日本がん看護学会誌
Online ISSN : 2189-7565
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11 巻, 1 号
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記念講演
原著
  • 佐藤 まゆみ, 佐藤 禮子
    1997 年11 巻1 号 p. 36-48
    発行日: 1997年
    公開日: 2017/03/28
    ジャーナル フリー

    要 旨

    癌治療等のために手術により片眼球を喪失した患者10名に対して面接調査を行い,片眼球喪失患者の適応課題と課題克服に影響を及ぼす要因に関して,以下の分析結果を得た.

    1.片眼球喪失患者が,片眼球喪失に適応するためには,以下の2つの適応課題を克服する必要がある.

    ①顔や視機能の変化により生じる喪失感を克服する.

    ②顔や視機能の変化を補う新しい行動を獲得する.

    2.視機能の変化により生じる喪失感の克服には,視機能の変化を補う新しい行動を獲得し,身体を再統合する必要がある.

    3.顔の変化により生じる喪失感の克服には,変化した顔をありのままに受け入れ,義眼装用の顔についての他者の反応を肯定的に感じとることが必須である.

    4.視機能の変化を補う行動や義眼のケア行動といった新しい行動の獲得には,練習を繰り返すことが重要である.

    5.適応課題の克服には,以下の6つの要因が影響を及ぼす.即ち,①片眼球との決別のしかた,②障害者に対する考え,③顔の変形の程度,④職業,⑤ソーシャルサポート,⑥問題解決に利用できる知識である.

  • ―診断期から治療期における家族の思いの構造化―
    本田 彰子, 佐藤 禮子
    1997 年11 巻1 号 p. 49-58
    発行日: 1997年
    公開日: 2017/03/28
    ジャーナル フリー

    要 旨

    本研究の目的は診断期から治療期におけるがん患者の思いを構造的に明らかにし,家族への援助のあり方を検討することである.対象は病院に入院して積極的治療を受けているがん患者の家族である.発病から治療終了までの家族の経験やそれに対する思いを面接により聴取し,その逐語録を分析素材とし,質的分析を行った.

    11名の家族は全員女性で,妻,母,嫁,義妹であった.分析により5つの家族の思いのカテゴリーが見いだされた.家族ががんに罹患した事への思い,治療の厳しさへの思い,家族への思い,医療の助けへの思い,将来の見通しへの思いであった.

    さらに得られたカテゴリーを構造化し,カテゴリーの内容をほりさげて検討した結果,家族は,自分自身を介護者とみなしているが,情緒的身体的に診断,治療から大きな影響を受けており,病気のごく初期における家族への積極的介入の必要性が示唆された.

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