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ネパールの農村地域における女性のリテラシー実践
安念 真衣子
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C07-
発行日: 2016年
公開日: 2016/04/23
会議録・要旨集
フリー
本発表の目的は、現代ネパールの農村地域における女性のリテラシー実践について考察することである。ネパールではこれまで、政府、NGO、民族運動団体などが識字教育活動を実施してきた。学習者として対象とされるのは多くの場合女性である。本発表では、女性たちが日常生活の中で、文字を習う実践の場である識字教育活動にいかに関わり、そこで得られる知識や技術やネットワークをどのように生活の中で利用しているかを検討する。
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金子 亜美
p.
C08-
発行日: 2016年
公開日: 2016/04/23
会議録・要旨集
フリー
本発表は、文法構造とその使用に関する現地の解釈が、文法構造のあり方自体を変容させる可能性を、言語人類学の知見から論じるものである。より具体的には、ボリビア東部低地のチキタノ語(マクロ・ジェ語族、母語話者は約4600人、主に50歳代以上)におけるジェンダー指標と、親族名称におけるその使用、そしてそれに対する現地の解釈を取り上げる。
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国際結婚家庭に生まれた子どもの自己形成プロセスを事例に
戴 寧
p.
C09-
発行日: 2016年
公開日: 2016/04/23
会議録・要旨集
フリー
本発表の目的は、日本生まれ日本育ちの日中国際児の内面に着目し、かれらが日本と中国という異なる文化的背景をもつ両親のもとで育ったがゆえに、その双方から影響を受けていることを示し、その環境のなかで発揮されるかれらの主体性や能動性を考察することにある。
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~スペイン・カタルーニャ州「人間の塔」の事例から~
岩瀬 裕子
p.
C10-
発行日: 2016年
公開日: 2016/04/23
会議録・要旨集
フリー
本発表は、スペイン・カタルーニャ州で行われている「人間の塔」(Castells:カステイス)において、近年、議論されている塔の上層部に上る子どもたちのグループ間移籍をめぐる言説と、それに関連するフィールワークで得た調査データを整理し、その背景にどのような流れがあるのかを明らかにするものである。
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「二風谷イタ」「二風谷アットゥシ」を中心に
山崎 幸治
p.
C11-
発行日: 2016年
公開日: 2016/04/23
会議録・要旨集
フリー
2013年、アイヌの伝統工芸のひとつである「二風谷イタ」(木製盆)と「二風谷アットゥシ」(樹皮繊維で織られた布)が、経済産業省による「伝統的工芸品」として北海道で初めて指定を受けた。本発表では、本指定を受けるまでの過程のなかで、発表者が文化人類学研究者としておこなった実践について報告するとともに、そこで見出された文化人類学的な課題を提示する。
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在日の物質文化研究に向けて
角南 聡一郎
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C12-
発行日: 2016年
公開日: 2016/04/23
会議録・要旨集
フリー
岡山民俗学の黎明期に活躍をした島村知章は、短い生涯の中で内外の民族学の成果もふまえた業績を残した。島村は1928年10月に中原村などへ調査に赴き、見慣れない背負梯子に出会い図で示し記録に留めている。島村の朝鮮人が持ち込んだ外来系背負梯子への注目は最も早い段階のものである。このように、近代以降の人の移動に伴う外来の物質文化の流入と、在来のものに与える研究については、検討すべき問題は多いと考えられる。
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ボルネオの‘ツバメの巣’に注目して
佐久間 香子
p.
C13-
発行日: 2016年
公開日: 2016/04/23
会議録・要旨集
フリー
本発表では,ツバメの巣というモノの特殊性に注目し,それを媒介して人と自然の歴史的な関係を射程に捉える視座を検討する。具体的には,マレーシア・サラワク州(ボルネオ島)のバラム河流域を舞台に,19世紀後半から20世紀初頭にかけて起こった,アポ・カヤン地域(現在のボルネオ島インドネシア領東カリマンタン州)からのカヤン人の襲撃とその後の流域内の勢力図の転換を検証する。
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ニューアイルランド島のウリ像を対象にして
山口 徹, 臺 浩亮
p.
C14-
発行日: 2016年
公開日: 2016/04/23
会議録・要旨集
フリー
ウリとは、ビスマルク群島ニューアイルランド島の村々で製作された木製祖霊像である。おもに、独領ニューギニアの植民地経営が確立した20世紀初頭に収集され、欧米を中心に博物館や個人コレクションとして255体あると言われている。発表では、収集側と土着の人びとの目論見の交差、すなわち「ダブル・ビジョン」の歴史的産物として、これらウリ像の形態的特徴を分析しうるか検討する。
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齋藤 貴之
p.
C15-
発行日: 2016年
公開日: 2016/04/23
会議録・要旨集
フリー
本発表の目的は、ものが身体化し、身体が拡張する過程に着目し、利尻島の漁業と鍛冶屋の関係をふまえながら漁業者が道具を身体化して自然と対峙するなかで鍛冶屋がどのような機能を果たしているかについて考察検討することである。これにより、鍛冶屋は、道具が使いこなされて身体化していく過程に関与することで、磯漁で使用される採取道具とその使い手である漁業者の「インターフェイス」として機能していることを示す。
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―「熱情的人」を中心とする人間関係を中心に―
田村 和彦
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C16-
発行日: 2016年
公開日: 2016/04/23
会議録・要旨集
フリー
本発表は、漢族社会の親族研究の蓄積にたち、東南アジアの宗教・社会組織に関する議論において洗練された「親密性」と「公共性」(黄・日下:2014)を補助線として、「広場舞」と呼ばれる、近年の中国において急速に普及した集団ダンスという、従来、人類学的研究がほぼなされてこなかった、流動的で非組織的な対象について、その中核的な人物を中心とする関係性構築のあり方について考察を試みるものである。
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『菊と刀』の背景にある人類学と軍事情報分析
中生 勝美
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C17-
発行日: 2016年
公開日: 2016/04/23
会議録・要旨集
フリー
第二次世界大戦中に、アメリカの人類学者の90%が軍事・政治組織にかかわっていた。人類学者を、軍事的な活動の必要に応じて差配していたのはクラックホーンであった。アメリカの対日戦を理解するためには、日本語資料を駆使する必要がある。今回、4つの事例から日本との戦争を通じて、アメリカの人類学がどのように変容し、国家機関や軍事部門に如何にかかわっていったのかという観点から、アメリカの人類学史を描いてみる。
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日本軍の「蒙疆」占領と回民の植民地経験
澤井 充生
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C18-
発行日: 2016年
公開日: 2016/04/23
会議録・要旨集
フリー
本発表は、日本軍占領下の「蒙疆」において日本軍協力者となった回民の伝統エリートたちの事例に注目し、日本軍の植民地支配(主に回教工作)が中国の「少数民族」社会にあたえた影響、「少数民族」側の様々な対処方法、「少数民族」社会内部の権力構造の変容について歴史人類学的視点から考察し、植民地行政側と「少数民族」社会とのあいだに生起する政治力学の特徴を見極め、日本軍の植民地支配の地域的特性を明らかにする。
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―学術研究の文献資料を通じた社会への還元に注目して―
酒井 貴広
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C19-
発行日: 2016年
公開日: 2016/04/23
会議録・要旨集
フリー
本発表では、現在の高知県における憑きもの筋「犬神」の特異な変容の要因を、県下の戦後以降の文献資料から考察する。高知県には犬神にまつわる文献資料が数多く存在し、聞き取り調査からもその影響を見出すことが出来る。また、それら文献資料は、戦後の民俗学や文化人類学の憑きもの筋研究を援用しつつも、「犬神を強く批判する」という点で共通しており、その特徴的な描写が犬神の変容に与えた影響は大きいと考えられる。
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記憶の伝承、地域住民との協働から
宮脇 千絵, 田上 繁, 川島 秀一, 阪本 真由美, 呂 怡屏
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D01-
発行日: 2016年
公開日: 2016/04/23
会議録・要旨集
フリー
本分科会では、災害ミュージアムのもつ役割と可能性を、4名の発表者による事例報告を通じて検討する。災害ミュージアムとは、自然災害を主題としたミュージアムのことであり、その展示を通じて後世の防災へとつなげることを使命とする。本分科会では、災害を経験した地域住民との協働によって、被災前後の生活や日常性を想起させ、災害の記憶を伝承する仕組みをもつミュージアムを創り上げていくことの重要性を指摘する。
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台湾の小林平埔族群文物館を中心に
呂 怡屏
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D02-
発行日: 2016年
公開日: 2016/04/23
会議録・要旨集
フリー
本発表は、博物館人類学の視点から、博物館が被災地における文化復興の動向に果たした役割、およびその過程において現地住民との連携関係の重要性を明らかにするものである。事例として取り上げるのは、台湾における八八水害後の「小林(シャウリン)平埔族群文物館」における展示と平埔族の収蔵品活用の活動である。
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宮城県気仙沼市大島漁業協同組合資料の救出と保全
田上 繁
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D03-
発行日: 2016年
公開日: 2016/04/23
会議録・要旨集
フリー
本発表では、一次資料の収集と公開を災害ミュージアムの使命のひとつと捉え、東日本大震災後の気仙沼市大島における漁協組合資料のレスキュー活動を報告する。本発表では、救出した資料の保管場所の建設まで含めた計画により、研究者のみならず、地域住民や地元の研究者も巻き込んだ地域の研究拠点ともいうべき性格をもつミュージアムの可能性が示唆される。
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川島 秀一
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D04-
発行日: 2016年
公開日: 2016/04/23
会議録・要旨集
フリー
本発表では、自然災害からの復興の意味を、災害の記憶の忘却とは捉えずに、むしろ災害の伝承を日常性のなかに組み込んだときと捉え、災害ミュージアムにおける災害以前の日常の伝承の重要性を検討する。事例として自然災害後に、災害伝承が年中行事に組み込まれていることを取り上げ、災害以前と災害時、復興による災害以後の日常性を展示し得たときこそが、被災地に立地する博物館そのものが復興したといえることを指摘する。
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阪本 真由美
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D05-
発行日: 2016年
公開日: 2016/04/23
会議録・要旨集
フリー
本発表では、災害を主題としたミュージアムに着目し、災害ミュージアムを通した記憶の継承について1995年の阪神・淡路大震災後に設置された「人と防災未来センター」の事例を中心に検討する。個人的記憶にもとづき「防災」という集合的記憶を創り出すことが、災害ミュージアムの使命であることを指摘し、記憶の想起を通し、災害を知らない人を教化する装置として、災害ミュージアムの可能性を明らかにする。
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文化の破壊か創造か
飯田 卓
p.
D06-
発行日: 2016年
公開日: 2016/04/23
会議録・要旨集
フリー
文化の担い手の意図とは無関係に外からやってくる圧倒的な影響力を「黒船」と表現したうえで、文化遺産をめぐる諸関係が黒船としてたち現れるさまざまな局面を提示し、その相互関係を議論する。そして、嘉永年間のペリー艦隊がそうだったように、社会機能の破壊と活性化を同時進行させるかたちでこの影響力が働いていることを指摘する。
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マダガスカル中央高地ザフィマニリの木彫り工芸と木造建築
飯田 卓
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D07-
発行日: 2016年
公開日: 2016/04/23
会議録・要旨集
フリー
マダガスカル中央高地部の山間部に住むザフィマニリ人の木彫り技術をとりあげ、ユネスコの無形文化遺産認定を受けたことによる影響を報告する。
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「美しきインドネシアミニチュア公園」のベスト・プラクティスへの申請から考える
吉田 ゆか子
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D08-
発行日: 2016年
公開日: 2016/04/23
会議録・要旨集
フリー
「美しきインドネシアミニチュア公園」はインドネシア各地の文化を展示するテーマパークであるが、2014年インドネシアによって無形文化遺産の保護活動の模範例の登録簿に申請され、落選した。この経緯や、公園内での実際の無形文化遺産の伝承活動を検討し、無形文化遺産の担い手コミュニティとは何かという問いが見かけほど単純ではないことや、普遍的価値を問わないはずの無形文化遺産制度が内包するある種の普遍主義を指摘する。
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トン族大歌の事例から
兼重 努
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D09-
発行日: 2016年
公開日: 2016/04/23
会議録・要旨集
フリー
本発表では、トン族大歌の事例をもとに、無形文化遺産の代表リスト登録の申請主体が誰であり、誰との間でどのような競合関係が生じ、せめぎあっているのか、また、中国国内行政やマスメディア、観光関係者がそれにどのように関与しているのか、について考察する。さらに、申請の動きを、1950年代から存在し、改革開放後激化してきた、地方行政区画間におけるトン族文化をめぐる覇権争いのコンテキストの中に落とし込んで捉えていく。
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門田 岳久
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D10-
発行日: 2016年
公開日: 2016/04/23
会議録・要旨集
フリー
本発表は沖縄を代表する祭祀空間である斎場御嶽(せーふぁうたき)の世界遺産化を事例に、外部から持ち込まれた価値基準に基づく開発現象が地元の人々の宗教的実践に与えた影響を論じる。御嶽が地元の「誇り」として再編される過程で、従来関わってきた人の中には周辺化されるケースもある一方、ボランティアという世俗的な組織を通じて新たに聖域管理に関わる人も現れている。本発表では、文化遺産管理への新たな住民参加が場所の宗教性にいかなる意味を持っているのか論じていく。
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「妖怪的なもの」の概念的把握に向けて
廣田 龍平
p.
D11-
発行日: 2016年
公開日: 2016/04/23
会議録・要旨集
フリー
本分科会では、日本の「妖怪」概念の再検討を出発点として、前近代的な民間伝承から最先端の科学技術までを事例として取り扱い、フィールドにおける「有形と無形のあいだ」のものと人々とが織りなす関係性にアプローチすることを試みる。これは調査者の世界とフィールドの世界の二分法を問い直す一つの試みである。
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有形と無形のあわいに存する民俗的対象について
廣田 龍平
p.
D12-
発行日: 2016年
公開日: 2016/04/23
会議録・要旨集
フリー
本発表は、日本の「妖怪」を人類学的に把握することを通じて、「無形と有形のあいだ」に現われるフィールドの諸対象を位置づける概念として提示するものである。事例として用いるのは、柳田國男が昭和初期に著した「妖怪名彙」に現われる妖怪、そしてネット怪談として知られる「くねくね」という妖怪の二つである。
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The Tangible and Intangible in Japanese Wearable Interface Research
オオツキ グラント ジュン
p.
D13-
発行日: 2016年
公開日: 2016/04/23
会議録・要旨集
フリー
In this paper, I examine how engineers in Japan technologically generate and experience relationships with information to explore how information straddles the distinction between the “tangible” and “intangible.” I discuss an ethnographic case drawn from Japanese researchers of wearable technologies―what they call “human-centered technologies”―who view their devices as ways for linking the world of ordinary human experience with a world of informatic co-presences.
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Ethnographic Fragments From a Brazilian Spiritist Center in Japan
カナシロ アウヴァロカツアキ
p.
D14-
発行日: 2016年
公開日: 2016/04/23
会議録・要旨集
フリー
This paper aims at understanding how intangible entities become tangible, by exploring native’s categories of cure/illness and how mediumship operates. The discussion is based on ethnographic fragments collected at a Brazilian Spiritist center in Japan. What “materialize” spirits are their influences over the body of mediums and patients, both in terms of cure or illness. Mediumship, in turn, is another possibility by which spirits “materializes”.
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日本都市社会における「妖狐」の認識に関する試論
李 セイ
p.
D15-
発行日: 2016年
公開日: 2016/04/23
会議録・要旨集
フリー
本発表では日本東京都北区王子市での調査中に出てきた「カワイイ妖狐」について語りの読み解きから、現代日本都市部における「大衆的な妖狐」の認識について試論を展開する。「カワイイ妖狐」の特徴を捉え、「民俗的キツネ」と「学術的キツネ」から受け継いだ連続性を検討する。また、同じく「妖狐」として扱われているが、おおむね同じ存在ではないと主張する。
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観光開発と明滅する「妖怪」
近藤 祉秋
p.
D16-
発行日: 2016年
公開日: 2016/04/23
会議録・要旨集
フリー
本発表は、隠岐島の「水木しげるロード延長プロジェクト実行委員会」による、妖怪を主題とした観光開発を事例として、妖怪研究者のキュレートリアルな〈まなざし〉が偶発的な遭遇のなかで有形の観光資源をうみだす過程を扱う。本発表においては、有形と無形のはざまをたゆたう中で、偶発的な動きをする人間と非人間のネットワークのなかにときおり結ばれる結節点として、「妖怪」を捉えることを提案したい。
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コラボレーションの可能性と問題点
島田 将喜, 髙橋 康介, 柴田 隆史, 髙田 明
p.
D17-
発行日: 2016年
公開日: 2016/04/23
会議録・要旨集
フリー
本分科会では、霊長類学、狩猟採集民研究、認知心理学、人間工学をそれぞれ自らの専門分野とする研究者が、これまで取り組んできた異分野コラボレーションの事例を紹介し、分野としての文化人類学のイメージや、その知の蓄積にどのような可能性を見出しているかについて展望を論じる。またこれまでにも積極的に異分野との研究協力をおこなってきた文化人類学を専門とする研究者が、コラボレーションの可能性と問題点を指摘する。
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認知心理学者という立場からの随想
髙橋 康介
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D18-
発行日: 2016年
公開日: 2016/04/23
会議録・要旨集
フリー
実験を通してヒトの認知機能を解明する認知心理学という分野にとって、文化人類学者とのコラボレーションは、フィールドへのアクセスを容易にするという方法論的な意義、そして異なる科学的視点を得ることで認知機能に関する理解を深めるという学術的意義を持つ。本発表では認知心理学者・文化人類学者・霊長類学者のコラボレーションのもとで進めている認知心理学的な実験研究事例を紹介し、その意義や可能性について議論する。
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人間工学的視点と3D映像の機能性に注目した取り組み
柴田 隆史
p.
D19-
発行日: 2016年
公開日: 2016/04/23
会議録・要旨集
フリー
3D映像は、奥行きや立体形状を直接的に表現できるという機能性を有し、従来の2D映像では困難な映像表現を可能とする。本発表では、チベット文化圏を対象としたフィールドワークにおいて、新年祈願祭の宗教行事を3D映像で記録した例を取り上げ、文化人類学における3Dメディア活用の可能性を議論する。また、人間工学と3Dメディアを専門とする研究者の見地から、異分野コラボレーションの意義や必要性を探る。
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霊長類学と文化人類学の出会いが生んだもの
島田 将喜
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D20-
発行日: 2016年
公開日: 2016/04/23
会議録・要旨集
フリー
霊長類学を専門とする発表者が、自ら長期フィールドワークを経て得た野生チンパンジーの他動物殺しに関するデータを分析し、理解するにあたり、ヒトの動物殺しを観察してきた文化人類学者たちと議論を重ねて新たな視点を生み出したコラボレーションのプロセスとその意義を紹介する。コラボレーションが生み出した動物の動物殺しの感情論は、霊長類学を古くて新しい次元へと展開させる視点かもしれない。
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言語的社会化論によるアプローチ
高田 明
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D21-
発行日: 2016年
公開日: 2016/04/23
会議録・要旨集
フリー
本発表では,言語的社会化論の観点から,日本における子育てについての学際的コラボレーションによる研究の例を紹介する.文化的実践では,時にその社会の価値観とは一致しない状況,そうした価値観に関わる行為が再生産されたり,創造されたりする状況が見いだせる.言語的社会化論はそこに注目する.そして,文化的なステレオタイプを生産・再生産するのではなく,フィールドの知によってそれを乗り越えることを目指す.
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ウガンダ共和国アジュマニ県における超教派的キリスト教礼拝集会
飛内 悠子
p.
E01-
発行日: 2016年
公開日: 2016/04/23
会議録・要旨集
フリー
ウガンダ共和国北部にあるアジュマニ県で学生主体で運営される超教派的キリスト教団体、スクリプチャーユニオンの礼拝集会が開かれた。本発表ではこの礼拝集会の様子を詳細に描くことによって、キリスト教信仰と呪術が信じられる「ルート」の一つ、そしてその進行のかたちについて論じる。本発表からキリスト教信仰と呪術、そして近代との新たなつながりが見えてくるだろう。
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タンザニア・ボンデイ社会の儀礼と外来宗教との併存
髙村 美也子
p.
E02-
発行日: 2016年
公開日: 2016/04/23
会議録・要旨集
フリー
タンザニア北東部のボンデイ社会において、在来の儀礼、土着信仰に焦点をあて、在来の儀礼の衰退と継続している在来の儀礼について論じる。在来儀礼には、結婚、男子割礼、女子儀礼、葬儀などがある。土着宗教には、祖霊崇拝、アミニズム信仰がある。しかし、近年、殆どの儀礼は衰退し、結婚に関する儀礼のみが継続している。本発表では、なぜ結婚にまつわる在来の儀礼のみが外来宗教と併存が許されているのかを考察する。
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カザフ人マイノリティのイスラーム復興と宗教外交をとりまく試練と実践
スヘー バトトルガ
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E03-
発行日: 2016年
公開日: 2016/04/23
会議録・要旨集
フリー
本発表は、モンゴル西部バヤン・ウルギー県に形成されたアルタイ系カザフ社会のイスラーム復興と近年の宗教外交についての新たな知見を提示する。現地では(1)イスラーム宗教復興にもとづく宗教を集団単位とした統合、(2) 中央アジアの広域な「カザフ人社会」としての統合、の2つの社会統合がみられる。とくに宗教的自己/他者という思想を突破し、カザフ人とモンゴル人の歩むべき調和型社会の可能性について考察を行った。
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ブエノスアイレスのユダヤ人コミュニティにおける「文化」と「宗教」
宇田川 彩
p.
E04-
発行日: 2016年
公開日: 2016/04/23
会議録・要旨集
フリー
本発表は、アルゼンチン・ブエノスアイレスで行った現地調査に基づき、2011年に社交スポーツクラブで開催されたユダヤ・ブックフェアを主要な事例として、アーカイブが創るユダヤ人コミュニティについて論じる。アーカイブする単一の主体が存在せず、ローカルタームとしての「文化」的、「宗教」的なユダヤ性がパラレルに存在していることが、現代的な「コミュニティ」の在り方であることを指摘する。
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インドネシア中央カリマンタン州ダヤク人の事例から
相澤 里沙
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E05-
発行日: 2016年
公開日: 2016/04/23
会議録・要旨集
フリー
共産主義が非合法化され、国民が公認宗教(アガマ)の一つに属することが義務付けられたスハルト体制下で、中央カリマンタン州ダヤク人の在来宗教「カハリンガン」は、ヒンドゥーと統合することでアガマとしての地位を得た。しかし民主化以降、ヒンドゥーからの解放と自らの宗教の公認化を目指す運動が活発化している。本発表では、インドネシアの宗教政策とカハリンガンの運動から、宗教をめぐる認識と実践の再形成を検討する。
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カザフ騎馬鷹狩文化が誇るイヌワシ馴化の知と技法
相馬 拓也
p.
E06-
発行日: 2016年
公開日: 2016/04/23
会議録・要旨集
フリー
本発表は、モンゴル西部アルタイ系カザフ騎馬鷹狩文化における、鷹狩用イヌワシの馴化の「生態学的伝統知」(TEK)についての近年の調査結果を報告する。とくに鷲使い“ブルクッチュ”による、(1) 最初期のマスターへの馴致プロセス、(2) 日々の給餌頻度/分量、(3) 動物種類別の給餌適正度、の知見について詳述する。
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カザフスタンにおけるラクダ飼育の現状
今村 薫
p.
E07-
発行日: 2016年
公開日: 2016/04/23
会議録・要旨集
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ラクダにはフタコブラクダとヒトコブラクダの2種がある。この2種の分布域は本来重ならないのだが、カザフスタンではこれら両方が飼われており、積極的にハイブリッド種が作出されている。ラクダの用途は、荷役、食肉、乳、毛と多岐にわたり、とくにソ連時代には用途に応じて合理化がすすめられてきた。近年は、ラクダ乳の健康面における効用が強調されるようになり、乳量の多いヒトコブをもとにした雑種作出が盛んである。
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─東アフリカ遊牧社会の事例─
湖中 真哉
p.
E08-
発行日: 2016年
公開日: 2016/04/23
会議録・要旨集
フリー
本研究は、東アフリカ遊牧社会における国内避難民の所持品を悉皆調査することにより、緊急人道支援におけるノンフード・アイテムと物質文化の関係性を解明することを目的とする。とりわけ、調査成果に基づいて緊急人道支援の枠組みに対する政策提言を行う。
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中国での事例を中心に
渡邉 麻理亜
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E09-
発行日: 2016年
公開日: 2016/04/23
会議録・要旨集
フリー
頭髪は、人体の頭部から離れると、「不浄」なものや「汚いもの」として扱われることが少なくない。しかし、中国の伝統医療や韓国の伝統医療では、頭髪は「血余」もしくは「血余炭」と呼ばれ、外用としても内服用としても使用される薬品として現代まで使用され続けている。本発表では「血余炭」と呼ばれる頭髪を炭化させた薬品としての側面に注目し、中国での使用状況を中心に頭髪の利用の多様性と特殊性について検討する。
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カート(Catha edulis Forsk)の事例から
大坪 玲子
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E10-
発行日: 2016年
公開日: 2016/04/23
会議録・要旨集
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カート(Catha edulis Forsk)はエチオピアを原産とする木本で、長い間紅海を挟んだ東アフリカとイエメンで嗜好品として消費されてきた。近年ソマリア系移民が世界中に拡散するのに合わせて、カートの貿易量も増加し、欧米諸国ではカートを薬物に認定するようになった。本発表は嗜好品と薬物を比較して定義し、現在カートが世界的に薬物と認定されている政治的な過程とその問題点について検討するものである。
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―― 四半世紀を迎える「YOSAKOIソーラン祭り」――
矢島 妙子
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E11-
発行日: 2016年
公開日: 2016/04/23
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「YOSAKOIソーラン祭り」は、2016年には25回目を迎えるが、全国に同様な「よさこい系」祭りも多く誕生している。回を重ねるにつれ、参加集団の結合契機は変化し、新たな集団形成がみられる。参加する意思があれば、それを続けられるという受け皿の多様性がある。踊り子たちは地元に限らず他地域の「よさこい系」祭りにも遠征し、そのことはチームのみならず、祭り全体、ひいては「よさこい系」祭り全体の継承につながる。
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山崎 真之
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E12-
発行日: 2016年
公開日: 2016/04/23
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本発表は、2011年に世界自然遺産に登録された小笠原諸島における島民の移動と社会変容を主に取り扱う。小笠原は黎明期より国内外からの移住者がみられることからも、まずは小笠原島民の移動の歴史を時代区分事に整理し、分析する。次に、1968年のアメリカ返還以降における島民の移動に焦点をあてる。最後に、近年の小笠原への移住と移住の後の離島現象に着眼し、それがエコツーリズムの論理にいかに影響されているのかを検討する。
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小さな物語が大きな物語に仕掛ける、モノに託した集合記憶の闘いの考察
青木 恵理子
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E13-
発行日: 2016年
公開日: 2016/04/23
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2015年7月5日に「明治日本の産業革命遺産」が世界遺産として登録された。この遺産には、三井三池炭鉱、三菱端島炭鉱、三菱高島炭鉱など多くの炭鉱遺構が含まれている。本発表は、立て坑や繰り込み所など巨大施設に焦点をあてた世界遺産版のヘゲモニックな物語に、石炭人形など小さなモノたちに熱い望郷の念を託した「私たち」の物語が仕掛ける闘いとせめぎ合いを、集合的記憶という観点から考察する。
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客家「聖地」からみる文化表象のポリティクス
小林 宏至
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E14-
発行日: 2016年
公開日: 2016/04/23
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中国では改革開放政策が打ち出され、それが広く人々に浸透していく1990年代まで、「聖地」の多くは「革命聖地」を意味していた。つまり共産党の愛国教育基地でもあった。だが近年、中国社会のなかで「聖地」の「再開発」が進んでいる。本発表で対象とするのは客家というエスニックグループの聖地である。行政主導により、少数民族でも宗教団体でもない客家というエスニックグループの「聖地」がつくられる意義を議論する。
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ハパオ村の伝統綱引きプンノクによる地域再生
日丸 美彦
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E15-
発行日: 2016年
公開日: 2016/04/23
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フィリピンのイフガオ州フンドゥアン郡ハパオ村の伝統綱引きプンノクを通じて、儀礼としての綱引きと地域の持続可能性との関係性を探る。フィリピン・マルコス政権以来30年近くプンノクが途絶し、1998年に復活した。プンノクの途絶前、途絶期間中、復活後の三つの期間の地域の変容をもとに、伝統綱引きプンノクの儀礼としての機能を考察する。
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-「本願の会」メンバーの儀礼と語りにみる水俣病の記憶化とその伝達をめぐって-
下田 健太郎
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E16-
発行日: 2016年
公開日: 2016/04/23
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水俣病の被害者有志を中心として95年に発足した「本願の会」のメンバーは、「爆心地」とされる水俣湾埋立地に自らの手で彫った石像を祀り、自然界や生命の「甦り」を主題とする儀礼的実践を行ってきた。本報告ではこの「甦り」の儀礼と語りに焦点を当て、同会のメンバーによって地域や環境の再生とは異なるコンテクストにおける「再生」が表現され、そのための語りが模索されるという水俣の社会運動の新たな展開を考察する。
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