沿岸域学会誌
Online ISSN : 2436-9837
Print ISSN : 1349-6123
24 巻, 2 号
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論文
  • 黒澤 祐司, 小林 昭男, 宇多 高明, 野志 保仁, 遠藤 将利, 古谷 真広
    2011 年 24 巻 2 号 p. 55-64
    発行日: 2011/09/30
    公開日: 2023/04/17
    ジャーナル フリー

    要旨:粗粒材養浜は細砂養浜と比べて安定性が高いために茨城県の神向寺海岸や明石海岸など,各地で行われるようになった.多くの粗粒材養浜では,砕石が利用されており,材料が尖っているため利用障害となる恐れがある.そこで粗粒材養浜に用いられる礫について,上記2海岸での実測データと,すりへり試験から円磨度の変化を調べた.この結果,粗粒材に用いられた砕石は,初期に円磨度が0.2と小さく尖っているが,波の作用下で円摩度は0.4~0.5まで二ヶ月程度で大きくなり,短時間で角が取れることが分かった.また,すりへり試験によれば,2000回転後での現地試料でも礫が53%を占めることから,当初養浜量のほぼ1/2は残存し,粗粒材としての機能が続くことが分かった.

  • 土井 康義, 澤樹 征司, 鈴木 忠彦, 本間 義治
    2011 年 24 巻 2 号 p. 65-74
    発行日: 2011/09/30
    公開日: 2023/04/17
    ジャーナル フリー

    要旨:近年,建設事業を行う際は環境アセスメントが行われているが,海岸保全施設整備事業においては先行事例が少なく予測手法も確立されているとは言い難い状況にある.そこで本研究では,海生生物の生息・生育状況と物理環境との関連性を,現地調査で得たデータを用いて統計解析により明らかにし,これらの関連性を踏まえて影響予測を行うとともに,今後のモニタリング調査時に着目すべき生物項目の抽出を試みた.

    その結果,海岸保全施設整備事業における環境への影響予測手法を具体的なデータを用いて示すことができた.今後,同様の事業を実施する際には,本研究のプロセスを参考とすることで,事業と関係する生物項目を過不足なく抽出することができ,効率的な検討が可能になると考えられる.

  • 有馬 優香, 堀本 奈穂, 川辺 みどり, 石丸 隆, 河野 博, 茂木 正人
    2011 年 24 巻 2 号 p. 75-87
    発行日: 2011/09/30
    公開日: 2023/04/17
    ジャーナル フリー

    要旨:本研究では、大学が持続可能な社会の形成に向けてどのように海洋環境教育を進めるかという問題意識をもって、大学研究者グループと環境教育実践者として活動しているインタープリターが協同で実施した「葛西臨海たんけん隊」のプログラムの評価を通して、両者の協同の意義と課題を考察した。大学研究者とインタープリターの協同は、お互いに手法や知識を学びあうことによって、それぞれの課題を克服することができ、質の高い海洋環境教育プログラムの実施を可能とする。一方、課題としては、プログラムの費用効率性、プログラム運営を担うコーディネーターの設置、プログラム提供のための大学における「しくみづくり」の必要性が挙げられる。

  • 安井 裕, 矢持 進
    2011 年 24 巻 2 号 p. 89-97
    発行日: 2011/09/30
    公開日: 2023/04/17
    ジャーナル フリー

    要旨:高水温時の大阪湾東部海域底層について酸素とCO2濃度の分布状況を調べるとともに,貧酸素・高CO2濃度がサルエビの生残に及ぼす影響について実験的に検討した.現地調査の結果,大阪湾東部海域におけるDOとCO2の分布には明瞭な負の対応関係が見られ,貧酸素化の進んだ地点では高いCO2濃度を示すことがわかった.サルエビ成体の25℃における24時間半数致死酸素飽和度(24h-LC50)は17%(1.1mg-O2/l)であり,一部の海域ではこの24h-LC50を下回っていた.また,24時間の実験期間ではサルエビ成体のへい死に及ぼす高CO2濃度(1300ppm)の影響は確認されなかった.

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