本研究では，目標状態が代数多様体である制御問題に対し，消去イデアルを用いた代数多様体のパラメータ化と最小射影法を用いた，代数多様体の漸近安定化制御法を提案する．さらに，提案法を冗長ロボットアームの手先位置制御問題に適用し，コンピュータシミュレーションにより提案法の有効性を確認する．

本研究では従来の経路追従制御の手法を拡張して，機械の経路追従制御に際し，人とのインタラクションの存在を踏まえて制御系設計を行う方法を提案する．今回の研究ではインピーダンス制御の知見を応用して，人が機器を操作する際に加える力を小さくするための制御系の設計を行い，これと経路追従制御とを組み合わせた制御法について提案する．

システム蘇生変換は微分同相写像を用いて状態制約を緩和する手法である。本研究では、システム蘇生変換がエタール写像上でも利用できることを示す。また、提案法の有効性を二輪車両を用いたコンピュータシミュレーションにより明らかにする。

微分同相写像により状態制約を緩和する手法であるシステム蘇生変換により２輪車両系の様々な制約条件に対する有効性が示されている。しかし、円形の制約に対する大域的なシステム蘇生変換は示されていない。本研究では円形の移動制約に対する大域的システム蘇生を提案する。また、システム蘇生変換を用いた集合のViabilityを保証する条件を示す。最後に、シミュレーションにより提案法の有効性を示す。

データ利用型制御ソリューションのビジネス環境改善仮説について、産学の制御技術者で討論を行なった。データ品質が、ある程度確保されなければならない。この点について紹介する。

FA系製造装置の温度制御や位置制御では、BtoBtoBのビジネスプロセスゆえに、制御対象が確定してからデータ活用実施行為者が決まるという難しさがある。この点について紹介する。

制御技術者がデータ活用実施行為者であったとしても、非線形系，時変系かも知れないときに、操業中の制御応答時系列データのみが頼りという難しさがある。この点について紹介する。

二次遅れ系に対するPID制御系設計を行う。ここでは、指定する安定余裕を実現しかつ制御性能を最適化するPIDパラメータの設計方法を提案する。

著者らはDNA反応系上で駆動するDNAフィードバックレギュレータの構築を目指しており、シミュレーション上では、制御対象の出力濃度量を目標濃度量にレギュレートすることに成功している。本研究では、DNA塩基配列の設計を行い、実験的な検証を試みる。

本研究室ではスペクトル拡散超音波を用いた屋内測位の研究を進めている．しかし，本システムでは送信器が有線接続されているため設置コストの増大の恐れがある．そこで送信器システムの無線化を目的としてマイコンによる送信器の開発を行っている．本稿では，開発した送信器を用いて距離計測を行い有用性を検討した．

本研究室ではスペクトル拡散超音波を用いた屋内測位システムの研究を進めてきた。本システムは専用の受信機を必要とするため、システムの汎用性・利便性向上のためにスマートデバイスを用いる研究を進めている。本稿では、受信機の処理のアプリケーション化を行い、スマートデバイスを用いた測位評価実験について報告する。

本研究室ではスペクトル拡散超音波を用いた屋内測位の研究をしてきた．今後，大型施設での利用を目指し測位空間を拡張する必要がある．しかし，これまでの測位空間単位を複数利用した拡張は，空間全体で均質な測位が困難となる．本稿ではこれを解決するための測位空間単位の構築に適した送信機の設置法について検討する．

我々は分光計測による獣毛繊維の鑑別に向けた研究をしております．そこで，近年発展してきたテラヘルツ分光による，獣毛の測定を行うために獣毛の主成分であるケラチンを構成するアミノ酸について測定を行った．今回はそのアミノ酸試料の粒径が測定にどれだけ影響するかについての検討を行った．

近年，カシミヤなど高級獣毛繊維の偽装表示といった問題が多く発生しており，繊維鑑別の重要性は高まっている．しかし現在行われている鑑別法は製品の破壊試験かつ長時間に及ぶものであり，化学処理による精度低下といった課題も抱えている．それらの課題解決のため，赤外・ラマン分光法を用いた獣毛の測定と検討を行った．

現在の医療器具の清浄度評価方法は，薬品を使用するため再洗浄が必要，明確な基準値が存在しない等の問題がある．そのため，明確な清浄度評価方法が必要とされている．本研究では，近赤外分光法による清浄度評価を行い，医療器具に付着した汚れの定量評価，及び，医療器具に付着した汚れの有無に対する判別を行った．

トマトロボット競技会は農業と工学の融合を目指し,トマトを収穫するロボットの能力を競い合う競技会として2014年から開催され,今年12月で3回目の競技会となる．本論文ではトマトロボット競技会の概要を紹介するとともに,本校の競技会へ向けたロボット開発の取り組みを紹介するものである．

本稿は，自走によって畑を耕せる新たな小型ロボットを提案する．特徴として遠隔操作によって走行，耕すことが可能である．実際に試作機を動作させてその動作について有効性を検証する．結果から小規模農園のような小さいスペースでも農作業でき，女性や高齢者でも安全に耕運できることが期待できる．

草刈作業時の危険性を低減し安全に行う方法として、遠隔操作型草刈ロボットを提案し研究を行ってきた。草刈作業をロボットで行う場合、状況によって草の刈残しや刃詰まりなどの発生により作業効率が低下する場合がある。そこで草刈刃にかかる負荷と移動速度を計測し制御することで作業効率の向上を目指す。

This paper presents an experimental study of modeling of greenhouse climate. Auto regressive with external input (ARX) model is used for system identification of greenhouse climate without heated and ventilated systems. In system identification of greenhouse climate regarded as a kind of MIMO system, outside temperature, wind speed, solar radiation and outside humidity are utilized as the input variables, and inside temperature and humidity are the output variables. An ARX model is made from data with 60 seconds sample time. In order to evaluate the performance of the ARX model, we compared the measured data of another day with the simulated outputs of the ARX model. Finally, the ARX model is validated by the goodness of fit.

エンジン駆動型の手押し式の耕耘機は直進性や操作性等において様々な問題を抱えている。本研究ではこれら問題の解決することを目指して電動耕耘機を開発する。提案する電動耕耘機は、力センサや加速度センサ等の複数のセンサにより得られる情報から自己の状況を推定し、操作者に対してアクティブな操作アシスト制御を行う。

ホウレンソウ自動収穫装置では，土中の根切り刃経路の設定は重要であり，自動収穫の成否にかかわる．これまで幾つかの方法を提案したが，収穫装置本体の上下変動により経路が変動する問題があった．本稿では，これまでの経路設定を改良し，より収穫に有利となる経路の提案を行うとともに，圃場実験によってその性能を検証する．

第58回自動制御連合講演会において，H_∞制御系設計で得られる不安定な補償器の特徴を持つ単純な構造の補償器を提案し，低剛性・高慣性比の二慣性系において，比例補償器よりも外乱抑制制御性能が約3 dBだけ改善されることを示した．本報では，前述の補償器で定数としていたパラメータを可調整とすることによって，さらに性能を高められることを示す．さらに，ユーザーが指定した性能を達成する補償器のパラメータを導出し，この補償器を用いることで性能とロバスト安定性のトレードオフを図れることを数値例により示す．

むだ時間は多くの実システムに存在し、制御性能の低下やシステムの安定性を損なうといった原因となってしまう。本研究では、むだ時間を含むシステムを漸近安定にするような安定化コントローラの設計を行う。最後に数値シミュレーションによって手法の有効性を検証する。

本稿では，離散時間多項式システムに対する終端状態が固定された有限時間最適制御問題の解法を提案する．非線形のEuler-Lagrange方程式に対して，代数学における消去イデアルという概念を用いることにより，各時刻における最適制御入力，状態変数，随伴変数が満たす代数方程式の集合を与える．また，これらの代数方程式が最適制御入力の必要条件となっていることを示す．

本研究では、予測制御の理論を用いたサンプル値システム制御設計を行う。ジャンプシステム理論と予測制御理論を利用して、サンプル値システムに対する制御系を設計する。提案する制御則設計は計算時間および整定時間を短縮することが可能であることも示す。

制御入力の更新がサンプリング時刻より遅れる非線形サンプル値系を考える。制御入力の更新遅れがない通常のサンプル値系に対する安定化状態フィードバック制御器が存在するとき、サンプリング時刻の状態観測から制御入力が更新される時刻の状態をオイラー近似モデルにより構成し、制御性能の劣化を小さくする状態フィードバック制御器を設計する。

本研究では，これまで連続時間システムとして表現されてきた一般化分散最適化アルゴリズムが，離散時間システムとしても最適解に収束するアルゴリズムとして実現できることを示す．さらに，最適化変数として離散変数が含まれる場合も同様に扱えることを示す．

スイッチドアフィンシステムを応用した制御系設計の一例を示す。正の値は連続値、負の値は一定値の操作量を持つハイブリッドシステムを想定し、切替則を含む制御系の設計手法を提案する。また、応用例に外気温付近の温度制御を挙げる。加熱装置はPID制御、冷却装置はON/OFF制御を用いる場合を考え、外気温の変化に対して制御量を一定に保つシステムに対して提案法を適用する。

移動ロボット群によるフォーメーション制御において，ROSを用いて複数台のカメラ画像による位置計測範囲を拡張する手法を提案する，カメラの台数を増やし，ロボットの動作範囲を拡張することで，複数台のカメラの画像をまたいでロボットを移動させる．実機実験により提案手法の有効性を検証する．

移動する目標を観測する無人航空機群（UAVs）の位置制御を局所情報のみで行う制御則を扱う。目標の観測情報は機体間の通信網で基地局に送られるため、通信網上の機体間の距離は最小化が要求される。一方、機体の移動範囲は障害物で制限された環境を扱う。局所的な最適化で大域的な最適化に近い解が得られることが示される。

近年、据置型製造装置のヘッドを車両に取り付けた自走式製造装置の開発が進められている。自走式製造装置は、自身が移動しながら作業をすることで、大型部品の加工などを行うことができる。ただし、既存の自走式製造装置では単純な作業のみ可能であり、複雑な作業はできない。本研究では、自走式製造装置の作業能力向上のため、複雑な経路を走行する手法を検討した。

本稿ではTube-based MPCに基づいて，移動ロボットの不確かさや動的な障害物回避を考慮した軌道追従制御法を提案する．障害物回避のための最適な参照軌道の生成，参照軌道と移動ロボットの軌道の誤差の最小化を別々のMPCとして定式化する．その結果，不確かさと障害物回避を考慮した移動ロボットの軌道追従制御が可能となる．

フォークリフトは物流・建設現場等で最も多く使われている搬送車両であるが、不適切な使用、操作ミスによる荷物の破損事故・労働災害も発生している。特に、旋回時や高所作業時に多く発生している。本研究では、旋回時や高所作業時の操舵と転倒に関する関係について詳しく検討する。

フォークリフトは、便利な荷役運搬機械であるが、転倒などの事故が多発している。特に乗用車と異なった構造が採用されているため、転倒には前後方向の転倒と左右方向の転倒がある。本研究では、フォークリフトに対応する車両モデルを構築し、数値シミュレーションを用い、コーナリング中にフォークリフトが転倒するメカニズムを解析する。

燃料の多段噴射を行うディーゼルエンジンを対象に，これまでに構築した計算負荷の軽い燃焼モデルと多入力多出力のフィードフォワード制御器の改良を行い，その制御性能を実機試験を通じて評価した．

近年，エンジンの数理モデルに基づいた制御法の開発が進められている．しかし，エンジンは複雑な構造を持つため，数理モデルと実際のエンジンとの誤差を補償できる制御系が必要となる．本論文では，ディーゼルエンジンを対象とし，ニューラルネットワークによるフィードバック誤差学習法に基づいた制御系を設計し，制御性能の向上が可能であることを確認した．

本報告では，フィードフォワード入力を併用したASPR性に基づく出力フィードバック制御を用いた2段噴射ディーゼルエンジンの燃料制御手法の提案を行う．提案手法では，対象とする2段噴射ディーゼルエンジンモデルをパイロット噴射時期とメイン噴射時期を入力，最大圧力と最大圧力時期を出力とする2入出力系と考え，制御系設計を行っている．また，提案手法の有効性を東大ディーゼルエンジンモデルを基にした数値シミュレーションにより検証する．

先行研究では，予混合圧縮自着火（PCCI燃焼）のロバスト性を高めるため，単段噴射の簡易ダイナミクスモデルを用いてH_∞制御系を設計し，有効性をシミュレーションで検証した．しかし，一般的にディーゼルエンジンは多段噴射を用いている．そこで，本研究では多段噴射の簡易ダイナミクスモデルに対してH_∞制御系を設計し，H_∞制御の有効性を検証する．

本論文では，ディーゼルエンジンDPF昇温制御におけるリファレンスガバナの応用について考察する．制御対象であるDPFの経時変化のある場合に対し，リファレンスガバナにおける将来予測モデルを適応させるため，本発表ではその基礎検討として，DPFの経時変化時の予測モデルの構築を行う．モード走行シミュレーションによって，提案手法の有効性を示す．

本稿では，非線形な動的ネットワークシステムに対して，レトロフィット可能な制御器の設計法を提案する．本制御器は，一部のサブシステムの制御性能向上を目的とし，全系の動特性を陽に考慮することなく設計可能であるにも関わらず，全系の安定性が理論的に保証されるという特徴を有する．

本発表では，制御Lyapunov関数に基づいた逆最適制御則設計において，制御則がみたすべきHamilton-Jacobi-Bellman(HJB)方程式が，ある凸最適化問題に対応したKarush-Kuhn-Tucker条件とみなせることを明らかにする．

二輪車両などのシステムは，速度を入力とする場合においては状態方程式が対称アファイン系となる非ホロノミック系であることが知られている．しかし，加速度入力を陽に扱うダイナミクスを考慮すると，これらのシステムはドリフト項を有する非ホロノミック系となるため，従来の漸近安定化手法を直接適用できない．本論文は，ダイナミクスを考慮した非ホロノミック系に対して，時間軸状態制御形に基づく漸近安定化制御手法を提案する．

非線形性の強い飛行制御ではダイナミックインバージョン(DI)を用いた飛行制御則が注目されている．1980年代後半以降ではタイムスケール分割を応用した階層DIに関する研究が多く存在している．しかし，階層化手法によって入出力線形性を失うため，DIの特徴を失うことになる．そこで，著者らはDIがもつ特徴を確保可能な階層化手法を提案する．

これまでに，埋込型永久磁石同期電動機(IPMSM)に対して，パラメータ変動を補償する適応制御法が提案されている．しかし，利用している制御リアプノフ関数が大域的なものでないという問題点があった．そこで本研究では，動的銅損最小化制御とi_d=0制御を制御融合することによる大域的な制御則を提案する．さらに，提案法の有効性を実機実験により明らかにする．

本研究では二輪移動体の目標軌跡の静的安定化制御問題を考える．本研究では動的拡大法を用いて二輪移動体の拡大追従誤差システムを導出し、動的追従制御Lyapunov関数(TCLF)を設計する．そして、最小射影法を用いた静的TCLFと静的Path-following制御Lyapunov関数(PF-CLF)を設計する．さらに、逆最適制御を用いたゲイン余裕を保証した制御則を設計する．最後に、コンピュータシミュレーションにより制御則の有効性を示す．

一般的に，入力制約のある多重積分系においてLyapunov Functionを大域的に設計することは困難である．本論文では入力制約のある多重積分系において陰関数的にLFを表すことにより大域的なLFを設計する．また，これを用いて磁気浮上系の位置制御を実現するCLFを設計し，その有効性を数値例により示す．

興奮性媒体を伝搬するパルス波の安定化制御には，P制御がよく用いられている．しかし，制御器のパラメータの設定は試行錯誤的であり，求められる仕様を考慮した設計は困難である．本報告では，先行研究において推定されたパルス波のダイナミクスを用いて，最適サーボシステムの設計を行う．設計した最適サーボシステムでは，制御入力の変化量と目標値追従性能に関する要求を考慮した安定化制御が可能になった．

External force control法における，制御ゲインと定常安定性の関係性を明らかにするため，その数学的基礎理論の構築を行う．また，数値解析結果と比較する．

本講演では，楕円制限三体問題における準ハロー軌道の計算方法を提案する．本手法は，著者らが独自に開発した中心多様体計算法を用いており，他の計算手法と比較した利点などについて発表する．

本報告では，複数のエネルギーシステムが結合した系におけるエネルギーフローの追従制御を検討する．まず，その最小構成の一つである２サイト電熱供給システムに対して，電力および熱融通量を出力とした場合にゼロダイナミクスが平衡点を喪失し，システムが非最小位相となることを示す．次に，ゼロダイナミクスにおける不変多様体に沿うダイナミクスを記述する変数を新たな出力とすることで，システムを最小位相系として扱うことを可能とし，目的の追従制御系を設計する．