大企業などの組織体は, 一般に複数の活動主体(支店など)をもっている. この組織体の経営活動には, 二つの立場があると考えられる. 一つはそれぞれの活動主体における「管理者」の立場であり, もう一つはその活動主体を統括する組織体全体の「経営者」の立場である. そして, それぞれの活動主体は人材や材料などの資源を投入して, 製品やサービスを産出するシステムと考えることができる. ここで用いられる経営資源はほとんどの場合, 無限に利用可能というわけではないので, これらの有限な資源を有効に利用することは重要である. 組織体全体の経営者は, 活動主体群全体の業績(産出)に関心を持つであろうし, 各活動主体の管理者は, 各々の活動単位の業績や他の活動単位に比べてどのくらい優れた(もしくは劣った)活動をしているかということに主なる関心をもつ. 本論文では, このような組織体に対して多入力多出力のシステムの相対的効率性評価の手法であるDEAの考え方を利用し, 各活動主体(DMU)の現状の活動を評価した上で, DMU群全体でより大きな産出を得ることができるような資源再配分を行うモデルを提案する. このモデルは, 規模の効率性を考慮したBCCモデルの生産可能領域をもとに, より効率のよい活動を目指すような各活動単位への資源の配分を決定する. また, 同様の考えでDMU群へ投入する資源量を抑えるモデルを提案する.
抄録全体を表示