土木計画学研究・論文集
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25 巻
選択された号の論文の119件中51~100を表示しています
  • 波床 正敏, 中川 大
    2008 年 25 巻 p. 487-498
    発行日: 2008/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    金国新幹線鉄道整備法における幹線鉄道網整備の手段は新幹線整備だけであるが、スイスの幹線鉄道政策Rail2000では主要駅での乗継ぎ利便性向上を実現するために、路線改良や新線建設、高性能車両の投入などを行ってきており、新線整備延長は短いものの鉄道利用者数を伸ばしている。
    本研究では、日本がスイスと同様の政策を採用した場合、一定の費用制約下でどのような幹線鉄道体系を構築しうるかを、九州の幹線鉄道網を対象に遺伝的アルゴリズムを用いた計算により明らかにした。その結果、これまでの高速萩線建設に加えて各種の路線改良を組み合わせる手法を採用することが効果的であることが示された。
  • 岡本 太郎, 谷口 栄一, 山田 忠史
    2008 年 25 巻 p. 499-507
    発行日: 2008/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    都市高速道路における適切な交通管理は、道路交通の円滑化と道路利用者の利便性向上はもちろんのこと、高速道路会社の経営改善にも寄与する。交通事故という動的で予測困難な環境から、高速道路会社は、これまで交通管理を経験知にのみ基づき運用している。このため、「動的な環境」の状態変化を知覚する「高速道路会社」と「交通管理会社」の2つの知的エージェントによるマルチエージェントモデルを構築する。両エージェントは、自らの利益を増大させるために、環境との相互作用と学習を行いながら適応的に行動する。このモデルを用いて、円滑な交通を確保し、かつ、高速道路会社の経営改善に資する方策を探索する。その結果、民営化を機にコスト削減を試行する高速道路会社にとって興味深い示唆となる結果が得られた。
  • 藤井 聡
    2008 年 25 巻 p. 509-514
    発行日: 2008/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究では, 交通システムの整備やそのマネジメントなど,「ヒトの移動」に関わるあらゆる行政を「モビリティ行政」と呼称し, その仕事はいかなるものであるべきかを, 伝統的な政治哲学の視点から考察を加えた. その結果, 本研究では以下の4つの命題を演繹した. 第一に行政は社会善の増進を期するべきであり, 第二にそのためにはモビリティ行政は場合によってはモビリティの質的改悪が求められることもあり, 第三にモビリティ行政は人々の幸福の相対的増進に寄与すべきであり, 第四にその具体的な戦略として交通システムの整備と運用の改善に関わるモビリティ・デザインと, 人々の態度と行動の変容を期するモビリティ・マネジメントを適宜組み合わせていくことが不可欠であることを指摘した.
  • 喜多 秀行, 河内 朗, 谷本 圭志
    2008 年 25 巻 p. 515-523
    発行日: 2008/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    道路区間を走行する際にドライバーが認識する走行サービスの質に関して、前後区間を走行した経験がその評価に影響するという “順序効果” が,“区間レベル” の評価で存在することが指摘されている。そこで, 本研究では、順序効果の影響をコントロールした主観評価データと瞬間効用モデルからの効用値を用いて、地点レベルの順序効果の影響を検証した。その結果, 地点評価において順序効果が存在することを明らかにし, その影響を取り込むことでモデル精度が向上することを示した.さらに、地点評価の平均値と最大値を用いた区間評価値の推計式を提案した. これらにより、各地点の交通環境を知ることにより区間全体の評価値の推定が可能になった。
  • 柳原 崇男, 北川 博巳, 齋藤 圭亮, 三星 昭宏
    2008 年 25 巻 p. 525-533
    発行日: 2008/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    視覚障害というと全盲者のイメージが強く, そのためロービジョン者に配慮した歩行環境の整備はあまり進んでいない. 本研究は歩行環境整備の計画や整備指針策定のための基礎的データを得ることを目的とし, ロービジョン者の視覚機能と屋外での歩行の問題について明らかにするために, アンケート調査を実施した. その結果, 歩行時に重要な視覚機能としては, 視野とコントラスト感度であった. また, 夜間歩行や障害物との接触, 段差などに困難を生じていることがわかった.
  • 利用実態・航空会社・空港会社の視点から
    荒谷 太郎, 轟 朝幸
    2008 年 25 巻 p. 535-542
    発行日: 2008/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    1994年の関西国際空港の開港、2002年の成田国際空港の暫定滑走路供用開始、2005年の中部国際空港の開港により、これらの空港は「同一国内における国際拠点空港として需要の奪い合いがあるのではないか」と懸念されている。そこで本論文では、利用者・航空会社・空港会社の3つの視点よりこれらの空港の競合関係に関する分析を行った。利用者側の分析では、国際空港の利用実態より競合関係を明らかにした。航空会社側では、どのような空港機能や特性を重視して空港を選択しているかといった空港選択要因の重要度を、階層化意思決定法を用いて定量化することにより明らかにした。空港会社側では、各空港が実際に実施している需要喚起策や路線誘致策、他空港の開港、拡張に伴う影響について、インタビュー調査により明らかにした。それらの3つの結果から、各空港の競合関係を明らかにし、各空港が行うべき今後の戦略についての考察を行った。
  • 中西 仁美, 廣畠 康裕, 高木 健太郎
    2008 年 25 巻 p. 543-550
    発行日: 2008/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本論文では、公共交通空白地区におけるアクセス公共交通に着目し、その非利用者および利用者の支払意思額構造を分析している。アクセス公共交通のサービス水準と世帯の負担額の組み合わせを仮定し、愛知県豊橋市及び大口町で実施したアンケート調査の結果から非利用者の利他的支払意思額構造を分析した結果、豊橋市, 大口町ともに運行間隔が最も支払意思額に影響することが分かった。また、豊橋市の利用者に関しては、運行間隔が最も効用に影響を及ぼすことが分かった。
  • 塚原 真理子, 藤田 素弘, 山岡 俊一
    2008 年 25 巻 p. 551-560
    発行日: 2008/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    近年、コミュニティ道路は商業系地区への導入も検討されてきた。しかし商業系地区は住居系地区とは異なり、その道路内は歩行者の安全性を確保することだけが重要視されるだけでなく、来訪者の回遊行動や商店主の荷降し行動等に伴う駐停車行動に対し、一定の利便性が保たれるよう道路内スペース (停車ゾーン) の確保とその適切な運用について考慮される必要がある。そこで本研究では、コミュニティ道路と停車ゾーンが設置された小規模商店街を対象として、この地区における駐停車行動について実態調査することにより、その駐停車行動状況と各店舗別特性およびコミュニティ道路の形状との関係を分析し、安全性と商業活動とに配慮したコミュニティ道路整備のあり方について考察できた。
  • 桝谷 有三, 下タ村 光弘, 田村 亨, 斉藤 和夫
    2008 年 25 巻 p. 561-568
    発行日: 2008/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究は、従業地ゾーンからみた通勤交通行動の現象を把握するために従業者及び就業者平均トリップ長の算定、さらに従業地プリファレンス曲線の曲線回帰分析等について考察を試みた。札幌市における3つの年次 (1972年、1983年及び1994年) の通勤交通を対象に分析を行なった結果、就業者及び従業者平均トリップ長は居住地あるいは従業地の空間分布、特にCBDとの地理的位置関係によって大きく異なっている。
    従業地プリファレンス曲線については、2次曲線による曲線回帰が相関係数等から優れている。そして、回帰曲線の回帰係数及び回帰定数を通して各ゾーンの通勤交通行動の相違を把握するとともに、集中交通量及び通勤トリップ長等との関係ついても分析できた。
  • 中村 卓雄, 鈴木 春菜, 藤井 聡
    2008 年 25 巻 p. 569-574
    発行日: 2008/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    都市・交通に起因する諸問題解決のための交通施策として注目されているモビリティ・マネジメント (以下MM) は, 諸外国の事例を参考に導入されつつも, 我が国独自の発展を遂げてきている. 今後は実務的・政策的実施のためにも, MM実施諸国との情報交換や国際的な研究の推進が期待されているが, その際には, 他国と日本との基本的な相違を的確に理解していくことが重要となるであろう. 本研究では, 英国を取り上げ, 質問用紙調査の結果からMMに対する受容意識の相違に着目した比較分析を実施し, 日本においてTFP等の個別的なコミュニケーションを実施する施策が重視されてきたことに一定の妥当性が存在していた可能性を示唆した.
  • 和歌山都市圏を事例として
    伊藤 雅
    2008 年 25 巻 p. 575-580
    発行日: 2008/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本論文は地方都市圏における特定の鉄道路線を対象としたモビリティ・マネジメント (MM) として、和歌山都市圏における2路線の試行事例を取り上げ、沿線住民の意識の変化、行動の変化、鉄道路線の利用促進の可能性について検討した。路線の存廃問題の状況によって、アンケート調査の回収率や沿線住民の意識に差が現れたが、回収率や意識レベルにかかわらず一定の行動の変化はもたらされることがわかった。また、地方鉄道路線のサービスレベルのままでMMを実施しても増客効果はあり、費用対効果も見込めることから、今後はMMの本格実施のための支援体制づくりが必要といえる。
  • 松中 亮治, 谷口 守, 木宮 健吾
    2008 年 25 巻 p. 581-588
    発行日: 2008/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究では, 高規格幹, 線道路網整備計画におけるプロジェクト分割方法に着目し, 各プロジェクト分割方法に基づくプロジェクト分割について段階的整備プロセスを探索した. そして, それら探索結果の比較より, プロジェクト分割方法の違いが高規格幹線道路網の段階的整備プロセスに及ぼす影響を検証した.
    その結果, 社会経済的効率性の観点に基づくプロジェクト分割が総純便益や総便益の向上に, 事業者採算性の観点に基づくプロジェクト分割が事業者採算性向上に寄与する可能性があることを定量的に明らかにし, 高規格幹線道路網の段階的整備プロセスにおけるプロジェクト分割方法の重要性を示した.
  • 菊地 志郎, 赤松 隆
    2008 年 25 巻 p. 589-596
    発行日: 2008/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究では, ネットワーク通行権取引制度をインプリメントするようなmulti-agent systemを提案する. このシステムの目的は, エージェントの自律分散的な行動により, システム全体として社会的最適状態を実現することである. このようなシステムを実現するために, 本研究では, agentのミクロな行動ルールを提示し, そのミクロな行動ルールに対応した交通量および通行権価格のマクロなダイナミクスを導く. さらに, そのダイナミクスの安定性を解析し, 交通量・通行権価格の期待値が社会的最適状態に収束することを示す.
  • 片岸 将広, 岡田 茂彦, 高山 純一, 石川 俊之, 埒 正浩
    2008 年 25 巻 p. 597-606
    発行日: 2008/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本論文では、バスレーンを活用した「自転車走行指導帯」(幅1.25mの着色帯) の設置による交通安全対策の効果と課題について述べる。道路交通法上、自転車は「車道の左側端」を走行しなければならないが、実態としては歩道走行や右側逆走など無秩序な走行が多くみられ、ルールと実態の乖離が近年の自転車関連の交通事故増加につながっていると考えられる。
    本論文では、バスレーンを活用した「自転車走行位置の明確化」と「交通ルール及びマナーの指導強化」を実施することが、歩行者・自転車・バス・クルマのそれぞれにとって安全・安心な道路空間の創出に効果的であることを、対策前後の自転車走行実態調査やアンケート調査等から明らかにしている。
  • 坂本 将吾, 初田 幸嗣, 杉田 浩, 谷下 雅義, 鹿島 茂
    2008 年 25 巻 p. 607-614
    発行日: 2008/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究ではライフステージによる世帯分類によって, 交通行動の違いを捉えられているかを, 交通行動から多変量解析で分類して設定した行動群と比較することで分析した. その結果最大で5つの行動群が含まれるライフステージがあり, 同じライフステージ内の異なる行動群を分類する属性は, すべてのライフステージで「就業者数」と「自動車保有台数」であることを明らかにした. 居住地属性 (都心までの距離, 最寄り駅までの距離) では同じライフステージに含まれる複数の行動群を分ける属性とはならなかった.
  • 塚口 博司, 大橋 祐貴
    2008 年 25 巻 p. 615-621
    発行日: 2008/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    日本の大都市の交通ターミナルには大規模地下街が設置されている。地下街は商店街を形成するとともに駅と周辺の目的施設と間の主要な通路となっている。本研究は詳細な実態調査に基づいて、大規模地下街にける歩行者の経路選択行動モデルを開発した。本研究で構築した経路選択モデルは、地上で開発されたモデルと同様の構造となっており、地下街と地上街路網における歩行者の経路選択行動メカニズムがほぼ同一であることを示している。本モデルは商業浩性化ならびに緊急時の避難汁画を含んだ地下街の種々の計画に活用できると考えられる。
  • 桑野 将司, 藤原 章正, 張 峻屹
    2008 年 25 巻 p. 623-632
    発行日: 2008/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究では, 自動車保有・利用行動の代表的な指標である自動車走行距離の推定方法として, 多様な確率分布を許容し, 打ち切りのあるデータも扱うことのできる生存時間分析の適用を提案した。広島地域で収集したアンケート調査データを用いた分析の結果, 対数ロジスティック分布を仮定した場合, 一般的に用いられている重回帰分析よりモデル適合度が高くなることが明らかとなった。さらに, アンケート調査に基づく年間走行距離の観測では回答率が低い点に着目し, 日常的な自動車走行距離を用いて年間走行距離の欠測を補完する方法も提案した。その結果, 完全データによる分析では年間走行距離を過大評価する危険性があることが示された。
  • 木村 裕介, 奥村 誠, 坂本 麻衣子
    2008 年 25 巻 p. 633-639
    発行日: 2008/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究では, 現状の航空便の設定時刻からの逆推定により, 旅客の希望出発時刻の分布を算出した. さらに算出した分布を用い, 運行スケジュールが都市間の旅客の航空選択率に与える影響を分析した. 具体的には, 運行スケジュールの良さを表現できる定量的な指標として平均スケジュールコストという概念を導入した. また, 最適複数店舗立地モデルを応用した逆推定を用いて, 4つの路線群ごとに旅客の希望出発時刻の分布を算出した. 重回帰分析の結果, 旅客の希望時刻に合わせて便を設定することが航空選択率の上昇をもたらすことを示した.
  • 窪田 崇斗, 森田 泰智, 太田 雅文, 古谷 聡, 家田 仁
    2008 年 25 巻 p. 641-646
    発行日: 2008/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    東京圏における鉄道ネットワークは輸送力増強が講じられ、最混雑率は年々低下傾向にある。一方で、夜間・ピークサイドにおける混雑が顕在化し、第2フェーズの混雑対策が求められているが、改善の検討が今後ますます重要になってくる。しかしながら、大都市交通センサス等の既存の交通統計調査は、過去のデータの蓄積が豊富で交通流動量といった量的データが充実しているものの、抽出率が5%程度と低く、夜間・ピークサイドにおける混雑緩和の検討に使用するにはデータの精度が粗いため、詳細な分析は困難である。そこで本研究では、自動改札機・車両応荷重データを用いた時間帯別混雑率の推定方法の検討を行った。
  • 郭 敏, 奥嶋 政嗣, 秋山 孝正
    2008 年 25 巻 p. 647-653
    発行日: 2008/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    都市交通計画においてPT調査は基本的な調査結果として多年にわたるデータ蓄積がある。本研究ではPT調査の有効利用方法として、地震時の帰宅困難者推計に基づく災害被害軽減を検討する。具体的にはPT調査結果に空間情報を付加し活動地点の特定を行う。GISの機能の援用により、都市圏のミクロな交通行動を把握するアルゴリズムを開発した。これより地震発生時に被災者となる帰宅困難者の空間的分布を実証的に算定する。この結果、都市活動を基本とした災害時の被災状況が統計的に把握できた。またモータリゼーションに伴う都市行動変化に対応した災害被害軽減に関して、実証的な面から重要な問題点を把握し、今後の検討課題を整理した。
  • 井上 信昭, 堤 香代子, 堂柿 栄輔, 梶野 潤一, 堤 亮輔
    2008 年 25 巻 p. 655-661
    発行日: 2008/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    放置自転車台数が一時、連続全国ワースト1になった福岡市天神地区では、取り締まり強化等のソフト対策とともに、ハード面では特に歩道空間の一部を占有して設置する駐輪施設の整備に力を入れている。しかし、当エリアは福岡市で最も地価が高い都心の一等地であり、歩行者数も非常に多いため、施設の整備効果等を厳しく把握しておく必要がある。そこで本研究では、この路上駐輪施設利用需要および周辺路上に放置している駐輪需要を対象に、大規模な実態調査を2004-2006年の3ヶ年にかけて実施し、駐輪需要および路上駐輪施設の利用特性を詳細に分析するとともに、路上駐輪施設の課題、放置駐輪問題解決に向けての課題を整理・提言した。
  • 松村 暢彦, 河田 慎也
    2008 年 25 巻 p. 663-672
    発行日: 2008/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は, 環境面を訴求する自動車広告が他の種類の自動車広告と比較して, 消費者の自動車購入意図や自動車利用意図に与える影響の差異を定量的に把握することである. まず, 1970年から2006年の間の自動車新聞広告を入手し, 広告訴求内容の変遷を把握した. その結果, 近年になるにつれ, 訴求内容が生活イメージを訴求する広告へと変化していることが明らかとなった. 次に分類された自動車広告を被験者に提示し, 製品に対する態度, 広告理解度, 購入意図, 利用意図をアンケート調査により計測する実験を行った. その結果, 環境面を訴求するハイブリッド車の広告は, 他の広告と比較して, 購入意図や利用意図が統計的に有意に高い値を示した.
  • 宮城 俊彦
    2008 年 25 巻 p. 673-681
    発行日: 2008/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    This article formulates the drivers' behaviors of path-choice when travel information for a set of paths is given to each driver after finishing his or her trip.While an underpinning theory of the behavioral model stems from a regret matching theory, the basic framework is adjusted to capture the characteristic of congested networks. The notable feature of the model is that each driver is treatedas an individual decision maker as in game theory. In addition, uncertainty thata driver faces is endogenously generated as the results of mutually dependent path-choice behavior. Drivers are modeled to achieve no-regret criteria and to learn uncertain environment with stochastic approximation.
    Dynamic of updating the propensity of path-choice is characterized by the ODE approach, and is shownto converge to an internally chain recurrent set. However, this is not the case for the congested network with monotone cost functions. If we admit monotone cost function, then the regret matching approach with stochastic approximation has very nice feature that allows a generic travel cost function such as asymmetric Jacobian, piece-wise linear and so on.
  • 小松 良幸, 中山 晶一朗, 高山 純一
    2008 年 25 巻 p. 683-692
    発行日: 2008/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本論文では, OD交通量が確率変動ずることにより, 交通量が正規分布に従って変動すると仮定し, 混雑の時空間移動を考慮することができる準動的配分モデルの確率化を行う. この際, 道路利用者の旅行時間に関する不確実性を考慮に入れた実効旅行時間を用いたリスク態度を考慮する. そして, この確率的な準動的配分モデルを相補性問題として定式化すると共に, 共役勾配法を用いた計算アルゴリズムを示す. 次に, 提案したモデルを実際の道路ネットワークである金沢市ネットワークへ適用することにより, モデルの現状再現1生や現実ネットワークへの適用可能性などを検討する.
  • 奥村 誠, 塚井 誠人, カルロスナパ フォンセカ, 吉村 充功
    2008 年 25 巻 p. 693-700
    発行日: 2008/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本論文は, 空港からの退出交通量を異なる航空便に対応する交通に分割する方法を構築した. 退出交通において各便に関連する交通の比率を非観測変数と見なせば, EMアルゴリズムの考え方に基づいて, この非観測変数とモデルのパラメーターを交互に計算する手順が導出できることを示した. さらに2007年3月18日のアクセス鉄道開業前後の4週間における, 仙台空港からの退出車両の交通量観測直に適用した結果, 朝夕に比べ, 日中の到着便利用者の鉄道利用は進んでおらず, それが航空便の性格に依存している可能性を示した.
  • 尾形 信一, 倉内 慎也, 森川 高行
    2008 年 25 巻 p. 701-708
    発行日: 2008/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究では, 新規交通サービスの需要予測に広く用いられているRP/SP融合法に着目し, その適用に際してこれまで分析者の裁量に委ねられてきた幾つかの実務的課題を整理した上で, 名古屋市の新規地下鉄路線を対象に, それがモデル推定や予測精度に及ぼす影響を分析した. その結果, 新規路線に対する利用意向の強弱や, 定数項および鯉モードダミーの解釈等により大幅な誤予測を招く危険性があることを示した. 一方, サービスレベルを変化させて繰り返し質問を行うタイプのSPデータは, 属性間のトレードオフを明確にする効果があることから, 現存する交通サービスのみを対象とした場合でも, 予測精度の向上に資することが確認、された.
  • 秋山 孝正, 奥嶋 政嗣
    2008 年 25 巻 p. 709-716
    発行日: 2008/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    多くの地方都市において、中心市街地活性化を目指したまちづくり政策が提案されている。本研究では、交通行動と商業活動を中心に人工社会型の都市モデルを構成し、まちづくり政策の波及過程を分析する。市民と商業店舗を自律的なエージェントとし、都市圏の時系列的変化を記述する人工社会を構成する。特にモータリゼーションの進展する仮想的都市圏に対して、コンパクトシティの理念を踏まえた都心居住・公共交通促進のまちづくり政策を導入する。この結果、局所的な政策インパクトが大域的に波及する過程が記述できた。これより都市活動の複雑な相互作用を考慮した政策評価が可能となり、自律的なまちづくりに対応する創発現象を観測した。
  • 大園 渉, 室町 泰徳
    2008 年 25 巻 p. 717-722
    発行日: 2008/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究では、ニュータウンの買物行動調査結果をもとに、買物交通手段選択多項プロビットモデルを構築し、最尤推定法とMCMC法を用いたベイズ推定法を用いてパラメータ推定を行った。また、買物目的別にパラメータ推定を行い、ニュータウンの住民の行動特性を考察し鳥推定の結果、ベイス推定法は最尤推定法を用いた推定結果と類似した結果を示した。ベイズ推定法においてはパラメータの分散推定値を考慮することにより、個人間の異質性の検討を行うことができることを示した。また、買物のみの場合と比べ複数目的の場合は、各説明変数に関して、個人間の異質性がやや小さい場合が多いことがうかがえた。
  • 加藤 寛道, 木村 裕介, 奥村 誠, 塚井 誠人
    2008 年 25 巻 p. 723-729
    発行日: 2008/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究は, 航空便の遅れや欠航による空港のサービスレベルの低下を回避する上で, 空港管理者が実績の発着時刻に基づいてその後の遅れの発生を短期的に予測することが役立つと考え, 過去の遅れ時間データから統計的な法則性を見出す手法を検討した. 仙台空港における13ヶ月間の遅れデータの分析から, 非日常的な要因に起因する遅れや欠航の現象は正規分布には従わないことを示し, 独立成分分析 (ICA) を用いた分析を行い, 典型的に見られる遅れの要因とその波及パターンを考察した.
  • 溝上 章志, 橋本 淳也
    2008 年 25 巻 p. 731-739
    発行日: 2008/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本稿は, 熊本電気鉄道を対象にした中心商店街と協働による社会実験の経緯とその成果について報告するものである. 本社会実験は熊本電気鉄道のサービス改善計画の擬似体験と中心市街地の活性化への効果を検証することを目的としたものである. また, 熊本電鉄沿線では住民を対象にしたモビリティ・マネジメントも実施している. これらの社会実験や利用促進施策の影響について利用実態調査の結果から考察を行った. その結果, 一連の調査・研究と社会実験などの実績の積み重ねによりサービス改善計画の実行可能性が認知され, 行政および関係機関での検討が行われることになった.
  • 内田 雅洋, 大島 義行, 本堂 亮
    2008 年 25 巻 p. 741-746
    発行日: 2008/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究では、乗換駅における乗換の利便性、快適性、確実性等といった乗換環境の改善による効果を客観的かっ定量的に把握することを目指し、新幹線と在来優等列車等の幹線鉄道旅客をターゲットとして、乗換環境を規定する様々な要因を体系的に整理し、駅における乗換環境の総合的評価手法を構築することを目的とした。分析の結果、乗換環境を規定する様々な要因においては、上下移動の利便性について重要度が最も高く、同一ホーム乗換などの上下移動を解消する施策の効果が極めて大きいことが明らかとなった。また、駅施設の改良が図られた場合のケーススタディの結果、施策別の改善効果を客観的かつ定量的に把握することができた.
  • 中川 紗耶子, 廣畠 康裕, 中西 仁美
    2008 年 25 巻 p. 747-754
    発行日: 2008/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究では、広域幹線道路整備計画の検討において貨物車交通に着目した合理的な道路整備効果の計測手法を開発することを最終目的としているが、本稿は業務トリップの主体となる企業を業種別に分類し、道路交通センサスODデータを用いた各種集計およびOD分布モデルのパラメータ推定により業種による交通行動特性の違いを明らかにすることを目的とする。
  • 全 相俊, 吉田 樹, 竹内 龍介, 秋山 哲男
    2008 年 25 巻 p. 755-762
    発行日: 2008/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    近年における移動制約者の増加に伴い、移送サービス (STS) の必要性が高まってきている。しかし、その利用対象者である障害手帳や介護認定を受けた高齢者の詳細な外出実態は、ほとんど明らかにされてこなかった。本研究では、都市地域である東京都杉並区の高齢者を対象に実施したアンケート調査結果をもとに、個人属性に着目した外出の実態とその影響要因について明らかにした。その結果、高齢者のなかでも年齢が高い層や介護度が高い層を中心に、生活必需の外出や生活を豊かにする外出が十分にできていないと考えられ、こうしたグループが一人で利用できる交通手段が不足していることが明らかになった。
  • 高田 和幸, 小林 繭美
    2008 年 25 巻 p. 763-768
    発行日: 2008/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究では, 鉄道利用者を対象にしたアンケート調査を実施し, 輸送障害発生時の乗客の行動について分析を行った.SP調査データを用いて, 輸送障害発生時の乗客の選択行動モデルを推定し選択行動の特性を明らかにした.例えば, 乗客は, 所要時間が長くても, 運転の再開を待つ傾向が強いこと, 運転再開までの待ち時間情報の精度が高い程, 運転の再開を待つ傾向が強いことなどが明らかとなった.最後に, 筆者らが構築した損失時間の推計シミュレーションに, 本研究で推定した選択行動モデルを組み込み, 推計精度の精緻化を図った.
  • 岡村 敏之, 中村 文彦, 須田 崇彦
    2008 年 25 巻 p. 769-774
    発行日: 2008/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本論文では、首都圏郊外地域における高齢者のモビリティ実態と自動車利用の削減可能性を明らかにするため、昭和63年と平成10年のパーソントリップ調査, 神奈川県厚木市を対象としたアンケート調査を用いて分析を行った。首都圏郊外地域では自動車運転の可否やターミナル駅からの距離によってモビリティ実態が異なり、その評価の際には注意が必要であることを示し為また、個人属性, 居住地属性, 意識が自動車利用の削減可能性にどのようにつながるかを示した。具体的には、高齢者の身体, 体力的な衰えに気付いてもらう心理的なアプローチや、「買い物」や「通院」の自動車の代替交通手段を確保することが重要であることを示した。
  • 須藤 晃成, 秀浦 光, 鈴江 宗大, 三谷 哲雄, 山中 英生
    2008 年 25 巻 p. 775-781
    発行日: 2008/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本論文では, 無信号一時停止小交差点での出会い頭事故防止のための路上設置型警告システムの開発を目的として, 路上から計測可能な車両位置と速度を用いて車両挙動から危険挙動車両を判別するモデルを提案した.小交差点の進入挙動分析から, 一時停止車両は交差点から10m-30m付近までに停止挙動の90%程度が開始していること, 自幅員が狭い交差点では停止開始位置が交差点に近くなることが明らかとなった.自幅員の区分別に.危険挙動車両と安全走行車を速度および速度変化の指標を用いて判別した結果, 全体として90%程度が正確に判別できることが明らかとなった.またこの結果から, 自幅員に応じた最適なセンシング範囲を明らかにできた.
  • 日韓観光客の比較
    張 峻屹, 箱田 祐介, 藤原 章正
    2008 年 25 巻 p. 783-792
    発行日: 2008/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究では、アジアハイウェイ日韓ルートを対象に、アジアハイウェイ計画が実現される場合を想定し、日本人と韓国人の潜在的な観光客を対象に、マイカーによる国際観光周遊行動をSP調査手法により調べた。SP調査で示した観光プラン間の観測・非観測類似性を考慮するため、前者について相対性効用モデル (r_MNL) を、後者についてPCLモデルを統合した新たな離散選択モデル (r_PCL) を開発した。実証分析の結果、r_PCLモデルが最も高い精度を示すことが分かった。また、日本人と韓国人の観光周遊行動にみられる共通点と相違点を明らかにすることもできた。
  • 松下 歩, 菊池 輝, 北村 隆一
    2008 年 25 巻 p. 793-800
    発行日: 2008/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本論文では, 意思決定者間の相互作用を記述することができるマルチエージェントシミュレーションモデルを用いて, 情報を共有することによって交通状況がどのように変わっていくのか, 個人にとってどのような効果があるのかを分析した. 情報の種類, 有無によってエージェントのグループ化を行い, その存在割合を変化させた.
    情報を持っグループの割合が増加するにつれ, システム全体として総旅行時間が小さくなるように利用が行われるようになること, 逆にその割合が少ないほど個人としては, 情報を持つことによる大きな時間短縮効果が得られるということが示された.
  • 岡本 直久, 川田 真理絵, 石田 東生, 堤 盛人, 谷口 綾子, 諸田 恵士
    2008 年 25 巻 p. 801-806
    発行日: 2008/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本論文では、つくばエクスプレスの周辺地域における住民の交通行動の変化と、交通手段に対する意識の変化を把握し、つくばエクスプレス開業が住民に与えた影響を把握することを目的としている。2005年8月24日、つくば市と秋葉原を結ぶつくばエクスプレスが開業し、つくば市とその周辺地域では、路線バスの再編や駅の新設・道路整備などが行われ、地域内の交通体系が大きく変化したことが期待される。
    結果として、駅などの幹線公共交通へのアクセス手段について、つくばエクスプレス開業前に比べて住民がより合理的に交通手段を選択する傾向が示唆され、アクセス手段の交通サービスレベルが変化していることが伺えた。
  • 金沢道路ネットワークを例に
    長尾 一輝, 中山 晶一朗, 高山 純一
    2008 年 25 巻 p. 807-814
    発行日: 2008/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    道路の評価指標として, 最近「時間信頼性」が注目されている.実際の旅行速度, 旅行時間は日によって, 時間帯によって変動しており, 道路のパフォーマンスをより適切に評価するためには, そうした変動を考慮することが重要と考えられる. そこで本稿では, 以前著者らが提案した確率的な交通ネットワーク均衡モデルを用い, 時間信頼性の評価を行うための指標として新たに「変動損失時間」を提案した. そして, 提案した指標を用いて実際の金沢道路ネットワークにおける時間信頼性の評価を行った. この指標を用いて道路ネットワークの評価を行うことによって, 道路ネットワーク上の新たな問題箇所の把握等が可能になると予想される.
  • 金 俊庸, 坂本 邦宏, 久保田 尚
    2008 年 25 巻 p. 815-822
    発行日: 2008/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    近年、ITSによる自動車運転者に対するリアルタイム情報提供は一般的となったといえる。しかしならが、リアルタイムな交通情報とドライバーの経路選択モデルに対する分析と活用は十分とは言えない。本論文では、ドライバーの経路選択モデルに対してリアルタイムに提供される交通情報がどのような影響を与えるかを実験データを用いて分析し、ロジットモデルによる経路選択モデルを構築した。また、構築した経路選択モデルをもちいて、繰り返し走行することで経験を積むことを表現した仮想道路ネットワークにおける交通シミュレーション (tiss-NET) の分析を実施し、交通情報提供の効果を検証した。
  • 三谷 哲雄, 日野 泰雄, 横井 耕二, 吉田 長裕
    2008 年 25 巻 p. 823-828
    発行日: 2008/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    人身事故の約半数は交差点で発生し, 特に住宅地を含む住居系地区では交差点事故の大半が地区内に散在する生活道路交差点で発生している. そこでの事故対策は, コストや空間的制約から一時停止や一方通行といった交通規制, カーブミラーの設置等の個別対応が中心となっている. こうした交通安全対策導入の根拠や効果は, 交通量が少ないこと、また生活地区のこうした安全対策と交通事故との関連が明らかになっていないこともあって, 十分に検討されているとは言い難い. そこで, 生活道路交差点におけるこれらの交通安全対策整備のあり方を検討するため, あんしん歩行エリアを対象に整備の現状を把握し, 交通事故発生状況との関連性を分析した.
  • 矢野 伸裕
    2008 年 25 巻 p. 829-834
    発行日: 2008/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究では、認知情報処理の指標として運転者の注視行動に着目し、右折専用現示としての右折矢表示の設置による、対向車待ち中の右折車の運転者の注視特性の変化をドライビング・シミュレータを用いた実験によって検討した。その結果、右折矢表示がある場合は、ない場合と比べて、対向車への注視量が少なく注視持続時間も短く、対向車以外の対象への注視量が多かった。右折矢表示の設置により、対向車待ち中の運転者の対向車に対する情報処理量が少なくなり、その分、余裕の生じた注意資源が右折先横断歩道の歩行者など対向車以外の対象に配分されるようになると考えられた。この結果を交差点右折時の高齢運転者の安全対策の観点から検討した。
  • 松中 亮治, 谷口 守, 大窪 剛宏, 楠田 裕子
    2008 年 25 巻 p. 835-842
    発行日: 2008/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    2003年に岡山県等の構造改革特別区域において福祉有償運送が認められた. そして, 2004年には規制が緩和され, 福祉有償運送が全国で可能となり, さらに, 2006年には登録制となり法的に位置づけられた. そこで, 本研究では福祉有償運送導入後の移動制約者の交通行動の経年的な変化及び地域間の違いを明らかにするために, 2003年に福祉有償運送が導入された岡山県内の福祉有償運送利用登録者を対象として2003年, 2004年, 2005年にアンケート調査を実施した. そして, これらの調査結果を用いて, 外出目的や利用交通手段といった移動制約者の交通行動とその因果構造の経年的な変化ならびに地域間の違いを明らかにた.
  • 谷口 綾子, 藤井 聡
    2008 年 25 巻 p. 843-852
    発行日: 2008/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究では, 政府主導によりMM施策に取り組んでいるオーストラリアの現況を概観するとともに, マーケティング手法を駆使したパース都市圏のTravel Smartプロジェクトと,「会話」による丁寧なコミュニケーションを特徴とするアデレード都市圏Travel Smartプロジェクトをヒアリング調査と文献調査により紹介した. その上で, 二つの事例と我が国の現況を比較することを試みた.その結果, パースとアデレードにおけるTFPの差異とともに, 両事例の課題が明らかとなった. また, 両事例と我が国の現況の比較より, 我が国におけるMM施策は, 未だ模索中であるが, 様々な事例の良い点や学術的知見を柔軟に受け入れ, よりよいプログラムを構築する可能性を秘めていることを指摘した.
  • 谷口 綾子, 藤井 聡
    2008 年 25 巻 p. 853-858
    発行日: 2008/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究では, 萩原らの先行研究における事業所モビリティ・マネジメントの導入可能性に関する分析結果が, 他地域でも同様の傾向を示すのか, またどのような属性の事業所で組織的プログラムの導入可能性があるのかを検証するため, 埼玉, 三重, 大分, 磐田, 豊田の各地域の事業所で実施されたアンケート調査結果の分析を行った. その結果, 萩原らの提案したマイカー通勤抑制の組織行動変容プロセスモデルが, 他地域の事業所においても成立することが示唆された. また従業員数が多い事業所, 運輸業においては, 職場MMを肯定的にとらえる可能性が示唆された一方で, 製造業は職場MMに対して否定的にとらえる可能性が存在することが示された.
  • 二神 透, 柏谷 増男, 前川 聡一
    2008 年 25 巻 p. 859-868
    発行日: 2008/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究は、愛媛県内の高速道路における事故データならびに、救急搬送データを用いて、救急、対応事例分析を行った。その結果、救急、出動までの通信連絡が多岐に及ぶことが明らかになった。特に、携帯電話と非常電話といった通信手段別の比較を行うと、非常電話による連絡は、平均で5分程度救急、要請時間が短縮することが明らかになった。つぎに、松山市の南消防署の救急車にGPSを搭載し、救急搬送データを採取した。これらのデータと、前述した情報伝達プロセスをPetri-netシミュレーターへ組み込み、救急搬送プロセスの可視化を行った。さらに、構成したシミュレーターを用いて、スマートインターチェンジを想定した場合の搬送時間の短縮効果を、視覚的かつ定量的に示すことができた。
  • 小嶋 文, 久保田 尚
    2008 年 25 巻 p. 869-879
    発行日: 2008/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究では、参加に積極的な住民であれば、自らの手で身近な交通環境を改善することのできる対策として、「抜け道MM」を提案した.車利用者に自発的な交通行動の変化を期待するモビリティ・マネジメント (MM) の手法を援用し、社会心理学の要素を取入れたコミュニケーション技術を用いて、住民から自ら抜け道利用ドライバーに生活道路の通行をやめるよう訴える実験を行った。実験実施後の交通調査からは、実験後1ヶ月に渡って交通量に約1割の削減が見られた。意識調査の結果からは、本実験が抜け道利用者の迷惑の自覚を高めた結果が見られた。また、-参加しない住民からの反対は見られず、意欲のある住民には取組みやすい対策と考えられた。
  • 高知における地域ITSの取り組みから
    尾松 俊, 大森 宣暁, 松本 修一, 岡村 健志, 熊谷 靖彦
    2008 年 25 巻 p. 881-887
    発行日: 2008/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究では、バスの通過時刻情報を提供する「地域バス情報システム」を開発し、運用実験の際の観測調査およびアンケート調査を通して本システムの効果や課題を把握した。本システムは、バスロケと比較して導入・運用費用が非常に小さい。また、乗車予定だったバスの通過の有無を利用者が判断できるため、次のバスを待つか他の交通手段を利用するか等の意思決定に寄与できる。調査の結果、約6%のバスが定刻より早発しており、発車予定時刻直前・直後にバス停に到着した利用者にとって通過時刻情報は有効と確認された。約71%の利用者がバス停に望む設備として通過時刻情報を挙げており、これは屋根やベンチに次いで高く、バスロケと同程度であった。また、本システムへの利用者の言判面および継続希望も高いことが確認された。
  • 船本 悟史, 森本 章倫
    2008 年 25 巻 p. 889-895
    発行日: 2008/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    近年, モータリゼーションの進展などの諸要因によって交通事故の問題は深刻化している.本論文では, このような問題に対する交通事故への対策のひとつである交通取締りに着目して分析を行っている. 交通取締りによる事故減少効果はまだまだ不明瞭な点が多く, 特に狭域的な事故減少効果を定量的に評価した論文は見当たらない. そこで, SPSSTrendsによる交差相関という手法を用いて狭域的な事故減少効果を評価した. その結果, 信号無視の取締りの狭域的な事故減少効果は地点によって現れる地点と現れない地点が存在することがわかった. また, そのひとつの要因として混雑度が関係していることもわかった.
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