目的:われわれはランドマークを同定しそれを基準として眼窩下壁を硬性再建するThree Landmarks Procedure(TLP)を開発した。当初経眼窩と内視鏡下経鼻のコンバインドアプローチでTLPを施行していたが,術式の低侵襲化と人的コストの削減のために単独術者による経眼窩アプローチによるTLPを施行するに至った。本研究では経眼窩アプローチによるTLPをコンバインドアプローチと比較し,実際に術式の変更が目的に適っているかどうかを検討した。
方法:2017年10月から2024年12月までの期間で,旭川赤十字病院耳鼻咽喉科でTLPを施行した眼窩下壁骨折患者を対象とした。経眼窩群とコンバインド群の2群に分け治療成績について比較検討した。眼球運動については症状固定あるいは治癒に至った症例を比較した。
結果:経眼窩群は男性4人,女性2人,コンバインド群は男性12人,女性3人であった。手術時間は経眼窩群で101.5(95% confidence interval: 84–119)分,コンバインド群で183.2(162.9–203.5)分であり経眼窩群で有意に手術時間が短縮していた(p<0.001)。術後percentage of Hess area ratio(HAR%)は経眼窩群で99(95.8–102.2)であり,コンバインド群で98.1(96.7–99.5)であった。術後眼球陥凹は経眼窩群で0.0(0.0–0.0)mm,コンバインド群で0.1(−0.4–0.5)mmであった。
結論:経眼窩アプローチによるTLPはコンバインドアプローチに比較して低侵襲かつ手術時間の短縮を認め,単独術者で施行可能であり人的コストも削減可能であった。
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