廃棄物資源循環学会論文誌
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22 巻, 6 号
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論文
  • 野間 毅, 井手 勝記, 松井 宏
    2011 年 22 巻 6 号 p. 329-336
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/01/17
    ジャーナル フリー
    バイオマス資源やごみなどの有機資源は,含水量が大きいためにガス化システム等の熱化学的変換プロセスを利用した場合にシステム効率の低下を招く。そのため,プラント内で発生する排熱により原料を乾燥することが有効な手段である。
    本稿では,ガス化プラント内で発生する排熱を用いた原料の乾燥プロセスに要求される仕様についての考察を行う。また,乾燥方式として,熱風式直接加熱と蒸気間接伝導加熱式乾燥機をガス化処理プロセスと組み合わせた場合のシステム効率のケーススタディーによる評価を行い,後者のシステム効率が最大で64.7%改善されることを示した。さらに,蒸気間接伝導加熱式乾燥機を実際のガス化プラントに組み込んで10ton/dの一般廃棄物を処理した場合について,プラント効率および乾燥機の伝熱性能につていの評価を実施し,性能が見込みどおりであることを確認した。
  • 佐久間 美紀, 天野 佳正, 町田 基
    2011 年 22 巻 6 号 p. 337-343
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/01/17
    ジャーナル フリー
    原料のモウソウチクを短冊状の竹チップにし,窒素気流中,500℃,昇温速度25℃/minで管状炉を用いて2時間炭化し竹炭を調製した。次にカリウムを多く含む灰分を残した状態の調製した竹炭を180℃,280℃および380℃で2時間空気酸化した。細孔特性はBET法,αs-plot法およびt-plot法にて,表面官能基はBoehm滴定にて求めた。表面積は未酸化竹炭が250m2/gであったのに対し,180℃の空気酸化で340m2/gに,380℃で680m2/gまで増大した。細孔容積は380℃の空気酸化により未酸化竹炭の0.16mL/gが0.31mL/gまで発達した。また380℃で空気酸化を行った竹炭は,1000℃での脱気処理によっても表面積・細孔容積ともに微増した。竹炭の表面官能基量は空気酸化により増加し,酸化温度の上昇に比例して増加した。380℃の空気酸化により表面官能基 (特にカルボキシル基) は未酸化竹炭の0.02mmol/Lから1.19mmol/Lまで増加した。低温炭化に続く空気酸化により,未酸化竹炭と比較して表面積・細孔容積ともに大きく,表面官能基の豊富な竹活性炭を調製できることを明らかにした。
  • 貝掛 勝也, 角森 道人, 土手 裕, 関戸 知雄
    2011 年 22 巻 6 号 p. 344-353
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/01/17
    ジャーナル フリー
    都市ごみ焼却飛灰に対する鉛安定化性能の高い無機系重金属固定剤の開発を目的として,廃棄物由来原料 (鶏ふん焼却灰および模擬アルミニウム廃液) からリン酸アルミニウムの合成を行った。その結果,鶏ふん焼却灰に硫酸溶液を液固比5で加え,溶出pHを1以下に調製したリン溶出液に,模擬アルミニウム廃液を加えて合成pHを5以下にすることで,リン回収率も高く,ろ過性の良いリン酸アルミニウムが合成できることが明らかとなった。合成したリン酸アルミニウムを用いて安定した飛灰に対する環境庁告示13号試験の結果,リン基準の添加率で比較すると,市販のリン酸アルミニウムと同程度の鉛安定化性能を有することが判明した。低pHでの鉛溶出試験においても,高い鉛溶出抑制効果が見られたことから,さらなる改良により市販のリン酸アルミニウムと同様に長期安定性の効果を発揮することが期待された。
  • 河内山 拓哉, 景山 広樹, 長田 昭一, 窪田 光宏, 松田 仁樹
    2011 年 22 巻 6 号 p. 354-360
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/01/17
    ジャーナル フリー
    N2-HCl雰囲気におけるCaO-SiO2-Al2O3溶融スラグからの鉛化合物の揮発挙動を実験室規模の加熱装置を用いて,N2-HCl混合ガス流量5×10−6m3・s−1 (ガス流速3.61×10−3m・s−1) の一定の条件下,HCl分圧0.0017~0.0067atm,溶融温度1,673~1,773Kの範囲で調べた。スラグ試料には20~40wt% CaO, 30~60wt% SiO2, 20~40wt% Al2O3の範囲で混合調整した3種類を用い,スラグ中のPbO初期含有量は2,000mg・kg−1で一定とした。溶融スラグからの鉛揮発速度はスラグ中に残存するPbOの含有量の経時変化に基づいて求めた。
    その結果,N2-HCl雰囲気におけるCaO-SiO2-Al2O3溶融スラグからの鉛化合物の揮発速度はN2-O2雰囲気の値に比べて大きく,いずれのスラグ試料に対しても溶融スラグからの鉛化合物の見かけの揮発速度定数はHCl分圧にほぼ直線的に比例することが認められた。また,溶融スラグからの鉛化合物の揮発速度はCaO組成比の大きい低粘度の溶融スラグほど大きくなること,さらには溶融温度が高くなるほど大きくなることが認められた。
  • 天野 耕治, 金森 悟, 下条 幹雄, 伊藤 鉱一, 橋本 升
    2011 年 22 巻 6 号 p. 361-371
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/01/17
    ジャーナル フリー
    PCBは有害物質であり,国内では2016年までの処理が法律で義務づけられている。本研究では,高濃度PCBに汚染されたコンデンサおよび高圧トランスからのPCB溶出実験と,マイクロ波・触媒反応による脱塩素実験を同時に行った。一方,内部部材内でのPCBの拡散方程式と,溶出したPCBの脱塩素反応についての反応速度式を同時に解き,この手法が実験で計測されたPCB濃度の経時変化を定量的に説明することができるか検討した。室内で行ったコンデンサ無害化試験においてはPCB濃度の計算値は実測値とよく一致したことから,今回のシミュレーションがPCB濃度の予測に有効と考えられた。一方,外気温に左右される倉庫で行われた高圧トランス無害化試験においては,反応速度定数を反応時間帯において変化させないと,計算値は実測値と一致せず,その原因の一つとして溶液温度が下がった場合にKOHが析出し不足することによる反応速度の低下などが考えられた。
  • 杉山 涼子, 山田 秀
    2011 年 22 巻 6 号 p. 372-381
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/01/17
    ジャーナル フリー
    エアゾール缶やコンロ用カセットボンベは,収集時や処理時に火災事故を起こしやすいが,事故発生状況と,分別排出方法や収集車両,穴あけ指導等の自治体の施策と関連づける研究は行われておらず,改善のための方策について十分に解析されていない。本研究では,全国の10万人以上の市および東京23区の287自治体を対象として質問紙調査を行い,火災事故の発生状況を把握しその改善策について定量的な分析を行った。平成21年度には人口10万人あたりの車両火災事故は1.5件,破砕施設の火災事故は0.7件発生しており,車両火災事故のほとんどは不燃ごみで発生し,エアゾール缶等による火災が52.5%を占めている。エアゾール缶等の不燃ごみとしての収集は避けること,不適正に排出された中身の残った缶を排除するような取り組みを行うこと,住民に対して分別を周知することが事故削減につながり,これらの条件を満たせば事故件数は減らせることが明らかになった。
  • 松藤 敏彦, 石井 翔太
    2011 年 22 巻 6 号 p. 382-395
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/01/17
    ジャーナル フリー
    ごみ処理計画においては,元素組成,発熱量などのごみの特性値を知ることが重要である。しかし環整95号は代表試料採取の難しさと,組成間の水分移動,異物付着などによる誤差が生じやすい。本研究は,細組成分析値と細組成別特性値からより正確なごみ特性値の推定が行えるとの考えから,細組成別の特性値データベースを作成した。
    対象は家庭系ごみ中の可燃性成分である紙類,プラスチック類の種類別,および厨芥とし,それぞれ水分流出,異物付着を避けるため,容器包装プラスチック,雑がみの分別区分から試料を採取し,厨芥は燃やせるごみの中から厨芥類のみを入れたプラスチック袋をサンプリングした。紙類,プラスチック類の組成区分は細組成分析実施自治体を参考に決定し,それぞれ43種,36種の試料を分析した。厨芥の試料数は31である。
    各特性値の分布を示すほか,セルロース,プラスチックの素材,炭水化物,たんぱく質などと比較することで,ごみの詳細な特性を検討した。また分析値の使用例として,ごみ中の塩素の由来,プラスチック中の炭素量を推定し,自治体におけるごみ質分析方法について提案した。
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