これまで我々は,集光フェムト秒レーザー用いて,低過飽和溶液から強制的に結晶核を発生させることで,様々なタンパク質の高品質結晶作製に成功してきた.近年,詳細なメカニズムの解明を進め,光力学過程により集光点で発生するキャビテーションバブルが,局所的な溶質濃度上昇を引き起こすことを突き止めた.これにより本手法による核発生のメカニズムが,キャビテーションバブルという普遍的な物理現象に基づくものであることが明らかになり,本手法の有する広い汎用性が原理面から裏づけされた.本稿では,我々の本手法によるタンパク質結晶化事例とともに,メカニズム解明や手法の高度化における近年の成果を解説する.
抄録全体を表示