産学連携学
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9 巻, 1 号
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特集 イノベーションと産学官連携:多様な取り組み
  • 安浦 寛人
    2012 年 9 巻 1 号 p. 1_1-1_4
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/12/07
    ジャーナル フリー
    情報通信技術の急速な発展は,社会システムの構造に大きな変化をもたらすとともに,産業の構造も大きく変化させてきた.シーズ主導の技術積層型研究開発だけでは,イノベーションを引き起こすには不十分であり,長期的な社会ニーズを捉えた社会主導型研究開発が求められている.地方自治体も含めた産学官の連携による社会主導型研究開発の事例を紹介する.
  • 尾関 雄治
    2012 年 9 巻 1 号 p. 1_5-1_13
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/12/07
    ジャーナル フリー
    東レグループ(以下,東レと略)では,2002年以降,自前主義からの脱却を研究・開発方針に掲げ社外連携を進めている.特に最近は,「オープンイノベーションの推進」を主要課題に掲げ,重点的に取り組んでいる.その主な理由は研究・開発活動を強化することにあり,具体的には,より短期間,より低コストで,より高度な技術や商品を開発することにある.東レのオープンイノベーションへの取り組みは,1)技術研究組合やナショプロを活用した技術の育成・獲得,2)オープンイノベーション拠点によるサプライチェーン一体となった製品開発,3)グローバル拠点を活用した情報収集や連携,4)社外技術導入支援型プログラムを活用した技術の獲得,等からなる.本稿では,これらについて具体例,成果,課題,展望についてまとめる.
  • 進藤 秀夫
    2012 年 9 巻 1 号 p. 1_14-1_19
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/12/07
    ジャーナル フリー
    公的研究機関には大学とはまた異なる産学官連携の特徴が存在する.独立行政法人産業技術総合研究所は,橋渡しを旨とする「本格研究」を正面からミッションとして掲げる独法である.共同研究,知財供与,ベンチャー支援はもちろん,施設供用,人材育成,地域連携など,イノベーション推進への関わり方も多様であり,その活動規模も極めて大きい.しかし,産総研においても,さらなるイノベーション貢献のための課題も数多く存在する.研究テーマの設定の在り方,研究活動と施設供用や人材育成等他の産学連携活動との間の資源配分のバランス,関連する人材育成の必要性,研究軸とは異なる評価軸の設定の必要性など,いくつかの点につき紹介する.
連載 産学連携からの贈り物 第1回
  • 荒磯 恒久
    2012 年 9 巻 1 号 p. 1_19-1_26
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/12/07
    ジャーナル フリー
    16年間にわたる産学官連携活動から,それぞれのドメインの人々が集う自律的なネットワーク(人の輪)が産学官連携の諸活動にとって基本的な役割を担うものであることが明らかになった.このような人の輪からビジネスサイドの考え方と研究サイドの考え方を融合することができ,実効的なイノベーションフローとして「製品アイディア→研究開発→試作→市場開発→生産→販売」という機能の輪を想定することができる.産学官連携活動は地域社会に新たな人の輪と機能の輪をもたらしたと言える.
連載 産学連携への挑戦 第1回
  • 勤続の長い若手従事者の立場から
    内島 典子
    2012 年 9 巻 1 号 p. 1_27-1_34
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/12/07
    ジャーナル フリー
    大学から社会に足を踏み入れるとほぼ同時に産学官連携分野に身を置くようになった者は,若手と言われる層に属しながらも,産学官連携活動における比較的長い勤続による豊富な経験とそれを背景とする固有の目を持っている.筆者もその立場に身を置く者の一人である.産学官連携が社会の発展に対し果たす寄与の拡大,すなわち産学官連携活動水準の向上を目的とし,筆者の目から意識される本分野における三つの課題認識を示した.第一は,産学官連携分野における活動や実績を評価するための,本質的な指標に関する課題である.第二は,本分野の活動に就く従事者の年齢構成に関する課題である.そして,最後に,従事者の活躍を約束する啓発体系に関する課題である.それらは相互に関連しており,その解決は産学官連携関連諸活動の再認識,全従事者の業務の価値再認識と知識・スキルの向上をもたらす.また,本分野への若手従事者の参入促進と成長を通し,産学官連携そのものの強化につながるものと確信している.提起した課題に対する,全ステークホルダによる議論と将来に向けたビジョンの共有を期待する.
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