廃棄物資源循環学会論文誌
Online ISSN : 1883-5899
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21 巻, 5 号
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論文
  • 平野 勝巳, 岩崎 晋久, 角田 雄亮, 菅野 元行
    2010 年 21 巻 5 号 p. 165-169
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/11/12
    ジャーナル フリー
    廃PETボトルは,リサイクル操作時の加熱によって分子量が低下するとともに強度も低下するため,バージンPET樹脂 (V-PET) を添加して分子量を保持しているが,これらの定量的な効果は明らかになっていない。そこで,V-PET添加によって分子量を調整したモデルを調製し,長繊維としての利用を想定してこれらの関係を検討した。その結果,骨格として作用する一定割合の高分子量PETを添加すると降伏応力は保持され,添加量を増加して一定の分子量を維持する必要がないことがわかった。一方,混在する低分子量PETが起点となって破断伸び率が低下するため,V-PET添加量を増加してもこれは維持できない。その対策として低分子量PETの分子鎖を擬似的に繋げるアイオノマー化は,破断伸び率の低下抑制に有効であることが明らかになった。
  • 水原 詞治, 占部 武生, 山口 明良, 前田 朋之
    2010 年 21 巻 5 号 p. 170-177
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/11/12
    ジャーナル フリー
    廃棄物溶融炉で用いられるクロム含有耐火物は優れた耐食性を示すが,その一方で,スラグとの反応により6価クロム化合物を生成する懸念がある。本研究では,Cr2O3粉末にCaO, SiO2, Al2O3粉末を混合し,加熱温度を変化させた加熱試験を行った。その結果,1,300~1,500℃で2時間加熱した後水冷した試料中に,XRD分析により6価クロム化合物であるCa4A16CrO16が検出された。これより,1,300℃以上の高温域では,CaCrO4がAl2O3により安定化されていることが示唆された。また,この化合物には溶出性があることがわかった。回転侵食試験で得られた水冷スラグ断面のEPMA分析により,耐火物から剥離したと思われるCr2O3骨材の表面にスラグ中のAl2O3, CaOが浸潤していることがわかった。これより,Cr2O3骨材の表面にCa4A16CrO16が生成している可能性があることが考えられた。このスラグからのCr(VI)の溶出は問題になるレベルより低かったが,Cr(VI)の溶出を安定的に基準以下に保つにはCr2O3骨材の剥離の抑制などに努める必要がある。
  • 醍醐 市朗, 佐々木 正憲, 藤崎 克己, 松野 泰也, 足立 芳寛
    2010 年 21 巻 5 号 p. 178-191
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/11/12
    ジャーナル フリー
    製品への易解体設計 (DfD) の導入は,素材などの回収を向上させることで,環境負荷の削減効果があると考えられている。今まで製品の解体手順の最適化は研究されてきたものの,DfDによる環境面での効果量は評価されてこなかった。本研究ではDfDの導入による解体手順の変化をAND/ORグラフを用い可視化し,解体時の環境負荷削減効果の評価手法を構築した。構築した手法では,経済性において最適な解体手順を想定し,DfDの導入による経済最適手順の変化から,前後での環境性も評価し,DfDによる環境負荷削減効果量を評価した。評価対象プロセスとして,手解体,機械破砕・機械分離,マテリアルリサイクル,最終処分を考慮した。構築した評価手法を用い,電気ポットをケーススタディとして評価した。最適解体手順では,200円の利益と7.6kg-CO2の削減効果があった。加えて,DfDによりCO2排出量がさらに0.3kg削減できた。
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