廃棄物資源循環学会論文誌
Online ISSN : 1883-5899
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21 巻, 2 号
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論文
  • 島岡 隆行, 小宮 哲平, 小宮 直子, 宮脇 健太郎, 花嶋 正孝
    2010 年 21 巻 2 号 p. 67-76
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/04/15
    ジャーナル フリー
    本研究では,セル工法の採用により埋立廃棄物が即日覆土で囲まれた「覆土膜構造」を有する廃棄物埋立地における水分移動現象を明らかにすることを目的に,覆土を施工した二次元大型埋立模型槽を用いて自然降雨による長期浸透実験および人工降雨による短期浸透実験を行った。また,不飽和浸透流解析により,覆土層の傾斜角度や配置が廃棄物埋立地の雨水浸透に及ぼす影響について検討した。
    セル工法で覆土を施工した場合,傾斜した覆土層が存在し,覆土層の下の廃棄物層へは雨水が浸透しにくく,廃棄物層内で水分移動の偏りが生じること,覆土層の傾斜角度が小さいほど雨水浸透の偏りが緩和されることが確認された。また,埋立廃棄物が成層していく場合,各層の覆土傾斜部の水平位置がずれることによって,雨水浸透の偏りが緩和されることが示唆された。
  • ――福岡県リサイクル製品認定制度を事例に――
    乙間 末廣, 久芳 望, 二渡 了
    2010 年 21 巻 2 号 p. 77-85
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/04/15
    ジャーナル フリー
    福岡県リサイクル製品認定制度を事例として,認定製品がもたらす廃棄物最終処分量および二酸化炭素排出量の低減効果を試算することによって認定制度の評価を行った。認定製品による廃棄物最終処分量は大きく,平成17(2005)年度の福岡県産業廃棄物最終処分量実績に匹敵するが,二酸化炭素排出低減量は少なかった。認定製品重量あたりの環境負荷低減効果を基に,認定品目は3グループに分けることができた。第1のグループは二酸化炭素排出量低減効果に秀でた群,第2は廃棄物最終処分量低減効果に秀でた群,その他はどちらの効果もそれほど大きくない第3群となった。廃棄物最終処分量と二酸化炭素排出量の両面において大きな低減効果が期待できる品目が未だ開発,認定されていなかった。試算したすべての品目について,いずれの効果においてもマイナスにならなかったことから,本制度が推進する建設資材のリサイクル政策が温暖化防止政策と対立しないことを確認した。
  • 辻本 浩子, 王 寧, 肴倉 宏史, 大迫 政浩
    2010 年 21 巻 2 号 p. 86-93
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/04/15
    ジャーナル フリー
    溶融飛灰中の重金属の溶出を抑制させる方法として,液体キレート剤を用いた薬剤処理法が主流であるが,処理飛灰中の金属キレート化合物の長期安定性が懸念されている。本研究では,溶融飛灰のみ埋立処分を行い埋立開始から8年経過した最終処分場を対象に,表層から深さ5mまでの飛灰試料を採取し,金属キレート化合物の存在量の変化および重金属の溶出特性について調査した。
    その結果,埋立後の試料では金属キレート化合物の存在量の減少はPbで著しく,処理直後の10%以下となった試料も確認され,埋立後に金属キレート化合物が分解した可能性が高いことが示された。しかし,溶出試験でのPbの溶出濃度および処分場浸出水の実測値はすべて0.031mg/L以下と極めて低かった。pH依存性試験を実施したところ,pH14の条件でも鉛の溶出率は全含有量の10%以下であり,キレート化合物から分解したPbは強アルカリ性でも溶出しにくい化学形態であると推測された。
  • 岡野 多門, 安本 幹, 安東 重樹
    2010 年 21 巻 2 号 p. 94-105
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/04/15
    ジャーナル フリー
    難分解性の海洋浮遊ごみの実態を漂着量から推測する適切な方法を開発するために,鳥取県の3海岸で2005年から2008年までに8回の堆積ごみ調査を行った。漂着物の種類は多く,砂浜上で不均一に分布しているため,範囲を500mとして定形物に限り,それを90種に分けて調べた。それらの排出分野を屋外民生,屋内民生,漁業,農業,医療に分類した結果,民生品が最多となった。しかし品目によって再流出や埋没による消失速度が異なるため,品目間の個数比から漂着個数比を推測することはできない。したがって漂着量の測定には漂着物を撤去する定期的なモニターが必須である。また迅速化のためには各排出分野を代表する数品目を選んでモニターすることが不可避である。また精度と効率を上げるために定義が明確で個数が多く見逃しの少ない品目の選択が重要で,水没や分解しやすい品目,および地域固有性の高い品目を選ぶと排出源に偏りを生むことに注意が必要である。
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