高真空下(<1 mTorr)の有磁場マイクロ波放電プラズマを利用したa-SiGe:H膜のCVD法における成膜圧力と原料ガス組成の影響を検討した.成膜圧力の低下に伴う膜構造の変化は,活性水素原子量の増加によるものと,イオン性成膜種の増加によるものがあると考えられることを示した.前者の影響はH
2プラズマ流法と直接励起法で顕著であり,主として結合水素量の増加をもたらすと考えられ,膜の光導電率の増加,光感度の低下,
B値の低下,孤立SiH
2結合の増加等の変化はイオン性成膜種の増加の影響と判断される.また,成膜圧力が高い場合やマイクロ波パワーが低い場合に生じるa-SiGe:Hの光導電特性の劣化は,GeH
4の選択的なイオン化によるSiH
4の分解の抑制の結果として生じると考えられることを示した.同様なSiH
4とGeH
4のプラズマ反応性の差異の影響は特性の良いa-SiGe:H膜が得られる低圧域においても認められることを示した.これによって,混合原料ガスを用いるプラズマCVDでは,原料ガスのイオン化エネルギーや電子一分子非弾性衝突の断面積の差異がプラズマ放電に大きな影響を与えることを明らかにした.
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