大日本耳鼻咽喉科會會報

黴毒性喉頭軟骨膜炎ノ一例

サルバルサン注射全治

吉井丑三郎

1912 年 18 巻 4 号 p. 385-390
発行日: 1912年
公開日: 2008/03/19

DOIhttps://doi.org/10.3950/jibiinkoka1897.18.4_385

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即本疾患ハ音聲嗄嘶、咳嗽及ビ程度ノ呼吸障害ヲ以テ初マリ、疼痛發熱ナク又嚥下障害ヲ來サザリシモノナリ、而シテ諸症状ハ其進行極テ緩慢ニシテ或ル一期間ハ全ク靜止ノ状態ニアリシモ、後病變ノ進行急速トナリ、呼吸困難ノ増進ハ遂ニ氣管切開ヲ餘儀ナクセシムル程度トナリ、加之疼痛嚥下痛ヲ伴フニ至リタルモノニシテ翻リテ之ノ全經過ヲ通覽シ其状態ヲ追究スルニ
初メハ輕度ノ護謨腫ノ發生假聲帶及ビ聲帶ニ在リタル者ナルベシ、而メ該腫瘍ハ極メテ徐々ニ増大シ少シモ潰瘍ヲ形成スルコトナク、寧ロ所謂擴在性護謨腫性浸潤ヲ深部ニ作リ而メ後或ル時期ニ軟骨膜ヲ犯シ、披裂軟骨、環状軟骨、甲状軟骨内面ニ亘ル軟骨膜炎ヲ招致シタル者ナリ、即チ急激ニ増惡セル呼吸困難、嚥下障害等ハ之ノ時期ニ發生シタル者ニメ、呼吸困難ハ聲帶下室ニ於ケル膨隆其主因ヲナセリ。然レドモ未ダ軟骨膜周圍膿瘍ニ形成スルニ至ラザリシヲ以テ本症ニ對シ施行シタル驅黴療法「サルバルサン」ノ靜脈内注入ハ其奏功著シク、良好ナル經過ヲ取ラシメ、何等ノ障害ヲ殘スコトナク治癒シタル者ナリ。
抑喉頭疾患ニ際シ、喉頭鏡檢査ヲ行ナヒ内部ノ像ヲ見テ之レヲ確定スルコトハ必スシモ常ニ容易ナルモノニアラズ、特ニ慢性炎症及ビ惡性腫瘍ノ場合ニ於テ然リトス、余ガ之所ニ記載シタル一例ニシテモシ幾分タリトモ實地上稗補スル所アラバ望外ノ幸幅ナリ

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上氣道結核ノ統計

原田三杉, 山口靜雄

1912 年 18 巻 4 号 p. 390-399
発行日: 1912年
公開日: 2008/03/19

DOIhttps://doi.org/10.3950/jibiinkoka1897.18.4_390

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高温ノ下ニ斃死シタル「モルモツト」聽器ノ顯微鏡的處見

中田弓吉

1912 年 18 巻 4 号 p. 400-404
発行日: 1912年
公開日: 2008/03/19

DOIhttps://doi.org/10.3950/jibiinkoka1897.18.4_400

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高橋式耳鏡

高橋晴三郎

1912 年 18 巻 4 号 p. 404-408
発行日: 1912年
公開日: 2008/03/19

DOIhttps://doi.org/10.3950/jibiinkoka1897.18.4_404

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一壼腹櫛ノ造構並ニ官能ニ就テ

ボウシァム, 凸凹山人

1912 年 18 巻 4 号 p. 409-424
発行日: 1912年
公開日: 2008/03/19

DOIhttps://doi.org/10.3950/jibiinkoka1897.18.4_409

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(一)壼腹櫛毛細胞ノ刺戟状態ハ隆起纎毛ト殼斗トノ共働(interaktion)ニ由リテ誘導セラル。
(二)殼斗ト纎毛トノ共働ハ其ノ淵源ヲ内淋巴流ノ殼斗側ニ對スル波濤ニ發ス。
(三)殼斗ハ櫛上ニ固定セル帽ナリ。ブロイヱル氏ガ認定スルガ如ク動性造構ナラズ。
(四)内淋巴ノ流向ニ從テ半規管コ於ケル一定ノ毛細胞群ノ刺戟状態ヲ見ル流向ニテ毛細胞群ヲ異ニス。
(五)櫛ノ一側ナル毛細胞ハ反對側ノモノニ比シテ過敏ナリ是レ反應ハ一定方向ニ流ルヽ内淋巴流ニテ發シ。反對側ニ向フ内淋巴流ニ因スルモノヨリ大レバナリ。
(六)水平半規管ニ於テハ櫛ノ半規管側ナル毛細胞過敏ナリ兩側垂直半規管ニ於テハ前庭側ナルモノ過敏ナリトス。
(七)總テ三半規管ニ於テ諸櫛ノ過敏ナル側方ニ在ル毛細胞ハ即チ同時ニ内淋巴流ニ當ルトコロナリ。而シテ予ノ經驗ニ由レバ同側ヘ向フ眼球震盪ヲ惹起ス。
(八)之ニ反シテ過敏ナラザル側方ノ櫛毛細胞ハ斯種ノ内淋巴流ニ由リ刺戟状態トナレバ反對側ニ向フ眼球震盪ヲ起スシ。
(九)故ニ一側迷路ノ毛細胞總テ廣汎性刺戟状態トナレバ同側ヘ向フ眼球震盪現ハル。
(十)迷路ヨリハ張力衝動ノ定流出ヅソノ衝動ハ諸櫛ノ毛細胞ヨリ原發ス。其ノ結果ハ心音ト同時性ノ膊動ガ迷路水ニ傳ハルナリ。コノ膊動ハ迷路内壓ノ上昇ト下降トナリ。マタ内淋巴ノ左往右往トナル。而シテ過不及アレバ内淋巴道及ビ前庭導水管ニ由リテ調節セラル。
(十一)過敏ナル毛細胞ヨリハ強キ衝動發ス。故ニ張力衝動ハ何レノ迷路ヨリ發スルモ他側迷路ヨリノ衝動ニテ抑制セラレザレバ同側ヘ向フ眼球震盪ヲ起スベシ。若シ一側迷路ノ張力衝動ガ積極電流ニテ抑壓セラルヽカ或ハ一側迷路ノ突然破壞セラルヽ時ハ事情異リ。
(十二)一側迷路ヨリ發スル衝動ハ消極電流ニテ助勢セラレマタ迷路内壓ヲ亢進スル。總テノ機轉ニテ助勢セラル。迷路充血ハ急性中耳炎ノ結果ニテモ起ル。マタ迷路瘻管ノ場モ肉芽ノ瘻口ニ生ジ中耳炎ノ急性再燃ヲ促シ充血ヲ惹起スル時モ然リ。總テ斯ル場合ニハ張力衝動ノ強盛トナリ。
通常同側ヘ向フ眼球震盪ヲ見ル。
(十三)眼球震盪中樞ガ半規管ノ内淋巴逆流ノ爲メ刺戟セラレ或ハ抑制セラルトノ説ハ信ジ難シ。前庭刺戟ト連ル現象ハ總テ此等ノ假説ナクモ容易ニ理解セラル。
(十四)迷路瘻管ノ一例ニ於テ證明シタルガ如ク眼球震盪ノ持續ハ内淋巴流ノ持續ニ一致セリ。
(十五)此ノ事實ハブロイヱル氏ノ殼斗推移説ニモ反シバラニイ氏ノ眼球震盪中樞張力貯藏説ニモ一致スルコトナシ
(十六)廻轉時眼球震盪及ビ後震盪ノ持續モ亦内淋巴流ノ持續ニ一致セリ。
(十七)内淋巴流ノ持續ハ半規管ナル内淋巴ノ惰性ニ由ルノミナラズ。マタ廻轉ノ爲メ生ズル橢圓嚢内淋巴、外淋巴及ビ前庭内淋巴等ノ理學的反應ニモ由ルナリ。
(十八)廻轉囘後ノ極限反應及ビ後々震盪ノ現象ハ末梢器關ノ能力ノ差異ヲ以テ説明スベシ。而シテコノ能カノ差異ハ先ヅ第一ニ過刺戟ニ因スル疲勞ニテ起ル。

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二聽感鳴共説

ウェエツマンエールリッヒ, 原田三杉

1912 年 18 巻 4 号 p. 424-441
発行日: 1912年
公開日: 2008/03/19

DOIhttps://doi.org/10.3950/jibiinkoka1897.18.4_424

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