本論文ではプラント配管の溶接費用を最小にするような最適溶接位置決定問題への動的計画法の適用について述べる. 配管はエルボやT継ぎ手, 素材管を組立溶接して作られる. 搬送可能な大きさに分割されたスプールと呼ぶ部分配管を工場溶接で製作し, 現地で配管全体を組み立て現地溶接している. ここで考慮した条件は工場溶接及び現地溶接の単価, 輸送限界で制限されたスプールの大きさ, 配管中で溶接できない溶接禁止領域や, 溶接しなければならない溶接必要領域, 素材管の長さの制約である. 溶接費用が最小となる関数を以下に示す. [numerical formula] [numerical formula] ここで, x, y, tは配管上の位置を表し, 配管の中心線をメッシュに分割した時のメッシュの境界に始点側から付けた番号である. 始点の番号を0, 終点の番号をmとする. Y(x)は, yからxまでが一つの輸送可能なスプールとなりうるスプールの開始位置yの集合で, W(y,x)は, yとxの間にあってyに最も近い工場溶接となりうる位置tの集合である. F(x)は始点からxまでの現地溶接費用と工場溶接費用の和の最小値であり, G(y,x)は, yからxまでのスプール内にある工場溶接費用の最小値である. C1とC2はそれぞれ現地溶接と工場溶接の単価である. 最後に, 提案した方法による溶接費用の計算結果は従来の手法に比較して10%少ない値を示し, 人手による作業時間の20%の工数で溶接位置を計算出来ている.
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