本研究の目的は,大学生の学業に資するための大学図書館と教員との連携に焦点をあて,大学教員が授業の中で図書館をどのように位置付け,学生への教育に役立てているのか明らかにすることである。2021年12月~2022年3月の間に,7名の大学教員(5大学)を対象にインタビュー調査を実施した。授業の中で図書館を重要な存在として積極的に活用する土壌が教員側でも図書館側でも整っていない状況が示され,教員⇔図書館員との共通理解を育むコミュニケーションの不足が大きな要因の一つであることなどが明らかになった。
本研究の目的は,学部生が大学図書館の利用教育をどう利用し,どのような効果を認め,また図書館員と教員の連携をどのように捉えているのか,を明らかにすることである。2021年12月末~2022年2月上旬に質問紙調査を実施した。自主申込型の利用教育に参加する学生は少ない,利用教育受講後に情報源の選択肢が広がるなどの変化を認める学生は7~8割,授業と連携した利用教育の方が学生は高いレベルの情報リテラシー体得を望める,多くの学生には授業と利用教育の連携が学業に有益に働くとの認識がない,などが明らかになった。
戦災によって変貌した東京の風景を記録する目的で野田宇太郎は文学散歩を始めたが,その取組みは読書会の一環として図書館でも実施されてきた。しかし,「文学散歩」は時代によって異なる使われ方がされるため,その意味が一意的に定まらない用語でもあった。本研究では野田と図書館による文学散歩関連図書を整理し,各時代の文学散歩の開催目的と特徴の変化を明らかにした。文学散歩友の会,地域資料の活用,ウィキペディアタウンなどと関連しながら,今日の文学散歩は「語る」ことでまちの文学情報を公共財に変える仕組みへと発展した。
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