沿岸域学会誌
Online ISSN : 2436-9837
Print ISSN : 1349-6123
32 巻, 1 号
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論文
  • 寺口 敬秀, 桜井 慎一, 野口 翔, 大津 俊裕, 丸山 敬之
    2019 年 32 巻 1 号 p. 27-36
    発行日: 2019/06/30
    公開日: 2023/04/17
    ジャーナル フリー

    要旨:本研究は,将来的な発展が期待される北日本でのクルーズ航路の提案に向け,北海道の港湾および漁港274港を対象に,港周辺の観光地の多さを表す「観光魅力係数」と,港までの交通体系の便が悪く,海からクルーズ船でアクセスすることの強みを示す「海上アクセス優位係数」の算出を行い,これら2つの係数を乗じることで算出された「寄港魅力度」の数値の高さからクルーズ船寄港地として適する港の抽出を行った。その結果,観光魅力係数では,函館や小樽など寄港実績を有する地域の数値が高く,海上アクセス優位係数では,根室や知床などクルーズ船があまり訪れていない地域の数値が高くなった。寄港魅力度としては江差町や松前町の数値が高くなり,これらをクルーズ船寄港地として適する地域として評価を行った。

  • 惠藤 浩朗, 下本 瀬夏, 北畠 佑一, 登川 幸生, 山本 守和, 宮沢 信太朗, 山口 順子, 居駒 知樹, 相田 康洋, 増田 光一
    2019 年 32 巻 1 号 p. 37-46
    発行日: 2019/06/30
    公開日: 2023/04/17
    ジャーナル フリー

    要旨:東日本大震災では医療施設も甚大な被害を受け,被災地の医療活動に支障をきたす要因となった。また阪神淡路大震災ではクラッシュ症候群を発症し死亡する報告も多く確認され,防ぎ得た災害死を減らす一つの手段として,地震被害を受けずに被災地の中心でクラッシュ症候群の患者などに対して医療支援活動が実施可能な医療支援浮体が提案された。医療支援浮体は平時には増え続ける慢性患者のための透析治療施設として機能することを想定し計画されている。本研究では東京都で発生が予想される首都直下地震をもとに,GISを活用して東京都の町丁目ごとの負傷者数やクラッシュ症候群発症者の分布を把握し,その結果をもとに医療支援浮体の適地選定や規模に関する検討を実施した。

  • 鶴江 智彦, 山中 亮一, 飯干 富広, 赤平 大典, 上月 康則
    2019 年 32 巻 1 号 p. 47-56
    発行日: 2019/06/30
    公開日: 2023/04/17
    ジャーナル フリー

    要旨:近年では,環境配慮を目的としたコンクリートの開発が進められている.コンクリート中にアミノ酸を混和したアミノ酸コンクリートを水中に沈設すると,藻類などの一次生産機能の活性化,水生生物の蝟集効果が報告されている.本研究ではこのアミノ酸の効果を応用し,アミノ酸入りコンクリート用被膜養生剤を提案し,その環境機能のひとつである付着微細藻類増殖への効果の定量化を行うこととした.海水掛け流し式水槽に,養生剤を塗布したブロックを沈設して付着微細藻類を培養し,剥ぎ取り試験を実施した.また,ブロックからのアミノ酸溶出試験も併せて実施した.この結果,養生剤にアミノ酸を混和すると,混和しない場合に比べて最大で約3.9倍のChl.a+Pheo.量がブロック表面で確認された.

報告
  • 平田 和彦, 松本 祥子, 白井 正樹, 山本 麻希
    2019 年 32 巻 1 号 p. 57-62
    発行日: 2019/06/30
    公開日: 2023/04/17
    ジャーナル フリー

    要旨:秋季の新潟県粟島近海では,巣立ち直後のオオミズナギドリ Calonectris leucomelas の幼鳥が夜間に漁灯に誘引され,漁船に落下することがある。落下した幼鳥はその後,1) 漁港まで移送される,2) 帰港後にイエネコ Felis catus に捕殺される,3) 船内の機械油で羽毛が汚染される,といった3種類の被害の一部あるいは全部を受けた。この事実は,漁灯が海鳥に与える影響は船舶への誘引だけでなく,その後発生する被害も含めて評価する必要があることを示唆している。これらの被害は,漁船の床面を鳥が潜り込みにくい構造にすること,また鳥が活動する前の日没頃には保護活動を始めることで,効果的に低減できるだろう。

ノート
  • 久松 力人, 金 洙列, 多部田 茂
    2019 年 32 巻 1 号 p. 63-68
    発行日: 2019/06/30
    公開日: 2023/04/17
    ジャーナル フリー

    要旨:平成30年台風第21号は,記録的な高潮を伴い,大阪湾沿岸では広い範囲で高潮による浸水被害がみられた。本報では神戸市・芦屋市・西宮市・尼崎市の一部における高潮浸水深の測定結果,および高潮・波浪結合モデルSuWATにより計算された,神戸市周辺の時系列潮位偏差・高潮浸水深分布・最大有義波高分布を示す。モデルは,神戸験潮所で観測された時系列潮位偏差の増減傾向を概ね再現した。また浸水高は,測定と計算ともに浸水した場所では概ね再現でき,浸水高と地盤高が近い場所では,測定と計算の一方のみが浸水する結果となった。

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