日本がん看護学会誌
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21 巻, 2 号
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原著
  • ―闘病者の生活調整に焦点をあてて―
    永松 有紀, 野本 ひさ
    2007 年 21 巻 2 号 p. 4-13
    発行日: 2007年
    公開日: 2017/02/01
    ジャーナル フリー

    要 旨

    本研究は,闘病生活を続ける肝がん患者の意識や行動を「闘病継続力」としてとらえ,査定する質問紙を開発し,その信頼性と妥当性を検討することを目的として行った.研究の第一段階として,Oremの理論と21名の肝がん患者を対象に半構成的面接法を用いて収集したデータをもとに,90項目からなる質問紙原案を作成した.第二段階として,質問紙の信頼性と妥当性を検討した.まず,質問紙原案を用いて肝がん患者15名を対象に表面妥当性の検討を行い,質問項目を46項目に修正した.次に,92名の肝がん患者を対象に修正した質問紙を用いて調査を行い,構成概念妥当性,内的整合性を検討した.因子分析を行い因子負荷量を吟味した結果,最終的に闘病継続力質問紙は【療養行動】,【支援に対する実感】,【医療への期待】,【意欲と信念】の4下位尺度25項目から構成された.質問紙全体のクロンバックのα係数は0.89であり,各下位尺度で0.68~0.85となり,内的整合性が確認された.以上の結果より,質問紙として一定の信頼性および妥当性が得られた.また,闘病継続力の特徴として,年齢や通院施設数により影響を受けることが明らかになった.今後さらに,本研究結果をふまえて質問紙を洗練していく必要がある.

  • 三浦 美奈子, 井上 智子
    2007 年 21 巻 2 号 p. 14-22
    発行日: 2007年
    公開日: 2017/02/01
    ジャーナル フリー

    要 旨

    本研究の目的は,食道がんに罹患し3領域リンパ節郭清を伴う食道切除再建術を受けた患者が,手術後の経口摂取開始時から退院後早期までの時期に直面する食の再獲得の困難を明らかにし,その過程を支えるために必要な看護支援について検討することである.胸部食道がんにより右開胸開腹胸部食道切除胸壁前胃管再建術を受け,経口摂取が開始された患者9名を対象とした.面接と参加観察によりデータを収集し,得られたデータを質的帰納的に分析した.

    分析の結果,食道がん術後患者の食の再獲得の困難を表すカテゴリーとして,【食べるまでに非常な労力を要する】【嚥下・消化・吸収のすべてに苦労する】【不快な症状の予測・対策・対応ができない】【不快な症状により生活に影響が生じる】【食べたいのに食べられない】など,9つが導き出された.そして,食の再獲得の困難の構造は,〔食の構え〕〔不快な症状の出現と予測の困難さ〕〔食がもたらす生活基盤の混乱〕〔食の喜びの喪失〕の4つの部分から構成された.これらのことから,食の再獲得を促すための看護支援として,症状アセスメントに基づいた看護ケア,自分らしい食の構築,新たな楽しみの獲得と人生の創造に向けたかかわりが重要であることが示唆された.

  • 森 恵子
    2007 年 21 巻 2 号 p. 23-31
    発行日: 2007年
    公開日: 2017/02/01
    ジャーナル フリー

    要 旨

    本研究の目的は,食道切除術に加え喉頭合併切除術を受けた食道がん患者の体験を明らかにし,患者に必要な看護援助のあり方を検討することである.

    疾患や治療について術前に医師から伝えられた内容,喉頭切除術の必要性を説明されたときの気持ち,手術を受けることを決めた要因,術後声が出ないことを自覚したときの気持ち,失声以外で日常生活を送るうえで困難と感じたことや,それに対する生活上の工夫などについて,半構成的質問紙を作成し,自由回答法による半構成的面接を実施した.面接時の主たる意思疎通方法は口話法としたが,喉頭切除術を受けている対象者であることから,筆談・ジェスチャーを併用し,対象者の語りの内容を研究者が復唱して確認し,筆記しながら面接を実施した.

    面接時に得られた全筆記内容について,内容分析の手法を参考にして分析した結果,食道切除術に加え喉頭合併切除術を受けた患者の体験として,【呼吸・感覚・食に関する煩わしい症状を抱え込む】【これまでどおりの方法では暮らせないことに困惑する】【言語を用いた意思表示・意思疎通ができないことへいらだち,悔しい思いをする】【他者に迷惑をかける存在と化した自分へ嫌悪を感じる】【“がん”ゆえに死への恐怖を払拭できない】【造設された気管口に平然としていられない】【同病者の体験を参考にして日常生活行動の一つひとつを自分流に工夫する】が得られた.

研究報告
その他
委員会報告
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