沿岸域学会誌
Online ISSN : 2436-9837
Print ISSN : 1349-6123
36 巻, 1 号
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論文
  • 杉村 佳寿, 阿野 貴史, 三戸 勇吾, 岡田 知也
    2023 年 36 巻 1 号 p. 23-31
    発行日: 2023/06/30
    公開日: 2023/07/29
    ジャーナル 認証あり

    国連環境計画による報告以降ブルーカーボン(BC)への注目が集まり,日本ではすでに横浜市,福岡市,ジャパンブルーエコノミー技術研究組合の3つのクレジット制度が運用されている。先行事例が少ない中,自治体レベルでBCクレジット活用の検討を進めるに当たり,制度活用のオプションや,それに応じた必要となる手続きや予算については先行研究において明らかになっておらず,このことがBCクレジット活用の躊躇に繋がりかねない。本稿では,福岡市の事例について,必要となる調査やそのための費用からクレジットの損益分岐価格を算出するとともに,ステークホルダーの関係について整理することで,クレジットを活用した藻場保全活動の持続可能性について検討した。その結果,クレジット価格を大きく上回る損益分岐価格となっており,藻場保全活動の持続可能性は福岡市の財政的負担に依存していることが明らかとなった。他の自治体がクレジット活用を目指す場合,取引費用の低減,財政的な負担,高額でのクレジットの取引が持続可能性に繋がるが,いずれの場合も自治体は一定の役割を果たしていく必要がある。

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