環境化学
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4 巻, 4 号
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  • Keigo KUCHIDA, Katsumi TAMAKAWA, Shinji SATO, Megumi CHIBA, Hitoshi OH ...
    1994 年 4 巻 4 号 p. 791-796
    発行日: 1994/12/10
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    A statistical analysis was carried out to evaluate the relationship between NO2 concentration and traffic density. Environmental monitoring NO2 concentration data were obtained by diffusive sampler method between April, 1989 and March, 1993 at 22 monitoring site in Sendai City.
    The average monthly NO2 concentration at all the sites ranged from 14.4 ppb to 38.9 ppb (mean, 27.2 ppb) . The annual distribution of monthly adjusted treatment means for NO2 concentration formed a V-shaped curve, with the lowest value observed in August and the highest in March. The pattern of monthly change of NO2 concentration in Sendai City was similar to that reported for areas with high atmospheric NO2 concentration. Analysis of covariance revealed the greatest effect for traffic density. The partial regression coefficient for traffic density was 2.2×10-4 (ppb/vehicle), indicating that an increase of NO2 concentration on the order of 2.2 ppb could be predicted for every traffic density increase of 10, 000 vehicles. The partial regression coefficient for distance to the road was -0.1 ppb/m. Partial regression coefficient for measurement year was significant and showed positive value (0.32 ppb/year) . However, the magnitude of annual increase (1.2%) is low. About 63% of the total observed variance could be accounted for by the mathematical model used in this study.
  • 川越 保徳, 福永 勲
    1994 年 4 巻 4 号 p. 797-804
    発行日: 1994/12/10
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    大阪湾北港に造成された海面廃棄物埋立処分地の浸出余水及びその周辺海水を試料として, リン酸トリエステル類濃度を測定し, 知見を得た。一般廃棄物及びその焼却残滓の埋立区における浸出余水中より, 周辺海水の10~100倍に相当する濃度のリン酸トリエステルが検出され, 埋立物中に溶出源の存在が推察された。リン酸トリエステルの中では, TCEPが最も高い濃度レベルで検出されており, 0.4~30μg/lであった。その他は, TCPP, TEP, TBXP等が検出された。一方, 浚渫土砂及び陸上土砂埋立区の浸出余水では, 顕著な濃度で見られたリン酸トリエステルは無かった。浸出余水の様な極度な嫌気・還元状態では, リン酸トリエステル類の生分解は困難であることが推察された他, 比較的短時間の曝気処理では分解に対する効果は小さいことが分かった。浸出余水中のリン酸トリエステル類の濃度パターンは, 周辺外海水とは異なっており, 処分地浸出余水に特徴的である可能性が示唆された。一方, 周辺外海水については, その濃度パターンから, 処分地の近くにその河口がある淀川の影響を受けていると考えられた。
  • ―大気汚染常時監視測定局の環境調査データを用いた統計解析―
    口田 圭吾, 玉川 勝美, 千葉 恵, 佐藤 慎二, 加藤 丈夫, 小場 正彦
    1994 年 4 巻 4 号 p. 805-811
    発行日: 1994/12/10
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    大気汚染常時監視測定局の観測データを統計的手法により解析することで, SPMが高濃度となる原因の推定を試みた。データは1992年度に仙台市内6測定局で測定された1時間値 (データ数52, 560) を用いた。
    仙台市におけるこれら6測定局の年平均値は0.030mg/m3と全国平均 (0.038mg/m3) とほぼ同程度であることが認められた。高濃度日の分散分析結果により, 測定局間の変動が大きいことが示された。通年においては気温の影響が大きかったが, 高濃度日においてはそれらの影響はそれほど認められなかった。通年および高濃度日においてそれぞれのモデルにより算出された各気象条件と各汚染物質の偏回帰係数から, 風速が小さくなることでSPM濃度が高くなること, 気温とSPM濃度には正の関係があること, また, 鉛直気温差が大きくなることによりSPM濃度が高くなる傾向が認められた。また, 他の汚染物質を考慮した高濃度日の結果を見ると, それらを考慮しないモデルに比較し, NOおよびNO2の効果が顕著となった。このことは, 本市におけるSPMの変動に, 窒素酸化物が大きな影響を与えていることを示唆している。
  • 峯木 茂, 杉田 和俊, 後藤 純雄, 渡辺 征夫, 溝口 次夫, 石井 忠浩, 飯田 貢
    1994 年 4 巻 4 号 p. 813-818
    発行日: 1994/12/10
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    土壌よりピレンを資化するグラム陽性桿菌H2-5株を単離し, 土壌中にPAH類を分解する微生物が存在する事を示した。本菌は抗酸性染色陽性で, 生育の最適温度は34.3℃, 上限温度は45℃付近であった。TSB培地で生育したH2-5株は菌体 (乾燥重量) 濃度45μg/mlで低濃度 (1.3μg/ml) のピレンを12時間の処理で90%分解し, 同濃度のBaP, BaA, およびBghiPを3日間の処理で, それぞれ60%, 25%, および8%分解した。また, 高濃度 (26.7μ9/ml) のPAHでは, TSB培地で生育したH2-5株は菌体濃度226μg/mlでピレンを11日の処理で80%以上分解し, BaP, BaA, およびBghiPを同様の処理で, それぞれ80%以上, 40%, および30%分解した。ピレン-無機液体培地で生育した, 混在菌を含むH2菌 (菌体濃度5.4μg/ml) による高濃度のピレンの処理では, 上記TSB培地で生育したH2-5株に比べ, 初期の分解速度は高かったが, 後期では遅くなり, 11日目の分解率に差はみられなかった。
  • 宮田 秀明, 青笹 治, 間瀬 由香里, 太田 壮一
    1994 年 4 巻 4 号 p. 819-829
    発行日: 1994/12/10
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    スペルコ製SPB-5キャピラリーカラム・GC/MS分析により, わが国のPCBs製品であるカネクロール300, 400, 500および600の等量混合物中に, 103種のPCBピーク成分を同定し, それぞれの重量比を求めた。
    この結果に基づいて, カネクロール製品等量混合物を標準品としたSPB-5キャピラリーカラム・GCクロマトグラム上に認められる78ピークのPCBs成分を分別定量することが可能である。
    魚および人脂肪組織4検体について検討した結果, 本法による総PCBs濃度は, 普及しているOV-1充填カラム・ECD-GC数値化法による値と近似していた。充填カラム法に対する本法の総PCBs濃度の比は0.85~1.17, 平均0.96であった。一方, 本法とGC/MS分析を併用することにより, 103種のPCBs成分の分別定量が可能である (Tabe3参照) 。
  • 桂 英二, 小川 広, 小島 弘幸, 矢野 昭起, 金島 弘恭
    1994 年 4 巻 4 号 p. 831-840
    発行日: 1994/12/10
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    ゴルフ場において雪腐病防除のために使用されている殺菌剤オキシン銅およびトルクロホスメチルの流出状況について調査した。いずれの農薬も降雨後にゴルフ場排出水から検出されたが, オキシン銅は短期間で検出されなくなった。一方, トルクロホスメチルは翌年4月まで, 長期間にわたって検出された。模擬グリーンにおける流出試験では, オキシン銅は浸透水中から検出されず, トルクロホスメチルは低濃度であった。また, 前年度に試験を行ったイソプロチオランおよびフルトラニルが浸透水中から検出された。模擬フェアウェイにおける流出試験では, 4種類の農薬いずれも表流水中から検出されたが, 散水を繰り返すことによりオキシン銅濃度は急速に減少した。
  • 後藤 純雄, 望月 宏明, 遠藤 治, 大久保 忠利, 溝口 次夫, 峯木 茂, 手塚 美彦, 石井 忠浩, 小田 美光
    1994 年 4 巻 4 号 p. 841-849
    発行日: 1994/12/10
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    ガス状癌・変異原性物質に関する研究の一環として, ガス曝露 (バブリング) 法によるタバコ主流煙及び副流煙中のガス状成分の変異原性簡易測定法を検討した。この検討には, Salmonella typhimurium OY413及びTA1535/pSK1002によるumu試験を用いた。また, umu試験から得られた酵素活性の試験菌株の生存率による補正についても過酸化水素を用いて検討を加えた。その結果, 過酸化水素及びタバコ煙中のガス状成分の変異原性測定には通常のumu試験で用いられる600nmの吸光度測定による酵素活性補正よりも平板塗布法による補正の方が正確な変異原性を求め得ることを認めた。インピンジャー6本を直列に接続することによりタバコ煙中のガス状成分の変異原性測定が可能となることも認められた。また, 主流煙及び副流煙共その中に含まれる粒子状成分の方がガス状成分よりも高い変異原性を与えることも認められた。
  • 林 淑賢, 松田 宗明, 脇本 忠明, 閔 丙允
    1994 年 4 巻 4 号 p. 851-855
    発行日: 1994/12/10
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    韓国, 馬山湾から表層底質とコア試料を採取してPCBsの分析を行った。1NKOH/EtOH分解, n-ヘキサン抽出, 硫酸処理およびシリカゲルとフロリジルカラム処理によって試料中のPCBs精製を行った。PCBsはキャピラリーカラムGC-ECDを用いて定量した。表層底質試料中のPCBs濃度は8~210ng/g, 平均濃度は63ng/gであった。一方, コア試料の分析結果, 韓国内でのPCBsの使用時期は1950年頃からであると推定した。
  • 全 浩, 黄 業茹, 西川 雅高, 相馬 光之, 森田 昌敏, 坂本 和彦, 岩坂 泰信, 溝口 次夫
    1994 年 4 巻 4 号 p. 857-861
    発行日: 1994/12/10
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    1993年5月6日に西安市で採取した砂塵嵐粒子は, 甘粛省の砂漠地帯から風送されてきたものである。西安市の表層土と比較すると, アルミニウムに対するアルカリ系元素濃度の割合が小さかった。特にカルシウムの化学的風化作用による溶脱が大きいと推定された。光電子分光法により調べた結果, 砂塵嵐試料, 黄土, 黄砂エアロゾルのいずれの試料においても, イオウが硫酸塩状態で含まれていること, そして粒子表面に集積していることが判った。
  • Hao QUAN, Yeru HUANG, Masataka NISHIKAWA, Masatoshi MORITA
    1994 年 4 巻 4 号 p. 863-869
    発行日: 1994/12/10
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    Five original Kosa soils, collected in the locations of being thought to be the origins of Kosa aerosol in China, were analyzed by inductively coupled plasma mass spectrometry (ICP-MS) to determine the lead isotope ratios207Pb: 206Pb and 208Pb: 206Pb. To minimize mass bias and drift in Pb isotope measurement, the mass discrimination correction, based upon the addition of thallium to the samples and measurement of 205Tl: 203Tl ratio, was used. At the same time, concentrations of 12 elements were determined as a function of particle-size by ICP-MS and inductively cou-pled plasma atomic emission spectrometry (ICP-AES) .
  • (一次排出と二次生成)
    根津 豊彦, 坂本 和彦
    1994 年 4 巻 4 号 p. 871-880
    発行日: 1994/12/10
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    大気中のジカルボン酸の挙動とその起源を調べるために, 国設大気測定網8地点において毎月1回ハイボリウムエアサンプラで採取した大気浮遊粉塵試料についてコハク酸, グルタル酸, アジピン酸, 炭素成分, 硝酸イオンおよび硫酸イオンの測定を行った。用いた試料は1991年4月より1992年3月の問に採取されてものである。ジカルボン酸の定量には著者らが開発した熱分解一メチル化GC法を用いた。本法は捕集した試料ろ紙を直接GCに導入する方法であり, 従来法に比べて操作が簡単でありかつ分析に必要な試料も僅かですむという特徴を持っている。ジカルボン酸の濃度は各測定局ともコハク酸が最も高く次いでグルタル酸, アジピン酸の順となっていた。各測定局におけるコハク酸, グルタル酸及びアジピン酸の年平均濃度はそれぞれ0.063~0.19, 0.019~0.056, 0.007~0.033μg/m3であり, 都市部ほど濃度が高くなる傾向を示した。
    [OC] / [EC] , [ジカルボン酸] / [EC] と都市規模の関係を分析した結果から, 清浄地域ほど二次生成粒子の影響を大きく受けると推定された。しかし, 移動発生源の影響を大きく受けると考えられる大都市・工業都市のジカルボン酸濃度とEC, NO-3との相関分析の結果から, 大気中に存在しているジカルボン酸は自動車からの一次排出の影響を受けていることが推定された。よってジカルボン酸の二次生成粒子の指標性について検討を行う際には, 従来ほとんど行われていなかった一次排出源についての検討も併せて行う必要があると考えられた。
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