安全教育学研究
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  • ― 教職大学院生と養護教諭養成課程の学生を対象に ―
    大谷 ひかり, 津島 愛子, 松枝 睦美, 中吉 千施子
    2025 年25 巻1 号 p. 3-13
    発行日: 2025/09/30
    公開日: 2025/10/14
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は、組織的な学校安全を推進できる人材を育成するため、教員養成段階における吐物処理研修の影響を検証し、その推進および改善に向けた知見を得ることである。国立大学教育学部学生23名および教職大学院新卒学生20名を分析対象として吐物処理研修を実施した。研修後には、吐物処理研修に関する意義が高まり、不安を感じる役割が減少し、自己評価も向上した。このことから、教員養成段階で吐物処理を学ぶ機会を提供することが、学校安全の意識を高め、学校全体での組織的な対応につながることが示唆された。
  • 山崎 雅史
    2025 年25 巻1 号 p. 15-25
    発行日: 2025/09/30
    公開日: 2025/10/14
    ジャーナル フリー
    小学校における学校の管理下の災害発生件数で最も多いのは体育の時間である。体育の時間は休み時間と異なり、教師主導のもと授業が展開されることから、教師の体育授業における安全に関する正しい知識と事故の未然防止への意識次第で、災害発生件数を減少させることができるのでないか。そこで、本研究では、小学校体育授業における教師の安全に対する意識調査を行い、教師の安全意識の実態を把握するとともに、災害の未然防止に役立てるための資料を提供することを目的とした。
    小学校で体育の授業経験のある教員に「運動様式に関する安全配慮(7項目)」「環境に関する安全配慮(6項目)」「児童及び教師自身に内在する要因に関する安全配慮(12項目)」「緊急時対応に関する安全配慮(6項目)」「運動領域別の安全配慮(12項目)」の全43項目についてweb上での質問紙調査に回答をしてもらった。分析対象者は、初任期(5年未満)17名、中堅期(5年以上15年未満)73名、ベテラン期(15年以上)178名の計268名であった。これら3群のデータに対して一元配置分散分析を行い、有意差が認められた場合には、Bonferroni補正を適用した対応のないt検定による多重比較検定を行った。有意水準は5%未満とした。
    結果、初任期と中堅期、初任期とベテラン期において20の質問項目で有意差が認められた。しかし、中堅期とベテラン期との間には、全ての質問項目で有意差は認められなかった。このことから、体育授業における安全意識は、中堅期、ベテラン期に比べ初任期は低く、教員経験年数を重ねることで、向上していくことが示唆された。また、学生の頃の学ぶ機会についてもいずれの群も2点台と低くなっていたことから、教員養成段階での学ぶ機会の充実が必要である。その時期から教員経験5年目程度を目安に安全配慮について具体的に学ぶ機会を設定することが、小学校体育における安全意識を高めるために有効であると考えられる。
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