セメント・コンクリート論文集
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67 巻, 1 号
セメント・コンクリート論文集
選択された号の論文の87件中51~87を表示しています
耐久性
  • 羽原 俊祐, 畠山 維斗, 小山田 哲也, 中村 大樹
    2014 年 67 巻 1 号 p. 363-369
    発行日: 2014/02/25
    公開日: 2015/02/25
    ジャーナル フリー
    凍結融解抵抗性について筆者らが開発したモルタルから切り出した8mm角の小片を用いた評価試験方法を硫酸塩劣化の評価に適用し、硫酸ナトリウム及び硫酸マグネシウム溶液に浸漬することによる試験体の変状過程及び既存の評価方法との整合性などについて検討し、その有効性を明らかにした。硫酸ナトリウム溶液に浸漬した場合、内部にエトリンガイトが生成し、硬化体全体が膨張し、質量残存率は著しく低下し、全体が崩壊する。硫酸マグネシウム溶液に浸漬した場合、硬化体表面に水酸化マグネシウム相が析出し、その内側に二水石こうが層状に析出し、隅角部から崩落し、亀裂が発生し、さらに内部に二水石こうが析出することで、質量残存率が増加する。
  • 山田 猛, 菊地 道生, 佐伯 竜彦, 斎藤 豪
    2014 年 67 巻 1 号 p. 370-377
    発行日: 2014/02/25
    公開日: 2015/02/25
    ジャーナル フリー
    本研究では、環境条件がコンクリート構造物の中性化の進行に及ぼす影響を評価するため、薄板状の小型モルタル供試体を2つの橋梁および浄水場施設の4構造物に貼り付けて暴露し、実構造物の異なる部位における環境条件の影響を評価した。また、モルタルの配合および暴露時期が中性化環境評価に及ぼす影響について検討した。その結果、雨掛かりの無い環境条件下では、薄板供試体によって中性化環境評価が可能であることが確認できた。また、短期間の暴露試験によって長期供用された構造物中性化深さを評価するには、中性化しやすい配合で供試体が乾燥しやすい時期の暴露が適していることが確認できた。
  • 金沢 貴良, 菊地 道生, 佐伯 竜彦, 斎藤 豪
    2014 年 67 巻 1 号 p. 378-385
    発行日: 2014/02/25
    公開日: 2015/02/25
    ジャーナル フリー
    塩化物イオン拡散性状の定量評価に必要な塩化物イオン実効拡散係数を算出する方法として、拡散セル法と電気泳動法があるが、両者より得られる拡散係数は一致しないことが問題となっている。この原因として、空隙構造および空隙表面電位による影響が考えられる。そこで本研究では、空隙構造の影響については酸素拡散係数に基づき、空隙表面電位の影響については電気浸透法から求めた硬化体のゼータ電位に着目し検討を行った。その結果、電気泳動法による拡散係数は空隙構造による支配的影響を受けていることと、ゼータ電位と電気泳動法による拡散係数から拡散セル法による拡散係数の換算が可能であることを明らかにした。
  • 水口 和彦, 阿部 忠, 川口 哲生, 河野 克哉
    2014 年 67 巻 1 号 p. 386-392
    発行日: 2014/02/25
    公開日: 2015/02/25
    ジャーナル フリー
    本研究は、有機繊維を用いた超高強度繊維補強コンクリートの耐疲労性を評価することを目的として、はり部材を用いて定点疲労試験を行った。実験では、まず静的載荷実験より、変形挙動および最大耐荷力に関する検討を行った。次に、静的載荷実験より得られた最大耐荷力を基準荷重として、荷重振幅を4種類設定して定点疲労試験を行い、曲げ疲労特性に関する検討を行った。その結果、耐荷力比と載荷回数から得られるS-N曲線において、これらの関係には相関性が得られることを示し、疲労寿命推定式を提案した。さらに、有機繊維を使用した超高強度繊維補強コンクリートは十分に耐疲労性が評価でき、実用性を有することを明らかにした。
  • 井上 真澄, 森 将, 岡田 包儀
    2014 年 67 巻 1 号 p. 393-398
    発行日: 2014/02/25
    公開日: 2015/02/25
    ジャーナル フリー
    有機短繊維と高炉スラグ微粉末がコンクリートの耐凍害性に及ぼす影響を明らかにすることを目的として、有機短繊維と高炉スラグ微粉末をそれぞれ単独および併用したコンクリート供試体を作製し、その凍結融解抵抗性について実験的検討を行った。その結果、淡水による凍結融解作用下では、繊維混入率および高炉スラグ微粉末の有無がコンクリートの耐凍害性に及ぼす影響は小さく、極めて良好な耐凍害性を示した。一方、海水による作用下では、高炉スラグ微粉末を混入することで耐久性指数が大きくなる傾向を示した。また、有機短繊維と高炉スラグ微粉末を併用した場合にはスケーリングが抑制される傾向を示すことがわかった。
  • 上仲 壮, 合田 義, 名和 豊春
    2014 年 67 巻 1 号 p. 399-406
    発行日: 2014/02/25
    公開日: 2015/02/25
    ジャーナル フリー
    塩化物イオン拡散メカニズムの解明はセメント内塩分浸透抑制を行う上で重要である。塩化物イオンの拡散過程において、細孔中のアルカリイオンによって大きく影響を及ぼすが定量的な結論は明らかにされていない。そこで細孔中のアルカリイオン濃度の異なる供試体を用いたセメント硬化体中の塩化物イオンの拡散予測と実験結果から検証を行った。しかし、相平衡モデル、表面錯体モデル、多種イオン拡散モデルを用いた拡散予測結果ではアルカリイオン濃度の変化により実験結果と大きく乖離を生じた。そこで、アルカリイオンと密接な関係にあるSi4+がAl3+に置換する反応をモデルに組み込み、モデルの構築を行った。
  • 橋本 勝文, 横田 弘, 佐々木 亮輔
    2014 年 67 巻 1 号 p. 407-412
    発行日: 2014/02/25
    公開日: 2015/02/25
    ジャーナル フリー
    長期に亘り影響が懸念される溶脱現象を短期間で再現することを目的とした装置を作製した。これにより得られる溶脱現象に伴うセメント硬化体特性に関する情報を取得するとともに、電気的手法と浸漬法におけるCa溶脱現象の差異を確認することを目的とした。その結果、Caイオンの溶出あるいはCa(OH)2 の消失について、実際の現象を再現できる可能性を示すことができた。特に、養生期間が短く、W/Cが高い場合ほど溶脱抵抗性は低く、溶脱現象の進行速度が速くなることを再現するとともに、Ca(OH)2 の消失と関連づけて評価可能であることがわかった。さらに、長期にわたる溶脱現象の再現に必要な促進期間と溶脱抵抗性には相関が認められた。
  • 石神 暁郎, 佐藤 智, 周藤 将司, 蒔苗 英孝
    2014 年 67 巻 1 号 p. 413-420
    発行日: 2014/02/25
    公開日: 2015/02/25
    ジャーナル フリー
    非破壊調査法の一つである超音波法は、凍結融解を受けたコンクリートの診断に用いられる調査手法であるが、本法で得られる超音波伝播速度は、コンクリートの含水状態に影響を受け易いという性質を有する。本研究では、水セメント比および凍結融解サイクル数を変えた角柱試験体、ならびに凍害劣化を受けたコンクリート開水路の側壁より採取したコア試験体において、含水状態と伝播速度との関係を調べることにより、伝播速度の含水状態に対する補正方法を明らかにした。更に、角柱試験体を用いた吸水試験の結果から、コンクリートの吸水性は凍結融解を受けることにより増大することが分かった。
  • 大竹 康広, 横田 弘, 橋本 勝文
    2014 年 67 巻 1 号 p. 421-426
    発行日: 2014/02/25
    公開日: 2015/02/25
    ジャーナル フリー
    凍害環境下において、セメント硬化体への凍結防止剤由来塩分の浸透性状に対する混和材の影響に着目した検討事例は稀少であり、凍害および塩害の複合劣化に対する混和材の影響は不明確である。本論文では、凍害および塩分浸透の繰返しが混和材を使用したセメント硬化体の固定化性状に与える影響について検討した。その結果、複合環境下において 1)養生期間が高炉スラグ微粉末およびフライアッシュを用いた場合の塩化物イオン固定化特性に及ぼす影響、2)高炉スラグ微粉末を用いた場合の塩化物イオン固定化挙動、3)フライアッシュを用いた場合の塩化物イオン固定化挙動、および 4)混和材を用いた場合の細孔構造の変化を明らかとした。
  • JARIYATHITIPONG Paweena, 藤井 隆史, 細谷 多慶, 綾野 克紀
    2014 年 67 巻 1 号 p. 427-433
    発行日: 2014/02/25
    公開日: 2015/02/25
    ジャーナル フリー
    本論文は、高炉スラグ微粉末および高炉スラグ細骨材を用いたコンクリートの凍結融解抵抗性を調べたものである。水結合材比が40%程度のコンクリートにおいて、蒸気養生を行った場合には、AEコンクリートであっても、十分な凍結融解抵抗性は得られない。しかし、結合材の一部に高炉スラグ微粉末を用いる、または、細骨材に高炉スラグ細骨材を用いることで、コンクリートの凍結融解抵抗性は向上する。さらに、高炉スラグ微粉末または高炉スラグ細骨材を用いたコンクリートでは、AE剤を用いずに、蒸気養生を行ったものであっても、十分な凍結融解抵抗性が得られることを、塩水を用いた凍結融解試験によって確認した。
  • 徳重 英信, 木村 渉, 川上 洵
    2014 年 67 巻 1 号 p. 434-440
    発行日: 2014/02/25
    公開日: 2015/02/25
    ジャーナル フリー
    本研究は凍結融解作用を受ける天然ゼオライトを骨材と混和材に用いたポーラスコンクリートの劣化機構を明らかにすることを目的としている。凍結融解試験はRILEM CIF試験を基にしたスケーリング試験を行い、供試体のスケーリングと埋込み型ひずみゲージを用いた変形の測定を行った。天然ゼオライト粗骨材を用いた供試体の劣化挙動は砕石を用いたものとほぼ同程度であり、さらにゼオライト粉末を混和した場合、砕石を用いたポーラスコンクリートは劣化が激しくなったが、天然ゼオライト粗骨材を用いると劣化が抑制されることが明らかとなった。
  • 広野 真一, 安藤 陽子, 大代 武志, 鳥居 和之
    2014 年 67 巻 1 号 p. 441-448
    発行日: 2014/02/25
    公開日: 2015/02/25
    ジャーナル フリー
    北陸地方では深刻なアルカリシリカ反応(ASR)が発生し、現在でも収束していない。地域の事情を考慮したASR抑制対策としては、フライアッシュセメントの使用が最も有効である。分級フライアッシュと高炉スラグ微粉末によるASR抑制効果を、富山県の代表的な反応性骨材に対し、JIS A 1146とデンマーク法により検証した。その結果、分級フライアッシュ15%置換は高炉スラグ42%置換よりも優れた効果を発揮したが、JIS A 1146で特に優位であった理由として、SEM-EDSで確認された微細な粒子周囲の反応相増大と0.9程度の低Ca/Si比のC-S-Hの生成によるアルカリ吸着がもたらす細孔溶液のOH減少の効果が最も大きいと推察された。
  • 川端 雄一郎, 山田 一夫, 小川 彰一, 佐川 康貴
    2014 年 67 巻 1 号 p. 449-455
    発行日: 2014/02/25
    公開日: 2015/02/25
    ジャーナル フリー
    加速コンクリートプリズム試験(CPT)を活用したコンクリートのASR膨張挙動の簡易予測手法について提案するとともに、簡易予測に必要となるCPTの試験法について提案した。提案した簡易予測手法はまだ多くの課題を有するものの、約2年間のコンクリートの暴露実験における膨張挙動を概ね再現することができた。また、本手法で実環境に対するCPTの加速倍率を推定した。その結果を基に、対象構造物の供用年数から求められるCPTの加速期間が、加速倍率から決定することができることを示した。
  • 古賀 裕久, 渡辺 博志, 河野 広隆, 片平 博
    2014 年 67 巻 1 号 p. 456-463
    発行日: 2014/02/25
    公開日: 2015/02/25
    ジャーナル フリー
    かぶりコンクリートの品質を評価する試験方法として表面吸水試験に着目し、その試験結果と塩水浸せき試験における塩化物イオン侵入深さや促進環境下における中性化深さを比較した。その結果、高炉スラグ細骨材などの吸水率の小さい細骨材を用いると塩化物イオン侵入に対する抵抗性が向上する場合があること、吸水性状から、水セメント比、セメント種類、細骨材種類などの異なるコンクリートの塩化物イオン侵入に対する抵抗性を評価できる可能性があることなどがわかった。一方、中性化抵抗性を評価する指標としては、空気量が異なるコンクリートの判別など、困難な点があった。
  • 酒井 雄也, 中村 兆治, 岸 利治
    2014 年 67 巻 1 号 p. 464-471
    発行日: 2014/02/25
    公開日: 2015/02/25
    ジャーナル フリー
    コンクリートの物質移動抵抗性を代表する空隙指標として閾細孔径に着目し、検討を行った。まずコンクリートから採取された試料の閾細孔径をより明確に抽出するため、エポキシ樹脂により被覆された試料を用いて水銀圧入法により空隙径分布を測定し、分布の頻度が最大となる点を閾細孔径とした。透水および表層透気係数と比較した結果、いずれも閾細孔径と高い相関を示した。ガスの透過挙動も閾細孔径により整理され、また理論的な拡散係数と同様の挙動を示した。以上は、本論文の検討条件においては、空隙構造による影響が支配的であること、また閾細孔径により様々な物質移動抵抗性の評価が可能であることを示していると考えられる。
  • 高橋 佑弥, 石田 哲也
    2014 年 67 巻 1 号 p. 472-479
    発行日: 2014/02/25
    公開日: 2015/02/25
    ジャーナル フリー
    セメントの水和反応、空隙構造形成、硬化体中の水分移動の連成現象を取り扱う解析システムに対して六価クロム溶出モデルを新たに導入し、セメント改良体から地盤へのクロム溶出挙動を再現可能な手法の構築を試みた。水酸化カルシウム(Ca(OH)2)およびカルシウムシリケート水和物(C-S-H)への吸着と、モノサルフェート水和物(AFm)への固溶を考慮してクロム固液平衡関係を定式化するとともに、セメント硬化体および地盤材料中のクロム移動現象のモデル化を行った。提案モデルを用いて既往のタンクリーチング試験および土槽試験結果のシミュレーションを行った結果、様々な条件下におけるセメント硬化体へのクロムの不溶化、外部溶液へのクロム溶出、周辺地盤へのクロム拡散等の諸現象が適切に追跡されることを示した。
  • 河合 研至, 波多野 裕侍, 大亀 寛
    2014 年 67 巻 1 号 p. 480-486
    発行日: 2014/02/25
    公開日: 2015/02/25
    ジャーナル フリー
    既往の研究ではコンクリートの硫酸劣化について様々な研究が行われているもののコンクリート中の粗骨材の影響について考慮した研究は少ない。本研究では、コンクリートの硫酸劣化にコンクリート中の粗骨材量の相違が及ぼす影響を把握することを目的とした。実験では単位粗骨材量、水セメント比を変化させた供試体を2種類の濃度の硫酸溶液に浸せきした。その結果、単位粗骨材量が増加すると、質量減少量、侵食深さ、中性化深さは減少し、硫酸劣化を抑制することが明らかになった。また、粗骨材には腐食生成物である二水石膏の剥落を抑制する効果があることが明らかとなった。
  • 石田 剛朗, 伊藤 優平, 河合 研至
    2013 年 67 巻 1 号 p. 487-494
    発行日: 2014/02/25
    公開日: 2015/02/25
    ジャーナル フリー
    模擬細孔溶液中にCa/Si比の異なる合成C-S-Hを加えたものを試料とし、炭酸化促進条件のCO2ガス濃度環境に曝露することで、C-S-Hの炭酸化性状に関して検討を行った。C-S-Hは炭酸化が進行しpHがほぼ平衡値まで低下しても残存しており、その大部分は低Ca型のC-S-Hであると推察されたが、初期Ca/Si比1.4のC-S-Hのみ、高Ca型のC-S-Hも残存していた。初期Ca/Si比の相違によって、炭酸化速度に差はなかったが、初期Ca/Si比が低い方がややC-S-Hの残存量が多い結果となった。この要因は、Siの含有量が多く、炭酸化を阻害するシリカゲル生成量が多いためではないかと考えられる。
  • 永田 智大, 大即 信明, 西田 孝弘, 小原 弘毅
    2013 年 67 巻 1 号 p. 495-500
    発行日: 2014/02/25
    公開日: 2015/02/25
    ジャーナル フリー
    国連食糧農業機関の報告によると2025年に世界人口の約2/3が淡水不足の危機に陥るとされ、淡水の節制が求められており、建設分野においても関連する検討が必要である。本研究では、上記の一環として、練混ぜ水として海水を用いたコンクリート(海水練りコンクリート)の中性化に対する耐久性を、中性化速度係数、塩素元素分布、目視観察と電気化学的計測による鉄筋の腐食挙動の観点から評価した。その結果、海水練りの場合、①淡水練りと同程度の中性化速度となること、②中性化による塩化物イオンの濃縮が起きること、③中性化領域が鉄筋位置に到達した時点で鉄筋腐食が生じることが確認された。
  • 八木 将太郎, 齋藤 俊克, 出村 克宣
    2013 年 67 巻 1 号 p. 501-506
    発行日: 2014/02/25
    公開日: 2015/02/25
    ジャーナル フリー
    本研究では、竹素材及び竹補強材のエマルション処理による引張性状及び竹補強セメントモルタルの凍結融解抵抗性の改善効果について検討している。その結果、竹素材の引張強さはエマルション塗布量の増加に伴い、増大する傾向にあり、弾性係数は若干増大する。又、エマルション塗布量の多い竹補強材を用いた竹補強セメントモルタルほど凍結融解サイクル数の増加に伴う相対動弾性係数及び質量減少率の低下の程度は緩慢になり、耐久性指数は増大する。本研究の限りでは、竹補強材をエマルション処理することにより、竹補強セメントモルタルの凍結融解抵抗性は改善されることが明らかである。
  • 長谷部 美紅, 枝広 英俊
    2013 年 67 巻 1 号 p. 507-513
    発行日: 2014/02/25
    公開日: 2015/02/25
    ジャーナル フリー
    白色顔料としての用途や光触媒効果等が期待されている酸化チタン微粉末を混和材として用いたモルタル及びコンクリートの基本的性質を検証するため、混和材の諸物性を確認した上で、フレッシュ性状、強度特性、中性化深さや全塩化物イオン浸透性等の耐久性、光触媒効果を期待した白色モルタル表面の防汚性などについて、置換率や置換方法及びW/Cを変化させて実験的検討を行った。その結果、特に置換率10%まではフレッシュ性状を大きく変化させることなく防汚性や強度特性を確保することができ、かつ各種耐久性に及ぼす影響についても、その一端を明らかにすることができた。
繊維補強コンクリート
  • 十文字 拓也, 齋藤 俊克, 出村 克宣
    2013 年 67 巻 1 号 p. 514-520
    発行日: 2014/02/25
    公開日: 2015/02/25
    ジャーナル フリー
    本研究では、粗骨材間を架橋する長さ40mmのビニロン短繊維(F40)及び結合材組織を補強する長さ12mmのビニロン微細繊維(F12)を複合使用した繊維補強ポーラスコンクリートの凍結融解抵抗性について検討している。その結果、相対動弾性係数を指標とした場合、F40混入率0.3%及びF12混入率0.4%としてF40及びF12を併用した繊維補強ポーラスコンクリートは、優れた凍結融解抵抗性を持つことが認められる。一方、凍結融解試験後の曲げ性状は、F40混入率0.5%としてF12を併用した場合に改善される。本研究の限りでは、繊維混入率を適度に調整して短繊維及び微細繊維を併用することで、ポーラスコンクリートの凍結融解抵抗性が改善されることが明らかである。
補修・補強
  • 長崎 文博, 鈴木 哲也, 小林 秀一, 佐藤 弘輝
    2013 年 67 巻 1 号 p. 521-528
    発行日: 2014/02/25
    公開日: 2015/02/25
    ジャーナル フリー
    鋼矢板水路は、農村地域に広く普及している。近年、鋼矢板の長期耐久性と鋼材腐食との関連が技術的課題として議論されている。本研究では、腐食した鋼矢板水路の保護工法の開発のため、鋼矢板-コンクリート複合材の適用性を検討した。実験的検討は、モデル試験と実大試験を実施した。鋼矢板-コンクリート複合材の曲げ特性の評価は、変位計測とAE法を用いた。結果、複合材の曲げ特性は、最大変位量と作用モーメントの関係から評価することができた。そして、AE発生挙動は、曲げ載荷過程における破壊挙動との相関が確認できた。本試験結果から、鋼矢板表面にコンクリート被覆を施すことの有効性を定量的に評価できたものと推察された。
  • 岡村 雄樹, 李 春鶴, 辻 幸和, 山中 辰則
    2013 年 67 巻 1 号 p. 529-536
    発行日: 2014/02/25
    公開日: 2015/02/25
    ジャーナル フリー
    炭素繊維の格子状連続繊維補強材(以下、CFRPと略称する)を使用し、吹付けモルタルで一体化する道路橋RC床版の下面増厚補強工法では、用いるCFRPの長さに制限があるため、実施工ではCFRPに継手部を有することになる。その継手部の性能を向上させることにより、下面増厚補強の適用範囲を拡大できる。本研究では、継手部を有するCFRPで下面を増厚して補強したRCはりに曲げモーメントとせん断力の比率を3種類に作用荷重を変えた場合において、鉄筋とCFRPの補強材のひずみや継手部におけるCFRPのひずみ分布が引張鉄筋の降伏まで解析値と良く合致していることを報告するとともに、はり供試体の耐荷機構が引張鉄筋の降伏後には、旧RCはりと吹付けモルタルの界面におけるずれのためにタイドアーチの機構へ移行することを提案した結果を報告する。
  • 阿部 忠, 岩崎 正二, 伊藤 清志, 大塚 裕太
    2013 年 67 巻 1 号 p. 537-544
    発行日: 2014/02/25
    公開日: 2015/02/25
    ジャーナル フリー
    本研究は、塩害・凍害を受けたRC床版の劣化診断および上面補修・補強法における耐疲労性の評価に関する実験研究である。実験に用いるRC床版供試体を橋梁点検要領に基づいて損傷度から劣化過程を判定し、複合劣化に対する劣化診断を行った。その結果、劣化診断より本供試体は劣化期に相当するものの補修・補強対策が可能であると判定された。よって、上面劣化に対して超速硬セメントモルタル補修および接着剤塗布型SFRC上面増厚補強を施し、輪荷重走行疲労実験を行った結果、超速硬セメントモルタル補修法は補修効果は見られないものの接着剤塗布型SFRC上面増厚補強法は補修床版の等価走行回数の9.5倍となり、補強後の耐疲労性が評価された。
  • 今野 尭祥, 阿部 忠, 伊藤 清志
    2013 年 67 巻 1 号 p. 545-552
    発行日: 2014/02/25
    公開日: 2015/02/25
    ジャーナル フリー
    本研究は、新規にRC床版の上面損傷用の補修材・補修法を提案し、輪荷重走行疲労実験を実施し、補修サイクルにおける耐疲労性を評価した。その結果、従来から使用されている超速硬セメントモルタル(URCM)を用いた補修法に比して本提案する2タイプの超速硬繊維補強セメントモルタル(URFCM)を用いた接着剤塗布型補修法は、補修界面のはく離やひび割れに高い抵抗性を示し、従来のURCMを用いた補修法に比して、耐疲労性が向上する結果となった。また、補修サイクルにおいては2次までの補修が可能となるが、再々損傷においては耐荷力性能を向上するための補強対策を講じることを提案する。
リサイクル
  • 庄司 慎, 樋口 隆行, 山本 賢司, 盛岡 実
    2013 年 67 巻 1 号 p. 553-558
    発行日: 2014/02/25
    公開日: 2015/02/25
    ジャーナル フリー
    副生の水酸化カルシウムとケイ石を原料として、ロータリーキルンでの焼成試験を行った結果、遊離石灰や不溶解残分はわずかであり、純度の高いC2Sを得ることができた。副生の水酸化カルシウムとケイ石からC2Sを製造するときのCO2排出量原単位は124.5kg-CO2/トンとなり、普通ポルトランドセメントを基準とした場合には83.9%のCO2削減となった。このC2Sを炭酸化して用いると、C2S 1トンに対して理論的に500kgのCO2を吸収することができる。カルシウムカーバイド工業の副生の水酸化カルシウム21万トンをすべてこの用途で用いると、11.6万トンのCO2を吸収することが可能である。
  • 堀口 至, 目片 雄土, 三村 陽一
    2013 年 67 巻 1 号 p. 559-564
    発行日: 2014/02/25
    公開日: 2015/02/25
    ジャーナル フリー
    広島県は全国有数の牡蠣の産地であるが、その一方で大量の牡蠣殻が発生するという問題も抱えている。本研究では、細骨材の一部を破砕した牡蠣殻で置換した牡蠣殻コンクリート(Oy-Con)について試験を行い、その基礎特性に及ぼす牡蠣殻細骨材の影響について検討を行った。試験結果より、牡蠣殻細骨材置換率の増加に伴い、Oy-Con中の塩化物イオン含有量は比例的に増加した。また、牡蠣殻細骨材をコンクリート中に混入することにより、ブリーディングは少なくなり凝結時間は早まる傾向を示した。Oy-Conの圧縮強度などの強度特性は材齢の経過に伴い増加するが、いずれの材齢においても置換率の増加に伴い強度特性は低下する傾向を示した。
  • 佐藤 重悦, 加賀谷 誠
    2013 年 67 巻 1 号 p. 565-572
    発行日: 2014/02/25
    公開日: 2015/02/25
    ジャーナル フリー
    本研究は、自己充填性を有する埋戻し材用低強度モルタルのワーカビリティー特性、強度試験材齢および養生方法の基準値と試験方法を明らかにすることを目的とした。2種類の普通セメント(普通、瓦礫由来)、2種類の低品質再生細骨材、多量のフライアッシュおよび高性能AE減水剤を使用した。フロー値およびブリーディング率の目標値は、250~300および3.0%未満、圧縮強度の目標範囲を0.3~2.0N/mm2とした。湿砂に余剰水を加えた中で供試体を91日間養生して、強度試験を実施した。フロー値、ブリーディング率および強度が室内試験で目標値に達していれば、地中に埋設された場合でも所要の強度が得られることを気象条件の異なる2地点で検証した。
  • Nurazuwa MD NOOR, Daisuke YAMAMOTO, Hidenori HAMADA, Yasutaka SAGAWA
    2013 年 67 巻 1 号 p. 573-578
    発行日: 2014/02/25
    公開日: 2015/02/25
    ジャーナル フリー
    Every year, tire generated from vehicles that is not biodegradable are increasing, and if it is not managed properly it could bring harm to the environment. Thus, this research was conducted to study the utilization potential of used tire as mortar material. Crumb rubber with size of 1mm - 3mm from waste tire was mixed as fine aggregate at 10% of sand volume in mortar mixture. In addition, silica fume was added as a binder at 10% and 15% of cement weight. Six series of cylindrical rubberized mortar specimen with size of 50mm diameter and 100mm height for compressive strength and 40mm×40mm×160mm prism for flexural strength were prepared. Water to cement ratio was set at 0.35, 0.30 and 0.25 and all series were tested on its fresh properties, compressive strength, flexural strength, hardened density and elastic modulus. Results shows the strength of rubberized mortar without silica fume achieved more than 50% of control mixture strength and gave a good resistance against brittleness. Meanwhile, addition of 10% silica fume in the mixture helped to increase the strength. In conclusion, this study strongly suggests the potential of the crumb rubber to be used as sand replacement with or without silica fume.
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