South Korea, which has implemented advanced food waste separation and recycling policies, is once again entering an era of great change. This study aims to examine the international community's discussions on food waste and food waste management policy trends in South Korea, and to discuss the meaning of food upcycling and the limitation and challenges of existing ‘waste’ policies. Depending on the generation source, it can be represented in two ways: strengthening biogas and food upcycling. Food upcycling policy should be further strengthened not only to reduce food loss and waste, but also to foster new eco-friendly industries. To this end, it is necessary to reorganize recycling methods and the standards for evaluating circulating resources so that existing waste policy is suitable for food upcycling. In addition, it is necessary to develop indicators that can evaluate the environmental performance of food upcycling and database on food byproducts and the demand.

ごみ焼却設備のボイラに付随する火炉耐火壁の健全性確認は、目視と打音検査にて行われている。特に打音検査は、聴音判定だけの手軽さから広く普及しているが、広範囲の大規模な検査では仮設足場に多くのコストを要するとともに、判定基準が属人的である等の課題がある。今回、三菱重工環境化学エンジニアリングは桐蔭横浜大学と共同し、それら課題の解決が期待できる非接触音響探査（NCAI法）法について、模擬欠陥を付与した供試体ならびに実機耐火物を対象に，内部欠陥の識別性能を検証した。そこで本稿ではNCAI法による検査技術および検証結果について報告する。

清掃工場は、過去の深刻な公害問題などにより迷惑施設とされ、工場立地によりその周辺地域の地価は下落するとされてきた。「清掃工場立地により地価は下落する」という社会通念について、東京２３区の目黒工場、渋谷工場の立地による工場周辺地価変動の調査を行い地価下落の有無を明らかにした。

ごみ焼却施設では、計画外の機器の動作停止を可能な限り減らすために、定期的な保全作業を行っている。しかし、定期的な保全作業を実施したとしても、計画外の機器の動作停止は避けられないことがあり、飛灰搬送コンベアでの灰詰まりはその一つである。もし、コンベアの灰詰まりを予兆検知できれば、あらかじめ解消作業の人員確保や器具の準備ができ、復旧作業時間の短縮につなげられるなどメリットがある。本開発では、コンベアの灰詰まりで引き起こるトルクリミッタの作動の予兆検知について取り組んでいる。

　コンベアのモーターの電流値を計測し、周波数成分から予兆検知アルゴリズムを構築した。

　10回のトルクリミッタ作動を1 ~ 180秒前の間に予兆検知した。内訳としては、1~60秒前が７回、61 ~ 120秒前が２回、121~180秒前が１回であった。また、実際は非作動にも関わらず、作動と予兆検知した回数は13回であった。

本研究では、2050年の京都府を対象として、コスト・エネルギー消費量に関する混合整数計画問題を解くことで、中継施設、ごみ焼却施設の最適配置を求めた。また、これを基に、広域化や中継輸送方式導入の効果を評価した。結果、ごみ焼却施設は現状の16施設から、コスト最適の場合3施設、エネルギー消費量最適の場合2施設に集約された。現状から中継施設導入なしの広域化をすることで、コストは約25％削減、エネルギー産出は約179％増加し、さらに中継施設を導入することで、コストは約0.4％削減、エネルギー産出は約7％増加することが示唆された。

Sri Lanka faces significant challenges in managing Municipal Solid Waste (MSW), due to rapid urbanization and population growth, inadequate infrastructure, and limited government resources. The surge in population and urbanization has led to a significant increase in waste generation, yet its effective management remains elusive. The overall collection efficiency is just 27%, with no 100% coverage in all 25 administrative districts in the country. While economic growth has spurred urbanization, it has also laid bare the stark disparities in waste collection services between urban and rural areas. Despite the need for research, limited studies have investigated waste collection disparities. This study explores this comparison, analyzing the practices, challenges, and potential solutions for both scenarios. The study's findings provide fact-based information about performance, enabling policymakers to make data-driven decisions for a sustainable MSWM through improved collection coverage.The study area encompasses the entire island, with HHs as respondents. Data collection used a structured questionnaire and an online survey company's monitoring service.Sri Lanka’s urban rural waste collection disparity is a complex issue demanding immediate attention, thus, a multi-pronged approach is necessary by strengthening local authorities, promoting community participation, and addressing the specific challenges of communities.

The implementation of river waste traps and temporary storage sites in Jakarta, Indonesia, has been crucial for managing waste in its waterways. However, the system’s effectiveness relies heavily on efficient river waste collection and transportation. This research aims to provide insights into further optimizing the river waste collection and transportation process, thereby enhancing the overall efficiency of the river waste management system. GIS-based documentation through iterative data cleaning of government-provided spatial information on river waste traps and temporary storage sites was followed by sets of algorithms to create the transportation road and calculate the distance covered between facilities. Facing recurring fluvial and coastal floods, Jakarta ensures a swift removal of riverine waste and flood debris by deploying 1,130 waste traps and nine temporary storage sites that highly correspond to the area of water bodies within Jakarta’s administrative cities. The uneven distribution of these facilities has led to overlapping coverage areas, resulting in one facility covering 3,059 km for transportation, while others averaged 279 km. This highlights the necessity for optimization. Transporting river waste to a nearby facility is expected to mitigate social issues, foster a more cooperative and supportive environment, and reduce transportation costs.

災害廃棄物の処理計画などの策定には、災害廃棄物に含まれている可燃物、不燃物の割合などの組成情報が必要となる。組成情報は、復旧作業状況に応じて、その都度変化する。そこで筆者らは、仮置場に集積される災害廃棄物の組成分析を随時、迅速に実施することが可能な近赤外線領域のスペクトル情報に着目した推計手法の開発に着手した。仮置場に長期間保管される災害廃棄物は、劣化し、性状が変化することが想定され、組成推計への影響が懸念された。そのため、本研究では、長期間屋外で素材を暴露し、表面が劣化した素材のスペクトル情報の変化や推計結果への影響を確認した。紫外線等の劣化により木くずのスペクトル情報に大きな変化があり、組成推計結果は、紫外線等により劣化した木くずを不燃物と誤判別する結果となった。対処方法として、教師データを紫外線等で劣化した木くずのスペクトル情報を用いた推計を追加することで誤判別を回避できた。

大規模災害発生後、仮置場等に集積された災害廃棄物の組成情報は、現状では経験則やサンプリングによる方法で行なわれており、効率的・定量的に対象物量を把握できていない。そこで、筆者らはハイパースペクトルカメラで撮影した近赤外線領域のスペクトル情報を基に組成を推計するツールの開発を行い、一定の精度で組成の推計を行う方法を提案した。しかし、推計に使用する近赤外線領域のスペクトル情報は、災害廃棄物の表面の水分量により変化し、推計結果に影響が生じる可能性がある。そこで、素材別に、浸漬時間及び乾燥時間によるスペクトル情報への影響を把握する試験を実施した結果、災害発生後の廃棄物の浸漬状況、仮置場の天候等によりスペクトル情報が変化する可能性が示唆された。また、推計ツールの判別結果に影響を与える場合があることが明らかとなった。今後、素材表面の水分の影響を考慮して推計ツールを改良予定である。

近年、大規模自然災害発生時に持続可能性社会推進コンサルタント協会においてもD.Wste-Netの枠組で初動対応を行なっている。会員各社からの大人数派遣が可能である一方、経験に基づく対応力に差が生じており、技術及び経験の伝承と蓄積が求められる。本検討では、能登半島地震における災害対応をケーススタディとし、資源循環分野の技術者が災害支援を行う場合のタイムラインを作成した。支援内容を「災害ごみ」「公費解体」「し尿、避難所ごみ、生活ごみ」の3分類、タイムラインを「発災後初期」「初動中期」「初動後期」として表形式でとりまとめ、支援者が対応のイメージを持てるものを目指した。作成にあたっては各社の災害対応経験者による拡充を図った後、有識者に御助言を賜り内容を改善した。災害ごみに加え、し尿処理等の内容を拡充できたが、多く課題が残った。本報告では参加者から助言をいただき更なる改善の機会とさせていただきたい。

2024年能登半島地震での災害廃棄物量の推計と課題とともに，地図アプリケーションを活用した情報共有のあり方について論述する。2024年能登半島地震での災害廃棄物量を推定した結果，石川県で80.6万トンと推定された。また，地図アプリケーションを活用した仮置場の地図化と情報共有の取り組みにより，国，都道府県，自治体，民間や業界団体等において仮置場に関する情報共有が可能となることを示した。

旧来より災害時の支援活動にボランティアが多数参加している姿は報道されている。しかし、炊き出しや、がれき撤去、いわゆる「食べて支援」などに限られ、災害廃棄物処理に係る報道は少なく、また課題も認識されていない。さらに、基礎自治体の行政事務や、災害ボランティアセンター(人事)を代行する社会福祉協議会視線ではボランティアを「群」として、敢えて初心者扱いをするのみで、能力活用も、課題の可視化もされていない現状が有る。一方で、災害ボランティア側では経験値の蓄積があり、建築リサイクル法を熟知するボランティアも多い。むしろ、勉強不足な地方議員、被災者、行政職員、社協職員に翻弄されたり、不要な疑いの目を向けられたりすることさえもある。災害廃棄物処理の効率化は、ベテラン災害ボランティアを多数投入することにより可能であると筆者は信ずる。廃棄物資源循環学会会員の皆様方とも忌憚のない議論を行い問題解決して行きたい。

災害初動期における迅速な災害廃棄物仮置場の設置は、被災地域の生活環境保全に重要であるが、候補地が整理されていないため、設置に時間を要する事例がある。本研究では、仮置場候補地の管理データベースシステムを構築するとともに、その情報共有方法について検討した。県内での現地調査結果を試作したデータベースに登録するとともにGISやGoogleマイマップでの共有を試み、その有用性を市町村職員にヒアリングしたところ好評であった。また、現地調査の結果、使用可能面積や使用上の障害、周囲環境の影響などの課題が確認され、事前調査と情報整理が有効であるとを確認した。今後はハザードマップや災害廃棄物発生量の推計結果などの連携機能の追加を行うとともに、他自治体へ展開を目指す。

マスター方程式を用いて活動を表現し、変数を活動に対応させて検討する。情報エントロピーを使用して評価を行う。

近年脚光があたる「サーキュラー・エコノミー」（Circular Economy）は、関連産業の業況や事業内容にも影響を与える可能性があるとの問題意識から、廃棄物処理業界の上場企業のうち、売上高100億円程度と総資産200億円程度の企業2社を抽出し、有価証券報告書記載のデータ等に基づいて収益性分析を行い、その特徴と課題につき考察した。

5年間の業績推移をみると、分析対象2社は増収増益傾向にあり、資産効率を表す総資産経常利益率は良好な水準に到達しており、好調な決算を続けている。また、両社の損益分岐点分析を行うと、小規模のごみ収集運搬業とは一線を画し、事業の大規模化が進む米国大手企業をも上回る安定的な状態にあり、今後の経営戦略における基盤となると考えられる。

第二次世界大戦後に東京都心のベッドタウン化による人口急増、周辺町村との合併及び経済発展による市民生活の向上により、ごみの排出量が右肩上がりに増加した。1955と1965年の国勢調査によれば、人口は1.6倍であるのに対して、ごみの収集量は実に４倍強という凄まじいものであった。ごみ処理の問題は、大きな課題であったといえる。相次ぐ合併と都市化による急速な人口増への対応などにおいて、八王子市の清掃事業の実態はどうであったのか、そしてどのような役割を果たしてきたのかを清掃労働の実態・執行体制を含めて考察する。

廃棄物処理において、焼却後に発生する焼却灰に含有される金属Alと水が高アルカリ条件下で反応することにより水素ガスが発生することが知られている。この水素ガスを回収・有効利用することを目的とし、水素ガス回収システムのライフサイクルアセスメント（LCA）を行った。分析対象を福岡市西部清掃工場、機能単位水素ガス1Nm³、システム境界を水素発生段階から貯蔵・輸送段階として、水素ガス回収システムを導入した場合のライフサイクルコストとLC-CO₂排出量を評価した。利用用途・焼却灰1tあたりの水素発生量で複数ケースを設定した。焼却灰1tあたりの水素発生量11.4m³/t-ashでは、水素1Nm³の価格は燃料電池利用、合成メタン利用ともに市場価格より高くなったが水素発生量50m³/t-ashとなれば市場価格を下回る。LC-CO₂は同条件でグリーン水素由来の水電解水素を用いた場合より小さくなった。

Recently, environmental impacts of textiles including the climate change impact attract increasing attention across the world. Measures to reduce the environmental impacts associated with textiles include reuse and recycling of used textile products; however, the actual status of used clothing exported for the reuse purpose is unclear and the domestic markets for reuse and material recycling are limited. In Japan, monomerization of polyester has already been operated, whereas mixed textiles which account for the majority of textile products are hard to recycle. Against this backdrop, gasification technology is expected to be applied for recycling of mixed textile waste and further to be effectively combined with chemical recycling of polyester products. The objective of this study was to quantitatively evaluate the climate change impacts of gasification recycling of textiles. The amounts of CO₂ emissions were calculated by LCA based on results of bench-scale gasification tests. Here, recovered gas from gasification was assumed to substitute fossil fuels. The results showed that the emission reductions were largely dependent on the electricity consumption of gasification. We determined the requirement on the electricity consumption of a gasification process per kg of textiles for reducing CO₂ emissions compared with conventional incineration of mixed textile waste.

To achieve greenhouse gas (GHG) reduction in a night soil treatment plant (NSTP), this study proposes a sludge carbonization system to produce biochar and generate negative CO2 emission by sequestration of biogenic carbon. To dry dewatered sludge, it uses the heat source from a waste incineration plant (WIP). The purpose of this study was to build a sludge carbonization system and to evaluate carbon sequestration effect of biochar. First, I compiled population data to decide the treatment population. Next, I constructed a model to calculate GHG emission of the system targeted for NSTP and WIP. The result shows that a sludge carbonization system not only reduces GHG emissions from solo incineration, but also achieves net zero limited a dewatered sludge process.

北海道において、コスト削減やエネルギー効率の向上の観点から、廃棄物焼却施設の広域化・集約化が求められている。本研究は、2050年の北海道における廃棄物焼却施設および中継施設の最適配置を検討するものである。研究方法として、焼却施設および中継施設の年間コストは輸送費、建設費、運営費の総和とし、エネルギー消費は輸送による燃料消費と施設での電気・熱の使用・供給の合計で計算した。遺伝アルゴリズムを用い、施設配置の最適化を行い、一般廃棄物および産業廃棄物の異なる条件に対し最適配置を求めた。結果、コスト最適化では焼却施設8〜15施設、中継施設10施設程度、エネルギー最適化では中継施設が十分にあれば、焼却施設は一廃で1施設、産廃で6施設必要であることが分かった。

2050年カーボンニュートラル達成に向けて，各分野で脱炭素の取組が推進されるべきであり．廃棄物・資源循環分野においても同様である．また，近年人口減少による廃棄物処理の効率低下も問題となっている．本研究では，今後人口減少の激しい東北地方のごみ焼却施設を対象に，8つのシナリオに沿って，一般廃棄物処理から発生するGHG排出を2050年まで予測した．その結果，蒸気供給を行うシナリオで大きなGHG削減効果をもたらすことが確認できた．また，広域化を行うと，処理への投入エネルギーを節約でき，高効率処理が実現できた．ただし，各種エネルギーの排出係数が減少する場合には，多くのシナリオでカーボンニュートラルが達成できないため，炭素回収・貯留技術の導入が必要であると考えられた．貯留すべき炭素量を可能な限り削減するためには，ごみの発生抑制に努めることが重要である．

地域循環共生圏の創造に向けて、地域資源の最大活用が重要であるが、自地域資源の地域内での活用・循環構造を把握している自治体は少ない。本研究では、小規模自治体における地域内資源循環構造を明らかにすることを目的とし、興部町を対象として資源循環構造を可視化した「資源循環マップ」の作成および地域内資源循環構造のネットワーク分析を行った。マップの作成にあたり、地域事業所の資源フローをヒアリングにより調査し、産業分類毎に統合していくことで地域内産業間の資源フローを可視化した。ネットワーク分析では、PageRank、媒介中心性の算出およびzPマトリックスの作成を行い、資源循環構造の特徴分析を行った。結果として、資源循環マップにより興部町の地域内資源循環構造を可視化することができ、ネットワーク分析により， BGP、道の駅、酪農業が興部町の資源循環構造において重要な役割を果たしているなどの特徴が分析できた。

日本における廃棄物分野の温室効果ガス（GHG）排出量は，2019年時点で年間約4000万 t-CO2/Y相当と推定されている．環境省は令和3年度に，「中長期シナリオ（案）」が提示され，廃棄物分野の温室効果ガスの実質排出ゼロ化を目指すための選択肢のひとつとして，ごみ焼却施設におけるCCUSが挙げられている．

本研究では，日本における廃棄物処理施設へのCCU技術導入によるCO2削減効果の評価方法を提案することを目的とする．具体的には，「水素サプライチェーンにおける温室効果ガス削減効果に関するLCAガイドライン」の考え方を参照し，日本における廃棄物処理施設with CCUの事例を調査したうえで，2024年および2050年シナリオにおける廃棄物処理施設with CCUシステムCO2削減量の分析と評価を行う．

日本における家庭系廃棄物の排出量削減を目的として、可燃ごみ袋の有料化制度が実施され、これまでに一定の効果が確認されている。循環型社会の形成の観点から、今後も廃棄物の排出削減のみならずリサイクルの更なる促進が必要とされているが、有料化のメカニズムを考えると資源ごみ袋の有料化は反対の効果をもたらす可能性が懸念される。本研究は東京都多摩地方のパネルデータを用いて、可燃ごみ袋と資源ごみ袋の価格差を設定することで可燃ごみ、資源ごみ排出量にどのような影響をもたらすのか定量的に把握することが目的である。分析の結果、可燃ごみ袋の有料化は可燃ごみ排出量の削減をもたらす一方で、資源ごみ袋の有料化は可燃ごみや資源ごみ排出量への影響は統計的に有意ではない可能性が示唆された。

国はプラスチック資源循環戦略の中で、2030年までにone-wayプラを累積25%減などの目標を示し、2022年4月からは使い捨てプラスチック製品削減が義務化さている。ここでは、使い捨てのフォーク、ナイフ、スプーンなどのカトラリーやストローが対象となっており、有料化や軽量化、素材変更などの対策が求められている。一方で、これらは、使用後に洗う手間や時間を省けること、軽量でコンパクトなので持ち運びや収納が容易なこと、常に新しいため衛生的であること、大人数や時間制約のある食事会ではコスト効率が良いこと、などから利便性が高く、削減が難しい面もある。本調査では、実態把握が進んでいない可燃ごみ中のカトラリー等の排出状況を把握し、今後の使い捨てプラスチック削減に向けた基礎データ取得することを目的とした。

資源循環社会を目指し、プラスチックの循環利用が求められている。ポリ乳酸やバイオポリエチレンに代表される植物原料のバイオマスプラスチックの利用量を政府は2030年度に200万トンにする方針である。バイオマスプラスチックは植物が原料という点でカーボンニュートラルではあるが、利用後は焼却処理するよりもケミカルリサイクルされることが望ましい。我々はバイオマスプラスチックの中でも比較的安価で流通量の多いポリ乳酸について、バイオガス化を組み入れたリサイクルに取り組んでいる。ビールイベントで回収した使用済みポリ乳酸カップを130℃熱処理で加水分解したのちに、下水処理場に設置したフィールド試験装置を用いて、下水汚泥とポリ乳酸分解物を連続バイオガス化した。ポリ乳酸分解物を添加することによるメタン発酵の不安定化は観察されず、バイオガスの発生量を通常の下水処理場の消化条件の3

倍に増大することができた。

汎用樹脂の一つであるポリ塩化ビニル(PVC)は幅広い用途で用いられるが、熱分解により塩素分が主に塩化水素として脱離するためケミカルリサイクルは困難とされている。しかし、PVCの熱処理により塩素分を除去できれば、残渣(PVC残渣)は燃料としての用途が期待できる。そこで本研究では軟質PVCから塩素分や添加剤成分のみを低減するのに適した熱処理条件について検証し、さらに得られたPVC残渣の塩素含有量や発熱量を評価した。その結果、軟質PVCを300℃以下で熱処理することで塩素分や添加剤のみを低減できることが示唆された。また、PVC残渣の発熱量は木質ペレットより高く、廃棄物固形燃料(RDF)と同等以上であり、特に250℃および300℃PVC残渣では古紙及び廃プラスチック類を主原料とした固形燃料(RPF)の塩素含有量基準を満たしたことから燃料として利用できると考えられた。

製品プラスチック（製品プラ）の収集・リサイクルを行う自治体が増加しているが、製品プラをプラスチック製容器包装と一括で収集したり、選別・リサイクル工程に悪影響を及ぼしうる製品プラを収集対象から除外したりするなど、自治体ごとに異なる方法で収集されている。これらの収集方法の違いが製品プラの回収量に与える影響を明らかにするため、容器包装リサイクル協会が提供するデータと、各自治体のウェブページをもとに整理した収集方法のデータを用いて定量的に分析した。その結果、製品プラの収集を始めた時期や、可燃ごみの有料化の有無など、その他の収集方法に関する項目の影響を考慮しても、プラスチックのみでできた製品だけを収集している自治体よりも、プラスチック以外の素材を一部含む製品もそのまま収集する自治体では、製品プラの回収量が多いことが示された。

生分解性ポリマーは通常の環境条件下で微生物の作用により二酸化炭素と水に分解できる素材である。生分解性プラスチックを効率的に分解できる廃棄物処理方法の構築のため、好アルカリ性細菌が生分解性プラスチックを生分解できるかを検証することを目的とした。市販されている生分解性プラスチック製品について、本研究ではラボ内における試験管内で生分解性プラスチックと細菌を反応させる反応系を用いて分解性評価を実施した。本学会ではその結果を報告する。

生分解性プラスチックであるポリ乳酸（PLA）を溶解処理し下水処理場においてバイオガス化させるシステムを含むPLAの再資源化方法別のライフサイクルCO₂を明らかにすることを目的にライフサイクル分析を実施した。機能単位は「イベント用飲料カップ20 t-dryの提供と処理」とした。PLAの原料はトウモロコシとし、アメリカでPLA樹脂にした後に日本に輸入されるとした。結果として、PLAの溶解処理後に下水消化で処理しバイオガスをガス管導入するシナリオで最もGHG排出量が少ない結果となった。また、電力代替効果よりも都市ガス代替効果が大きく、ガス精製に伴うGHG排出量を考慮しても後者が優位となる傾向が確認された。メタネーションと精製の後にガス管導入するシナリオはメタネーションに必要な水素を電気分解法で得るための消費電力が大きくGHG排出量が大きいことが明らかとなった。

PFASは優れた機能性から様々な製品に使用されてきたが、近年、環境汚染への懸念が高まっている。市場流通やリサイクルにおいて多検体の検査が求められる可能性があり、従来法（LC-MS/MSやCIC）より簡便に短時間で識別できる分析手法が求められる。本研究の目的はPFASのスクリーニング分析への波長分散型蛍光X線分析装置(WDX)による全フッ素分析の応用検討であり、入手が容易な紙製品から着手した。CIC分析済みの食品接触系紙製品26点を適切な大きさに切断後WDXで分析した結果、18点の試料からFを検出した。WDX分析値はCICに比べて3倍前後高い数値であったが、両分析値には強い相関（相関係数0.914）が得られており、WDXは紙製品にフッ素化合物の使用有無を判別するスクリーニング分析に利用可能であることが確認された。今後、別材質での検証が検討課題となる。

本研究では、都市特性の異なる南筑後地域や久留米市、福岡市を対象として、廃プラスチック賦存量の推計を行い、廃プラスチックの物質フローを構築した。また、構築したフローに対し、2035年100%リユース・リサイクル目標に至るシナリオを設定し、LCAを用いた環境面についての評価を行った。これをもとに、地域ごとに適切な回収、選別、処理割合を特定した。

The world has recognized the severity of global warming, leading to the establishment of various international agreements to address this issue. The European Commission announced the European Green Deal, and Korea declared the "2050 Carbon Neutral Vision (Net-Zero)". In line with these policies, the cement industry is working towards carbon neutrality by replacing fuels used in the production process with circular resources, to increase fuel substitution to 65% by 2030. However, waste polymeric compounds such as waste plastics, waste tires, and waste synthetic resins contain low-melting trace components such as chlorine. These components exhibit the behavior of volatilization and condensation in kilns and areas where hot gases pass through, causing coatings on the inner walls of the equipment. Chlorine, in particular, can be unnecessarily present in the cement produced, and high chlorine content can oxidize rebar and leach heavy metals, causing environmental pollution. Therefore, it is essential to install a chlorine bypass (CBP) system to rapidly cool and remove high concentrations of volatile chlorine in particulate form. To do this, it is important to understand the behavior of the volatile chlorine circulating within the system along with the flow in the rising ducts and identify where it stagnates at high concentrations. This study utilized Ansys Fluent 2024 R1, a computational fluid dynamics (CFD)-based analysis program, to analyze the flow in the rising duct.

本研究では、しいたけ形成菌の栽培において発泡スチロールフタの代替素材としてのゴムフタの評価を行った。フタとオガ菌部分との接着実験では、ゴムフタがオガ菌部分としっかりと接着し、発泡スチロールフタと同様の性能を示した。有害性確認実験では、いずれの栽培環境においてもゴムフタがしいたけ菌の成長に悪影響を与えなかった。耐紫外線性実験では、長期間の紫外線照射に対してゴムフタの物理的劣化が見られなかったが、化学的構造変化が確認された。また、雨などの影響によりゴムの配合成分CaCO₃の溶出が確認され、CaCO₃の溶出によるpH変化がしいたけ菌に与える長期的な影響は未定である。これらより、ゴムフタは発泡スチロールフタの有望な代替素材として示唆されたが、長期的な影響についてのさらなる研究が求められる。

近年、世界的に再生プラスチックの導入が進んでおり、欧州では再生プラスチック使用を義務付ける規制が進んでいる。日本でも将来的に再生プラスチックの需要の拡大が予想されるが、現状では再生プラスチックの利用量はほぼ横ばいである。本研究は、国内における将来の再生プラスチックの需給バランスを分析し、ボトルネックを探ることを目的とした。再生プラスチックの原料として容器包装に着目し、2030年および2050年の廃棄物発生量と再生プラスチックの需要量（最大・最小）を推計した。その結果、2030年には発生量に対し最小の需要量が約26～28%、2050年には約54～58%となり、最大需要量は2030年の発生量に対して約150%となることが示された。現在の回収率は約31～33%に過ぎず、ソーティング施設の導入や製品プラスチックのリサイクル、リサイクルのさらなる技術開発等、大幅な改善が必要であることが示唆された。

本研究では、福岡県三井郡大刀洗町に設置されている資源回収ステーションを対象に、「利用者へのポイントの還元方法」と「自宅から回収場所までの所要時間」、「回収場所の利用時間帯」、「回収拠点に求める機能」を属性として選好を問うアンケート調査を実施し、選択型コンジョイント分析を用いて、ステーションの効用値を定量的に評価した。その結果、「自宅から回収場所までの所要時間」が重要度の中で最も大きなウエイトを占めることがわかった。さらに、主成分分析とクラスター分析を行いて、回答者を4つのクラスターに分け、それぞれの傾向を定量的に分析した。その結果、資源回収ステーションの利用を促進させる要因に、拠点の地理的・時間的特性、別用途（地域コミュニティ活動、買い物等）との組み合わせによる多機能性が存在することが明示された。

福岡市に設置されている環境施設及び高齢者施設の高齢利用者303名を対象に、利用者属性、資源回収拠点の利用実態、フレイル要因についてアンケートを実施した。その結果、回収拠点の利用拠点数、資源の分別種類数において健常群とフレイル群との間に有意な差が見られ、高齢者の資源リサイクル行動と健康とに関係があることが示唆された。また、身体的に衰えた状態の人は、利用回収拠点数が少ない傾向が見られたことから、資源回収率を上げるためには、身体的異常を持った高齢者が利用しやすい回収拠点の配置が必要であることが考えられた。さらに、環境施設利用者では、回収拠点利用数及び分別資源数に健常群とフレイル群に有意な差が見られなかったことから、身体的異常を抱えた場合でも健常時に醸成された環境意識が資源回収行動に優先的に働くものと推察された。

プラスチック樹脂は、電気製品、文具、日用品などあらゆる製品に使用されているものの、マテリアルリサイクルの用途は工業用や建築用資材等に限定されている。そのため、本研究では、廃プラスチックの回収可能性と再資源化性を可視化する「サーキュラリティマトリックス（CM）」を用いて、プラスチックのバリューチェーン上の課題や可能性を製品別に評価し、最適なリサイクル戦略の提案を目指す。回収インフラの整備状況や回収コストなどを含む「回収の容易性」と、汚れの付着の有無や樹脂の単一性などを含む「価値抽出の容易性」の2つの評価軸で、クリーニング用ハンガーやおもちゃなどのプラスチック製品の国内における現状を評価し、4象限の図で表した。結果、物流センター等の拠点でまとまって排出され、単一素材からなるストレッチフィルムは、資源の回収および価値抽出いずれにおいても高い評価を得るなど、個々の製品の特性が明らかとなった。

本研究では、包装資材用のプラスチックとして使用量の多いポリオレフィン樹脂であるポリプロピレン(PP)とポリエチレン(PE)の混合材料を用いて、押出混練を繰り返すことで再ペレット化した模擬リサイクルペレットを作製し、リサイクル回数が力学特性及び流動特性に及ぼす影響ついて評価を行った。さらに、熱重量分析(TGA)を用いて、劣化状態の評価を試みた。実験の結果、シャルピー衝撃強さは、リサイクル回数の増化に伴い、減少する傾向が確認された。一方で、引張強さはリサイクル回数が増加しても大きな変化はみられなかった。メルトフローレイト値（MFR）は、リサイクル回数の増加に伴い、単調に増加した。熱重量分析(TGA)における10％重量減少温度は、リサイクル前後で大きな変化はみられなかった。

廃プラスチックのリサイクルは、気候変動（地球温暖化）から海洋プラスチック問題、資源循環等にわたる対策として急務の課題である。そのため、従来の「容器包装リサイクル法」等に加え、新たに「プラスチック資源循環促進法」が2022年4月から施行されている。廃プラスチックリサイクルにおいて「プラスチック材質による判別・選別」は重要なプロセスであり、光学判別・選別では近赤外線分光光度計（NIRS）が汎用されている。

　本研究では判別ソフトと組み合わせたポータブルNIRSを用いて、複合プラスチック（たとえば積層フィルム）を構成する成分材質とその配合量を推定する検討を行った。その結果、積層フィルムにおいてはNIRスペクトルパターンやその剥離処理を組み合わせることにより、3材質以上の積層フィルムについてもその成分材質と配合量を推定可能であることを確認した。

国はプラスチック資源循環戦略の中で、2025年までにプラスチックをリユース・リサイクル可能なデザインとし、2035年までに使用済みプラスチックをリユース・リサイクル等により100％有効利用することを目標としている。リサイクルを進めるために、現在容器包装プラスチックや製品プラスチックとして集められたものはケミカルリサイクルやマテリアルリサイクル用に素材別の仕分けが行われる。選別施設ではプラスチックを破砕処理後、近赤外を利用してPE,PP,PSとその他のプラスチックに分けてペレット用の原料などにしている。近赤外を利用した選別では黒色のプラスチックは検知できないため、これらはどのような素材のプラスチックか不明なことが多い。このため、熱分解GC/MSを用いて黒色プラスチックの素材が何であるか分析した。

回収，選別の方式に対して各自治体で様々な試行錯誤がなされていることを踏まえ，福岡筑後地域を対象にプラスチック樹脂組成調査を行い，その結果を周辺自治体と比較しつつ報告する。拠点回収された製品プラスチックを対象に1個ずつ重量計測を行い，ハンディ判別機を用いて樹脂別に分類した。別途実施したプラスチック選別施設の視察結果とあわせて考察した。その結果，自治体により製品プラの1個あたり重量の度数分布は大きく異なること，相対的に大きな製品プラスチックは市場ニーズの高いPP製が多いこと，それ以外の樹脂は対照的に少ないことが明らかになった。視察結果によれば，大木町，柳川市では現場職員の目視によりPP選別作業が行われている。先行自治体の選別施設では，光学選別を行う前に揺動選別を行い，重量物と軽量物に分けている。手選別においても，光学選別においても，重量物と軽量物の選別による前処理が有効であることが示唆された。

本研究では、臭素系難燃剤中の臭素を基板内金属を用いて固定化し、臭化揮発により揮発除去をするプロセスをFactSageを用いた熱力学的平衡計算により解析するとともに、金属を用いた実験を行い解析結果との比較を行う。本研究の目的は、臭素系難燃剤が含まれる樹脂の適正処理、WPCBに含まれる有価金属の効率的回収の双方の達成である。金属を用いた実験では、解析結果との比較により臭化反応の反応速度を考慮しなければならないことがわかった。また、FactSageによる解析の結果、共存元素の影響により各金属の臭化揮発率が変化していることが確認された。

主に自動車の部品として用いられるワイヤーハーネス(WH)は大部分が直径数mm程度のポリ塩化ビニル(PVC)に覆われた銅線によって構成されている．近年自動車部品のリサイクルの重要性が高まっているが，WH由来の細線より銅線とPVCを回収する効果的な方法はいまだに確立されていない．当研究室ではこれまで，細線を適切な有機溶媒に浸漬させることで膨潤させ，ボールミルを用いて適切な衝撃を細線に与えることで剥離を行う湿式膨潤剥離法により，20cm程度のケーブルの剥離に成功している．本研究では，スケールアップしたベンチスケールリアクターを用いた湿式膨潤剥離法を実施し，60~150cmの細線の剥離挙動について検討した．その結果，適切な処理量と細線膨潤時の温度にて銅線と被覆材を100％剥離することに成功した．今後最適条件の検討を進めることで，処理量を増大させ，銅線や被覆材の破砕を防いだ剥離の実現が期待される．

近年、廃棄物の回収・処理の破砕工程において、廃棄物に混在したリチウムイオン電池（LIB）の発煙・発火事故が増加している。廃棄物回収・処理中の火災事故の対策は、目視監視による混在したLIBの抜取り、発煙・発火の早期検知と自動消火システムの導入などが挙げられるが、主に火災発生後の事後対策に留まっている。本研究では、現在開発中のRFIDタグを用いた検知システムの実用化に向けて、人による検知結果のばらつきを調べるとともに、検知率を向上させるための金属円筒を用いた検討を行い、受信実験を行った。その結果、被験者5人全員がタグの有無を100％判別できたが、読み取りまでに1～4秒を要した。また、金属ごみや不燃ごみにタグが混入していても、金属円筒のようにごみ袋自体が金属で囲まれた状態であれば、受信強度が大きくなりタグの読み取りが可能になることが分かった。

世界の車載用蓄電池市場は、今後30年で10倍以上になるとの見通しがある。バッテリーメタルを主に中国からの輸入に頼っている日本では、廃二次電池をリサイクルすることで、原料の安定供給が急務だと考えられる。本研究では、廃二次電池ブラックマス（使用済み二次電池を高温で焙焼後粉砕したもの）について、組成分析、物理的選別の可能性の検討、無機酸を用いた酸抽出実験を行った。研究の結果、以下の知見が得られた。物理選別について、LiBブラックマスでは、45 µmの篩を用いた粒径選別の有効性が確認された。無機酸抽出実験では、LiBブラックマスについて70℃、固液比1/40 g/mL、2 Mの硫酸を用いて、Li, Ni, Co, Mnについて80%以上の抽出率を達成した。また無機酸を用いず、熱水のみで抽出を行った場合でも、Liのみ40%の抽出率が得られた。NiMHブラックマスでは、塩酸の方が高い抽出率を示した。

当社は、使用済み家電混合プラスチックから選別回収したPP、PS、ABSについて、関係会社に年間約15,000トンの処理能力を有する自動選別ラインを導入し、 “家電から家電への自己循環”を実現した。しかし、比重1.1以上のプラスチックは、エンジニアリングプラスチックが含まれているが、臭素系難燃剤や金属成分が含まれていることから、有効活用されていない。

本報では、密度1.1以上1.5g/cm³未満の混合プラスチックに含まれるエンジンリングプラスチックについて、既存の選別方法でプラスチックを選別回収し、マテリアルリサイクル可能であるかを確認した。この結果、回収したエンジニアリングプラスチックの中では、リサイクルPOM、リサイクルPC/ABS、リサイクルPC、リサイクルPBTは、再利用可能であるが、リサイクルPAは、再利用が難しいと考える。