廃棄物資源循環学会論文誌
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23 巻, 5 号
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論文
  • 古根川 竜夫, 佐々木 清一, 荒井 克彦, 永長 幸雄
    2012 年 23 巻 5 号 p. 207-216
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/11/27
    [早期公開] 公開日: 2012/10/20
    ジャーナル フリー
    カーバイド滓を安定処理材として用いて有害重金属 (Cu, Sb, Cr, Pb, Cd, Zn) に汚染された土壌を不溶化処理し,その後溶出量試験を行って本方法の有効性を検証した。試験には,砂から粘性土までの広範囲の土試料を研究対象にした。SC処理は,風化の程度が大きく,かつ粘性土であるほど溶出量を低減できた。汚染土としては,焼却灰に加えてSbおよびCr(VI)に汚染された土壌についても調べ,SCによる重金属の不溶化の有効性を調べた。不溶化した土壌は,SC添加量および養生日数に比例して強度が増加し,盛土材強度qu=50kN/m2以上を得ることができた。処理後は,溶液中のpHが大きく変化して重金属が再溶出する可能性があることから,広いpH領域で溶出量試験を行い,カーバイド滓が重金属 (Sb, Cu) 汚染上の不溶化処理材として有効であることを確認した。
  • 角田 雄亮, 佐藤 貴宗, 菅野 元行, 平野 勝巳
    2012 年 23 巻 5 号 p. 217-223
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/11/27
    [早期公開] 公開日: 2012/10/11
    ジャーナル フリー
    廃プラスチックの油化は,一般的に脱塩素工程および熱分解 (油化) 工程により構成されている。しかし,近年ポリエチレンテレフタレート (PET) の排出割合が上昇しており,脱塩素工程においてPETの一部が熱分解し,ポリ塩化ビニルから脱離した塩化水素と反応して有機塩素化合物を生成するため,塩素が除去できないことが懸念される。また,油化工程において軽質油を凝縮させる際,配管閉塞物質が堆積することが問題となっている。そこで,触媒としてチタニアシリカ (TiO2/SiO2) を添加し,上記の有機塩素化合物から塩素を引き抜く効果,および配管閉塞物質の生成抑制効果について検討した。その結果,一定幅の細孔径を有し,高強度の酸点および酸量を多く有するTiO2/SiO2を添加することで有機塩素化合物から塩素を除去できることが判明した。さらに,油化工程においては配管閉塞物質の生成を抑制させる効果があることが判明した。
  • 大隅 省二郎, 坪田 潤, 津野 洋
    2012 年 23 巻 5 号 p. 224-231
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/11/27
    [早期公開] 公開日: 2012/10/20
    ジャーナル フリー
    家庭から回収される生ごみに含まれる種々の物質のうち,生ごみおよび紙をメタン発酵する際,メタン発酵の残渣を超高温可溶化した後に再度メタン発酵するシステムを想定し,連続高温メタン発酵混合液を超高温可溶化処理した後のバイオガス発生量を回分式試験により評価した。1日の可溶化で固形物CODcrのうち8~14%が溶解性CODcrとなり,回分式試験の結果から,生ごみで6.5m3/ton可溶化物,バイオウェイストで5.1m3/ton可溶化物,紙で3.5m3/ton可溶化物のバイオガスが得られることがわかった。乾式メタン発酵で想定される処理条件を前提とすると,超高温可溶化処理の追加により,生ごみおよびバイオウェイストで17%,紙で16%バイオガス発生量が増加することが示された。
  • 岡野 多門, 安東 重樹
    2012 年 23 巻 5 号 p. 232-239
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/11/27
    [早期公開] 公開日: 2012/10/20
    ジャーナル フリー
    鳥取県の8海岸で撤去を伴う漂着ごみ調査を7年間毎月行い,河口から調査地までの距離と,そこでの由来地別漂着量について分析した。河口近くでは日本ごみが多く,外国ごみは少ない。これは地元のごみを含む河川水が,海表面を河口から扇型に広がる表流水効果で説明できる。日本ごみの量は河口からの距離にほぼ反比例するので,地元ごみと遠方からの日本ごみの量を推算できる。千代川流域圏では日本ごみの半分近くが地元由来となり,それは地名情報を印刷した漂着宣伝ライターの地名割合と一致した。この地域の漂着ごみは長崎県から鳥取県までの範囲から来るが,千代川流域圏の人口は,その地域の約3%にすぎない。これは河口から流出した地元ごみが,その地域の沿岸域に滞留しやすいことを示す。ここで発見した浮遊ごみに対する表流水効果と沿岸域滞留現象は一般的と判断できるので,地元海岸の漂着ごみを減らすためには,地元からのごみの流出を防止することが最も重要である。
  • 志水 信弘, 鳥羽 峰樹, 池浦 太荘, 桜木 建治, 永瀬 誠, 大久保 彰人
    2012 年 23 巻 5 号 p. 240-249
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/11/27
    [早期公開] 公開日: 2012/10/20
    ジャーナル フリー
    ヘッドスペースGC/MS法による1,4-ジオキサンの分析方法の感度向上を目的とし,塩析剤として水酸化ナトリウムを用いる高感度な分析法を開発した。
    気相中の1,4-ジオキサン量は,塩析剤が水酸化ナトリウム3gの場合,塩化ナトリウム3gの場合と比較して9.3倍と大幅に増加した。そこで,試料水5mLに600g/Lの水酸化ナトリウム5mLとサロゲートを加えた後,ヘッドスペースGC/MS法により1,4-ジオキサンを測定した。本法の分析法の検出下限値は0.095~0.125μg/L,また分析法の定量下限値は0.244~0.322μg/Lであり,従来の方法と比較して感度が6倍以上向上した。また回収率は,どの設定濃度 (2, 5, 10μg/L) においてもほぼ100%であり,良好であった。本法による処分場浸出水等の1,4-ジオキサン測定値は,公定法による測定値とよく一致しており,その有効性が確かめられた。
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