Webインテリジェンスとインタラクション研究会 予稿集
Online ISSN : 2758-2922
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12月1日(日)
セッション1:意思決定支援・言語処理
  • 江原 遥
    p. 1-6
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/02/01
    会議録・要旨集 フリー

    テキストから埋め込みベクトルを求めるテキスト埋め込みの技術は,テキストの意味的処理の基本となっている.一方,近年,埋め込みベクトルから逆に埋め込み元のテキストを求める「逆埋め込み」の手法が主にセキュリティなどの目的で研究されてきている.逆埋め込みの手法は,教育における難しさにおける難度調整や,極性分析における肯定度調整などの順序アノテーションされたテキストの例示に使用できるのだろうか?例えば,入力テキストに対して,より簡単な事例の生成に逆埋め込み手法が使えるのだろうか?本研究では,実際に順序アノテーションされたテキストのデータセットを用いて,埋め込みベクトルをまず計算する.そして,埋め込みベクトルの線形演算によって求められた点に対して逆埋め込みを求め,内挿・外挿した点が,線形演算から予想される順序を保存しているかどうかを検証する.

  • 佐藤 将太, 佐々木 裕多, 白石 優旗, 張 建偉
    p. 7-14
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/02/01
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    Emotional Support Conversation (ESC)は,助けを求める人の精神的苦痛を軽減することを目的としたタスクであり,複数のESCシステムが提案されている.効果的なEmotional Supportを行うために,ユーザーの感情問題に対応するための戦略的側面や,ユーザーの経験や感情に沿った共感の表現を考慮するいくつかの手法が提案されているが,諸側面の効果的な利用には課題が残る.そこで我々は,応答生成時に諸側面を段階的に融合して応答を導く手法を提案する.提案手法は文脈から予測された支援戦略とユーザーの暗黙的な情報を段階的に取り込み,より共感的かつ支援的な応答生成を可能にする.実験の結果,自動評価とLLMによる評価の両方でベースラインを上回る性能を示し,自動評価の観点で内容の正確性や一貫性の指標で改善が見られ,LLMによる評価では共感性の指標で改善が見られた.本研究では,段階的な情報の融合がESCシステムにおいて効果的であることを示し,共感的な支援応答生成の新たな方向性を示唆する.

  • 永井 蓉子, 古手川 美結, 竹下 温人, 山田 哲男
    p. 15-16
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/02/01
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    近年,地球上のさまざまな国や地域の分業により,製品の原材料や部品が複数の国を経由して製造され,世界中の市場で販売されるグローバルサプライチェーンでは,地球温暖化を抑制するために,温室効果ガス排出のない再生可能エネルギー電力を企業が導入するRE100がサプライヤーにも求められている.しかしながら,太陽光発電は気象条件によって発電量が左右されるため,太陽光発電による供給電力の途絶を考慮したグローバルサプライチェーンネットワークの意思決定支援システムが必要とされている.本研究では,太陽光発電の途絶を考慮したグローバルサプライチェーンネットワークの意思決定支援システム開発に向けて,数理計画によるモデル化と実験結果の考察を行う.

セッション2:SNS・情報推薦
  • 平松 洪輝, 安藤 一秋
    p. 17-24
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/02/01
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    本稿では,日本に居住するSNSユーザの居住地を推定する手法を提案する.我々の先行研究では,ユーザの投稿内容と観測された気象データを用いて,都道府県単位で居住地を推定する手法を提案した.しかし,気象データは,Precisionの向上には寄与したが,Recallの向上には寄与しなかった.特に,アクティブユーザ数が少ない地方部や大都市に隣接する都道府県でRecallが顕著に低くなった.そこで,本研究では,地方部のコミュニティが都市部に比べて緊密な繋がりを持つ点に着目し,ユーザ間のフォロー関係を活用することで,特に地方部の都道府県におけるRecallの向上を図る.また,ツイート内容からの特徴抽出手法としてBERTを導入し,Precisionのさらなる向上にも取り組む.先行研究で使用したデータセット(旧Twitter)を用いた評価実験において,F値0.7747を達成し,本研究における最良値を記録した.Recallについては,ツイート内容のみを用いた手法と比較して,最大で約5ポイント改善した.

  • 西谷 千乃与, 安藤 一秋
    p. 25-32
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/02/01
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    SNSは,アスリートとファンの繋がりを深め,新たな応援の形を生み出している.その一方,SNS上において,アスリートに対する誹謗中傷は深刻な問題になっている.誹謗中傷を受けたアスリートは,試合で十分なパフォーマンスを発揮できなくなる可能性があり,キャリアにも深刻な影響を及ぼす懸念がある.そのため,SNS上のアスリートに対する誹謗中傷を早期に自動検出する手法の実現が求められている.本稿では,Twitter(現在はX)上におけるアスリートに対する日本語の誹謗中傷投稿を分析し,素性ベースのモデルと事前学習済み言語モデルを用いて,誹謗中傷投稿を検出する手法を提案して性能を比較する.また,誹謗中傷検出タスクに,リプライ元投稿を活用する有効性も検証する.実験の結果,BERTに基づく手法が全手法の中で最良のF1値0.838を達成した.また,誹謗中傷検出タスクには,リプライ元投稿とリプライ投稿の両方を用いる有効性を確認した.

  • 任 宝峰, 木實 新一
    p. 33-36
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/02/01
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    推薦システムにおける情報の偏りやいわゆる「フィルターバブル」の問題に対処するため、多くの研究者が推薦における多様性と正確性のバランスを実現するための手法を模索している。推薦結果の多様性に対するユーザの許容度はユーザごとに異なると考えられるが、従来の推薦モデルはこの点に十分対応することができていない。本研究では、多様性と正確性の適切なバランスを実現するために、知識グラフを用いてアイテムの詳細情報を取得し、ユーザの過去のインタラクションデータと組み合わせて、多様性許容度を計算する。ユーザーごとの許容度に基づき、パーソナライズされた推薦を行う手法を提案する。ユーザにおける多様性許容度に対応した推薦を行い、きめ細かく推薦結果の多様性と正確性のバランスを調整することで、効果的に情報の偏りや「フィルターバブル」の課題に対応できるシステムの実現につながることが期待できる。

12月2日(月)
セッション3:LLM(1)
  • 水谷 優香, 後藤 千颯, 笹嶋 宗彦
    p. 37-40
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/02/01
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    PBL演習は,学生がデータサイエンティストになるための素養を学ぶための授業であり,企業と連携して実データを用いてグループで課題発見から提案まで考えていく.学生はPBL演習を通してデータの分析力や,グループ内でのコミュニケーション力などを身に付けることができるとされている.他方で,教育工学の分野では長年にわたって教授・学習理論が様々に提案されている.本研究では,兵庫県立大学社会情報科学部で行われているPBL演習Iをモチーフとして,授業の各学習ステップに学習・教授理論のどの理論に当てはまるかを検討する.そして,理論内容から各学習ステップのKPIを検討し,そのKPIごとの教育効果を測定する.PBL演習Iの全講義終了後に,受講生に対してアンケートを行い,分析を行った結果,グループワークについて学ぶステップで教員の指導力に応じて受講生の理解に差が出るものがあることが分かった.

  • 山本 隆太, 上野 史, 太田 学
    p. 41-47
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/02/01
    会議録・要旨集 フリー

    高齢者や障がい者が過ごす福祉支援施設では,入所者が起こすトラブル,すなわちインシデントの発生は問題であるため,インシデントの予兆をとらえて発生を未然に防ぐことが重要である.我々は過去の研究で,福祉支援施設の入所者が起こすインシデントの予兆検出のため,施設の支援記録本文とその付随情報を用いたBERTを利用した分類器によるインシデントの予兆検出手法を提案した.本研究では,支援記録本文をBERTに対する追加の事前学習に使用することの有効性を確認するための実験を行う.具体的には,追加事前学習を行った分類器と行わなかった分類器を作成して,分類結果を比較する.実験の結果,追加事前学習を行った分類器は最も精度の良いもので施設Aで平均F値0.876,施設Bで平均F値0.834,追加事前学習を行わなかった分類器は施設Aで平均F値0.881,施設Bで平均F値0.838となり,追加事前学習による分類精度の向上は見られなかった.

  • 中山 竣平, 金澤 輝一, 上野 史, 太田 学
    p. 48-55
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/02/01
    会議録・要旨集 フリー

    電子図書館において文書間リンクを生成するためには参考文献文字列からタイトルや著者などの書誌情報を抽出することが不可欠である.著者らは自然言語処理モデルであるBERTを用いた参考文献文字列から書誌情報抽出する手法を提案し,2000年の電子情報通信学会英文論文誌において書誌情報抽出精度0.958を達成した.これは高精度ではあるが,人手による修正が必要である.そこで本稿では,人手による修正コストを削減する手法を提案するため,BERTとその後継モデルであるXLM-RoBERTa,LUKEを使用して参考文献書誌情報を抽出し,その抽出誤りを検出する.実験では,電子情報通信学会英文論文誌データにおいて,XLM-RoBERTaが0.958の書誌情報抽出精度を示し,抽出誤りを含む参考文献文字列を89.0%検出した.これらを含む検出した参考文献文字列は全参考文献文字列の13.7%を占め,これらを修正したとみなせば書誌情報抽出精度は0.995となった.

  • 堀川 達平, 北山 大輔
    p. 56-62
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/02/01
    会議録・要旨集 フリー

    比較検討をした上で意思決定を行うような問題を前提として,その解決のために情報の網羅的な収集を行う,網羅性指向タスクとよばれる検索タスクが存在する.網羅性指向タスクにおいて,ユーザは事前知識に乏しい場合が多く,終了目標やクエリ考案が課題となり,情報の網羅性を担保することは容易でない.そこで我々は,網羅性指向タスクにおいて,ユーザが主要なコンテンツを押さえられることを目標とし,検索テーマに関するヒントを提示する手法を提案した.我々は以前にもこの提案手法の評価を行ったが,検索テーマによってその影響に差が見られた.このことから,本研究ではテーマを増やすことによって,さらなる効果検証を実施する.

  • 嶋津 瑛, 北山 大輔
    p. 63-70
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/02/01
    会議録・要旨集 フリー

    令和5年度版情報通信白書において,2022年時点での日本におけるSNS人口は1億人超と見積もられるなど,我が国におけるSNSの影響力は非常に大きくなっている.また,SNSを利用したマーケティングや,SNS上の感情や情報の伝播に対する研究などが盛んに行われていることから,SNS上での交流に対する動向予測システムの必要性が生じる.そこで我々は,大規模言語モデルを用いたエージェントによるチャットコミュニティを作成し,エージェント同士が互いに投稿・返信を行う仮想SNS環境を構築することで,SNS上での様々なコミュニティに対する動向のシミュレーションが行えると考えた.本稿では,Web上から収集したニュース記事に基づいた検索拡張生成によって投稿を生成するエージェント同士の対話によるSNSシミュレーションシステムを提案し,その動作を検証した.検証の結果,提唱手法によって自然な投稿・返信の生成が可能であること,また一定のシミュレーション能力を持つことを確認した.

セッション4:情報推薦
  • 板垣 紫音, 上野 史, 太田 学
    p. 71-78
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/02/01
    会議録・要旨集 フリー

    本稿では意外性があり贈り相手が喜ぶプレゼントを推薦するシステムを提案する.提案システムでは,まず楽天市場にあるユーザレビューの数や総合評価をもとに意外性や評判を数値化し,贈り相手の属性(年齢、性別、関係性など)に応じて意外性があり,贈り相手が喜ぶ商品ジャンルをいくつか推薦する.そして、推薦した商品ジャンルからユーザが選択した商品ジャンルの商品の商品説明文とユーザレビューを用いて,意外性と評判を数値化する.そして,その数値化した意外性と評判に基づいて商品を推薦する.提案システムによって推薦された商品ジャンルと商品の意外性,贈り相手への妥当性,満足度を評価するため,本稿では岡山大学の大学生と大学院生あわせて14名を対象とした被験者実験を実施した.被験者実験の結果,提案システムでは比較対象とした「楽天市場」よりも短い時間で自信を持ってプレゼント探索ができた.またプレゼントとして意外性があり,相手が喜ぶような商品ジャンルや商品をいくつか推薦することもできた.

  • Xu Feike, Ma Boxuan, Konomi Shin’ichi
    p. 79-86
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/02/01
    会議録・要旨集 フリー

    Affective states play a crucial role in music, as music can influence both current emotions and long-term moods. We propose a novel emotion-enhancing hybrid music recommendation (EEMR) mechanism that finds the suitable criteria in selecting the best music playlist for improving user’s emotion by combining two recommendation techniques, i.e., content-based filtering and context-aware approach. This mechanism generates playlists that align with the user’s preferences and current emotion, while also supporting gradual improvement of the user’s emotion over time.

  • 板谷 鈴, 永井 大智, Berkovsky Shlomo, 土方 嘉徳
    p. 87-94
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/02/01
    会議録・要旨集 フリー

    推薦システムにおける推薦結果の説明付けの方法の一つとして,他のどのユーザが当該アイテムを選好しているかを表示する推奨者提示という方法がある.従来研究では,実世界の友人が推奨者として提示される場合に,推薦結果への受容率が高くなることが確かめられている.本研究では,実世界の友人への知覚した専門性,(自分との)親密さを取り上げ,これらの程度が推薦時における推奨者としての知覚した説得力に,どの程度影響を与えるかを社会調査により明らかにした.回答者のレベルを考慮したマルチレベル分析の結果,推奨者への知覚した専門性が高いほど,また推奨者との親密さの程度が高いほど,推奨者としての知覚した説得力が高まることが分かった.さらに,推奨者が回答者と同性の場合は,専門性と比較して親密さが説得力に与える影響が大きいことが分かった.

  • 左野 寛之, 吉田 光男
    p. 95-98
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/02/01
    会議録・要旨集 フリー

    機械学習の発展により,研究者ではない情報技術者なども論文を読む機会が増加している.オンライン上では,プレプリントを中心に大量の論文が共有されており,学術情報の効率的な探索手法が求められている.本研究では,ソーシャルメディア上の学術情報に関する言及データを用いて構築したネットワークに対し,metapath2vecを適用することで,引用関係やテキスト情報とは異なる,論文の特徴を捉えた埋め込みを獲得する手法を提案する.提案手法は,論文の分野情報を直接与えることなく,関連する分野の論文が類似したベクトルで表現される埋め込み空間を獲得することができ,メタパスとして著者情報を加えることで,論文の分野情報をより正確に捉えられることが明らかとなった.提案手法は,メタパスを拡張することで,様々な種類の埋め込みを同時に獲得することができるため,学術情報を効率的に探索する助けとなることが期待される.

セッション5:LLM(2)
  • 川本 唯人, 堀川 達平, 北山 大輔
    p. 99-104
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/02/01
    会議録・要旨集 フリー

    気になることを調べる際にWeb検索はよく用いられる.その要因としてジャンルを問わず調べものをできることが挙げられる.一般的な検索エンジンでは,検索要求を入力するとそれに関連する結果を提示する.この時,検索者は検索要求を満たすために必要なサブトピックが検索結果中で網羅されているかを把握することは難しい.そこで本研究では,大規模言語モデルを用いて検索要求のサブトピックを生成しそのサブトピックに関して検索結果中での出現の有無を判定することで,検索結果中のサブトピックの欠損を可視化する手法を提案する.本稿では提案手法の実行例を示すとともに,提案手法と比較手法を被験者に行ってもらい実験することで評価をした.

  • 畑 玲音, 茂木 奈々瀬, 松下 光範
    p. 105-112
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/02/01
    会議録・要旨集 フリー

    本研究では,新たなモノのアイデアの実現に伴う副次的な問題を考慮するための,対話的なアイデア発想支援手法を提案する. アイデア発想では「便利にすること」に過度な着目がなされることにより,「便利の副作用」が副次的に発生する懸念が存在する.アイデアを実現させる際は,目的達成に必要な構成要素と,それらの相互作用による変化を踏まえた,大局的な観点から発想を行うことが肝要である.提案手法では,現状からアイデアの実現により改善する点と,それにより悪化してしまう点のトレードオフの組み合わせに基づき,TRIZ(発明的問題解決理論)を用いた解決策のアイデアを,大規模言語モデル(LLM)で生成し,構成要素の探索を行える仕組みを提供する.これにより,発想において副次的な影響として見落とされがちな,新たなモノの導入による問題点を,発想段階から検討することが可能になる.

  • 紺屋本 遥和, 林 宏樹, 笹嶋 宗彦
    p. 113-116
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/02/01
    会議録・要旨集 フリー

    2022年4月より年次進行で始まった新科目「情報I」は,幅広い分野を学ぶ科目である.しかし,指導すべき内容に不安を感じている高等学校の情報科教員がいたり,各学校に専門性を持った教員が十分に配置されているとは言えない状況であったりするため,その現場での指導には課題が多い.さらに,1人の教員が担当する生徒数も多いため,情報I「データの活用」における統計ポスターなどの提出物を評価する作業も大きな負担となっている.そこで,本研究では教員の負担を軽減するだけでなく,教員による評価のばらつきを防ぐことを目的し,生成AIによる成果物の評価支援を行う.現在,ChatGPT-4oを用いて相関分析をテーマとして生徒が作成した研究成果を発表するためのポスターを入力し,評価基準に沿った評価を3回出力し教員による評価と比較し分析した結果,一部の評価基準に対しては評価支援を行えるとわかった.

  • 後藤 千颯, 水谷 優香, 笹嶋 宗彦
    p. 117-120
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/02/01
    会議録・要旨集 フリー

    兵庫県立大学社会情報科学部では, 優秀なデータサイエンティストを育成することを目的としてPBL形式での授業を行っている. しかしながら, 指導教員は学生に対して適切な介入をすることに課題を感じている. 本研究では, 授業改善の指針が示されている教育理論を活用し, 現在行われている授業を機能分解木と組み合わせてモデル化を行う. また, このモデルを活用し, LLMを用いて学生に対して適切な介入策を考案することで, 指導教員が授業改善策を考案する負担を軽減するシステムを構築する. 具体的には, 授業を授業回ごとに分割し, 教育理論を用いてモデル化を行う. さらに, 機能分解木からプロンプトを生成するテンプレートとアルゴリズムを設計する. 構築したプロンプトを生成AIに入力することで, 教育理論に裏付けされた授業改善策が出力できることを実験で確認した.

12月3日(火)
セッション6:LLM(3)
  • 橘 輝虎, 山西 良典
    p. 121-124
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/02/01
    会議録・要旨集 フリー

    TCGの局面における最適な意思決定能力について,公式が発行するルールQ&Aを用いてLLMの理解力を検証する.RAGを活用した知識強化型LLMと一部の事前知識を除いた知識強化型LLMに同一のQ&Aを解答させ,その正確性を比較する.検証には,カードの効果処理順,特殊な状況での処理方法など,様々な難易度のQ&Aを使用した.RAGには上級者向けマニュアルや公式ルールブック,カードデータベースの情報を組み込み,事前知識の有無による解答精度の違いを考察した.また,回答の論理的説明能力についても評価を行い,LLMのルール理解における限界と可能性を検討した.

  • 秋山 明日香, 山西 良典
    p. 125-128
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/02/01
    会議録・要旨集 フリー

    本稿では,漫画作品の内容および特徴を直感的に捉えるための特性表現手法を検討する.漫画作品を読者の感性にもとづいて検索するためには,ジャンルよりも具体的に,そしてあらすじ本文よりも抽象的に特徴表現する必要がある.提案手法では,作品のあらすじ文を情報源とし,BERTopicによってトピック集合を得る.そして,各トピックに対してLLMによってアトリビュートを付与させることによって,人間に理解可能でありながらも,作品のあらすじに含まれる特性を表現可能にする.本稿では,提案手法を用いて14,106件の漫画のあらすじからアトリビュートの生成を行った.そして,提案手法によって生成されたアトリビュートの有用性と問題点を考察するとともに,改善案を議論した.

  • 猪股 朋果, 堀川 達平, 北山 大輔
    p. 129-135
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/02/01
    会議録・要旨集 フリー

    私たちは日常生活において選択を行う場面は多数あり,選択の中には些細な選択から,今後の生活に関わる大事な選択もある.その中でも大事な選択時には情報を多様な視点から収集することが必要であり,そのためには網羅的な情報検索を常に意識をし続ける事が大切であるが,意識をしながらの検索は難しい.そこで本研究では,調べたい検索テーマについて網羅的な検索を行うためのトピックとサブトピックを大規模言語モデルを用いて生成し,検索時クエリに入力された語と意味が近い際に点数と生成した語を記入したリストを付与することで,ユーザの検索能力を向上させる手法を提案する.本稿では,実装したトレーニングシステムがユーザの検索行動に対して,どのような影響を与えるのか評価をした.その結果,クエリの入力を促すことに対しては効果があることがわかった.

セッション7:レビュー解析・分析
  • 池町 和史, 山西 良典
    p. 136-142
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/02/01
    会議録・要旨集 フリー

    本稿では,係り受け解析によってゲームのレビュー文を分析し,プレイヤが作品を評価する際の着目点と評価内容を抽出し,プレイヤの着目点に関する知見の蓄積を目指す.エンタテインメント産業の中でも代表的なビデオゲームでは,様々な楽しむ体験が提供されている.異なる特性(例えば,ジャンルや発売日)を持つ作品間でどの観点がユーザに楽しまれているのかを明らかにすることで,ルールやグラフィクスなどのゲームを構成する要素それぞれについてプレイヤの作品評価の傾向を分析する.分析の結果,作品の特性ごとに異なるゲーム要素が注目されていることが明らかになった.

  • 小林 らんう, 上野 史, 太田 学
    p. 143-150
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/02/01
    会議録・要旨集 フリー

    混雑具合や景観の美しさなど,ユーザが旅行時に着目する観光スポットの観点は多岐にわたる.そこで本稿では,観光レビューからスポットの観点を自動抽出し,それを利用しユーザの持つ観点に合ったスポットを推薦するシステムReSTA(Recommender System with Travel Aspects)を提案する.ReSTAでは観光レビューから観光スポットに関する有用な観点とその評価を自動抽出するために,OpenAI APIとWard法を活用する.ユーザはシステムのインタフェースを通じて,自身の旅行スタイルや観点などの条件を柔軟に選択して指定できる。また,ReSTAはユーザが指定した条件とスポットの観点の類似度に基づいて観光スポットを推薦する.提案したReSTAの評価実験として,14名の被験者を対象にアンケートを実施し,推薦されたスポットに対するユーザの満足度や,スポット探索に要する時間を調査した.さらに,既存の観光支援ツールと比較して,スポット探索においてReSTAがより有用であることを確認した.

セッション8:データ解析・分析
  • 菊谷 和也, 笹嶋 宗彦
    p. 151-154
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/02/01
    会議録・要旨集 フリー

    平成30年告示高等学校学習指導要領により,情報科目は2022年に「情報I」として統合され,2025年の大学入試共通テストでも新科目「情報」として出題される予定となっている.しかし,大学入試でどの水準まで出題可能であるのかについての基準は定まっておらず,高等学校においても,情報の学習内容をどこまで重点的に学ぶべきかについて,基準が明確に定まっていない.高等学校で使用されている教科書の内容は,学習指導要領に沿って改定されているが,出版社ごとに工夫が凝らされており,それぞれに内容の違いがある.そこで,教科書ごとに,どの水準まで教えている内容が共通していて,どの水準から違いがあるのかを明らかにすることを目的とし,教科書の構造関係の分析を行うことを考えている.本研究では,階層関係を抽出する方法について検討を行った結果について報告する.

  • 堀之内 逸人, 林 宏樹, 笹嶋 宗彦
    p. 155-158
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/02/01
    会議録・要旨集 フリー

    総合的な探究の時間(以下,「探究学習」)は,2022年度から高等学校において全ての生徒が履修する授業となった.探究学習の指導には,多くの教員が負担や不安を抱えており,その1つの課題として,探究学習の指導経験の浅い教員が指導計画を作成する難しさがある.本研究では,探究学習の指導モデルのオントロジーを参照し,指導経験の浅い教員が探究学習の指導計画を作成することを補助するシステムを設計する.本システムは,授業総時間と授業内容を入力すると,指導計画案を出力する,指導計画作成補助システムである.指導計画案は,指導モデルが定義されているPPDACサイクルオントロジーに基づいて作成され,指導の流れや学習方法,推定された時間配分を要素として構成される.本システムにより,指導経験の浅い教員が指導計画の作成を行うことに関する負担の軽減を期待できると考えている.

  • 大木 有, 三浦 大樹, 吉田 光男, 坂田 一郎, 浅谷 公威
    p. 159-162
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/02/01
    会議録・要旨集 フリー

    Twitter (X)などのソーシャルメディアの普及に伴い,研究者によるソーシャルメディアの活用が進んでいる.一方で,ソーシャルメディアの活用がどのように研究成果に影響を与えているかは十分に明らかにされていない.本研究では,研究者がソーシャルメディアから得る情報の量や内容が研究成果に与える影響を分析する.我々はOpenAlexとTwitterアカウントの紐付けデータに含まれる約40万人の研究者の論文情報とTwitterのフォロー関係を分析に用いた.まず,研究者の引用ネットワークとフォローネットワークを比較し,研究者は自身と研究内容が類似している研究者をフォローしていることがわかった.次にTwitter上での活発な情報収集が被引用数の伸びに寄与することを明らかにした.さらに,被引用数を伸ばした研究者がフォローしているアカウントの特性を調べた.これらの結果は,ソーシャルメディアの効果的な活用が研究成果の向上に寄与することを示唆している.

  • 伊集院 大将, 石垣 綾, 伊藤 和哉, 高嶋 隆太
    p. 163-168
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/02/01
    会議録・要旨集 フリー

    産業の発展に伴い,資源の年間使用量は増加の一途を辿り,資源枯渇は喫緊の社会課題となっている.資源枯渇に対し,リサイクルに加え,リユースが重要視されている.特に,国内のリユース市場は成長著しく,2023年には規模が3.1兆円に達した.その中でCtoC市場が42.5%を占め,フリーマーケットやフリマアプリを通じた売買が拡大している.しかし,CtoCマーケットにおいては,商品の劣化や機能の陳腐化による価格変動が激しく,売り手と買い手のミスマッチが生じやすいため,中古品の廃棄が懸念されている.本研究では,CtoCマーケットで取引される中古品を対象にコンジョイント分析を実施する.コンジョイント分析を行うことで,買い手の中古品購入に対する意思決定に影響を与える因子を特定することがでる.さらに,本研究では,得られた因子に対して,回帰分析を実行することにより支払意思額を算出する.最後に,買い手の支払意思額を算出することで,より円滑な中古品取引の実現について考察を行う.

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