廃棄物資源循環学会研究発表会講演集
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D4 焼却灰・発電・熱利用
  • 趙 月圓, 政所 良亮, 飯室 洋一, 肴倉 宏史
    セッションID: D4-8-P
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/09
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    日本では、多くの廃棄物に対して焼却や溶融などの熱処理が施されており、その結果生じる熱処理残渣(焼却灰、スラグ、メタルなど)には、廃棄物に含まれていた元素が移行している。そのための最も基本的な課題として、熱処理残渣中の有価金属や有害元素等の含有量の定量方法の確立が挙げられる。そこで本研究では、(1) AR法:王水(硝酸と塩酸との混酸)による分解法、および、(2) FB法:硝酸、塩酸、フッ酸との混酸で分解後にホウ酸を加え再加熱する方法の2種類の方法を適用し、各種熱処理残渣中の44元素に対して適した分解方法を検討した。その結果、熱処理各残渣の酸分解に関しては、Mo、Pd、Inを目的元素とする場合や、メタル類が分析対象試料とする場合には、AR法とFB法の両方を適用することが望ましい。目的元素がPtやAuなどの有価元素やCd、As、Pbなどの有害元素の場合、FB法の適用を推奨する。

E1 最終処分場の構造設計・海面埋立
  • 兪 霊傑, 為,田 一雄, 劉 佳星, 重松 幹二, 樋口 壯太郎
    セッションID: E1-1-O
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/09
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    一般廃棄物最終処分場の埋立物の78%が焼却残渣で占められている。(覆土を除く)海面処分場の場合、水面下の廃棄物が浸漬状態で層内浸透水の移動が殆ど認めないため、焼却排ガス処理に用いた石灰による高pHの問題や、残留キレートに起因する高COD、T-N濃度の問題が安定化の遅延を引き起こす。特にpHの低下には長期間が必要となっている。このような背景下、海面処分場早期安定化を目的として、層内浸透水の移動と埋立廃棄物を空気に接触させるためにエアリフトポンプを導入した。浸透水と余水を混合循環することにより水質の均一化並び低減化を図り、またエアリフトに伴う空気中のCO2による中性化でpHを低減化するための模擬埋立実験を行った。今回、脱塩剤に高反応石灰と重曹、飛灰安定化剤に有機キレートおよび無機リン系薬剤を用いた焼却残渣を対象に、模擬埋立実験を行ったのでその結果を報告する。

  • 児玉 茜, 年見 寛和, 水谷 聡, 貫上 佳則
    セッションID: E1-2-O
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/09
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    海面埋立処分場において硝化反応が進行しない問題が確認されており,原因として焼却飛灰の重金属処理に用いる有機キレート剤が挙げられている.この有機キレート剤は中性付近で分解することが判明しているが,分解過程や生成物は未解明である.本研究では,有機キレート剤DEAが分解して,アリルチオ尿素が生成されているという仮説を立て,DEA分解過程におけるアリルチオ尿素生成の有無と,分解過程における硝化阻害性の変化を把握する実験を行った.DEAは分解により濃度が減少するが,TOC値はほぼ一定であったことから,二酸化炭素までは完全に分解せず中間生成物として存在することが確認されたが,分解過程においてアリルチオ尿素が生成することは確認されなかった.硝化阻害性把握実験の結果より,中間生成物は硝化阻害性を持ち,分解過程において中間生成物がさらにほかの中間生成物に分解・変化する可能性が考えられる.

  • 柴田 健司, 三橋 実季, 竹崎 聡, 日笠山 徹巳
    セッションID: E1-3-O
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/09
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    廃棄物処分場には埋立物の安定化を目的として、発生ガスを地中より排出させ新たな空気を取り入れるため、ガス抜き管を設置する。実廃棄物処分場にてガス抜き管の閉塞状況を調査したところ、ガス抜き管が座屈するように変形しており、現場での変形状況が、どのような載荷状態で引き起こされるかは明確ではない。そこで、ガス抜き管の座屈要因を探索するために、実廃棄物処分場で使用されている高密度ポリエチレン管を用いて室内圧縮試験を行った。本稿では、高密度ポリエチレン管材料ごとに試験結果をまとめて、その変形特性や変形状況について報告する。

  • 小竹 茂夫, 日向 雄紀, 髙木 春花
    セッションID: E1-4-O
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/09
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    多くの管理型最終処分場では、浸出水集排水管の本管は埋立地の最下流部の貯留堰堤部において遮水工を貫通する構造となっている。浸出水集排水管と遮水シート接合部に接合不良が発生すると、浸出水の漏水リスクが高まるため、遮水シート接合部の検査は重要である。浸出水管と同質のポリエチレン製遮水シートが採用されている場合、浸出水集排水管とシートの熱融着が可能であるが、立体的な形状の遮水シート接合となるため、自走式熱融着機が使えない。作業性向上のために室内での一体成型が採用される例が増えているが、浸出水管と遮水シートの接合部検査には、高精度な接合部検査方法が存在せず、その開発が求められていた。今回、室内で浸出水集排水管と遮水シートの一体成型品を接合する際に適用する浸出水管と遮水シートの接合部を高精度に検査する方法を開発し、その効果を確認したため報告する。

  • 渡辺 研, 岩川 誠, 石原 英昌
    セッションID: E1-5-P
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/09
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    海面最終処分場の衣浦港3号地廃棄物最終処分場において、管理型区画浸出液中に含まれる難分解性CODの原因物質を特定して、安定的かつ効果的な処理方法を検討するための調査を実施した。

    アンケート調査により、当処分場に搬入される廃棄物には、難分解性COD源として指摘されているキレート剤が重金属の溶出抑制のために使用されていることを把握し、GC/MSを用いた水質分析調査により、浸出液中にキレート剤の一種であるN,N-ジエチルジチオカルバミン酸(DDTC)が長期間分解されることなく存在していることを確認した。

    分析前処理過程におけるDDTCの損失や他のCOD源の存在が把握できていないことから、難分解性CODの処理対策を講じるためには、浸出液中のDDTCの定量方法を確立し、DDTCとCODの相関から全CODに占めるDDTCの寄与を算出することが今後の課題である。

  • 則松 勇, 工藤 郁, 沖原 光信, 坂本 嵩延
    セッションID: E1-6-P
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/09
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    管理型廃棄物最終処分場の遮水層の一部として構築されるベントナイト混合土層は,原位置での撒き出しと転圧による施工方法を基本としている。我々は,事前に工場等でベントナイト混合土をブロック化しておき,現地ではそのブロックを定置する構築方法を考案した。本稿では,ブロック定置によるベントナイトの遮水性について,ブロック間のすき間間隔を変えた透水試験を実施したので報告する。その結果、すき間は近傍のベントナイトの膨潤によってシールされていることが分かった。

  • 工藤 郁, 則松 勇, 沖原 光信, 坂本 嵩延
    セッションID: E1-7-P
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/09
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    管理型廃棄物最終処分場の遮水層の一部として構築されるベントナイト混合土層は,原位置での撒き出し転圧による施工を基本としている。しかし、施工時の降雨等によりベントナイトは膨潤し、目標密度での締固めが難しく、降雨時には,施工を中断せざるを得ず、品質確保や工程管理の観点から改善が望ましい。そこで、事前に工場等でベントナイト混合土をブロック化し、現地でそのブロックを定置する構築方法を提案した。プッシュプルアタッチメントを装着したフォークリフトを用いて、ブロック定置試験を実施した結果、許容すき間以下で定置でき、ブロック定置工法の適用性を確認することができた。

E2 最終処分場の維持管理・モニタリング
  • 田中 宏和, 古賀 敬興, 矢吹 芳教, 井上 豪, 中越 章博, 石川 翔一, 長森 正尚, 成岡 朋弘, 石垣 智基, 遠藤 和人, 山 ...
    セッションID: E2-1-O
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/09
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    一般廃棄物最終処分場のガス抜き管内の滞留水および浸出水の基礎的な水質項目とイオン類の存在比を用いて埋立地の安定化状態の評価を試みた。水温、ORPおよび有機物指標から、それぞれのガス抜き管近傍における安定化進捗状態の僅かな差異が評価できた。また、イオン存在率については、調査したガス抜き管内の滞留水や浸出水はメタン生成定常期からメタン発酵終末期の特徴と合致していた。さらに、浸出水水質は埋立地全体の傾向を示す代表的な指標となることが示された。一方、一部のガス抜き管ではイオンの存在率が特異性がみられ、その原因として近傍に埋め立てられた化合物の特性が関与している可能性が推察された。

  • 岡村 りら
    セッションID: E2-2-O
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/09
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    2024年5月、佐賀県玄海町は原発立地自治体として初めて文献調査の受け入れを表明した。しかし安全が最優先されるべきにも拘わらず、国が提示した科学的特性マップでは、玄海町の大半は不適地に分類されている。

    政府は原発の再稼働や推進に積極的な態度を表明しているが、原発から排出される放射性廃棄物に関しての議論は全く進んでいない。

    本発表では公募と申入れを併用する日本とは異なる手法、安全性と公平性を優先するスクリーニング方式を採用したドイツとスイスの事例を取り上げ、選定基準、公衆参画および交付金に関して新たな視座の提供を試みる。

  • 長森 正尚, 森崎 正昭, 成岡 朋弘, 森 明寛, 政井 咲更美, 吉田 英樹, 石垣 智基, 山田 正人
    セッションID: E2-3-O
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/09
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    未焼却物が多く埋め立てられた管理型最終処分場に追加で設置されたVP200有孔ガス抜き管においてガス放出量及び深度別ガス濃度を観測した。ガス放出量は、外気の侵入が少ない深度のガスのうちメタンと二酸化炭素の合計で、熱線式風速計を用いた10秒間隔で15分間のガス流速から求めたところ、当該調査地では気圧変化とガス放出量の変動傾向が概ね一致することが分かった。他方、ガス抜き管の口径が大きい場合は、ガス流速0.01 m/秒の違いがガス放出量に非常に大きく影響するため、口径を絞ってガス流速を測定する方が良いと思われた。さらに、管内の深度別ガスを採取する「通常法」と、管周辺の廃棄物層内ガスを採取できる大口径ガス抜き管に対応したバルーン型エアパッカーを用いた「BaAP法」で行ったところ、BaAP法が実際の層内ガスを採取できるのに対して、通常法はガス抜き管内で撹乱・均一化されたガスを採取する方法と言えた。

  • 渡辺 信久, 島﨑 雅
    セッションID: E2-4-O
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/09
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    吸着指示薬を使用する硝酸銀滴定法(ファヤンス法)で、迅速かつ低コストに塩化物イオンを計測する方法を開発した。吸着指示薬としてエオシンを使用し、pH 8に調製する。呈色が必ず一定量以上の塩化物イオンを必要するので、滴定に先立ち試料に既知量の塩化物イオンを添加し、計測値から差し引いた。この結果、イオンクロマトグラフ法と良好な結果の一致を見た。50年以上もその使用が否定されてきたエオシンの塩化物イオンへの適用であるが、前記3点の改良によって、従来法の100分の1であるmg/Lレベルの計測が可能となった。

  • 磯部 友護, 石森 洋行
    セッションID: E2-5-P
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/09
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    It is useful to understand changes in the distribution of water content in waste landfill site in order to explore the water channel and to evaluate the water flowin the site. The authors have previously demonstrated that changes in water distribution in a repository can be visualized by water injection tests and high-density electrical resistivity tomography monitoring. In this paper, we report the results of a similar study conducted in a municipal solid waste landfill site to evaluate the differences from the previous studies.

  • 石垣 智基, Panida Payomthip, Ham Geun-Yong, 稲葉 陸太, 山田 正人, 大迫 政浩
    セッションID: E2-6-P
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/09
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    海洋プラスチック問題に重大な懸念が示される中で、廃棄物管理、特に最終処分場はプラスチックの重要な環境放出源であることが指摘されている。一方、我が国における廃棄物管理の実態を鑑みるとその環境放出に与えるインパクトは相対的に低いと考えられる反面、プラスチックの再生利用。・資源循環の推進や環境放出抑制にかかる各種対策の効果を検証する上では、環境放出経路と放出量に関して定量的な情報が必要であると考えられる。本研究グループでは、国内の廃棄物管理に起因するプラスチックの環境放出量の推定およびその削減対策の効果検証に資するために、プラスチックの分解・劣化の影響を考慮したモデルを開発している。今回はそのうち一般廃棄物管理および資源循環プロセスを経由したマイクロプラスチック環境放出量を評価した結果を紹介する。

  • 為,田 一雄, 高倉 昭二, 兪 霊傑, 谷田 洸次, 樋口 壯太郎
    セッションID: E2-7-P
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/09
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    現在、一般廃棄物最終処分場は焼却残渣と破砕不燃残渣が中心となったが、一部、破砕不燃残渣主体の最終処分場も存在してきている。しかし、破砕不燃残渣主体最終処分場については、早期安定化の研究が殆ど行われていない。これまで我々の研究では破砕不燃残渣の溶出試験を行うと高い頻度で鉛や水銀の埋立基準を超える溶出値が検出されている。そこで、我々は破砕不燃残渣の浸漬洗浄前処理を導入している一般廃棄物最終処分場から試料を入手し模擬埋立実験を行い浸漬洗浄前処理の有効性について確認した。これまでの結果から、浸漬洗浄前処理により浸出水水質が早期に低減化し、特に水銀については、排水基準超過の回避が可能であることを確認している。今回、模擬埋立槽を解体し、充填物の溶出試験等を行い浸漬洗浄前処理が早期安定化に寄与し、また、浸出水については埋立終了後2年で廃止条件を満たす可能性があることが確認できた。

E3 浸出水・発生ガス
  • Walter Greamah AUKLEYA, Hidetoshi KITAWAKI
    セッションID: E3-1-O
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/09
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    Bharali, n.d, defines the mass curve analysis as a cumulative plotting of net reservoir inflow, where the maximum difference between the supply peaks and the demand curve is taken n as the required storage capacity of a reservoir. Many existing methods are used to determine the capacity of leachate ponds, however; in this study, the mass balance method and the mass curve method were applied to calculate the leachate pond’s capacity. The major influencing parameters observed in this study were rainfall and evapotranspiration and the meteorological data was sourced from the meteorological bureau in Port Moresby the capital city of Papua New Guinea where the Baruni landfill is located. Port Moresby experiences a tropical climatic condition however, its rainfall pattern is lesser than other townships as it is located in a rain shadow area. The Baruni Landfill is a semi-aerobic landfill rehabilitated in 2014. For a closed system of leachate to be feasible, leachate generation has to be lower than leachate consumption. Leachate is reduced through evapotranspiration during the dry season when the leachate stock is recycled back to the disposal surface to enhance evapotranspiration. Semi-arid areas can utilize the mass curve method to design their leachate pond.

  • 厳 厚亮, 井上 誓, 日高 宏樹, 久保 洋喜, 長尾 憲治, 池田 恵俊, 為,田 一雄
    セッションID: E3-2-O
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/09
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    最終処分場からの浸出水は、埋立終了後も廃止まで継続して処理しなければならない。その結果、浸出水処理施設を長期間稼働する必要があり、それに伴い発生する維持管理費用が経済的な負担となっている。従って、最終処分場の廃止までに浸出水の削減を図ることが必要となる。

     浸出水量を削減するためには、雨水を可能な限り表流水として排除することが最も効果的である。先行研究では、転圧整形した覆土に覆土代替材を15%希釈散布することにより、覆土のみと比較して表流水排除率が高くなることが確認されている(室内人工散水実験)1)

     今回は、覆土代替材散布による雨水浸透抑制効果を確認するために、屋外自然降雨実験及び実際の最終処分場での覆土代替材散布による表流水排除機能確認実験を行ったので報告する。

  • 劉 佳星, 兪 霊傑, 為,田 一雄, 樋口 壯太郎
    セッションID: E3-3-O
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/09
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    日本において、海面処分場の数は全体数の0.62%を占めているが、埋立容量は全体容量の27.69%を占めている。内陸処分場の約24.1倍の規模となっている。更に近年の災害多発において災害ごみの受け入れる等に重要な施設である。海面処分場は日本将来の廃棄物処理処分や廃棄物管理上では重要な位置づけにあると考えている。今まで残留キレートまたはキレート由来のCODや窒素、またはキレート由来以外のCODや窒素を電気的に分解除去ことが可能であることを確認できた。海面処分場から排出される余水中のキレートおよびキレート剤由来のCOD、窒素は同様に電気分解確認を行う。

  • 鈴木 和将, 水藤 寛
    セッションID: E3-4-O
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/09
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    これまで、最終処分場における内部保有水水質制御のため、中間・底部覆土に敷設する水平型の浸透性反応層(Horizontal Permeable Reactive Barrier; HPRB)技術の開発が行われ、処分場のパイロットスケールプラントであるテストセルで、重金属類、有機化学物質といった数多く汚染物質に対して捕捉浄化効果が認められた。そこで、本研究では、最適なHPRB性能を引き出す設計パラメータを得るため、高速液体クロマトグラフィーHPLCを用いた土壌カラム実験と数理解析から、吸着パラメータを推定する手法を提案した。土壌カラムにHPRB層を充填した際の層内を流れる重金属の移動吸着モデルを構築し、数値計算を行なった。それから、この数値計算とカラム吸着実験で得られるデータを用い、最適化手法としてSimplex法により、吸着パラメータの推定を行った。

  • 樋口 壯太郎
    セッションID: E3-5-O
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/09
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    最終処分場を取り巻く諸環境はこの数年大きく変動している。焼却施設の高度化により、埋立処分量は焼却残渣が78%を超え、高塩類、高アルカリ環境となっている。このため浸出水処理方式も生物処理よりも物理化学処理が中心となってきている。しかし飛灰安定化剤に使用されてる有機系キレートに由来する難分解性有機物や窒素の処理に支障を来たしているという側面も有している。このような背景下、筆者らは電気分解により難分解性有機物の分解が可能であることに着目し、実証研究を行ってきた。今回、現行の浸出水処理システムに替わり電気分解や電気透析膜を中心とした電気的処理システムを導入することにより、処理工程の大幅な短縮と電力費節減が可能であることが判ったのでその一部を報告する。

  • 吉田 弦, 矢吹 芳教, 小野 純子, 井戸 優人, 伴野 有彩, 原 晃大, 井原 一高
    セッションID: E3-6-O
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/09
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    国内の廃棄物最終処分場より発生する浸出水からPFOAなどの有機フッ素化合物の検出が報告されている。PFOAは難分解性であり、従来の浸出水処理工程における凝集沈殿や生物処理などによる除去が困難である。本研究では、電気化学的に強力な酸化剤を生成して対象物質を分解する、電気化学的酸化法に着目した。廃棄物処分場の浸出水を対象に試験を実施し、浸出水の廃水処理工程と電気化学的酸化によるPFOA処理性能の関係を評価した。電気化学的酸化により、浸出水や浸出井水処理水中のPFOAの濃度が投入電気量の増加に伴い検出限界未満値まで低減された。有機物の除去後に電気化学的酸化処理を導入することで効率的なPFOA分解が達成される可能性が示唆された。

  • 石森 洋行, 磯部 友護, 石垣 智基, 山田 正人
    セッションID: E3-7-P
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/09
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    本研究は、不燃残渣や焼却灰等の廃棄物から採取した試料を用いて、その間隙構造と水の浸透挙動を調査した。X線CT分析と流体解析を組み合わせることで、三次元での詳細な間隙構造を明らかにし、異なる埋立層での水の移動パターンを観察した。研究結果から、不燃残渣埋立層では、水が特定の限られた空隙を通って移動する「水みち」が形成されることを確認した。将来の予測には水みちが埋立層内にどれだけ存在するか(有効間隙率)を把握することが重要となる。一方で、焼却灰埋立層では水の浸透は均等であり、すべての廃棄物に水が接触するため浸出水濃度が高くなる可能性が示された。埋立廃棄物の種類によって浸透挙動と、その結果としての水質には大きな違いが生じる。これは最終処分場の維持管理に直接影響を与える。埋立廃棄物の種類に応じて変化する物質移動に係る知識を持つことで、最終処分場の設計や管理戦略の改善に寄与できると考えらえる。

  • 土手 裕, 関戸 知雄
    セッションID: E3-8-P
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/09
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    浸出水のCa濃度の経年変化を焼却残渣のCa溶出量と浸出水量から予測することを目的として,主灰とキレート処理飛灰に対して各種溶出試験を行うとともに,既存の最終処分場から得られたデータをもとに浸出水Ca濃度の経時変化を予測するためのシナリオを作成した.その結果,浸出水中におけるCa濃度の実測値と計算値の決定係数は比較的良い一致を示したことから (決定係数:0.73),今回作成した溶出シナリオにより,浸出水中Ca濃度を予測できる可能性が示された.また,今回の溶出シナリオを用いてR5年度に埋立を終了したとした場合のCa濃度を予測した結果,浸出水処理におけるCa除去処理が必要なくなる濃度に達するまでに35年を要することが予想された.

  • 工藤 颯太, 吉田 英樹
    セッションID: E3-9-P
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/09
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    埋⽴が終了した廃棄物最終処分場におけるガス抜き管の埋⽴地ガス濃度(メタン濃度と⼆酸化炭素濃度の合計)と埋⽴地ガス流速を測定し、埋⽴地ガス濃度と埋⽴地ガス発⽣量の関係について、明らかにした。ガス抜き管出⼝のメタン濃度は埋⽴終了からの経過年数が短い区画で⾼い傾向があることが分かった。ガス抜き管出⼝のメタン濃度のレベル別の割合でまとめたところ、メタン濃度が 5%未満であるガス抜き管は2006 年で 29%から 2023年で 79%と 50%増加しており安定化が進⾏していることが分かった。またガス抜き管内の⼆酸化炭素濃度の分布形をフラット型、カーブ型に判定した結果、フラット型は埋⽴地ガス発⽣量が⼤きく、カーブ型は⼩さいことが分かった。さらに、埋⽴地ガス発⽣量が廃⽌基準である 1L/min 未満を満たすには、少なくとも埋⽴地ガス濃度が 1%未満になることが分かった。

  • 宮脇 健太郎, 深井 晴之, 松本 紋奈
    セッションID: E3-10-P
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/09
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    一般最終処分場における主たる埋立物は焼却残渣であり、アルカリ性物質を多く含有する。一部の処分場では浸出水pHが高い値を示し、排水基準を長期間満たさない事例が存在する。焼却残渣の中性化に関して、二酸化炭素CO2を用いた焼却灰の中和・重金属不溶化の検討事例は多く報告されている。筆者らは、近年UFB生成ノズルを用いて二酸化炭素を飽和状態で溶存させた溶液(二酸化炭素高溶存溶液)を用い、埋立焼却灰層の緩慢な中和の検討を実施している。 本報告では、焼却灰層に二酸化炭素高溶存溶液(CO2-UFB水)を通水した試験、通水した焼却灰層の焼却灰粒子のSEM観察およびSEM-EDXによる元素組成などを示した。前報に続き、焼却灰層間隙の中和が進行し流出液(浸出水)pHが低下し無機炭素IC濃度が上昇することを確認し、またSEM画像にて表面の密実でない(疎な)結晶生成、SEM-EDXによるCaCO3形成を確認した。

  • Geun-Yong Ham, Tomonori Ishigaki, Satoru Ochiai, Kazuei Ishii, Masato ...
    セッションID: E3-11-P
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/09
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    Environmental pollution from plastic waste, despite recycling efforts, remains critical, with only 7% recycled and 85% ending in landfills. This leads to microplastics dispersal through air and leachate. Bioplastics, derived from renewable sources and potentially biodegradable, offer a solution but their degradation behavior in landfill is poorly understood. This study reviews landfill environments and bioplastic biodegradation mechanisms. In landfills, waste undergoes aerobic and anaerobic decomposition, generating leachate and greenhouse gases (GHG). Bioplastic biodegradation depends on polymer properties and environmental factors like temperature, moisture, and microbial activity. Studies using lysimeters and small-scale reactors simulate landfill conditions, assessing bioplastic degradation through weight loss and gas emissions. ASTM D5526 outlines procedures for measuring ultimate biodegradation, but challenges like waste heterogeneity and reactor handling persist. Future research should focus on lab-scale experiments, the impact of varying landfill conditions on bioplastics, and accurate GHG emission estimates to better understand bioplastic degradation in landfills.

  • Panida Payomthip, Tomonori Ishigaki, Kanami Nagamoto, Masato Yamada
    セッションID: E3-12-P
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/09
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    Landfills are significant sources of greenhouse gases (GHG), including methane (CH4), carbon dioxide (CO2), and nitrous oxide (N2O). Traditionally, N2O emissions have been disregarded due to assumed negligible levels. This study investigates N2O generation in simulated landfills under anaerobic and passive aeration conditions. Laboratory columns were filled with a mixture of simulated waste, mimicking real waste composition in Thailand. The experiment ran for 60 days. The results revealed a positive correlation between N2O and CH4 fluxes in the anaerobic column, suggesting N2O production might occur even without oxygen. This challenges the current understanding and necessitates including N2O in future assessments of GHG emissions from anaerobic landfills. However, the findings require further validation through extended experiments with more data collection. The contrasting negative correlation observed in the passive column highlights the complexity of factors influencing N2O production. Further investigation into microniche formation and methane flux analysis is recommended. Additionally, identifying the microbial communities and nitrogen losses within the system is crucial for a comprehensive understanding of N2O generation. This study provides preliminary insights into N2O emissions from landfills and emphasizes the need for further research to refine our understanding and improve the accuracy of landfill-related GHG emission estimations.

E4 有害物質の溶出と挙動
  • 山内 佑典, 水谷 聡, 小野 純子, 伊藤 耕二, 足立 里菜, 矢吹 芳教
    セッションID: E4-1-O
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/09
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    近年社会的な関心が高まっているPFASのうち、PFCAs・PFSAsの最終処分場浸出水での検出が確認されている。処分場内において廃棄物から溶出したPFCAs・PFSAsの廃棄物への吸着が起きていると考えられるため、PFCAs・PFSAsの廃棄物に対する吸着挙動を把握し、処分場内の移動予測を行う必要がある。本研究では焼却飛灰を用いたPFCAs・PFSAsのバッチ試験を行い、遠沈管への吸着を考慮した焼却飛灰への吸着量の評価および吸着特性を表す分配係数Kdの算出を行った。

  • 島谷 茜, 水谷 聡, 足立 里菜, 小野 純子, 伊藤 耕二, 矢吹 芳教
    セッションID: E4-2-O
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/09
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    有機フッ素化合物(PFAS)のうち,PFOAなどを含むペルフルオロアルキルカルボン酸(PFCAs),PFOSなどを含むペルフルオロアルキルスルホン酸(PFSAs)が廃棄物最終処分場の浸出水から検出されている。これらは焼却残渣に由来する可能性があるが,実際にどの程度含有されているかは明らかになっていない。そこで本研究では,先行研究で定めた含有量試験手順に基づき,熱回収残渣を含む多種類の焼却飛灰に対してPFCAs・PFSAsの含有量を調べた。含有量試験は,全15種類の灰に対して行った。得られた総含有量の範囲は,産業廃棄物焼却飛灰で0.01~1.21 ng/g,都市ごみ焼却飛灰で0.18~0.77 ng/gであったが,廃棄物種による傾向を論じるには,さらに検体数を増やして検討する必要があると思われた。また,都市ごみ中の炉形式や酸性排ガス処理方式,熱回収残渣の違いによる明確な差はみられなかった。

  • 加藤 颯, 水谷 聡
    セッションID: E4-3-O
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/09
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    飛灰溶出液中に含まれる重金属には、酸化数によって有害性が変わるものがある。これらの金属は酸化還元反応により他の金属類の酸化還元状態に影響を与える可能性があるため、溶出液の酸化還元状態を把握することが重要である。溶出液の酸化還元状態はpHとEh(標準電極電位)の2つの指標により把握することができる。EhはORPを換算して求められる。溶出液のEhは測定ごとで値にばらつきが生じやすく、Ehの指標としての有用性の検討が必要である。本研究では複数の飛灰溶出液のpH、ORPを3回ずつ測定しpHのばらつきの影響を考慮した補正Ehに換算し、そのばらつきを検討した。当初の実験では補正Ehの3回のばらつきは最大で約70 mVであったが、空気の酸化を抑えるように実験方法を改良することによって補正Ehの3回のばらつきは20 mV未満となり、Ehを飛灰溶出液の酸化還元状態の指標として使用できることが確認された。

  • 西村 勇虹, 日下部 武敏, 高岡 昌輝
    セッションID: E4-4-O
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/09
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    2017年8月に水銀に関する水俣条約が発効し、国内では同年10月に廃棄物処理法施行令等が施行された。これにより廃水銀および廃水銀化合物(廃水銀等)は、「精製・硫化・固型化」の中間処理が義務づけられ、廃水銀等処理物の最終処分場内での長期安定性評価は不可欠である。本研究では、アルカリ条件下における硫化水銀(HgS)および廃水銀等処理物の水銀溶出のpH依存性を明らかにするために環告13号溶出試験を実施した。硫化処理の度合いによってHgSの水銀溶出特性が異なることが示唆された。廃水銀等処理物についてはpH 13付近までは改質硫黄による固型化処理による水銀の封じ込め効果が認められるものの、埋立判定基準を満たせるのはpH 11付近までであることが明らかとなった。改質硫黄固型化処理により亀裂などの劣化(粉砕)がなければ廃水銀等処理物からの水銀溶出量を抑制できる。

  • 田中 綾子, 梶原 尚之, 平田 修
    セッションID: E4-5-O
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/09
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    廃棄物中に含有される重金属類は安定化・不溶化処理された後に埋立処分されるが、環境条件によっては溶出する可能性があることが懸念されている。一方で、埋立廃棄物から溶出した重金属の一部は空気の侵入し易い浸出水集排水管近傍において生成されるカルシウムスケール中に共沈され、浸出水と共に埋立層外に流出し難いことが明らかになっている。しかしカルシウムスケールは酸に溶解する物質であるため、酸性雨と接触することによって溶解し、共沈された重金属の流出が懸念される。そこで、本報告ではスケールの酸性雨暴露試験を行い、重金属の流出の可能性について検討し、排水基準を超過するような流出はほとんど起こらないことを明らかにした。

  • 髙地 春菜, 久保田 洋, 繁泉 恒河, 正木 祥太, 池田 恵俊, 川井 泰行, 長尾 良和, 井上 光浩, 肴倉 宏史
    セッションID: E4-6-P
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/09
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    焼却灰の炭酸化処理は、CO2との反応によるpH低下や炭酸塩の形成、鉛等の重金属の不溶化効果が得られる処理技術であり、重金属溶出濃度の高い焼却飛灰においてはキレート剤添加処理等との併用が有効であると考えられる。一方で、有機系のキレート剤は、T-NおよびCODの上昇による浸出水処理負荷の上昇や、チオ尿素様物質による硝化阻害が懸念されるため、添加量の削減が求められている。本研究では、焼却飛灰について炭酸化およびキレート剤添加を組み合わせた処理の鉛溶出抑制効果を検証し、炭酸化によるキレート剤使用量の削減効果を検討することを目的とした。試験では産業廃棄物焼却飛灰を炭酸化およびキレート剤添加処理し、その溶出特性を評価した。その結果、キレート剤添加前に炭酸化を実施することで、より少ない添加量で鉛溶出抑制効果が得られるとともに、キレート剤由来のT-N溶出負荷を低減できる可能性が示された。

  • 平田 修, 梶原 尚之, 田中(立藤) 綾子
    セッションID: E4-7-P
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/09
    会議録・要旨集 フリー

    廃棄物の中間処理として焼却処理が一般的で、その焼却残差はキレート剤を用いた薬剤処理が主流であるが、近年キレート剤の安定性が疑問視されている。そこで、埋立廃棄物中の重金属の安定性を評価するため、スケールのアベイラビリティ試験を行い、重金属最大可能溶出量を求め、さらにスケールの酸性雨(pH4.8)に対する緩衝能から重金属の溶出年数を評価した。その結果、重金属の溶出量は化合物としての形態や存在状態に影響されるが、ほとんどの重金属は酸性条件下でも溶出し難い可能性が高いことが分かった。また、スケールから溶解可能な金属量全てが溶出するのにはかなりの年数が必要となり、処分場内で重金属の溶出が抑制されている事がわかった。

  • 杉田 創, 森本 和也, 斎藤 健志, 原 淳子
    セッションID: E4-8-P
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/09
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    Mg系及びCa系吸着材は、ヒ素(As)汚染水からのAsの除去あるいはAs汚染土壌に対してはAsの固定化を目的として使用されるが、母材成分の溶出に伴う吸着材の劣化等の懸念がある。一方、既往の研究では、Mg系とCa系の吸着材を併用使用することによるAs除去性能の向上と母材成分の浸出抑制効果が報告され、吸着等温モデルを使用したヒ酸As(V)の吸着挙動に関する検討が行われた。しかしながら、As(V)よりも毒性が高い亜ヒ酸As(III)については同様な検証はs実施されていない。そこで、本研究では、Mg系及びCa系吸着材の併用添加におけるAs(III)の吸着挙動に関して、吸着等温モデルへの適合性の検証及びXRD分析に基づいた考察を行った。

  • 和田 卓也, 湯浅 忠, 水野 貴文, 棟方 有桂
    セッションID: E4-9-P
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/09
    会議録・要旨集 フリー

    廃棄物の不法投棄現場や不適正処分場などでは、埋立廃棄物に由来する様々な有害物質混じりの浸出水が周辺環境中に漏洩し、地下水汚染や表流水汚染などの環境汚染を引き起こしている。このような廃棄物由来の環境汚染事案において、その汚染発生源の特定や、漏洩浸出水による影響範囲を把握する手法としては、これまで主に、汚染物質(ex. 重金属類、VOCs、DXNs、PFASなど)やトレーサー物質の分析、主要溶存イオンの分析などの化学的調査手法と、電気伝導度の測定や電気探査、磁気探査等などの物理的調査手法が用いられてきた。本研究では、上記調査手法を補完する方法として、生物学的調査手法の一つである細菌叢解析による廃棄物由来の浸出水の水質評価手法について、実際のフィールドデータに基づいた基礎的検討を行った。

F1 有害廃棄物(石綿・放射性・PCB)と試験検査法
  • 田端 正明, 原口 椋多, 矢田 光徳, 西口 瑞朔
    セッションID: F1-1-O
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/09
    会議録・要旨集 フリー

    廃棄建材表面を2種の色素で染色した。染色後、実体顕微鏡(x50)で観察した。建材にメチレンブルー(MB)エリスロシン(RED-3)を順次加えると石綿は薄い青色から赤紫またはピンク色に着色した。着色と形状からクリソタイルと判断した。染色されない繊維状物質があったので、建材表面を陽イオン高分子で修飾した。MBとRED-3を滴下すると、赤色に染色された。着色物質は、XRD、 EDX、顕微ラマンスペクトからアモサイトであることを確認した。色素染色法をXRDおよび公定分析法と比較した。公定分析法で石綿を検出した試料は全て色素染色法で検出された。偽陽性、偽陰性はなかった。染色法は公定分析法よりも明瞭な画像であった。本法による建材の石綿検出は簡単で、迅速で、高感度である。本法は災害や解体現場で廃棄される建材、更には解体前の建物の石綿の有無の検査に適していると考える。

  • 山田 一夫, 市川 恒樹, 新井 裕之, 安河内 隆仁, 遠藤 和人
    セッションID: F1-2-O
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/09
    会議録・要旨集 フリー

    溶融飛灰に含まれる亜鉛はセメント水和を阻害し、セメント固型化を困難にするが、アルミン酸ナトリウムを亜鉛と等モル添加することで硬化促進できる。この現象の機構をX線回折による解析した。亜鉛はセメントが作り出すアルカリ雰囲気では亜鉛酸として存在し、セメントと混合されると亜鉛酸カルシウムを生成する。この反応により液相からカルシウムを除去することで、セメント硬化の主成分であるケイ酸カルシウムの水和を阻害していると考えられた。亜鉛酸がすべてカルシウムと結合した後に、通常の水和が開始した。セメント急結剤であるアルミン酸ナトリウムは、亜鉛酸を取り込んだ水和物を生成した。アルミン酸ナトリウムによる硬化促進は、通常のセメントの硬化反応とは異なり、ハイドロカルマイトの生成によるものと考えられた。ハイドロカルマイトは亜鉛酸を取り込んでいると考えられ、長期的にはセメントの通常の水和による強度増加が期待できる。

  • 島村 章吾, 上堂薗 四男, 宮田 彰, 近藤 晋, 齋藤 隆弘, 濱谷 洋平, 小川 理士, 遠藤 和人
    セッションID: F1-3-O
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/09
    会議録・要旨集 フリー

    特定復興再生拠点で発生した特定廃棄物等の最終処分場であるクリーンセンターふたばでは特定廃棄物を焼却処理した際に発生する焼却飛灰の埋立にあたり、放射性セシウム溶出防止の観点から令和5年11月よりセメント固型化を実施している。飛灰は、焼却方式や焼却した廃棄物の由来により構成成分等の性質が変化し、この性質によって強度発現や放射性セシウム溶出抑制の効果が左右される。このような多様な飛灰の条件を考慮することが必要であることから配合設計は確立されていない。既存の研究実績を参考にしつつ、使用予定の飛灰を用いた配合試験を実施した。本報告では、セメント固型化の本施工前に実施した事前配合試験の概要を述べる。

  • 田中 悠平, 新井 裕之, 山田 一夫, 遠藤 和人
    セッションID: F1-4-O
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/09
    会議録・要旨集 フリー

    Japanese government policy mandates that decontamination waste, mainly contaminated by 137Cs, will undergo final disposal outside of Fukushima prefecture. Post-incineration fly ash, heat-treated with calcium chloride, concentrates Cs as cesium chloride (CsCl) in melting fly ash (MFA). Washing MFA dissolves CsCl, but the solution contains interfering ions like Na, K, and Rb. This study focused on estimating the saturation adsorption amount of copper ferrocyanide (CFC) using ion exchange theory on batch test and column tests with a model solution of MFA washing solution. The model solution was prepared with initial [K]0 = 3.0 mol/L and [K/Cs]0 = 1,000. batch tests were conducted in varying L/S ratios, Column tests were carried out using controlled flow rates, measuring Cs in the filtrates. Results showed that the saturation adsorption amount varied with the L/S ratio and salt concentration ratios on batch tests. These findings highlight the need for careful consideration of MFA composition and flow rates to optimize volume reduction. Column tests indicated higher adsorption was achieved at lower flow rates, estimation based on ion exchange theory indicated that the K'Cs/K ratio on the low adsorption rate side was the dominant factor.

  • 平井 康宏, 小柴 絢一郎, 木邑 奈美, 岩田 直樹, 平野 隆, 沖 宏樹
    セッションID: F1-5-O
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/09
    会議録・要旨集 フリー

    本研究は、PCB含有廃棄物保管庫における現場解体作業時の空気中PCB濃度を測定し、グリーンハウスと称する養生シートとシート内に設置する活性炭付き排気ポンプを用いた負圧管理対策の効果を評価することを目的とした。研究対象は、PCBを含むコンクリート容器の切断および表面削り取り作業であり、グリーンハウス内外および排気口出口の空気中PCB濃度を測定した。結果、作業中のグリーンハウス内のPCB濃度は作業前の最大10倍程度であったが、排気口出口の濃度は低く、屋外の濃度は一般大気環境中濃度と大差なかった。また、作業終了後の保管庫内PCB濃度は約2年間にわたって低下傾向がみられた。これらの結果より、管理対策が効果的であることが示された。

  • 安河内 隆仁, 東條 安匡, 黄 仁姫, 松尾 孝之, 戸田 賀奈子, 山田 一夫, 遠藤 和人
    セッションID: F1-6-O
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/09
    会議録・要旨集 フリー

    除染廃棄物の減容化熱処理から発生する飛灰の最終処分体候補であるCsを吸着したゼオライト(天然モルデナイト)のセメント・ジオポリマー(GP)固型化体を対象に、ANSI16.1に準拠した有姿溶出試験によりCs溶出挙動を評価した。また、実際の処分環境における試料劣化や高塩濃度溶媒との接触を想定し、試料の凍結融解と海水浸漬によるCs溶出挙動の変化を評価した。結果として、Cs吸着ゼオライトの固型化体からのCs溶出は固相内拡散に律速されることが明らかになった。また、凍結融解はCs溶出速度に影響しないが、海水に浸漬することでCs溶出速度は増加した。海水浸漬のセメントでは、表面析出物によりCs溶出が抑制された。Cs累積溶出率は海水100日浸漬でも0.6%を下回り、逐次溶出濃度は環境水中の濃度基準値のオーダー内に収まる。ゼオライトを用いることでCsを長期的に保持する処分体を作成可能であることが示された。

  • 島﨑 雅, 渡辺 信久
    セッションID: F1-7-P
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/09
    会議録・要旨集 フリー

    廃棄物を燃焼させると、HCl等の有機塩素が発生する。しかしながら、これらの気体からCl2が検出されたとする報告はこれまで出ていなかった。そこでHClとCl2の分別定量を目的に行ったのが本研究である。詳しい実験の内容だが、HClもしくはCl2を薬品の混合により発生させたうえで、3段構成の捕集装置内に入れたH2O、HNO3、H2O2のいずれかの捕集液に気体を捕集させた。その捕集液をファヤンス法で分析し、HCl及びCl2の捕集量を測定した。その結果、HClは1段目における捕集量が最も多く、Cl2は捕集液をH2O2とした場合に限って捕集量が多くなるという傾向が見受けられた。この結果を受けて1段目の捕集液にはHNO3を用い、2段目及び3段目にはH2O2を用いることでHClとCl2を効率的に分離捕集できるということが判明した。

  • 大岡 幸裕, 草野 洋平, 北沢 琢也, 石井 光
    セッションID: F1-8-P
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/09
    会議録・要旨集 フリー

    (株)クレハ環境は多様な産業廃棄物を処理しており、処理ニーズにはセレン(Se)を含む廃棄物もある。Seは焼却処理後の排出物に基準値が設けられ、適切な対策が求められる。中でも排水中におけるSeは6価のセレン酸SeO42-(以下Se(Ⅵ))と4価の亜セレン酸SeO32-(以下Se(Ⅳ))で存在する特性があり、管理には価数別の測定技術が必要となる。当社ではICP/MSで全Seを測定しているが、価数別の測定には対応できていない。そこで価数別の分離と元素測定が一度に実施可能であるIC-ICP/MS装置を立ち上げてSeの価数別の分析の実用性を検討した。本法により価数別のSe(Ⅳ)とSe(Ⅵ)を明確に分離、定量できる手法であることが確認された。今後はヒ素やほう素化合物、六価クロム等の他元素についても価数別測定が可能であり、廃棄物処理施設の維持管理や排水処理技術の確立に向けた一助となることが期待される。

  • 戸知谷 桃羽, 門木 秀幸
    セッションID: F1-9-P
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/09
    会議録・要旨集 フリー

    本研究では、一般廃棄物焼却灰を対象とし、環告13号試験の溶出条件が試験結果に及ぼす影響について検討した。容器の置き方については3条件(縦置き横方向、横置き横方向、横置き縦方向)について検討した。亜鉛の溶出量は、横置き横方向が最も溶出量が高く平均21.1mg/L、横置き縦方向は平均20.0mg/L、縦置き横方向が最も溶出量が低く平均13.1mg/Lであった。容器容積については4条件(250、500、1000、2000mL)について検討した。亜鉛の溶出量は、容器容積500mLの溶出量が最も高く平均20.1mg/L、次いで容器容積250mLの溶出量が18.5mg/L、容器容積1000mLの溶出量が18.4mg/Lとなった。容器容積2000mLが最も低く平均17.0mg/Lであった。

  • 平尾 壽啓, 大山 将, 中井 智子, 米澤 武志, 武智 友裕
    セッションID: F1-10-P
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/09
    会議録・要旨集 フリー

    ペル/ポリフルオロアルキル化合物(PFAS)は、撥水・撥油の性質を有し、化学的に安定であるため、環境中でほとんど分解を受けず、生物濃縮、毒性が懸念されており、国内の一部、河川や地下水等においてPFOS/PFOAが検出されている。PFASを含有する環境水の処理方法は、活性炭を用いた吸着処理が検討されている。吸着処理後には使用済み活性炭(廃活性炭)が発生するが、この廃活性炭に含まれるPFASは、適切かつ確実に分解処理される必要があると考えられる。PFASの分解処理を適切に評価するには、廃活性炭に含まれるPFAS含有量を正確に把握する必要があり、廃活性炭からPFASを確実に抽出できる手法の確立が不可欠であると考える。本検討では、UE EPA 1633 に記載されているPFAS 40成分を用いて粉末活性炭による吸着率を求め、その後、それらを超音波抽出して40成分PFASの回収率を算出した。

  • 白田 ひびき, 関野 梨名, 小池 裕也
    セッションID: F1-11-P
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/09
    会議録・要旨集 フリー

    多くのごみ焼却施設では、都市ごみを焼却処理した際に発生する HCl や SOx を排ガス中から除去するため、過剰に消石灰等のアルカリ成分を噴霧する。中和された成分や過剰な消石灰等は集じん器で都市ごみ焼却飛灰として捕集される。都市ごみ焼却飛灰中に含まれる塩素分やそのほか有害成分が、環境水との接触により溶出する恐れがある。そのため、世界各国の溶出試験について重金属の溶出挙動を評価してきた。その中で溶出試験時間を検討した結果、重金属溶出量は溶出試験時間に依存せず、金属種ごとに溶出挙動が異なることがわかってきた。本研究では、環境庁告示第 13 号試験の試験条件に基づき溶出試験時間のみを変化させた溶出試験後の残渣について、粉末 X 線回折 / Rietveld 解析を行った。溶出試験時間による都市ごみ焼却飛灰中結晶相の変化を定量的に評価することにより、都市ごみ焼却飛灰中結晶相の溶出挙動を考察した。

  • 関野 梨名, 白田 ひびき, 大渕 敦司, 小池 裕也
    セッションID: F1-12-P
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/09
    会議録・要旨集 フリー

    都市ごみの焼却処理過程で生じる焼却飛灰は、人体に有害な重金属を濃縮する傾向があり、焼却飛灰中重金属は環境水との接触に伴って環境中に拡散する恐れがある。溶出試験は世界各国で実施されており、日本では環境庁告示第 13 号に従った試験を実施し、廃棄物に含まれる有害物質の溶出量を評価している。試験条件のうち試験液の pH は、重金属溶出挙動に影響を及ぼすため、pH 依存性試験が規定されている。本研究では、廃棄物資源循環学会にて規定されている初期添加方式および連続調整方式による pH 依存性試験に供すことで、焼却飛灰中重金属溶出挙動の pH 依存性を調査した。2 種の pH 依存性試験は、pH の調整方法および混合方法が異なるため、重金属溶出挙動および結晶相存在状態にも差異が確認されると考えた。加えて、溶出試験残渣の結晶相分析により重金属溶出量との関係を調査することで、重金属の存在状態を推定した。

  • 近藤 巧一, 門木 秀幸, 成岡 朋弘
    セッションID: F1-13-P
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/09
    会議録・要旨集 フリー

    マイクロ波プラズマ原子発光分光分析法(MP-AES)を用いた廃棄物焼却灰中の鉛の定量への適用について検討した。環境庁告示13号試験による溶出液及び溶出液に鉛を添加した添加試料を調製した。MP-AESによる定量は、絶対検量線法及び自動添加による標準添加法により行った。溶出液中の鉛濃度をICP-MSの分析値と鉛添加量から算出し、MP-AESの分析値と比較した。波長368.347nmを用いた場合、絶対検量線法でも、良好な結果となったが、波長405.782nmでは干渉の影響を受けることが確認された。しかし、自動添加による標準添加法では、波長405.782nmでも干渉の影響を抑制できることが確認された。

  • 竹本 啓助, 片山 耕治, 室田 哲男, 山口 真司
    セッションID: F1-14-P
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/09
    会議録・要旨集 フリー

    首都圏には1000棟以上の大規模なマンションが林立しており、災害発生時にはこれらから排出される、し尿、生活ごみ、災害廃棄物の処理が大きな課題となると考えられるが、この課題についての実質的な議論がこれまであまりなされていないのではないか。東京都心部での災害(特に首都直下地震)を前提として、予想される被害と電気水道等インフラの停止期間等を考慮の上、災害廃棄物等の排出量や様態を検討し、大規模共同住宅における災害廃棄物等処理の課題と対策について考察する。

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