し、スコーネ州北部の事例検証を行った。具体的には、焼却熱利用に関わるアクターの相互関係の分析を行い、近年、焼却熱のDH利用拡大が拡大しているガバナンス上の要件を探った。

     分析の結果、焼却熱のDH利用とその拡大は、ごみ適性処理というよりは、低炭素経済にむけた持続可能なエネルギー戦略の中に位置づけられていることがわかった。一方、アクター分析から、地方分権、新公共経営の拡大、政治主導の環境目標、シビリアン・コントロールといった、スウェーデン特有のガバナンス上の諸条件が、利用拡大の背景にひかえていることが見えてきた。
  • 和泉 昭宏
    セッションID: A7-3
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
    会議録・要旨集 フリー
    日本における、廃プラスチックの有効利用は84%(マテリアルリサイクル(MR)23%、ケミカルリサイクル(CR)4%、サーマルリサイクル(TR)57%)でり、世界的に高い水準にあると考えられるが、ここ数年間、廃プラスチックの有効利用率は微増に留まり、環境負荷削減効果が横ばいで停滞しつつある。本研究では、廃プラスチックの有効利用における環境負荷削減効果改善の可能性について検討した。高い発電効率を有する発電焼却設備設置導入や、複数の自治体による広域活用(大規模化)の促進などにより、高効率の平均発電効率を達成すれば、発電焼却による環境負荷削減貢献量の倍増が見込めることが明らかとなった。
  • 大山 晟弥, 平井 康宏, 矢野 順也, 酒井 伸一, 植田 洋行, 川西 理史
    セッションID: A7-4
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
    会議録・要旨集 フリー
    背景
    現在我が国の温室効果ガス排出・吸収目録において紙ごみ焼却に伴う二酸化炭素排出量を算定している。この算定に用いられる紙ごみの非バイオマス由来炭素割合が現状に即しておらず、改善の余地がある。
    目的
    現在の我が国の実情に即した紙ごみ中の非バイオマス由来炭素割合を推定する。
    方法
    京都市家庭ごみ細組成調査により採取した紙ごみサンプルのpMC、炭素含有率、カルシウム含有率を実測し、また文献により紙の構成物の化学組成を調査することで、12C・14C・カルシウム・pMCに関する方程式を立式した。これを解くことで、紙ごみ中の非バイオマス由来炭素割合を推定した。
    結果
    非バイオマス由来炭素割合の現行値が1%であるのに対し、本研究では5.7~7.0%と推定した。
    結論
    現在採用されている紙ごみ中の非バイオマス由来炭素割合は過少である可能性が高い。全国的な調査等により、値の更なる精緻化を図ることが求められる。
  • 岡田 和樹, 立花 友麻, 小林 信介, 板谷 義紀, 神谷 憲児, 伊藤 拓美, 大木 博成
    セッションID: A7-5
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
    会議録・要旨集 フリー
    下水汚泥は、カーボンニュートラルなエネルギーとしての利用が期待されている。しかし、下水汚泥の含水率は80%以上と高く、燃料として利用するためには乾燥が不可欠である。乾燥には化石燃料を用いた強熱乾燥が一般的なため、大量のエネルギーを消費するとともに高額な設備コストがかかり、燃料としての利用が進んでいない。よって、このプロセスを低コスト化する汚泥の乾燥技術が求められている。乾燥を促進させる技術としては乾燥促進剤の添加があるが、これまで汚泥に適用された例は無く、定性的には汚泥に対して樹脂を添加することが乾燥速度の向上に効果があることがわかっている。しかし、乾燥促進剤の添加が乾燥に与える影響や添加における汚泥の乾燥メカニズムや、最適な乾燥条件は明らかになっていない。本研究では樹脂乾燥促進剤が汚泥の乾燥に与える影響を調べ、乾燥促進剤を添加した汚泥の乾燥メカニズムを解明することを目的とした。
  • 王 柯樺, 中久保 豊彦
    セッションID: A7-6
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
    会議録・要旨集 フリー
    現在、中国では都市人口の増加、生活レベルの向上に伴い、都市生活ごみの排出量が大幅に増加している。中国は23省級行政区、5自治区、4直轄市、2特別行政区によって構成され、各地区の経済状況、行政の政策判断などの違いによって、都市生活ごみの衛生処理状況も異なる。本研究では、中国における都市生活ごみ衛生処理方式の現況を把握した。東部地区を除く地区の衛生処理方式の主体は埋立である。次に、西北地区の陝西省西安市を対象とし、埋立処理方式の比較評価を行った。現状のごみ組成では準好気性埋立+LFG回収・燃焼(B-1)の温室効果ガス排出量が最も小さい推計結果が得られた。
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