日本鼻科学会会誌
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52 巻, 4 号
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追悼文
アレルギー性鼻炎に対する舌下免疫療法の実際と対応
原著
  • 青石 邦秀, 岡田 昌浩, 高橋 宏尚, 能田 淳平, 西田 直哉, 暁 清文
    2013 年 52 巻 4 号 p. 489-493
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/28
    ジャーナル フリー
    遺伝性出血性末梢血管拡張症(Hereditary Hemorrhagic Telangiectasia, HHT)は,全身の粘膜,皮膚,内臓,中枢神経などの血管奇形病態を呈する疾患である。HHTは反復性の重篤な鼻出血をきたす。
    鼻出血の程度は様々であるが,頻回の治療にも関わらず止血が困難であり,鼻出血を繰り返す症例も少なくない。今回,我々は,HHTの鼻出血に対し,放射線外照射が有効であった一例を経験したので,報告する。
    症例は81歳男性で,幼少のころから長期にわたり鼻出血を繰り返しており,当院受診以前にも,アルゴンプラズマ凝固装置による焼灼術を受けるなど,鼻出血に対して頻回の治療を施行されたが,止血が困難であった症例である。我々は本症例に対して,放射線外照射による加療を行うこととした。放射線外照射は1回2Gy,1週間に5日,5週間で計50Gyを途中中断することなく継続した。最終照射の2週間後には,鼻内のタンポンガーゼをフリーにしても鼻出血は起こらず,鼻粘膜の異常血管も消失していた。照射終了8カ月後の現在も鼻出血は見られていない。重篤な鼻出血をきたすHTTの症例に対して,放射線外照射は有効な治療法と思われた。
  • 浦長瀬 昌宏, 川村 順子, 丹生 健一
    2013 年 52 巻 4 号 p. 494-498
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/28
    ジャーナル フリー
    重症例のアレルギー性鼻炎において薬物治療のみでは十分な改善が得られない場合,外科的治療が考慮される。これまで様々な術式が報告されているが,未だ標準的な術式の確立には至っていない。今回われわれは,粘膜下下鼻甲介骨切除とともに下鼻甲介粘膜下の後鼻神経と伴走血管を含む索状組織を切断切除する選択的後鼻神経切断術を実施し,その有用性を検討したので報告する。索状組織に含まれる後鼻神経は蝶口蓋孔の前下方で2つに分岐し,各分枝はさらに枝分かれをして下鼻甲介粘膜全体の鼻腺を支配する。本術式では,粘膜下に下鼻甲介骨を摘出した後,後鼻神経を含む索状組織の各分枝を内視鏡下に確認し,凝固後に切除した。本手術を施行した26症例に対し,術前術後の症状の評価を行ったところ,くしゃみ発作,鼻汁,鼻閉,日常生活の支障度は,術後1年経過した時点でも有意な改善が認められた。術後合併症はいずれも一過性で,重篤な術後出血は認めなかった。粘膜下下鼻甲介骨切除に併用して行う選択的後鼻神経切断術は,効果や安全性の面で有効な外科的治療であると考えられた。
  • 川島 佳代子, 菊守 寛, 玉城 晶子, 入船 盛弘, 松本 達始, 岩田 伸子, 荻野 敏
    2013 年 52 巻 4 号 p. 499-505
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/28
    ジャーナル フリー
    通年性のアレルギー性鼻炎と診断された患者を対象に,日本アレルギー性鼻炎標準QOL調査票(JRQLQ),アレルギー性鼻結膜炎QOL調査票日本語版(RQLQJ)の両質問票を実施し,両者を比較した。JRQLQ,RQLQJはすべての領域で有意な相関を示し,総JRQLQスコアと総RQLQJスコアでも同様であった。領域別では鼻症状が強い相関を示した。また両調査票の最も異なる点である睡眠の評価に関しても有意な相関関係がみられた。また通年性鼻炎で最も問題となる鼻閉について,睡眠,日常生活と検討した。鼻閉が増悪するにつれて睡眠,日常生活に支障を及ぼしていることがいずれの調査票も示唆された。RQLQJにおいて,以前Okudaらによって報告されている花粉症患者スコアと,今回の通年性鼻炎患者のスコアを比較したところ,通年性鼻炎患者は全般的に低い傾向がみられた。今回の検討より通年性鼻炎患者に対してもJRQLQとRQLQJは有意な相関がみられ,かつJRQLQは,RQLQJに比べ簡便で有用性も高く現状の把握に適していることが示唆された。
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