安全教育学研究
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20 巻, 1 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
  • ― 学校組織マネジメント並びにカリキュラム・マネジメントを通して ―
    冨田 俊幸
    2020 年20 巻1 号 p. 3-12
    発行日: 2020/09/30
    公開日: 2025/07/16
    ジャーナル フリー
    学校組織マネジメント並びにカリキュラム・マネジメントを通して、小学校における自分の身は自分で守る防災教育の実践研究を行った。一次災害としての地震や津波、二次災害としての火災に関する防災学習、そして地震を想定した避難訓練とその後の保護者への引き渡し訓練、さらには抜き打ち避難訓練という一連の防災教育を実践した。引き渡し訓練の時には、保護者への啓発活動として防災情報の提供を行った。 児童及び保護者への質問紙調査から、学習効果並びに児童の変容について分析・考察した。結果として自分の身は自分で守る防災学習、避難訓練とその後の引き渡し訓練、抜き打ち避難訓練を通して、児童は自分の身は自分で守る態度や行動を獲得することができた。学校組織マネジメントを進めたことで、校長の指揮のもとで、保健主事を中心に教職員が自分の役割を果たして本実践に取り組むことができた。カリキュラム・マネジメントとして、学級活動と特別活動の時間、朝と帰りの短学活を有効利用したことで、効果的な教育活動を進めることができた。
  • 村越 真
    2020 年20 巻1 号 p. 13-25
    発行日: 2020/09/30
    公開日: 2025/07/16
    ジャーナル フリー
    新規なリスクに遭遇する可能性の高い南極地域観測隊の隊員68人に対して、南極での活動の写真を使った危険予知トレーニング(KYT)による安全教育を実施した。トレーニングは、写真の中に記された危険かもしれない11箇所/行為に対して、どのような対応が望ましいかを、用意された4つの選択肢で回答するものであった。個人での選択後、4人のグループで統一見解を出すグループワークを実施した。安全教育への感想に関する質問紙および実施後の面接により、KYTを利用した安全教育の効果を定量的および修正版GTAによって質的に検討した。KYTを使ったグループワークによって、現実場面での人の危険のとらえ方が多様であり、その背後には知識や視点、文脈の捉え方の違いがあることが明らかになった。また、このような多様性によりリスク対応に個人差が生じることとその差異に対処する方法への気づきが受講者にも得られることが示唆された。
  • ― 宮城県石巻市における試行から ―
    小田 隆史, 桜井 愛子, 村山 良之, 佐藤 健, 北浦 早苗, 加賀谷 碧
    2020 年20 巻1 号 p. 27-36
    発行日: 2020/09/30
    公開日: 2025/07/16
    ジャーナル フリー
    本稿は、防災担当教員向けに行った地図を活用したワークショップの実践とその効果について報告する。参加者を対象に研修の前後に2種類のアンケートを実施し、研修効果を評価した。アンケートは、ハザードマップを観察して気づいた点などを自由に記述させるもの(ハザードマップ観察課題と呼ぶ)と学校防災で地図を活用できるかを問うものである。各評価の結果、ハザードマップ観察課題では、気づいたことに関する記述量が事後に増えており、アンケートでは、地形がわかると回答した参加者が増えた。ワークショップを体験することによって、参加者の地図理解力向上に有効に働きかけるということが示唆された。
  • 秋元 秋代司
    2020 年20 巻1 号 p. 37-46
    発行日: 2020/09/30
    公開日: 2025/07/16
    ジャーナル フリー
    小・中・高校どの学校でも実施されている校外行事を安全に実施するためには、過去の事故事例を検討することが有益であるといえる。そこで、校外行事11事例を6分類し、その内容をまとめた。さらに、これらの事例のうち過失判断がなされている民事判例7事例について、過失の要件である予見義務、結果回避義務を検討した。また、5事例については事故報告書等からも検討した。 これらの事例分析によれば、予見義務については過去の事故事例の存在、安全に関する文献・現地調査等による情報の収集がその要素とされている。また結果回避義務については、児童生徒の危機対応能力と現場の危険性の程度に応じてその限界が示されている。 こうした事例分析で得られた安全に関する情報を校外行事を担当するスタッフが知ることにより、企画、実施に反映されてゆく。情報が組織で共有されることにより、組織の危機意識が醸成される。これはReason J.の「安全文化」の理論で示されている。したがって、校外行事の企画・実施にあたっては、ケース・スタディによりこうした安全に関する情報を共有・検討し、活かして行くこと、そしてこの活動を組織として継続して行くことが大切である。
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