要旨: 海洋ごみ問題の解決に向けた対策立案のため,閉鎖性水域である瀬戸内海を対象に,海岸漂着散乱ごみの広域総量調査,定期モニタリング,海洋ごみ回収活動等に関するアンケート調査を実施し,さらに既存の海底ごみ,河川ごみ回収量に関する二次資料を合わせて,1BOX,完全混合,濃度均一の条件で海洋ごみの収支を明らかにした.その結果,現存量を海面浮遊ごみと海岸漂着散乱ごみの各総量を合わせた3,400tとすると,海域への総流入量は,陸からの流入量3,000t/年,海域での発生量1,200t/年,外海からの流入量300t/年を合わせた4,500t/年となった.一方,海域外への流出は,回収量1,400t/年,外海への流出量2,400t/年,海底への沈積量700t/年となった.ここでは瀬戸内海における海洋ごみの収支の試算方法を説明し,そこから得られる現存量等の削減の方策について述べる.
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