風工学シンポジウム論文集
第21回 風工学シンポジウム論文集
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  • 谷脇 和博, 佐々 浩司, 林 泰一, 小林 文明, 保野 聡裕, 足立 啓二
    セッションID: 1
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/07/27
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    庄内平野に一列に設置された超音波風速計により連続観測を行い、得られた風速データから突風イベントを条件付き抽出して、その統計的特性を調べた。同時にドップラーレーダーによる観測も行った。その結果、イベントは冬季に多く、そのときの主風向が北西であることがわかった。イベントの平均持続時間は6分ほどであり、横方向の空間スケールは数100m程度であることが多かった。また、イベント検出時の90_%_以上は周辺上空に雲のエコーが見られた。
  • ―降水粒子と地上風速の関係―
    小林 文明, 河合 克仁, 林 泰一, 佐々 浩司, 保野 聡裕, 足立 啓二, 三須 弥生
    セッションID: 2
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/07/27
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    庄内平野における降雪雲に伴う突風(ガスト)の統計的特徴をもとに,降水と地上風速の関係を明らかにする目的で,2009/2010の冬季,寒気進入時にビデオ観測や降水粒子のサンプリングなど現地観測を実施した。強い寒気の南下時に行った2回の観測から、次の点が明らかになった。総観的に同じ場であっても,降雪雲により地上の降水は,雪片,あられ,みぞれなど異なっていた。季節風卓越時,あられの降水時には他と区別できるガストが観測された。また,あられに伴い,気圧上昇と気温低下が認められ,相対的に低温な下降流は地上風速を強化したことが示唆された。 あられの直径と地上風速には正の相関があり,雲内で形成されるあられの大きさがガストの風速に寄与していることが示された。
  • ―潮岬での観測例―
    堀口 光章, 林 泰一
    セッションID: 3
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/07/27
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    中立に近い大気境界層における乱流構造の観測が潮岬風力実験所において行われたが、超音波風速計(接地層内)とドップラーソーダによって測定されたデータについて新しい検討を実施した。特に、超音波風速計による平均流方向風速成分に対するウェイブレット分散スペクトルにより、観測例間の乱流構造の様相の違いが示された。すなわち、一つの観測例において、大きなスケールの強風の乱流構造がより多く出現していた。また、関連する地表での風の状況や運動量輸送についても調べ、これら解析の結果として、風の状況と周囲の気象場の変化が大きいことが大きなスケールの強風の乱流構造の出現と関係していることが考えられる。
  • 竹見 哲也, 辰己 賢一, 石川 裕彦
    セッションID: 4
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/07/27
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    領域気象モデルに高精度・高分解能の標高および土地利用データを組み込み、冬季の温帯低気圧に伴う強風の事例について格子幅100 m以下での高分解能数値シミュレーションを行った。山形県庄内平野および東京都心部を対象領域とした。庄内平野での多数事例の合成解析により、地形の起伏や地表面特性に対応した風速分布が得られた。地上高50 mでの最大風速値が観測された最大瞬間風速によく対応しており、地表面からある程度離れた高度での風速値が極値の出現ポテンシャルを示すものとして捉えることができる。東京での解析結果から、大都市のような都市キャノピー効果が顕著な場所では、より高いモデル高度での風速値が実際の最大瞬間風速と対応していた。両地域での解析から共通して言えるのは、地上高10から20 mでのモデル風速は実際の平均風速に対応し、地上高50 m以上数100 mまでのモデル風速が実際の最大瞬間風速に対応するということである。
  • 竹内 真弓, 前田 潤滋, 近藤 潤一
    セッションID: 5
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/07/27
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    本論は,ある島しょ先端に位置する高さ約200mの送電鉄塔で実施された強風観測記録に基づいて,変動風速の縦方向成分と鉛直方向成分間の相互相関関数に対する近似式を提案し,両成分間の相互相関を考慮した多次元風速場を多次元自己回帰モデルを用いてシミュレートする手法について報告する。さらに,生成した風速場と目標風速場の乱流構造を比較することによって本手法のシミュレーション精度を調査する。結果として,生成した風速波形から推定した自己相関係数と相互相関係数の目標風速場に対する誤差率は最大でも1.5%程度と非常に小さく,生成した風速場が目標風速場によく一致することを確認した。よって,本手法を用いれば,変動風速の縦方向成分と鉛直方向成分を含む多次元風速場を目標どおりにシミュレートできることが分かった。
  • 菊地 由佳, 石原 孟
    セッションID: 6
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/07/27
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    本研究では台風シミュレーションと気流解析を用いることにより,台風時の風向特性と複雑地形の増速特性を考慮した風速割増係数の評価手法を提案し,以下の結論を得た.従来の設計風速の評価手法に比べ,台風時の風向特性を考慮した本評価手法は,地形による風速割増係数を低減可能であることを示し, 本提案手法により求めた年最大風速の超過確率は気象台における風観測データによる超過確率とよく一致し,本提案手法の有効性が示された.最後に,地形の変動を表す地形変動係数を提案することにより,風速割増係数の低減係数を評価できることを示した.風速割増低減係数は地形変動係数の増大に伴い,減少する.
  • 丸山 勇祐, 田村 哲郎, 奥田 泰雄, 大橋 征幹
    セッションID: 7
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/07/27
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    計算機の発達により数値流体計算による風荷重の算定が試みられるようになってきた。乱流境界層の中に建つ建築物では、接近流の気流性状が風荷重に大きな影響を与える。流体計算においても変動流入風の与え方が結果に大きな影響を与えるため、変動流入の生成法が種々提案されている。一方、風洞実験ではPIV技術が進歩し、かなり高周波の乱流変動を再現できるようになってきている。ステレオPIVでは風洞内の3次元流速場の時系列を直接取得することが可能である。ステレオPIVで計測された結果を流体計算の流入条件として与えることができれば、乱流境界層の再現が容易となり、数値流体計算による風荷重算定の精度も向上するものと考えられる。本報告では、平板の上に発達する乱流境界層を対象として、ステレオPIVで計測された流速時系列を流入条件とするLES計算を実施し、その手法の適用性について検討した。
  • Tian Yu-Ji, Yang Qing-Shan
    セッションID: 8
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/07/27
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    Hilbert transform and empirical mode decomposition are summarized and applied to analyze the velocity signals of turbulence flow. Based on the Taylor’s frozen-turbulence hypothesis, the Hilbert spectra for turbulence flow are transferred to the forms in both wave-number space and physical space. A 10-minute sample of fluctuating wind velocity measured at 280m level of Beijing 325m meteorological tower is analyzed using both Hilbert-Huang transform and Fourier transform while the Hilbert spectra are contrasted with the Fourier spectra. The dissipation lengths of the three velocity components are computed respectively using Hilbert marginal spectra while the integral lengths are obtained through the correlation functions of intrinsic mode functions of each velocity component.
  • YANG Qing-Shan, ZHANG Jian
    セッションID: 9
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/07/27
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    SST is one of the most popular turbulence models widely applied in Computational Fluid Dynamics (CFD) simulations of the atmosphere boundary layer (ABL) flow issues, especially for flow around large-span structures and cluster of high-rise buildings. Numerical rough wall turbulence simulation is important in many applications in industry problems and environmental problems. This paper adopted the SST models to computationally simulate the rough boundary by special treatment and extracted mean wind velocity and turbulence quantities based on the calculation results. It showed the CFD simulation results by comparison of the flow quantities profiles with several different locations in the flow domain. The mean wind velocity, turbulence quantities give well agreement at different positions. Also the problems still unsolved and suggestions to mitigate that are discussed.
  • 千秋 雅信, 野田 博, 中山 昭彦
    セッションID: 10
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/07/27
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    直交座標に埋め込み境界(IB)法を用いることで、境界に沿わない計算格子でも効率よく流れを解くことができることはこれまでの研究で示されている。本論文では曲線座標にIB法を導入することにより、曲線座標を適合させれるような地形上に、不規則な形状の建物や障害物のある場合の気流計算を行うことを提案し、計算例を示している。起伏のある地形を直交座標で表現する場合に比べ、計算格子は地表近傍にのみ密にすることで地表にある建物や障害物近傍の流れを効率良く計算できることが示された。
  • ジョン ジェヨン, 義江 龍一郎, ピラーイ シバラジャ スブラマニア
    セッションID: 11
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/07/27
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    Sea breeze in summer has an effect of mitigating heat island phenomena in coastal urban areas. The effect depends on the characteristics of the sea breeze, especially the vertical distributions of wind velocity and temperature. In order to take full advantage of using the sea breeze in urban planning for mitigating heat island phenomena, it is necessary to understand the characteristics of the sea breeze. The authors investigated the vertical profiles of velocity and temperature in sea breeze using meteorological data from meso-scale numerical simulation for the area of Tokyo. The profiles were classified into eight representative patterns by using cluster analysis, and hence the frequency of occurrence for each pattern was investigated, and also the relationship to weather condition for each pattern was clarified.
  • -風洞実験との比較によるモデル係数の検討-
    田畑 侑一, 今野 尚子, 菊池 文, 持田 灯, 丸山 敬, 萩島 理, 谷本 潤
    セッションID: 12
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/07/27
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    本研究では、樹木やメッシュサイズより小スケールの建物の影響の再現を目的として発展してきたCanopyモデルの方法論を拡張し、走行する自動車群の路面付近の気流分布への影響や乱流混合の増大、これに伴う汚染ガスや熱拡散の促進効果等を再現するためのCFDサブモデルの構築を目的としている。これまでに筆者らは、自動車走行に伴う街路空間の流れ場・拡散場の変化を記述する自動車群Canopyモデルを開発し、既報においてその概要と解析事例を示した。しかし、既報ではモデル中の数値係数は丸山の建物Canopyモデル の値をそのまま用いており、その妥当性については未検討であった。本報では、風洞内に多数の自動車模型を配置し、様々な模型密度の条件下における模型周辺の気流分布と模型群によって生じる抗力を測定して、測定結果とCFD解析の結果を比較することによりモデル係数設定の妥当性を確認した。
  • 片岡 浩人, 田畑 侑一
    セッションID: 13
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/07/27
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    宅地造成や道路建設等の土木工事が住宅地の近くで行われる場合、工事に伴う粉塵飛散の抑制を求められる。粉塵飛散を予測する簡易式が提案されているが、裸地や処分残土からの風による粉塵の巻き上げや防塵ネットフェンスによる対策効果を予測することが出来ない。そこで風による粉塵飛散速度の評価を目的とした風洞実験を行った。粒径による限界摩擦速度や飛散速度の変化を調べ、飛散速度に関するモデル式を提案した。次にモデル式を組み込んだCFDによって、ネットフェンスによる粉塵の飛散防止効果の予測を行った。ネットフェンスの風上・風下で風速が低下することにより、粉塵お飛散が抑制され、その結果濃度が低下することが示された。
  • 香月 壮亮, 大岡 龍三, ラーマン マフィズール, リジャル ホム, ヘフニー モハメド, 菊本 英紀
    セッションID: 14
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/07/27
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    北京・バンコク・ジャカルタなどアジアの大都市では幹線道路における自動車排ガスによる大気汚染が深刻な問題となっている。対策をはじめとした予測を行わなければならないが、標準k-εモデルによるCFDシミュレーションではその精度は不十分と言わざるを得ない。この研究の目的は、ダッカ市の渋滞の深刻なSonargaon交差点での自動車排ガスによって生じた大気汚染の実態の把握と実測の結果を用いて数値シミュレーションの精度検証を行うことである。一酸化炭素と二酸化窒素の計測を行ない、その結果をCFDで検証した。 また、CFDでは標準k-εモデルと新しいk-εモデル(KOモデル)の比較を行った。CFDシミュレーションでは、KOモデルによるNO2濃度の結果は、標準k-εモデルより実測の結果と良い一致を示した。この結果から、大気安定度を考慮したKOモデルは標準k-εモデルより信頼できるといえる。
  • ―気候解析に基づく両都市の大気部熱収支構造の分析―
    蔡 昌殷, 菊地 大, 持田 灯, 高木 直樹
    セッションID: 15
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/07/27
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    本研究では、内陸の地方都市・長野市を取り上げ、信越地方特有の広域的な山谷風と海陸風等の局地風に着目した分析を行い、それらが内陸盆地に位置する長野市の気候に及ぼす影響を検討した。さらに、信越地方のAMeDAS観測データ及び気候数値解析結果から、流れ場と温湿度場の空間分布を把握した上で、筆者等の考案した都市空間の熱収支分析の手法を用いて、仙台市の熱収支構造の解析結果との比較を行った。
  • 菊本 英紀, 大岡 龍三
    セッションID: 16
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/07/27
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    大気汚染物質は、一般的に化学反応性を有し、光化学スモッグの主要因物質であるオゾンも、窒素酸化物や炭化水素など多種の物質が絡む複雑な反応機構によって生成されることが知られる。ところが、街区規模の大気汚染解析において化学反応性を考慮した研究事例は少なく、非反応性物質の移流拡散性状が主たる検討対象となってきた。しかし、今日も環境基準達成率の極めて低い光化学オキシダントの生成が、化学反応に起因する事を考慮すれば、その影響は決して無視できるものではない。 そこで、本研究では、化学反応をモデル化し、LESを用いて物質の反応性がストリートキャニオン内の濃度場に与える影響を検討している。化学反応としては、自動車排気ガスに含まれる一酸化窒素が大気中のオゾンによって比較的短時間に酸化されるという二分子化学反応を考慮の対象とした。その結果、汚染物質の反応性が、都市街区規模の濃度場に有意な差を生じさせることを確認し、乱流場での反応現象の特性を明らかにした。
  • 樋山 恭助, 星子 智美, 安部 諭, 加藤 信介, PRUEKSASIT Tassanee
    セッションID: 17
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/07/27
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では,まずは現状におけるバンコクの道路の換気性能を実測により調査する。タイにおける大気汚染に関する調査は少なくないが,排ガス発生(自動車)位置に近接する歩行者へ到達する排ガス濃度を,歩道や道路空間内で測定した例は希である。そこで本実測では,歩行者への排ガスの暴露量の実態を把握することを目的とし,道路の中央分離帯における排ガス濃度を測定した。また,都市形状が濃度希釈に寄与する換気能力に影響することを予測し,換気を阻害する可能性が高い高架建造物により上空が覆われている道路と,高架建造物のない道路の2カ所を測定場所として選択し,その排ガス濃度の比較を行うことで,高架建造物が換気性状に及ぼす影響を調査し,その感度を確認した。今後,本実測データをバリデーションデータとした数値流体解析を行うことで,更なる検討を進めることを予定している。
  • 大風 翼, 持田 灯, 富永 禎秀, 伊藤 優, 吉野 博
    セッションID: 18
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/07/27
    会議録・要旨集 フリー
    飛雪空間密度の輸送方程式中に用いられる雪粒子の落下速度は、雪の形状の複雑さから、実験値等の一定値を与えている研究ほとんどである。しかしながら、降雪粒子が雪面に一度落下した後、風によって再び空気中に舞い上げられる際には、saltation層内で雪面との度重なる衝突を繰り返すことによって、複雑な結晶形状が破壊され、球状に形を変えることが報告されており、降雪粒子及び雪面から舞い上げられた球形状の粒子に対して、同一の落下速度を仮定し、同一に輸送方程式で再現することには少々難がある。 本件急では、降雪粒子と雪面から舞い上げられた粒子の各々に対する輸送方程式を解く形式の新たな飛雪モデルを提案する。さらに、雪面から舞い上げられた雪の吹き溜まりへの寄与率という新たな指標を導入し、これを用いて、立方体建物周辺において、吹き溜まりが形成されるメカニズムの分析を試みる。
  • 山中 徹
    セッションID: 19
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/07/27
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    ドップラーライダによって得られた視線方向のドップラー速度から上空の水平風速を推定する方法として前処理付VAD法を提案した。ドップラーライダを用いて提案手法により推定した水平風速を超音波風速計による実測結果と比較し、以下の知見を得た。1) VAD法では、VAD曲線1周期分の時間内において上空風は時間変動しないと仮定している。それに対して、提案した前処理付VAD法では上空風の時間変動を許容する。さらに同手法で推定される水平風速は瞬間的な風速であることを示した。2) 前処理付VAD法によって推定した10分間平均風速は、超音波風速計での観測結果と比較すると相対誤差は14%~19%であった。3秒間平均風速の相対誤差は27%~28%であった。3) 前処理付VAD法では、VAD曲線1周期分の時間を短くした方が水平風速の推定精度は高くなる。
  • 吉田 昭仁, 田村 幸雄, 久田 嘉章
    セッションID: 20
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/07/27
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    構造物の風応答計測を行う際には共振成分だけでなく,静的成分や準静的成分の計測が必要となるが,従来用いられている加速度計や速度計では静的成分,準静的成分の計測が不可能であった。その問題を解決するため,筆者らはRTK-GPSによる構造物の変位応答計測の可能性を検討し,高さ108mの試験タワーにGPSアンテナを取り付け,台風接近時の試験タワーの応答計測を行い,加速度計で得られた加速度記録とGPSにより得られた変位記録について様々な検討を行ってきた。本研究では都市部でのGPSによる計測において問題となる基準点に関して仮想基準点を導入することを提案し,仮想基準点を用いた場合の計測精度について検討を行った。また,都市建物群の変位応答計測を行うために,東京都心部の3棟の超高層建築物にGPSアンテナを取り付け,変位応答記録を一括モニタリングか可能な応答観測網を構築した。
  • 松井 正宏, 田村 幸雄
    セッションID: 21
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/07/27
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     近年の強風被害調査によれば,建築物の被害例の多くは,屋根ふき材等の損傷と,その損傷後の飛散による2次的な被害によるもので,この飛散物による被害は,被害の連鎖を生じる可能性があるため,強風防災上十分に検討する必要がある。しかし,現行の耐風設計は,耐風設計対象部位が損傷しないように設計することを前提としており,実際に飛散物が発生した場合にどのような挙動を示すのか等の検討は十分であるとは言い難い。これまでに,立川による系統的な研究がおこなわれており,飛散物の軌跡に支配的なTachikawa数等が提案されている。  本研究では建築物の部材が大きな風力を受けて飛散する状況を正確にシミュレートするため,予め設定された荷重に達すると部材との結合を解放できる電磁解放式風力センサを用いて,飛散直前の部材に作用する風力を計測し,部材の飛散状況を観察する。特に本実験では,飛散時に影響を及ぼすと考えられる非定常な建築物内圧の変動成分についても相似則に従って再現する。
  • 水谷 国男, 大場 正昭, 佐藤 英樹
    セッションID: 22
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/07/27
    会議録・要旨集 フリー
    自然風の変動を実験室内全域で再現するため、気流分布や風速変動を制御できるアクティブ制御マルティファン通風気候風洞実験室を構築した。  矩形波を入力とした時、0m/sから2m/sまでの立ち上がり時間は1~2秒と短く、また、0.1Hz(周期10秒)のSIN波を入力した場合の室内風速変動は、多少時間遅れが生じているが、波の形は非常によく一致しており、0.1Hz以下の風速変動の再現性が高いことが確認された。自然通風時の実測データを入力した場合の風速変動は、ファンモータ及びインバータ改修前と比較して、0.2Hz以上の細かな風速変動が再現されている。また、ダンパーを使った場合に比べても、ピーク風速の再現性が向上しており、自然風の再現性は非常に高いと言える。ただし、室内での乱れの減衰効果により、ファン前面から離れるに従って、1.5Hz以上の細かな風速の変動幅が小さくなる傾向が見られた。
  • 吉田 英司, 池田 寛, 神吉 利彰, 小園 茂平
    セッションID: 23
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/07/27
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    本研究の目的はマルチファン型風洞を使用して強乱大スケールの高レイノルズ数の一様等方的な乱流を生成することである。小さいファンの独立制御を生かしていろいろな運転モードを試みた。駆動ファンと非駆動ファンのフラクタル状配置、ランダム入力信号を組み合わせて三つの運転モードを試みた。格子乱流に準じる方法よりも広い慣性小領域が達成できた。
  • 野田 稔, 長尾 文明, 山下 翔平
    セッションID: 24
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/07/27
    会議録・要旨集 フリー
    竜巻は極めて局所的な気象憂乱であり,年間十数例報告され日本各地で発生している気象現象である. 竜巻被害の低減や防災のためには,竜巻の基本性状の把握が重要な課題です. 現在の観測や予測技術では積乱雲が発生しやすい状況を予測することまでは可能です.しかし時刻や場所を特定した予報は難しいです. 竜巻に対する減災と防災のためには,竜巻によって発生する風荷重の算定や流れ場の把握が重要な課題です. 本研究では,上昇流の運動量に対する角運動量の比で表されるスワール比と流量,計測高さを変化させることで竜巻状流れ場の基本性状にどのような影響を与えているのかを検討した. その結果,スワール比が大きくなることで最大風速が大きくなる傾向がある.中心付近の風速変動が大きいことが明らかになった。
  • 石原 孟, 福王 翔, 徳山 佳央
    セッションID: 25
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/07/27
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    室内竜巻発生装置を正確に再現した数値モデルを作成し,LES乱流モデルを用いて代表的な二つのタイプの竜巻状渦を発生させ,その詳細な流れ構造と発生メカニズムを調べた。数値竜巻発生装置により室内実験と同じ形状の竜巻状渦を発生させることができ,接線方向と鉛直方向の平均風速は室内実験結果とよく一致した。また,スワール比が小さいケースでは1セル型渦を形成し,渦中心に大きな上昇流が生じ,その最大値は1.8Vcに達する。一方,スワール比が大きいケースでは2セル型渦を形成し,接線方向風速は地表面付近で増大し、その最大値は1.4Vcに達する。軸対称時間平均ナビエ・ストークス方程式の各項を調べることにより,1セル型渦の渦中心に発生する大きな上昇流は鉛直方向の圧力勾配によって生じていることがわかった。また,2セル型渦の接線方向風速の地表面付近での増速は,地表面付近において鉛直方向の移流項に生じていることを明らかにした。
  • 喜々津 仁密, サーカー パーサ, ハーン フレッド
    セッションID: 26
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/07/27
    会議録・要旨集 フリー
    竜巻の突風によって建築物に作用する風力は,通過時の気圧降下や渦の接線方向の風速がその主な要因として挙げられ,通常の乱流境界層風洞での実験で評価される風力特性と大きく異なる.しかし,竜巻による風力特性に関する実験的知見は未だ十分に蓄積されていないと思われる.そこで本研究では,竜巻が通過する際の非定常な突風を模擬することのできる竜巻状気流発生装置を活用して,竜巻通過時に低層建築物に作用する基本的な風力特性の把握を目的とする.風圧実験は外圧だけでなく内圧の性状にも着目し,隙間の大きさや卓越開口の有無を考慮して実施した.また,一般に竜巻状の渦はランキン渦モデルで工学的な近似がされることを踏まえ,風圧実験で得た風力係数を当該モデルに基づいて記述することを試みる.
  • ファム バン フック, 野津 剛, 野澤 剛二郎, 菊池 浩利
    セッションID: 27
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/07/27
    会議録・要旨集 フリー
    竜巻状旋回流の移動効果による建物の風圧の変化を明らかにするために,移動式数値シミュレータを構築し,数値実験により静止状態旋回流に置かれた立方体の風圧変化と,移動している旋回流が通過する時の立方体の風圧の変化と調べた.本検討ケースでは静止状態の旋回流内に置かれた立方体に作用する風圧力では大きな風圧変動がみられず,その風圧係数は約0~-1であった.一方,移動するケースでは旋回流が通過する際に立方体に作用する風圧力が急激に変化し,その風圧係数は±3となっており,建物に作用する風圧に関して旋回流の移動効果が大きいと考えられる.また,立方体の近傍では3次元性の強い上昇流が生じることにより風圧力は大きく変化していることが分かった.
  • 高橋 章弘, 植松 康, 堤 拓哉
    セッションID: 28
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/07/27
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    近年,竜巻突風による災害が頻発している。これらの竜巻等突風災害は,人的被害から建築物,ライフライン被害まで,様々な被害をもたらした。筆者らは,竜巻等突風災害時,被災した自治体がどのような対応を行ったのかを把握するため,ヒアリング調査を行った。これらの結果は,竜巻等突風災害発生時の災害対応と減災のためのマニュアルを作成する上で,役立てることができる
  • 野田 稔, 長尾 文明
    セッションID: 29
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/07/27
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    3種類の辺長比の異なる平板を飛散物として、一様流中における飛散物の6自由度運動方程式を解いて飛散物の運動シミュレーションを行った。運動方程式を解く際に必要となる空気力および空力モーメントは、予め風洞実験によって計測されたものを用いた。また、初期回転角によって飛散軌道は変化するため、初期回転角を変化させながら飛散軌道を求め、平均軌道と軌道の拡がりとして評価した。そして、立川数、平板の辺長比、風速が飛散軌道に対して及ぼす影響について検討した。その結果、飛散軌道は鉛直方向だけでなく風軸直交水平方向にも変化し、平均軌道が立川数で決定されているのに対して、軌道の拡がりは立川数、辺長比、風速によって変化する結果となった。
  • 近藤 潤一, 前田 潤滋, 竹内 真弓, 森本 康幸
    セッションID: 30
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/07/27
    会議録・要旨集 フリー
    本論は、建築物荷重指針で定められている地表面粗度区分ごとの風速プロファイルを有する強風変動風速場の中で、小石を想定した球状物体が高度50mから落下した場合の飛散状況を数値実験で求めることにより、地表面粗度区分が球状物体の飛散状況に及ぼす影響について検証した。さらに、平均風向の変動風速に鉛直横方向の変動風速を加えた変動風速場で飛散シミュレーションを行うことで、鉛直横方向の変動風速が飛散状況に及ぼす影響を検証した。飛散の統計的な特性を推定するために飛散シミュレーションの試行回数を10,000回とした。本シミュレーション結果では、粗度区分が小さいほど飛散距離の最大、最小及びアンサンブル平均は大きくなり、飛散距離の標準偏差が大きくなることがわかった。また、変動風速w成分は飛散物の落下までの滞空時間を変化させる傾向があるが、飛跡や飛散距離の標準偏差にはあまり影響がないことがわかった。
  • 友清 衣利子, 前田 潤滋, 竹内 崇
    セッションID: 31
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/07/27
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    近年,竜巻等の突風を受ける電車などに生じる非定常空気力の影響が注目されているが,電車や建物などに影響を及ぼす突風の観測記録はほとんどなく,その特徴は明らかになっていない。本論ではNeWMeKで蓄積された1秒平均風速記録をもとに,立ち上がり時間の短い突風を定量的に選別する手法を検討し,一例として電車車輌を仮定した奥行き3mの構造物にオーバーシュート風力が発生する気象条件を基準に突風を選出した。前線通過などの非台風時だけでなく台風通過時の強風下でも立ち上がり時間の短い突風が発生し,突風の発生には局所地形の影響があることが分かった。突風を受ける物体の形状や大きさによって,物体に生じるオーバーシュート現象には違いがあるため,突風の定義やその選出条件の根拠や妥当性を見極める必要があるが,オーバーシュート現象の発生に着目した本手法は突風を定量的に選出する方法となる。
  • 竹内 崇, 前田 潤滋
    セッションID: 32
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/07/27
    会議録・要旨集 フリー
    立ち上がり時間の短いステップ関数的突風を受ける楕円柱の非定常風力に及ぼす流れの加速度に比例する慣性力の影響を明らかにすることを目的に,慣性力項を含んだ準定常風力式と突風風洞実験やk-epsilonモデルベースの数値流体計算の結果を比較した。数値流体計算結果のピーク風力値と風力式のピーク値を比較すると,立ち上がり時間が小さいほど,ピーク値の差は小さくなり,立ち上がり時間がかなり小さい時には両者はよく一致した。さらに,立ち上がり時間と突風風速および物体のサイズから構成される無次元パラメータを用いて風力の最大値と定常値の比で定義されるオーバーシュート係数を整理し,無次元立ち上がり時間がとても小さい場合は慣性力がオーバーシュート現象の発生に強く影響することを明らかにした。一方で,無次元立ち上がり時間が比較的大きい場合は,慣性力以外の要因によって風力のオーバーシュート現象が引き起こされることがわかった。
  • 佐々木 治, 白土 博通, 加藤 嘉昭
    セッションID: 33
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/07/27
    会議録・要旨集 フリー
    竜巻やダウンバースト等は突風を伴う気象現象であり,近年様々な風災害が報告されている.突風の作用下では,空気力係数は瞬間的に定常値より大きくなる可能性があり,列車や原子力発電所等の人命的,環境的に危険度の高い構造物に対しては,その安全性に,より十分な考慮がなされるべきである.本研究では,主流をstep関数的に変化させるための突風発生風洞を用いて,基本的な2次元構造断面を対象に種々の実験を行った.B/D=1, 2断面, 迎角10[deg.]において,風速急変時のわずかな時間に上下面に大きさの異なる剥離バブルが形成されることによって圧力差が生じ,瞬間的な揚力のオーバーシュート現象が発生することがわかった.また,B/D=0.5断面, 迎角10[deg.]において,風速急変直後の抗力及び揚力の変動は,カルマン渦の巻き込み位置が定常状態より断面の背面近傍にあるため,その影響を定常時より強く受けることがわかった.
  • 中村 諭史, 前田 潤滋, 竹内 崇, 鶴 則生
    セッションID: 34
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/07/27
    会議録・要旨集 フリー
    短時間で風速が変化する突風を受ける切妻屋根模型の風圧力特性を明らかにすることを目的に,模型表面圧の測定に及ぼす突風発生時の風洞内の急激な静圧変動の影響を除去する突風風洞実験計測の工夫を行い,寸法の異なる切妻屋根模型表面の風圧力測定を行った。その結果,突風時に物体表面の多数の計測点において定常時よりも大きな風圧力が発生し,風圧力のピークの現れ方や発生時刻は計測点の位置によってそれぞれ異なることが分かった。また棟部に見立てた突起を模型に設置することで,一定風速および突風が作用する際の風上屋根面の負圧を軽減できることが分かった。最後に無次元立ち上がり時間を用いて各計測点での風圧力のオーバーシュート係数及びピーク風圧係数を整理し,その関連性を明らかにした。
  • 丹羽 亮介, 大澤 輝夫, 嶋田 進, 香西 克俊, 竹山 優子
    セッションID: 35
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/07/27
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では,合成開口レーダーENVISAT/ASARの画像を用いてメソ気象モデルWRFによって計算された沿岸海上風速分布の検証を行った.白浜海洋観測鉄塔での実測値との比較により,まずSARによって推定された風速の精度がWRFによって計算された風速精度よりも高いことが確認された.またWRFの風速は大きな正のバイアスを持つことが明らかになった.次いでSARとWRFによる海上風速分布を比較した結果,WRFの風速は海岸線に沿った沿岸海域で明らかに過大評価となり,また岸近くまで風速勾配が小さいこともわかった.論文中ではWRF風速の課題評価の要因についても検討する.
  • 丸山 敬, 石川 裕彦, 内田 孝紀, 出口 啓
    セッションID: 36
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/07/27
    会議録・要旨集 フリー
    メソスケールモデルを用いた数値解析手法の発展に伴い、種々の気象現象の数値的な予測と再現が実用的な精度で可能になりつつあり、その成果は、台風の進路予測や竜巻を発生させる親雲の予測1、2)など、強風による被害予測や防災対策にも利用されつつある。さらに、その結果を境界条件としてラージ・エディ・シミュレーション(以後LESと記述する)を用いた詳細な数値解析を行うなど3)風工学の分野でも、数値解析を種々の気象問題に応用する機会が増えてきている。本報ではウィンドファームにおける風車のブレード破損事故を取り上げ、メソスケールモデルおよびLESを用いた数値解析により事故発生当時の気象条件を再現し、風車ブレード損壊時の風荷重および風車の安全運転制御の検討を行うことを目的として風車周辺の気流性状を求めた。得られた風向風速変動は観測結果と比較し、再現性の評価を行った。
  • 山口 敦, 石原 孟
    セッションID: 37
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/07/27
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では,気象シミュレーションと台風シミュレーションを用いて観測値が得られない場所における設計風条件を評価する手法を提案し,銚子気象台における観測データを用いて検証した.その結果,以下の結論が得られた. 1) 銚子気象台においてメソスケール気象解析と局所風況予測モデルにより推定した年平均風速と風速出現頻度分布は観測値とよく一致する. 2) 銚子気象台において,気象解析と台風シミュレーションにより推定した再現期間別最大風速は観測値とよく一致する. 3) 100年の年最大風速から求めた50年再現期待値は100年以下の観測データより求めたものと一致するが,1万年の年最大風速から求めた50年再現期待値はそれよりも小さな値となる。このことから,長期のシミュレーションにより,従来の比較的短期間から求めた50年再現期待値よりも低い設計風速を設定することが可能となることがわかった。
  • 木綿 隆弘, 中田 博精, 倉谷 知宏, 古路 裕子, 中口 彰人, 小松 信義
    セッションID: 38
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/07/27
    会議録・要旨集 フリー
    防風用のフェンス上部に設置したクロスフロー風車の性能と風車下流域の流れ場を風洞実験により調べた.本研究では風車の設置位置を変更し,その影響を調べた.フェンス上部にクロスフロー風車を設置することにより,風車回転方向に関係なく風車の出力特性が向上した.風車回転方向CWの場合,クリアランスが広くなるにつれて出力特性が向上した.一方で,風車回転方向CCWの場合,クリアランスが広くなるにつれて出力特性が低下した.有孔板に風車を設置し,風車回転方向CWの場合に下流域において最も減風効果が得られた.
  • 秦 祐也, 上野 祥彦, 大屋 裕二, 烏谷 隆, 内田 孝紀
    セッションID: 39
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/07/27
    会議録・要旨集 フリー
    九州大学風レンズ研究グループは新しいタイプの風車として鍔つきディフューザ風車(通称風レンズ風車)を開発している.この風レンズ風車は同直径の従来型風車に比べ数倍の発電量を得ることが出来る.これは風レンズの集風効果と,集風体後方に鍔が形成する低圧領域が空気を引き込み加速させる効果による.過去に風レンズ風車は定常RANS解析・風洞実験・野外実験により改良されてきた.本研究ではさらなる改良の基礎として3次元非定常流れ場を解明するため,STAR-CCM+を用いて乱流モデルとしてLESを採用した数値計算を行う.この数値計算により,集風体から発生する渦輪・ブレードより発生する翼端渦・翼端渦と集風体の間より発生する誘導渦の挙動が明らかになった.本論文ではこれらの渦の詳細な振る舞いや,相互干渉につて述べる.
  • -第2報 格子乱流により生成した流入変動風の影響-
    内田 孝紀, 大屋 裕二
    セッションID: 40
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/07/27
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では,WTG単体の上流側に格子乱流を設置し,これが作り出す乱れがWTG後流の気流性状にどのような影響を与えるかを検討した.その結果,流入気流が有する乱れの有無に関係なく,全てのケースともにロータ中心位置では,3~4割程度の速度欠損が明確に存在することが示された.
  • 渡邉 康一, 大屋 裕二, 烏谷 隆
    セッションID: 41
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/07/27
    会議録・要旨集 フリー
    風洞実験,数値計算結果より垂直軸型風車の駆動原理を考察し,出力性能を増加させるための条件は空力性能が優れた翼型の開発の他に,風車上流側の風速の加速であることを示した.また,風速については,水平軸型風車と同様,出力性能が近寄り風速の3乗に比例することが確認されたため,つば,インレット付き2次元ディフューザタイプの集風構造体を適用し,最大で風車単体の2.6倍の出力増加を達成した.
  • 河井 宏允, 奥田 泰雄, 大橋 征幹
    セッションID: 42
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/07/27
    会議録・要旨集 フリー
     近年,CFDやPIV技術の発達及び普及によって,様々な流れ場の詳細な構造が調べられている。しかし,建築物に代表されるような3次元物体の周りの流れは複雑で,その詳細については必ずしも明らかになっているとは言えない。特に,頂部を越える流れと側面から剥離した流れの非定常な干渉については,これまで様々な試みがなされてきたにもかかわらず,その状況は依然として解明されていない。  本論文は,乱れの小さい一様流中に置かれたアスペクト比2.7の正四角柱の後流の流れ場を,2次元および3次元ステレオPIVによって測定した結果に基づいて,後流中の非定常流れ場,特に側面からの流れと頂部を越える流れ場の干渉に伴うカルマン渦の3次元構造について検討したものである。本測定では,複数の測定断面におけるPIVの測定画像を,側面の剥離剪断層の外側に設置した熱線風速計の信号に同期して抽出し,カルマン渦形成・成長・放出段階における複数の測定断面の画像を重ね合わせて,非定常流れ場の構造を調べた。
  • 長谷部 寛, 名取 信彦, 原嶋 崇太, 城石 健治, 芹澤 裕, 野村 卓史
    セッションID: 43
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/07/27
    会議録・要旨集 フリー
    中心間隔比L/Dを3と4としてタンデム配置した正方形角柱周辺の風速を,スプリットファイバープローブを用いて面的に測定した.本研究で明らかになったタンデム配置正方形角柱周辺の気流特性は以下のとおりである.時間平均流れ場に着目すると,L/D=3の場合,上流側角柱からの剥離流は下流側角柱に再付着するが,L/D=4の場合,上流側角柱からの剥離流は角柱間に流れ込む.位相平均流れ場に着目すると,L/D=3の場合,角柱間には閉じた流線が形成され,位相ごとにその形状は若干変化するが,角柱間に入り込む流れは形成されない.一方L/D=4の場合,角柱間には明確な渦が形成される.その影響で,位相ごとに,角柱間を斜めに横切る流れと,角柱間で大きな曲率を持つ流れが形成される.
  • 秦 祐也, 永井 修平, 大屋 裕二, 辻 美奈子, 内田 孝紀, 烏谷 隆
    セッションID: 44
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/07/27
    会議録・要旨集 フリー
    ポーラス状の外側部をもつ円柱のポーラス部の透過率Ctを変化させ、流れ場について数値計算(2D-DNS)を用いて詳細に検討した.透過率を変えることで流れ場の構造に3つのレジームが現れ、それぞれのレジームの流れ場は以下のようになった.レジームI(Ct< 1.0): 内部の円柱からKarman渦列が形成され、それとポーラス外縁から生じる2つの剥離せん断層が干渉する.レジームII(1.5 < Ct <10): 内部の円柱から渦列は発生せず、ポーラス外縁から生じる剥離せん断層が遠くの下流位置で渦形成を行う.レジームIII(15 < Ct ): ポーラス外縁から生じる剥離せん断層が物体背後に近づいてKarman渦列を形成する.
  • 八木 知己, 岡本 健吾, 榊 一平, 頃安 弘, 梁 子豊, 成田 周平, 白土 博通
    セッションID: 45
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/07/27
    会議録・要旨集 フリー
    斜張橋ケーブルの耐風設計ならびに維持管理において,ケーブルに作用する風荷重及び空力振動現象が問題視されている.本研究では,ケーブルの表面形状を変化させることで,抗力を十分に低減し,レインバイブレーションを抑制することのできる表面形状を検討する.静的空気力測定実験を行い,12本の突起を螺旋状に巻き付けたスパイラル突起付ケーブルは表面粗度とは異なる効果により,抗力を十分に低減できることが明らかとなった.次に,流れの可視化実験を行うことで,スパイラル突起付ケーブルにおいて,流れの3次元的な効果がカルマン渦を抑制し,抗力を低減している可能性が示唆された.さらに,ケーブル模型を風向に対して下り勾配を有する姿勢に固定し,人工降雨下の屋外実験を行った所,スパイラル突起付ケーブルには上面側水路が観察されず,レインバイブレーションに対する制振効果を有していることが判明した.
  • 中藤 誠二
    セッションID: 46
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/07/27
    会議録・要旨集 フリー
    橋梁や高層ビルなどの柱状構造物において風圧力の軸方向相関長さの評価は空力学的挙動において重要である.特に軸方向に断面を変化させることで全体に作用する空気力を低減させる空力的制御のメカニズムや効果を調べるためには,相関長さを定量的に評価し比較する必要がある.しかしながら,これまで,確立された評価手法はなく,データベースも不十分である.本研究では周波数分析に関する考察を踏まえて,合理的な評価手法を提案した.さらに,高欄を模擬した付属物を設置した軸方向に形状が変化する柱状模型を対象に風洞実験を行い,その評価手法を適用した.
  • 鶴見 俊雄, 大熊 武司, 島岡 俊輔, 片桐 純治, 丸川 比佐夫
    セッションID: 47
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/07/27
    会議録・要旨集 フリー
    等辺山形鋼部材の風力特性及び風応答特性を把握するために,2次元模型を用いた風洞実験により,乱れ強さ約5%の一様乱流中における等辺山形鋼部材の層風力を求め,部材の応答計算を行った.風直交方向変動層風力のパワースペクトル密度には,変動風力係数の大きな値が示された風向において,渦に起因する卓越したピークが見られる.Den Hartogの判別式AFは,風向90°付近及び135°付近で負値が示された.スペクトル・モーダル法により求めた強制振動解の一般化変位の最大値は,減衰定数0.5%,風速20m/s以下の場合,風向150~180°付近で大きく,最大変位は放出渦に起因して生じている.一般化変位の最大値は風速11m/s付近において1次に比べて2次が大きくなる.Newmark - β法によるギャロッピングの時刻歴応答解析結果は,減衰定数0.5%の場合,風速10m/s付近からギャロッピングが発生し,ギャロッピングによる振幅は強制振動解による振幅に比して大きな値が示された.
  • 田中 英之, 田村 幸雄, 大竹 和夫, 中井 政義
    セッションID: 48
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/07/27
    会議録・要旨集 フリー
    近年,世界各地で300mを超える規模の建物において独創的な形態の超々高層建築物の実現が注目されつつある。超高層建築物では,隅角部形状の変化や高さ方向の平面形状の変化などの対策で風荷重の低減を図っており,各形状でパラメータを変化させての研究事例は多い。しかし,一方でそれら風に対して有効な建物形状間で,その形状と空力特性の関係について建築与条件を統一しての評価事例は少ない。そこで本研究では,建築的予条件を統一した様々な建物形状に作用する風力と風圧を一連の風洞実験によって調査し,それらの空力特性に関して,耐風設計上の優位性に注目して評価した。その結果,螺旋形状建築物が耐風設計上優位な空力特性を示し,その形状では全風向,全層に渡って周期性の強いカルマン渦の発生が抑制されており,これが優れた空力特性に結びついていることが明らかとなった。
  • 谷口 徹郎, 谷池 義人, 中村 良平
    セッションID: 49
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/07/27
    会議録・要旨集 フリー
    POD解析は、ランダムな現象から組織的な構造を抜き出すのに有効である。しかし、従来のPOD解析では、空間に固定されたモードを用いるため、移流を伴う現象を単一モードで表すことはできない。一方、流れの中の物体周りの風圧場は、一般に移流を伴う。そのような場合、複素POD解析は有効である。 本論文では、ほぼ一応な流れと勾配流中における、正方形断面をもつ角柱周りの流れ場を複素POD解析を用いて調べた。その結果得られた対称モードと逆対称モードについて考察し、逆対称モードはカルマン渦放出に伴う変動風圧場を表現していると考えられること、その性状は気流によって大きく異なることを示した。また、対称モードの特徴を示すとともに、逆対称モードとの関係について考察した。
  • 野津 剛, 菊池 浩利, 日比 一喜
    セッションID: 50
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/07/27
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では風洞実験を実施した中層市街地内に建設される実計画建物の耐風設計問題を対象にLESを実施し,LESの予測精度を検証するとともに適用するときの課題を明らかにすることを目的とする.ここでは,壁面の風圧係数について風洞実験結果との比較検討を行なう.
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