日本経営診断学会論集
Online ISSN : 1882-4544
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7 巻
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特集
  • 辺境から中心へ=進化型ビジネスモデルの役割
    原田 保
    2007 年 7 巻 p. 3-14
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/11/07
    ジャーナル フリー
    昨今,流通業の競争戦略は熾烈であるが,それでも次から次へと新たな覇権企業が立ち現われてきた。そうなると,最初は辺境から生まれた,まさに取るに足らないような企業がいかにして短期間で業界のヘゲモニーを確立できるのか,という疑問が湧いてくる。そして,これに応えるべき解が本稿で示される「コンテクスト・ドリブン・ビジネスモデル」に見出される,ということが著者の主張である。 なお,著者はかねがねビジネスモデルとはコンテンツ(提供内容)とコンテクスト(提供方法)からなるものと考えているが,後者のコンテクストとはコンテンツが保持する潜在的価値を顕在化するための,あるいは価値を増大するための装置である,ということにその戦略性が見出されるのである。このある種の装置としてのコンテクストの優位性によって成功した企業が,すなわち,そのポジションを「辺境」から「中心」に転換した代表例が「ファースト・リテイリング」「良品計画」「デル」「吉野家」「ディズニーランド(拠点名)」である,と考えることができる。
  • 個店・商店街・公設市場を三位一体とした再活性化の現状と課題
    中島 康明
    2007 年 7 巻 p. 15-25
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/11/07
    ジャーナル フリー
    いわゆる「まちづくり三法」の改正に伴い,我が国は新たな,ある意味で本格的な「まちづくり」法制の第一歩を踏み出すことになったが,現実の「まち」は様々な課題を抱えており,その道程はかなり厳しいものと窺える。市場型商店街の再活性化のためのビジョンづくりに関与した経験から,まちづくりを成功させるためには,(1)私利私欲を排除するための仕組みづくり,(2)役割分担の明確化と適材配置,(3)民と官を繋ぐインタープリターの存在,(4)行政職員の"経営"感覚,(5)官民組織の横断的・統合的な一体診断の必要性が課題として明らかになった。
  • 生活領域の有機的な経営概念とその必然性
    辻 朋子
    2007 年 7 巻 p. 26-37
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/11/07
    ジャーナル フリー
    サービスコミュニティとは一対のヒトを起点にコミュニケーションのつらなりが生む,こころの豊かさの享受によって実現する社会システムである。それは生活領域というプラットフォームにおける,既存の社会価値観と,既存の社会価値観の逸脱としてのdiscourseのせめぎあいとしてとらえられる。本論では,記述論と規範論の統合からその本質を究明した。その結果,構造を説明する要素として,時間,空間,資源の三軸が発見され,それによって構成されるオートポイエーティック・システムが提示された。
  • 大分県の事例から
    関谷 忠
    2007 年 7 巻 p. 38-49
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/11/07
    ジャーナル フリー
    過疎率全国一である大分県の過疎地域の現況を示し,過疎対策のための商業振興指針と予算措置を明らかにする。次に,過疎地域における商業振興対策事業の成果である3つの共同店舗事例を詳細に取り上げ,診断・指導上の問題点を明らかにする。最後に,過疎地域におけるこれからの共同店舗のあり方をコミュニティ・ビジネスの視点と地域交流の視点から提案する。
  • 菅原 浩信
    2007 年 7 巻 p. 50-64
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/11/07
    ジャーナル フリー
    本稿においては,青果小売店に求められる経営戦略と目指すべき将来像についての検討を行った。まず,青果小売店には,自店がターゲットとする顧客を決め,自店の得意分野に特化し,セールスポイントとして具体的かつ明確にしていく「選択と集中」という経営戦略が必要であることを明らかにした。さらに,将来的には,「変化」と「進化」の実現が求められることを明らかにし,その手がかりの1つとして「ソーシャル・キャピタル」という概念を提示した。最後に,青果小売店が目指すべき将来像として,(1)異業種とのネットワークの中心的存在,(2)商品と顧客の専門家の2つを提示した。
自由論題
基礎理論
寄稿論文
  • 田村 隆善, 小島 貢利
    2007 年 7 巻 p. 78-89
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/11/07
    ジャーナル フリー
    ジャストインタイム (JIT)生産方式における管理技術の1つに「目で見る管理」がある。これは,近年「見える化」として,経営管理全般の問題解決のツールとして脚光を浴びている。本研究は,工場における「見える化」とその活動について考察することを目的としている。とくに本稿では,「見える化」の意義と目的,「見える化」の定義,「見える化」の現状,「見える化」の活動に必要な要素,「見える化」の対象の分類等について議論した後,「見える化」を工場診断に利用する3つの視点について論述する。
  • 鯖田 豊則
    2007 年 7 巻 p. 90-100
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/11/07
    ジャーナル フリー
    未上場・中小企業においても株式評価が必要とされる局面は増加しているが,相続税の評価で用いられる国税庁方式の株式評価は,単なる株式評価にとどまらず,簡易な経営診断手法として適用することが可能であるというのが本稿の提言である。国税庁方式の株式評価の活用で,毎年継続的にいわば株価ドックで会社の株価動向をチェックしつつ,類似業種比準方式によるターゲット企業との比較,純資産価額方式による保有経営資源の洗い出しを行い,評価対象会社の経営戦略にいかすことができよう。
  • 小島 貢利, 田村 隆善
    2007 年 7 巻 p. 101-108
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/11/07
    ジャーナル フリー
    マンションに居住する際には,マンションを買取るべきか,賃貸すべきかという,意思決定問題が存在する。特に金利上昇が予想される昨今においては,自己資金を他の資産運用に回す事も有益であり,買取が,賃貸に比べて,必ずしも経済性の観点で優位であるとは限らない。 本稿では,マンションの買取または賃貸に関する基本的な計算モデルを構築し,買取時におけるローンの利率,マンションの売却価格,固定資産税,管理修繕費,賃貸時における自己資金の運用利率,敷金・礼金,家賃,借り換えなどを考慮した経済性分析を行う。
  • 女性の就労状況と企業特性
    加藤 里美
    2007 年 7 巻 p. 109-121
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/11/07
    ジャーナル フリー
    本論文の目的は,東洋経済新報社『就職四季報2007』のデータを利用して女性の就労状況と企業特性を分析することにある。具体的には以下の2点ついて考察した。先ず5つの評価項目にもとづいて評価スコアを算出して「女性が働きやすい企業」のランキングを行い,ランキングを算出できた企業に対して先行研究結果の頑健性を確認した。そして次に評価スコアと企業規模,企業業績の関係の分析を試みた。得られた結果は,資産規模が大きいほど評価スコアが高いこと,評価スコアが高い企業ほど企業業績が良いことを示している。
  • 後藤 時政, 永井 昌寛
    2007 年 7 巻 p. 122-140
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/11/07
    ジャーナル フリー
    2005年に開催された愛・地球博に対する会場近隣大学学生の評価を明らかにするため,愛知工業大学学生の意識調査を実施した。学生の愛・地球博への関わり方に対して6つの仮説を立て,それらに沿って意識調査の質問項目を作成した。得られた回答を分析し,前回報告された愛知県立大学学生の評価と比較したところ,近隣大学と言えども,2大学間の学生の評価にはいつかの差異が見られた。ただ両大学学生とも,愛・地球博開催期間中,それが近隣で行われた故の悪影響を大きく受けており,総合的評価が低いことでは一致を見た。これらの評価を参考にし,今後,万博や大規模なイベントが開催される際,主催者が近隣大学に対して配慮すべき点について言及した。
  • 酒井 理
    2007 年 7 巻 p. 141-152
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/11/07
    ジャーナル フリー
    本稿の目的は,狭いエリアを商圏として小売,サービスを展開する店舗の売上推計モデルのプロトタイプを提案することにある。ここで検討する売上推計モデルは,消費者の現実的な行動を推計プロセスに組み込むことを目的に,消費者の行動特性に着目して,その選択行動を記述することを試みている。消費者が行動する際の起点終点による行動パターンの違いや,消費者が店舗を利用する際の地理的限界域の存在といった空間における行動特性と,店舗選択における考慮する店舗数,すなわち考慮集合の要素数の限界といった心理的な特性のうち,まずは空間行動特性の記述を中心にモデル構築の手続きを進める。現実的な消費者の店舗選択行動を記述することで,精緻な売上推計方法の試案を提示する。
  • 横山 淳一, 山本 勝
    2007 年 7 巻 p. 153-162
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/11/07
    ジャーナル フリー
    著者らは,地域保健と職域保健の関係者が連携・協力して地域住民に健康サービスを提供していくために組織された地域・職域保健ワーキング会議の活動を情報面より支援する情報システムを構築した。本システムは関係者の誰もが自由にインターネット上で情報交換ができるシステムである。本論文では,開発した情報システムのコンセプトや概要について述べ,モデル実験実施によりシステムを評価した。さらに,地域保健と職域保健関係者が住民の健康づくりを促進していくために,関係者間でどのような情報支援が効果的であるか議論した。
  • 山崎 康夫
    2007 年 7 巻 p. 163-172
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/11/07
    ジャーナル フリー
    平成17年4月に,中小企業の異分野連携を促進するための施策(通称「新連携」)が新設された。新連携とは,複数の中小企業が連携体を組み,技術・ノウハウの綿密な『摺り合わせ』を通じて,お互いの強みを相互補完しながら高付加価値の製品・サービス等を創出することである。ここでは,技術構築型連携,産学協働型連携,ハード&ソフト型連携,サービス付加型連携,製造実現型連携,プロダクトフロー型連携の6タイプに分類し,新連携支援活動の成功要因を分析する。
  • 南方 建明
    2007 年 7 巻 p. 173-184
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/11/07
    ジャーナル フリー
    本稿は,サービス業による雇用創出とその労働生産性について分析するとともに,サービス業における生産性向上の諸要素について明らかにするものである。サービス業は大きな雇用創出力をもっているものの,他産業と比較して労働生産性は低く,生産性向上が急務の課題となっている。本稿で整理した生産性向上の諸要素は,「単位サービスあたりの生産性向上」に加えて,生産の成果を在庫できないというサービスの特性を踏まえた「稼働率向上による生産性向上」も含めて明らかにしたものである。
  • 庄司 真人
    2007 年 7 巻 p. 185-194
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/11/07
    ジャーナル フリー
    本稿はロイヤルティ・プログラムにおいて用いられるカードの保有と携帯がプログラムに対し与える影響の程度を,アンケート調査を用いて分析するものである。近年,多くの小売業,サービス業が多くのカードを提供するようになってきている。そのことから,消費者による選別化が図られることによって,ロイヤルティ・プログラムの効果に影響を与えると考えられる。分析の結果,カードの保有枚数が多いほど,カードを発行する店舗を利用する傾向がある一方で,カードの携帯が利用の程度に関係するわけではないことが明らかになった。
  • 榁田 智子
    2007 年 7 巻 p. 195-206
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/11/07
    ジャーナル フリー
    本論文では,企業とステークホルダーの問題認識の仕方の相違が「企業の論理」と「社会の論理」の不一致の要因であることを明らかにする。企業とステークホルダーのリスク・コミュニケーションにおいては,各々の持つ情報の量的・質的な差を埋め合わせる形で対話が行われ、その際には専門家 (企業) の発する情報の正確性や平易性が重要となる。本稿ではそれに加えて,高度情報化社会におけるステークホルダーの情報解釈の過程に注目することの重要性を説き,彼らの問題認識能力を育成するための教育システムの整備が必要であると主張する。
  • 指定管理者制度を活用した中小企業の経営革新の可能性
    齊藤 久美
    2007 年 7 巻 p. 207-217
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/11/07
    ジャーナル フリー
    指定管理者制度は,地域中小企業において新たな事業分野を確立する経営革新の可能性を秘めていると考える。本研究では3つの仮説のもと,中小企業が既存事業と類似性のない分野へ進出した実例を基に,検証と考察を行った。その結果,行政介入による民間参入促進の"しかけ"が重要であることを確認した。指定管理者制度を活用し経営革新の取り組みをめざすためには(1)場の創造が重要となり(2)複数の関係体を形成しノウハウの補完とリスク低減を図ることで(3)知識創造による新価値を創出し(4)経営革新へつなげる循環プロセスが重要であることを論じる。
  • 社会科学への適用を中心に
    矢野 耕也, 竹中 理
    2007 年 7 巻 p. 218-230
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/11/07
    ジャーナル フリー
    多数の説明変数から最適条件を決定したり,目的値の推定や予測を精度よく得るために行われる各種の診断プロセスは,工学に限らず社会科学領域全てにわたり重要である。本研究では,工学界で使用される品質管理手法の一つである「品質工学」の方法論を用い,定性的ないし経験的に診断・決定される対象である医学診断や,不動産取引における景観の価値診断に対し適用を行い,診断の定量化をはかった。多変数を一元量であるマハラノビスの距離に縮約し,情報量をS/N比によりノイズを落とすことで,精度あるパターンとして定量化することが可能である。
  • 加藤 敏文
    2007 年 7 巻 p. 231-242
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/11/07
    ジャーナル フリー
    本論文では,全国の多くの商店街が停滞・衰退感を強める中,街づくりカフェなどの公益的小売・サービス施設の導入や地域の公益的活動団体と連携した社会交流事業を展開し,活性化に取り組む商店街の実態とその成長管理の診断技法について,検討した。活性化の事業には,成立基盤機能の社会的有効性を高めること,社会的共通資本の活用が必要なことを前提とし,アンケート結果と先進事例商店街から,活用の実態を把握した。特に,事例商店街をバランス・スコアカードの活用により分析し,商店街の今後の課題について,提案した。
  • 奥貫 泰正
    2007 年 7 巻 p. 243-254
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/11/07
    ジャーナル フリー
    近年,多くの企業において,これまで内生化されていたさまざまな業務を積極的に外部組織に委託する外生化(アウトソーシング)の動きが顕著になっている。現代企業のアウトソーシングの特徴は,自らのコア・コンピタンスを形成しながら,外部の資源をうまく活用することで持続的競争優位性を確立するとともに,ネットワーク組織として最終顧客に対していかに大きな価値を提供できるかという視点に立っている点である。経営・マーケティング診断においては,単独企業のみならず,アウトソーサーも含めた診断が採用される必要がある。
大学院生
  • 農業法人の多角化を中心に
    山本 公平
    2007 年 7 巻 p. 255-269
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/11/07
    ジャーナル フリー
    本研究は,「攻めの農政」への転換で推進される農業法人の設立を「起業」として捉え,起業時からの持続的な競争優位について,多角化をフレームワークに設定し考察してみた。起業後「規模の経済」によって生産規模を拡大すると,次の段階として「範囲の経済」や「組織の経済」による多角化によって,事業範囲を拡大し生産工程の一部を内部化する。多角化で得た経営資源のうち,模倣困難なものが競争優位の源泉となる。この時「深さの経済」による既存事業での学習の蓄積が新たな深化のカギとなる。このサイクルによって,成長が成長を呼ぶプロセスを確立することとなる。
  • 知覚リスクと情報探索行動
    山口 隆久
    2007 年 7 巻 p. 270-281
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/11/07
    ジャーナル フリー
    消費者(投資家・預金者)は,金融ビッグバンに伴う金融商品・サービスの多様化に対し,不安と戸惑いを根強く抱いているように見受けられる。リスクを強く知覚する人ほど情報探索行動を行い,知覚リスクが消費者の情報探索度の重要な規定因であるといえる。リスクを強く認識している消費者ほど多くの情報探索行動をとることが確認されたが,購入前の知覚リスクは必ずしも,情報探索によって削減されていない。消費者が抱く多様なリスクをすべて削減するような(情報)探索源が存在していないことが,情報探索行動を一層複雑かつ多岐にさせている。
  • 藤岡 芳郎
    2007 年 7 巻 p. 282-293
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/11/07
    ジャーナル フリー
    21世紀に入って大量生産・大量流通・大量消費によるマーケティングの効果が低下してきたといわれて久しい。このため今後は,食品小売企業においてはマーケティングにおける小売企業特性である顧客接点と,経営戦略における中小企業特性の機動性から,顧客関係性を中心においたマーケティングが有効だと考えられる。そこで本稿では,食品小売企業の顧客に対するアンケート調査と購買履歴調査を実施し,関係性とサービスの視点から小売ミックスを再編成することを試みた。
  • 中小製造業を対象に
    木下 良治
    2007 年 7 巻 p. 294-306
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/11/07
    ジャーナル フリー
    本研究は,中小製造業を対象とした共同経営企業の企業成長論を展開するための準備的作業に充てられたものである。具体的には,少数サンプルによるパイロット調査により,本研究で提起する「共同経営パターン」による企業分類の可能性,及び,経営者の意思決定構造などを確認することを目的として行われた。また同時に,この「共同経営パターン」による企業分類と企業業績や企業成長の関連性を考察することであり,一定の成果を得ることができた。
  • 田川 元也, 山本 勝
    2007 年 7 巻 p. 307-323
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/11/07
    ジャーナル フリー
    2000年に開始された介護保険制度は,介護サービスの量的な確保に一定の成果をもたらした。しかしながら,利用者がより一層満足するためには,さらに効果的かつ効率的な介護サービスの提供が求められる。そのためには,介護関係者の業務改善に対する高い意識が必要不可欠である。 そこで,本論文では,この介護関係者の改善に対する意識に着目し,介護事業所の従事者および管理者について,その現状と要因を明らかにする。 さらに,それらの分析をふまえ,地域全体で改善意識を高める具体的な方策として,「改善意識向上サークル」を提案する。
  • 消費者品揃え物への着目
    平安山 英成
    2007 年 7 巻 p. 324-335
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/11/07
    ジャーナル フリー
    本稿では,水平的協同広告の特質を明らかにし,戦略的有用性について考察を行った。まず協同広告の概念と類義語の定義について分類を行い,本稿の分析対象である水平的協同広告の特質を明確にした。消費者は,彼らの品揃え物の中で,製品の有用性を確認するのである。それらを前提とし,戦略的アライアンスの一形態である水平的協同広告の戦略的有用性とは,個々の製品コンセプトを組み合わせ,消費者の品揃え物の脈絡でより有用性の高い「協同広告製品コンセプト」を開発し,説得的に提示することであるという結論に至ったのである。
  • 環境ベンチャー・ビジネスの事例を中心に
    森 宗一
    2007 年 7 巻 p. 336-347
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/11/07
    ジャーナル フリー
    本稿では,環境ベンチャー・ビジネスにおける競争優位構築のプロセスについて分析することを目的としている。そこで,ベンチャー・ビジネスに関する先行研究から,本稿における環境ベンチャー・ビジネスを定義し,次に競争優位に関する先行研究を概観し,競争優位の源泉について確認を行いつつ,競争優位研究について,アプローチの違いにより4つに分類した。それを基に,競争優位構築のための3つ分析視座を設定し,環境ベンチャー・ビジネスの事例を対象とし,その分析視座の有効性について検討を行った。
  • バーサンフー ジャムサランジャワ
    2007 年 7 巻 p. 348-359
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/11/07
    ジャーナル フリー
    本研究では,Web上の製品評価クチコミデータをもとに商品のブランド力を可視化することを目的とする。ブランド力の構成要素として「ブランド認知」,「ブランド・イメージ」,「知覚品質」,「ブランド・ロイヤルティ」に関するフレーズをクチコミデータから抽出し,対象ブランドにおけるそれらの出現割合の比較を行った。また,評価ポイントの高位(5位)と低位(2位)の割合を定量化し,ブランド力の時間的変化の可視化を試みた。その結果,ブランド力の可視化にWeb上に累積されたクチコミデータは有用であることが確認された。
事例研究
  • 営業タスクによる知識特性と業績との違いに着目して
    橋本 佳子
    2007 年 7 巻 p. 363-372
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/11/07
    ジャーナル フリー
    中小企業の経営改善・再生支援にあたっては,営業・販売活動の強化が有効な手段とされている。有効な営業活動の内容は,営業活動とその積み重ねによって蓄積される信頼と営業活動の状況特性に影響を受ける。営業活動の状況特性の代表的なものが,営業のタスクである。認知的アプローチにより「営業タスクの違いによって,業績をあげるための必要とされる知識特性の違い=強化すべき営業プロセスの違い」に着目し,その手法を用い,A社を診断し,経営改善成果を報告する。
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