大日本耳鼻咽喉科會會報

細菌ニ因スル中耳炎ノ實驗的研究補遺

「インフルヱンザ」耳炎ヨリ分離シタル一種ノ雙球菌ニ於ケル實驗的研究

脇田政孝

1921 年 27 巻 5 号 p. 439-459
発行日: 1921年
公開日: 2008/03/19

DOIhttps://doi.org/10.3950/jibiinkoka1897.27.5_439

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以上記述シタル所ヲ總括シテ結論ヲ下スコト次ノ如シ。
一、本菌ハ「モルモット」ノ中耳腔ニアリテ其炎症ヲ惹起シ得ルモノナリ。
二、本菌ニ因ル動物ノ中耳炎ハ多ク化膿性ニシテ既ニ七日ヲ經タルモノニハ肉芽發生著シク、且ツ早期ヨリ骨質ノ破壞ト及其新生トノ兩機轉ヲ現ハスヲ特有ナリトス。
三、本菌ニ因ル中耳ノ炎症ハ細菌ヲ注入シテ後凡一週乃至二週ニシテ最モ其度強キガ如シ。
四、本菌ニ因ル中耳炎ニハ鼓膜ハ炎性浸潤ヲ呈シ、終ニ岬粘膜ト癒著スルニ至ル而シテ破壞穿孔ノ傾ハ却テ尠少ナルガ如シ。
五、本實驗ニ於テ鼓膜實質内ニ軟骨組織ノ新生セルモノ二例ヲ認メタリ。
六、本菌ニ因ル急性中耳炎ハ早期ニ於テ既ニ副胞内ニ著シク蔓延シ、茲ヨリ更ニ腦膜ノ炎症ヲ誘起スルノ傾向ヲ有ス。
七、本菌性中耳炎ハ亦軟部閉鎖器及蝸牛ノ尖端等ヲ侵シ爲ニ反應性内耳炎ヲ惹起シ易シ、然レドモ顏面神經ハ全ク侵サレズ。
八、而シテ内耳ノ炎症ハ凡テ漿液性炎ニシテ前庭器ヲ侵スコト稀ニシテ又蝸牛ニアリテモ汎ク蔓延スルノ性質ニ乏シク唯基底若クハ尖端ニ之ヲ認ム。
九、要スルニ敍上ノ所見ヨリ推測スルトキハ本菌性中耳炎ニ於ケル臨牀上強度ナル難聽、持續性耳鳴及頑固ナル頭痛等ガ其主徴候タル所以ヲ知ルハ極メテ容易ナリトス、而シテ其治療法ニ就テハ可成的早ク鼓膜穿開術ヲ行ヒ以テ鼓室腔ヨリノ排膿ニ努メ且ツ若シ肉芽形成ノ傾向アルカ或ハ經過ノ長クシテ却テ増惡ノ徴アルトキハ躊躇スルコトナク中耳穿開ヲ行ヒ是ニ由ツテ内耳ノ病變及腦膜其他ノ合併症ヲ豫防スルコトニ努メザル可ラザルナリ。

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機關車乘務員ノ耳鼻咽喉科領域疾病ニ關スル統計的觀察(第一囘報告)

岡島壽

1921 年 27 巻 5 号 p. 460-486
発行日: 1921年
公開日: 2008/03/19

DOIhttps://doi.org/10.3950/jibiinkoka1897.27.5_460

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以上檢査人員未ダ少數ナルト我國ニテハ機關車乘務員ノ職業ト相類似スル職業ニ就テ我耳鼻咽喉科領域ノ疾病調査ノ報告サレタルモノヲ余、不省ニシテ文獻ニ見出スヲ得ズ、從ツテ他ノ職業ト比較論評スル事ヲ得ザルハ甚ダ遺憾ナルモ、余ハ少クトモ、余ノ調査セル成績ニヨリテ次ノ諸點ヲ擧ゲ得、内第四ノ受持乘務區域ニヨル比較成績ハ被檢査者ガ、其同一乘務區域ヲ交代シ、終身固定セザルノ缺點アリト雖モ比較的此缺點少キ機關庫別ニ比較セバ一層有意義ノ成績ヲ得ルト信ズ、コハ今後ノ調査ニ待ッ可シ。
(一)機關車乘務員ハ上氣道ノ慢性疾患ヲ有ス、内主ナル疾患ハ慢性咽頭炎、慢性肥厚性鼻炎、慢性副鼻腔蓄膿症、慢性口蓋扁桃腺肥大症、腺樣増殖症、慢性喉咽頭炎ニシテ内慢性咽頭炎ハ大多數ニ之ヲ認ム。
(二)聽器疾患トシテハ中耳疾患多シ、内耳疾患ハ二例ニ見シノミ。
(三)勤務年數ノ増加ニ比例シテ各疾患ノ罹患率ノ増加ヲ認ム。
(四)受持乘務區域ニヨリ比較セバ概シテ關西線及ビ東海道線ニ從事スルモノニ疾病ヲ有スルモノ少ク入換作業、中央線、武豐線ニ勤務スルモノニ多キガ如シ。
終リニ余ハ余ノ調査ニ見ルガ如ク機關車乘務員ハ耳鼻咽喉科領域ノ慢性疾患ヲ有スル事ハ著明ナルヲ以ツテ彼等ニ乘務中「マスク」ヲ使用セシメ且ツ、含嗽藥ヲ携行セシメ時々含嗽ヲ執務ノ間行ハシメバ上氣道ノ疾病ヲ豫防シ得ルノミナラズ延テハ呼吸器疾患ヲ未然ニ防止シ得ルト信ズ、大方識者ノ御高教ヲ乞ハントスル所ナリ。

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副鼻腔内ニ發生セル癌腫ノ二例ニ就テ

森川政三

1921 年 27 巻 5 号 p. 487-517
発行日: 1921年
公開日: 2008/03/19

DOIhttps://doi.org/10.3950/jibiinkoka1897.27.5_487

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耳水癌

渡邊淡水

1921 年 27 巻 5 号 p. 518-527
発行日: 1921年
公開日: 2008/03/19

DOIhttps://doi.org/10.3950/jibiinkoka1897.27.5_518

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