冷温帯多雪地方における植被の復元を左右する立地条件を明らかにするため,山形県小国町温身平の林道法面植生を検討した。工事後9~11年経過した10個所の固定試験地123プロット(1m
2)の植生と立地条件について数量化法Iで解析した。外的基準としては,植生高,現存容積,積算優占度合計,種類密度,在来種侵入率など8基準について,8アイテム,28カテゴリーで検討した。導入植生からの二次遷移の主な支配要因としては,土壌の深さ,法面上の位置,母材等がみられたが,一部を除き,露岩率,土壌の硬度の影響は少なかった。具体的な二次遷移の主な促進条件としては,深い土壌,林縁,流紋岩質がみられ,逆に主な阻害条件としては,不安定法面,浅い土壌が示された。とくに,軟かい土壌が第一位優占度を増加させた点は注目しておきたい。これらの結果から,土木的工法で,安定度や傾斜度,硬度を変えることで二次遷移の内容に応じた制御の可能性が示唆された。
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