安全教育学研究
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18 巻, 2 号
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  • ― チーム学校(指導主事、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー)による緊急支援に焦点をあてて ―
    松浦 正一, 石隈 利紀
    2019 年18 巻2 号 p. 1-18
    発行日: 2019/12/26
    公開日: 2025/08/08
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は、学校危機における安全教育の担い手である援助職(指導主事、スクールカウンセラー(以下、SC)、スクールソーシャルワーカー(以下、SSW))が行う緊急支援の内容(三者共通の支援内容、それぞれの支援内容や役割分担)について明らかにすることを目的とする。学校における安全教育と危機管理を一体的に行うのはチーム学校である。チーム学校の意味は学校の中のチーム(校長、教職員、専門スタッフなど)の連携と、学校・家庭・地域の三者の連携を意味している。今回は緊急支援ではあるが、チームというときには外から来る緊急支援チームの支援者、つまり外から来る指導主事、SC、SSWに焦点を当てて調査を行った。 調査はA市の緊急支援の研修を受講した129人の援助職(指導主事、SC、SSW)に対して質問紙調査を実施した。調査内容は職種や学校危機における緊急支援の経験回数、緊急支援で行ってきた支援内容と行った支援内容が効果的であったかどうかについてであった。そして緊急支援の経験がある指導主事10名、SC49名、SSW12名の回答を分析対象とした。その結果、緊急支援における指導主事、SC、SSWの役割や支援内容の特徴や緊急支援の基盤となる支援内容が明らかになった。指導主事の主たる役割はコーディネーション、SCは心理教育、SSWは環境への働きかけであることが示された。緊急支援における基盤となる支援は、学校危機に関する情報の収集と共有を通したアセスメントや心身の健康や安全の配慮を要する児童生徒の把握を行い、それを教師へのコンサルテーションに役立てるという一連の流れであることが明らかになった。そして、緊急支援における支援内容の特徴や基盤となる支援内容に基づいて研修プログラムを開発していくことが学校に対する安全教育を促進すると考える。さいごに本研究の結果と考察に基づいて学校安全に関わる緊急支援における研修プログラムを提案した。 また、本研究では3職種が今後、外部と学校内部の緊急支援チームが連携を行うためにも学校現場向けの緊急支援研修プログラムの開発などが今後の課題となった。
  • ― 小学3年生を対象とした社会的情報処理過程に基づく調査から ―
    畠山 美穂
    2019 年18 巻2 号 p. 19-28
    発行日: 2019/12/26
    公開日: 2025/08/08
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は、小学3年生の危険回避行動に関わる社会的情報処理過程を明らかにすることである。調査では、社会的情報処理に基づく質問紙を作成し、小学3年生(59名)を対象に「知っている人(既知人物)」や「知らない人(未知人物)」に誘われる場合と、自分の欲求と誘ってきた相手の欲求の方向性が「一致する場合」と「一致しない場合」について、社会的情報処理過程を検討した。その結果、未知人物の意図は敵意(嘘を言って誘拐しようとしている等)によるものと解釈しやすい一方で、既知人物に誘われる場面においては、相手の意図を敵意によると解釈した児童の人数と、親切によると解釈した児童の人数に違いは見られなかった。さらに、自分の欲求と相手の欲求が一致しているかどうかにかかわらず、相手の意図を敵意と解釈することが示された。また、多くの児童が、「未知・既知」条件、あるいは「一致・不一致」条件のいずれにおいても回避行動をとると回答していたが、3ケースで「ついて行く」という回答もみられた。このケースに関しては、全て相手の意図を好意的に解釈していたことから、相手の意図の解釈が危険回避行動と関係する可能性があることが示唆された。
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